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勝利者などいない~2024年衆議院総選挙~

10月27日に行われた衆議院解散総選挙は、
自公連立政権が過半数(233議席以上)割れを起こす惨敗を喫し、
就任1ヶ月に満たない石破総理に国民がNOを叩きつける形となりました。
●衆議院選挙2024

野党第一党の立憲民主党は50議席増の148議席を獲得しましたが、
政権交代を目指すには一歩届かず、
同じ野党の維新・国民民主・社民と連立したとしても215議席。
現時点の自公政権と同数ではあるものの、
裏金問題で非公認となった自民党議員は無所属カウントされてるので、
過半数の確保はいずれも難しい状況にあります
(もっとも、総理大臣指名に限れば、他野党や他無所属も協力できるので、
 逆転できる余地はあります⇒後述予定)。

維新はこれまで共存してきた大阪の公明党選挙区にも候補者を立てて全勝、
結果として大阪の小選挙区を全て維新で染めるなど、
大阪人気の健在さをアピールしました。
しかし、大阪以外の人気は陰りを見せており、
比例で10議席を減らすなど、トータルで5議席減に留まりました。

その維新に喰われた形の公明党は、小選挙区で5議席減の4議席、
比例で3議席減の20議席に留まるなど、自公連立政権を支えられませんでした。
特に新代表となった石井氏の落選のショックは大きく、
今後の自公連立政権を左右しかねない状況です。
敗因は間違いなく自民党の裏金議員を推薦したことにあるわけですが…
自民党の煽りを喰らった反面、比例票欲しさで推薦を止めなかったわけですから、
自業自得と言う他ありませんね…

国民民主党はYoutube等で広告動画が流れる機会が多く、
とりわけ「税収過去最高でも、手取りが増えない」の切り抜きでアピール、
比例で12議席増とするなど、21議席増の28議席となりました。
小選挙区に関しては、ルーツは立憲と同じ民主党ということもあり、
なんとなくの棲み分けができていたから分かるとしても、
比例でこれだけ伸ばせたのは、広告動画による切り抜きアピールの賜でしょう。

れいわは消費税の廃止を訴えて、比例で6議席増の9議席を獲得。
社民党は小選挙区で1議席をキープ。
よく分からぬ参政党は比例で2議席増の3議席。
作家の百田氏らの日本保守党が1議席を獲得。
逆に共産党は比例で2議席減の合計8議席に留まり、
政権批判票を取り込むことができませんでした。


不透明なのは、国民民主党とれいわ新選組の動向です。
国民民主党は元を辿ると、民主党からの直系だったわけですが、
希望の党騒動によって排除されたはずの立憲民主党と立場が逆転、
最終的に大半の議員を立憲民主党に合流させる形となりましたが、
当時の代表だった玉木氏は党に残るという不自然な形となりました。
同じく希望の党騒動を引き起こした前原氏(現:維新)と、
代表選で争った末に玉木氏が勝利したものの、
前原氏はそのまま党を離れ、選挙前に維新に合流するなど、
これまたスッキリしない形となって現在に至っています。
どう考えても、玉木氏の個人商店になっているとしか思えず、
今回下手に議員が増えたことで、
玉木氏がどんな野心を抱くことになるのか、不安が残ります。
現時点で与党入りはしないと言っていますが…
もし、仮に、自民党がかつて社会党の村山氏を総理に据えたように、
玉木氏を総理大臣にしても構わないと言ったとすれば…
(今はそんな思い切ったことができる政治家はいないでしょうが)。
現実的には閣外協力で法案ごとに「ほぼ与党」と化す可能性も、
否定することはできません。

れいわ新選組は野党共闘の不和の責任を立憲に求めており、
どういう動きをするのかサッパリ分かりません。
お題目である消費税廃止に関しては、立憲も自民も頷くわけありませんし、
かつての共産党のような常にNoの政党に落ち着くのでしょう。
だって、この人、アベノミクスを否定するわりに、
消費税廃止の経済動向がアベノミクス並みにファンタジーですよ?
消費税を廃止すれば、消費が増えて結果的に税収が増える?
大企業が儲かれば、国民生活も豊かになる? 同じ類のファンタジーでは?
国民民主党も消費税の一時的減免を掲げてますが、
消費税を減税・廃止しても、効果が出るのは最初だけで、
消費税戻った場合は反動で消費が落ち込み、
消費税廃止の場合は物価高は解消されないので消費増は一時的で、
その間に税収が落ち込んで生活が成り立たなくなっちゃいます。
今の物価高は単純な日本国内の需給関係で決まらず、
海外の物価高の影響と不可避の関係なので、
単純に消費税を廃止しても消費は活性化しません。
最終的に物価高に押しつぶされます。
そんなファンタジーを信じている辺りが…控え目にお花畑と言っておきます。


こうやって見て行くと、自民党と公明党が敗北したのは勿論、
政権交代ができなかった立憲民主党、
批判票を拾えなかった維新と共産党、
逆に批判票を拾えた国民民主党とれいわ新選組の台頭は、
国民にとっては害悪になりかねない可能性を秘めており、
結果的に「勝利者のいない選挙」となってしまったように思います。
自民党も立憲民主党も単独で政権を維持できる目途が立っておらず、
なんとも中途半端な結果に終わってしまったものです…
最悪の場合は大連立も視野に、
与野党間で争いのない政策を実現してお茶を濁すしかなくなるかもしれません。


◆ニュースネタ 自民党の敗因
石破総理本人は裏金問題が後を引いたと考えているようですが…
国民から見れば、「石破氏が信用できなくなった」からでしょうねぇ…

●野党批判強める石破首相「どんな国をつくるのかさっぱり分からない」「この国を任せては絶対にならない」…情勢への危機感背景か
自民党総裁選・内閣発足・所信表明演説・解散・選挙公約と、
いくらでもアピールするチャンスはあったのに、
どんどん民意から遠ざかり、(国民にとって)何もしない自民党に留まり、
単なる自民党政権の劣化コピーと化したのはどこのどなた?
ボロが出る前に選挙をやろうなんて自民党の都合で選挙やってるから、こうなるんですよ…

●「安倍化が凄まじい」石破首相 “裏金候補”への「税金2000万円」支給報道に逆ギレ、「悪夢のような民主党」発言で広がる失望
止めを刺したのはコレですよね…
裏金議員も「1500万円しか貰ってない」と言ってれば良かったのに…
この内訳は公認料(事実上の選挙資金)500万円+活動費1500万円らしいです。
ですから、執行部の言う通り、通常の支部活動費であるなら1500万円で十分であり、
2000万円の支給とはならないわけですよ。
まぁ、その支部活動費1500万円にしても、
国民からすればそんなに配ってるのと驚いてしまいますけどね…
おそらく、選挙ごとにお金を機会的に配っていたんでしょうなぁ…
それを裏金議員と区別をせずに、一律に2000万円振り込んでしまったアホがいると。
●自民党・森山裕幹事長が政党交付金1500万円と同額を選挙運動費に充てていた《「党勢拡大のため」説明と矛盾する疑い》
でも、こんな感じで自分のポケットにポンと入れちゃう議員もいるわけですから、
選挙のタイミングで配っておきながら、「選挙で使うな」はあり得ないですよね。
どう考えても手を付けているでしょ。
国民からすれば、そっちの方が問題なんですけど…やっぱりズレてる。

国民は石破氏に真っ当な政治を期待していたのですが、
前言を翻す解散総選挙、論功行賞的な組閣、色のない所信表明演説に、
トカゲのしっぽ切りな裏金議員非公認、2000万円問題と、
国民の期待を裏切り続けたことが今回の大敗に繋がったように思います。
つまり、ウソツキは信用できないということですよ。
あまり国民を舐めないでいただきたい。


◆今後の展望~綱引き合戦の行方~
前述のように、自民党・公明党は過半数233議席にに届かない215議席、
野党大一党の立憲民主党も148議席に留まり、
共に安定した政権を築けるだけの数字を残せていません。

無所属議員のうち、非公認の自民党議員は、
平沢勝栄(東京17)、萩生田光一(東京24)、
西村康稔(兵庫9)、世耕弘成(和歌山2)の4人。
他に自民党入りが可能なのは、広瀬建(大分2)、三反園訓(鹿児島2)の2人
連立が可能そうな日本保守党は、河村たかし(愛知1)、他比例代表2人の計3人。
最大9人の上積みがあっても、224議席。9議席足りません。

ちなみに、他の無所属議員は、
福島伸享(茨城1)、中村勇太(茨城7)、松原仁(東京26)、
北神圭朗(京都4)、緒方林太郎(福岡9)、吉良州司(大分1)の6人。
動向不明も思想的には右寄りな参政党が3人。
無所属議員を全員取り込むことは考えられず、過半数は不可能です。

よって、自民党は立憲民主を含めた、維新・国民民主・れいわ新選組のいずれかと、
連立を組むか、閣外協力を得なければなりません。
総理指名に限れば、野党が一枚岩にならない限りは石破氏が返り咲けるでしょうが、
内閣不信任案に関して言えば、れいわ・共産も賛成する可能性があるので、
立憲・維新・国民民主・れいわ・共産・社民で、232となり、
無所属議員6人の誰かが賛同すれば、233の過半数で可決となります。
つまり、総理に再任できたとしても、内閣不信任案を出されたら、
再び解散総選挙をするわけにもいかないので、総辞職するしかなくなります。


一方の立憲民主党はもっと厳しい状況です。
総理大臣指名に限れば、共産党やれいわも協力してくれる余地があるので、
無所属6人を含めた、最大238票を獲得することができます。
しかし、首尾よく維新と国民民主党と社民と連立を組めたとしても、
215人にしかならず、自公の賛成なくては法案を通せません。
同じように、れいわ新選組や共産党と無所属が協調すれば、
内閣不信任案が可決してしまうので、こちらも厳しい状況になってしまいます。
可能性があるとすれば、公明党の裏切り、自民党の分裂ですが、
完全に逆転のウルトラCでしかないので、
素直に自公政権の維持に動くと思われます。

ただ、立憲以外の野党にとって悩ましいのは、内閣不信任案が二度手間になることです。
国民の判断が石破政権へのNOであるなら、石破氏を続投させるわけにはいかず、
野党一致で立憲・野田氏を総理に据えた方がスンナリ民意に叶うことになります。
とはいえ、政権維持が難しいですから、普通にバラバラに投票して石破氏が再任し、
再び不祥事が起きた際に内閣不信任案を可決する展開になっちゃうでしょう。
そこを無駄と考えるか、必要な過程と考えるのか、どう判断するのか注目です。
いずれにせよ、これだけ民意が示された以上、
形はどうあれ、石破政権の続投は許されないでしょう。


いずれにせよ、自民党も立憲民主党も、
維新と国民民主党と連携を模索せねば政権を成立させられず、
どちらが自分の陣営に引っ張りよせるか綱引き合戦が始まるでしょう。
この二党がどう考えるのか、注目が集まります。


◆ニュースネタ 今こそ言いたい「日本経済を衰退させた真犯人」 選挙で日本経済の未来が議論されない異常事態
アメリカではトランプ氏が経済政策を中心に評価を上げているようですが…
アベノミクスもそうですが、ようは保護主義的政策で国内企業を守るということ、
結果として衰退産業が倒産せずに守られ、
そこで働いている労働者の生活はとりあえず守られる。
でも国全体としては成長産業への切り替えが進まず、それが終われば大失業時代になり、
取り残された人の生活は絶望的になって支持を失う。
だから、経済政策が論議されないのです。

つまり、大半の企業や労働者にとっては耳が痛い話にならざるを得ず、
お前らは時代遅れだから潰れて、次の産業へ行ってね、とは言えないわけです。
国家単位ではそれが最善だったとしても、個人単位では酷い話だからです。
でも、年々、日本企業の国際競争力が失っていることも確かであり、
全体のパイが収縮しているのに、
いつまでも古い産業を残し続ける意味が本当にあるのか、意識すべきでしょう。
もういっそガラガラポンするしか、やり直せないんじゃないかなぁ…


◆ニュースネタ 泉房穂氏「日本のテレビ局は腐っている」とSNSに吐露…裏金自民とTV局は“握っている”のか

安部さんの時代の放送法を盾にした脅しから脱却できていないんでしょうな…
荒波を立てたくないから、うるさ型のコメンテーターは嫌い、と保身に走ってるんでしょう。
マスコミのプライドがないのかとも思いますが…
ないから、そんなことやってるんでしょうね…


◆野球ネタ プロ野球ドラフト会議
埼玉西武ライオンズに限らず投高打低の昨今、
各チームとにも野手の育成に難儀している印象があります。
ドラフト1位ともなれば、投手に人気が集中するものですが…関西大・金丸投手だけ(中日が交渉権)。
明治大の宗山遊撃手に5球団競合で東北楽天が交渉権、
青山学院大の西川外野手に2球団競合で千葉ロッテが交渉権を獲得するなど、
野手の上位指名が印象的なドラフトとなりました。

他にも富士大から6人指名されたのも驚きでした。
●【ドラフト会議】史上最多6人指名の富士大に驚きの声
有名所でも山川・外崎選手を始め、1軍クラスがゾロゾロ。
確実に戦力になっているのが驚きです。
一時は大学生と言えば6大学⇒いやいや実力の東都⇒これからは地方大学
その中で近年最も注目されているのが富士大であることは間違いなく、
プロでも活躍できる育成方法は気になる所ですね。

一方で2軍に新規参入したオイシックス(新潟)とくふうハヤテ(静岡)は…
ヤクルトの育成3位でオイシックスの下川投手が、
阪神の育成3位でくふうハヤテの早川投手がそれぞれ指名されました。
2軍とはいえ、プロ選手と混じってプレーしているので、
もっと評価されると思っていたんですが…
逆に足りないものが目立ってしまうんですかね?
まだ1年目ですし、当初は育成中心だった独立リーグの選手達も、
結果を残すことで支配下での指名も増えてきましたから、
今回指名された2人には2軍を飛び出して1軍で活躍する姿を見たいですね。

ドラフト指名としては、やはり宗山選手を引いた東北楽天が一歩リードでしょう。
2位の徳山投手も評価が高いですし、即戦力を中心とした良いドラフトだったと思います。
次いで中日と日ハムも高評価ですが、投手に偏り過ぎてるのがどう出るか。

西武は宗山選手を外したのは仕方ないですが、
花咲徳栄の石塚選手を巨人に持っていかれたのは残念。
ポスト源田と言われがちですが、守備型の選手の寿命は長いので、
全然老け込む年齢でもありませんし、若手にも滝沢選手ら守備の良い選手はいます。
個人的にはそこまで遊撃手にこだわる必要性もなかったかと思いますが…
まぁ、2位で大学生でも評価の高かった渡部選手を指名し、
3位で好投手の狩生(かりゅう)投手を指名できたので御の字。
育成を含めて、身体能力・一芸に秀でた選手を指名できたようなので、
将来に向けてしっかりと育成していって欲しいです。

あとは…外国人補強とFA補強を是非とも…
昔みたいに取られて困る若手選手もそういないでしょうに。
プロテクトを気にせずに即戦力野手を取りに行って貰いたいです。

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