ウクライナ危機
現時点(執筆時・閲覧時)で戦況や交渉がどうなっているのか分かりませんので、
ここでは一般論に終始することにします。
●ビートたけし、ウクライナ侵攻で起きているイタリアでの思わぬ影響明かした
最初に日本人にはあまり馴染みのないウクライナについて整理してみます。
ウクライナは旧ソヴィエト連邦の中でロシアに次ぐ国力を持った国です。
仮にロシアの定義をスラヴ人国家とするならば、世界史的に最初のスラヴ人国家はキエフ公国です。
つまり、ウクライナはスラヴ人の心の故郷で、歴史的にもロシアと密接な関係があります。
黒海沿岸の肥沃な土地で、上記記事にもあるように穀物生産力が高い国です。
軍事力は世界30位前後で、兵力はフランスと同程度、軍事費はメキシコと同程度であり、
東欧諸国の中ではトップクラスです。
ドイツやスウェーデンが兵器支援を申し出ていることから、
大国のロシアといえども簡単に勝てる相手ではありません。
●パパはウクライナ人、ママはロシア人の女性が語る“戦争”のリアル 「ケンカを煽り立たのは西側」
ここまでの戦いで言えることは、ウクライナが情報戦で勝利していることです。
ロシア兵に説教するウクライナ女性の姿やミサイル攻撃にあったマンションの映像など、
仮に激戦になっていたとしたら、そんなことしてる余裕もないわけですが、
そういった同情を買うような映像を流し、西側諸国の精神的支援を受ける形は巧妙です。
ロシア側の情報が閉鎖的なだけに、より一層にウクライナ側の情報が伝わりやすくなっています。
こういう言い方は不適切ですが、上手いこと「被害者ヅラ」していると言えます。
戦いが長期化すればするほどに、
ロシアは世論の弾圧に晒されることになり、情報戦で負けていくでしょう。
ロシアにとってウクライナは故郷であり、ウクライナにとってもロシアは兄弟のような存在です。
そもそも、どうしてロシアとウクライナの仲が悪化したのかは理解しかねています。
断片的に日本に伝わってくる情報を整理すると、両者の関係が悪化しだしたのは、
2005年のロシアからの天然ガス輸入の料金の値上がり要求です。
当時の報道も大きく、そういうニュースがあったことを明確に記憶しています。
おそらく親露政権から親欧政権に変わった影響なのでしょうが、
結果的に言えば、政権が変わる度にロシアが圧力を強化し続けたことが関係悪化の原因でしょう。
今回のロシア侵攻の最大の問題点は、ロシアの交渉相手がアメリカだったことです。
当たり前ですが、ロシアはウクライナと交渉すべきだったんです。
勿論、今の停戦交渉(ロシアからすれば降伏勧告ですが)のように、
双方の要求が過大すぎて終着点を見い出せなかったでしょうが、
それでもクリミアや東部のドネツク等をどうするかを決められるのはウクライナだけで、
あくまでウクライナと交渉するべきでした。
しかし、ロシアはウクライナをNATOに加盟させないようアメリカに要求するのみで、
アメリカとしては「そんなのウクライナの決めることでしょ」という話をされても困ります。
ウクライナと交渉していれば、少なくともクリミアの独立を認めさせることはでき、
東部州の独立化はならずとも自治州化はできたでしょうから、
交渉相手を間違えたとしか言いようがありません。
ウクライナとしては東部州の独立は国を割る行為で受け入れがたい行為ですが、
逆に言えば東部州との対立を抱えていることがNATO加入の最大の障壁ですから、
むしろ切り離した方がウクライナ西中部の安全を確保することに繋がります。
まぁ、それが分かっているからこそロシアは東部地域の独立を求めたのではなく、
キエフへ進軍して全面降伏を狙ったのでしょうが…
●ウクライナに思わぬ苦戦でプーチン大統領イライラ! 誤算続きで短期攻略のシナリオ崩壊
西側諸国がこれだけ強力な制裁を課してきたことも誤算の一つでしょう。
個人資産を含めた金融資産の凍結までは想定内でしょうが、
国際金融の枠から事実上締め出されることになるわけですからね。
プーチン大統領の『核発言』も、どちらかと言えば、士気が上がらない自軍への喝であり、
西側諸国の一致した対応を崩そうとする意図を持ったものでしょう。
現状、ロシアが核を一発でも使えば、核戦争で先に滅びるのはロシアですから、
同じ一発を使うなら、ウクライナよりもドイツやフランス、日本に落とした方が効果的です。
侵略後のことを考えれば、穀倉地帯のウクライナで核を使う意味はなく、
その間、侵略もできないわけですから、地上戦をこれだけ展開して核を使えるわけがありません。
使うとすれば第三国に対してですから、ドイツや日本の離反を目指した発言でしょう。
●《ウクライナ軍事侵攻》「頭の中が100年単位で古い」プーチンの“あまりに特殊な国家観”
分かりやすい解説ですねぇ…まぁ、そう言われると納得できます。
思い返してみますと、安倍政権時代の北方領土交渉でも、
北方四島の非軍事化を求めるだけでなく、米軍の存在にも言及していましたから、
予想通り、日本からアメリカを締め出す気が満々だったことが、
今回のウクライナ危機から分かります。
当時もこんな話に乗れるかと怒ったものですが、経済交流に留めて正解でしたね。
二島欲しさにもう一歩踏み出してたら、完全な売国奴でした。
●ドイツが劇的な政策転換 「プーチンの戦争」きっかけに
あまりにも横暴なロシアの姿勢に西欧諸国は警戒感を強めています。
日本と同様の第二次世界大戦の敗戦国であるドイツも、
中立的な立場から一歩踏み込んだ対応に乗り出したようです。
結果的にプーチンは眠れる獅子を目覚めさせてしまったということでしょうか。
西側諸国としては心強くもありますが、統一後は西欧の理性的役割も務めてきただけに、
ドイツがあまりに踏み込み過ぎると世界大戦の危険性もあるだけに、
どこまでNATOへの関与を強めていくかは注視する必要があります。
●米バイデン政権は本当に日本を守る?ウクライナ侵攻で浮上した大不安
いや、まぁ、北朝鮮ならともかくとして、中国とは直接対決を避けるでしょう。
在日米軍は対応するでしょうが、それ以上に本腰を入れて戦争をするとは思えません。
北方領土はもうロシアが軍事基地化を進めていますし、客観的にもう無理です。
安倍政権時代の日露の交渉でロシア側にも非軍事化の要求をすべきでしたが、
それをしてないのですから、もう無理です。
その時点で捨ててるんですよ、日本政府は。
それぐらい当時分かってたでしょ? 分かってて報道しなかったんでしょ、あんたら?
やはり自国は自国で防衛すべきという話も分かりますが、
それでは具体的にどの程度の軍事力を持つことを目指し、
そのために毎年どれだけの軍事費を使い、どれだけ人的リソースを使うのか、
日本国内からどれだけの兵隊を集めることができるのか、
そういう具体的な話をする右翼の人は誰もいません。
少なくとも、どれだけの軍事力を持てば安心するのか答えて欲しいです。
敵が対中国ならば、アメリカ以上に国家予算を投入し続けなければ追いつけません。
それはつまり、北朝鮮のような国家体制で専軍政治を行うということです。
それで国防ができると思っているのですか? あまりにも夢想家過ぎるでしょ。
むしろ今回のウクライナ危機で分かることは、
中途半端な軍は戦争の名目に使われかねないということです。
今回もウクライナ軍が市民を攻撃しているという大義名分で派兵を行いました。
満州事変でも日本は同じようなことを言って派兵しています。
自衛隊を超えて軍隊を持つことは、逆に戦争に利用されかねないことも考えるべきです。
このウクライナ危機におけるウクライナ人達のコメントを見て思うことは、
愛国心とは与えられるものではなく、抱くものだということです。
上から押し付けられてロシアのために戦えと言われるのが愛国心ではなく、
家族のため、友人のため、故郷のために戦うのが愛国心だということです。
右翼の方々には『愛国心』とは何なのか、今一度考えていただきたい。
宗教のように『愛国心』をお題目にするのではなく、
己の『愛国心』がどこから来ているのか、今一度考えて欲しいです。
自分から見ると右翼は議論が浅すぎるのよ…
ろくに考えずに結論だけを出そうとするから、議論がペラペラなのさ。
●核共有「議論回避すべきでない」 自民・福田総務会長
いきなり出てきましたが、『核共有』ってどういう概念なのでしょうか?
核兵器の使用が『共有』が何を指すのか正直分かりませんが、
保有することに意味があるとするならば、使用が処分行為にあたるので、
共有者が一人でも反対すれば核は使用できません。
それ兵器として意味あんの? 使用権限が誰にあるか分からない武器に意味あんのか?
それって単なる『核レンタル』じゃないの? 置物としてしか意味をなさない。
核保有に関しては、『核の傘』は大いなる幻想の産物でしかありません。
核がなかったからウクライナが攻められたのではなく、
核があるからロシアがウクライナを攻められたに過ぎません。
つまり、侵略国が核兵器を持っていれば、核の傘なんて無意味です。
防衛に寄与しているのではなく、攻撃に寄与しているだけです。
核があるからこそ横暴が働けているとも言えるわけです。
それじゃ日本は核を持って、どこかに侵略するのですか?
東アジア情勢を見れば、ロシア・中国・北朝鮮と核保有しているのだから、
核の傘なんて、事実上、存在してませんよ。
それよりも日本の場合は原発リスクでしょうよ。
核を使うまでもなく、国土の狭い日本で原発を攻撃されたら終わりでしょ?
原発の稼働を続けるのなら、そこを重点的に防衛すべきでしょうよ。
そんな親切にグーグルマップで表示してくれる対象を守らなくてどうすんのさ?
話をウクライナ危機に戻しまして、どうやらロシア軍は包囲戦をやるつもりのようで。
まぁ、第二次ウィーン包囲みたいにならないといいですけどね。
包囲してるつもりが西側に包囲されてるなんてことになりかねませんよ。