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対岸の火事

11月上旬にはヨーロッパで第3波となるコロナ感染が拡大し、
続いて北海道でも感染が拡大し、北海道知事らが声を挙げていたにも関わらず、
23日まで政府は全く動かず、具体的な対策は打たれないまま…

さすがに何もしないわけにはいかなくなったのか、
北海道と大阪のGoToキャンペーンの一時停止となりましたが、
北海道と大阪に「行く」分は対象外になるものの、
北海道と大阪の人達が「出る」分には対象内という中途半端なもの…
その2地域は外出自粛を要請するレベルなのだから、「出る」方も問題でしょ…?
「行く」法に関して言えば、既に飲食店に自粛要請している北海道等の地域では、
旅行自体が不可能ですから、今更、何言ってるんだという感じではありますし…
肝心の東京はここまでアナウンスなし。
重症者の数を見れば、かなり危険な状態なはずですが、
おそらく来年の東京オリンピックを中止にしたくないために及び腰になっているのでしょう。
まぁ、間違いなく感染爆発しちゃうでしょうねぇ…
…それにしても、根本的に第三波に対応するという姿勢はないんでしょうか…?
まるで全てが他人事、対岸の火事です。

よく災害時に「自分は大丈夫」という『正常性バイアス』の問題が挙げられますが、
その源泉はどこにあるのかと考えれば、それは「自身を特別視」してるからでしょう。
でも、それは当たり前のことで、自分にとって自分は特別なのは間違いなく、
自分の意識と他人の意識とでは知覚の程度が段違いなのは明らか、
自分の意識が優先されることは当たり前のことでしょう。
加えて、経験則が邪魔をしてしまい、
「今まで生きてこれたのだから、今後も大丈夫」と、安易に考えがちなのでしょう。
ただ、それが行き過ぎてしまい、「自分は特別だから大丈夫」と過信することは、
物事を見誤ることに繋がり、対岸の火事が延焼する可能性を考えていません。

「ワクチンができたから大丈夫」「日本人は抗体を持ってるらしいから大丈夫」、
そう安易に考えていませんでしたか?
一時期は集団免疫を達成したと言われて賞賛されていた、
スウェーデンでも感染拡大したのにも関わらず…
感染者でも1ヶ月も持たない自然抗体で集団免疫が容易に達成できるとは思えません。
こういうのはもう対岸の火事を通り越した『選民思想』ですよ。
「日本人は特別だ」という根拠のない自信が、第三波の対応に遅れた最大の理由であり、
未だに政府が何の対応も取れていない理由です。
『上級国民』どころではない、王様意識が政府の想像力の欠如を招いています。
さながら、都合の悪いニュースは全て『フェイクニュース』と豪語する
アメリカのトランプ大統領と同じですよ…

専門家は木を見て森を見ずと批判した元政治家がいましたが、
その人は一本の木が虫に喰われているのにも関わらず、
全体を見て安全だと言って放置し、森全体を枯らすつもりなのでしょうか?
第1波の対応遅れが全く反省できていません。
規模的に既に第2波を超えているのに、こんなんで乗り切れるのでしょうか。
もう少し自身のこととして危機感を持っていただきたいです。


●ニュースネタ コロナ急増、Gotoトラベルがきっかけ?
GoToトラベルは、水に塩を落して、激しくかき回したようなものです。
そのままならな、まだ塩を回収できたかもしれませんが、
激しくかき回しちゃったので、もうどうにもならない、ということです。
かき混ぜなくても塩は水に溶けていったでしょうが、
Gotoキャンペーンがそれを促進した面は否めないでしょう。

第3波の特徴は、それまで東京を中心とする都市部が中心だったのと異なり、
北海道に始まり、都市・地方に関係なく、幅広く分布していることです。
都市を中心に同心円状に広がっていた第1波・第2波と異なり、
散発的に感染爆発が広がっています。
勿論、それには気候の影響も少なからずあるでしょうが、
長らく感染者ゼロだった岩手県でも感染が広がり始め、
交通の要所ながらも比較的感染者が少なく、温暖な地域の静岡県でも、
毎日10~50人規模の感染者を出し続けています。
既に市中感染が広がっていることは確実で、
抵抗力の弱いお年寄りに感染が広がっているのが実態でしょう。
つまり、GoToキャンペーンによって、
コロナウイルスは全国に既に広がってしまったということであり、
もはや都市部を避けても意味がないということです(無論、人口密集度は重要要素ですが)。
もうウイルスは都市部の人との接触で感染するのではなく、
地元にしかいない人にも感染する、ありふれたウイルスになってしまったのであり、
状況証拠からGoToキャンペーンが犯人であったことは確実です。

ただ、今は犯人捜しをしている段階ではありません。
GoToがウイルスを甘く見た失政だったことは間違いありませんが、
もはやクラスター感染を引き起こしかねない飲食店に自粛を促す必要のある段階ですから、
そもそもGotoキャンペーンなんて、やってる状況じゃないんですよ…
それは自粛要請から目を逸らしているだけ。何の対応策でもありません。
結局、自粛要請に強制力を持たせるか否かの議論は棚上げにされ、
自民党総裁選やら菅内閣の改革報道に打ち消されるように遅々として進まず。
自粛要請と経済補償の問題から目を逸らし続けた結果がこの惨状です…

とはいえ、もうコロナ拡大から1年経とうとしているのですから、
飲食店の方も無策では要られない問題です。
もう逆にすればいいんですよ。
飲食店は原則営業禁止、コロナ対策が万全な所から営業許可を受ける、と。
もう1年経とうとしているのに、何の対策もしてない飲食店を救済する必要性はありますか?
マスクや消毒液が足りないという状況でもなく、
感染症対策の知識が転がっていないわけでもない。
それで対策ができないなら、今後の食糧難にも対応できないでしょうから、
そんな飲食店はさっさと畳んだ方が楽になると思いますよ?

お客の立場である私達にも対応が求められています。
菅総理は『マスク会食』なんて馬鹿なことを言ってますが、
そもそも会議と食事を別にすれば良いだけのことです。
そもそも、何で、食べながら話さないといけないの?
食事する時は調理者・生産者・生物に感謝しながら黙って食べるんですよ。
それをろくに料理を味わずに、ペチャクチャ喋ってるからダメなんですよ…
なんで、そんな不作法を総理は推奨するのか?
そんなの自分が会食ばかりやってるからですよ、政治家の皆さん?
そういうご時世ではないんだから、会議は会議、食事は食事とはっきり分けなさいよ。
食事で有権者を釣るような事ばかり考えてるから、
そんな馬鹿な対応しか考えられないんですよ…

これだけ騒がれているのにも関わらず、マスクをしていない人は見かけますし、
店舗入口でアルコール消毒する人も日に日に減っています。
確かに乾燥した冬に水分が奪われるアルコール消毒はやりたくないかもしれませんが、
それでも個人ができる取り組みとして、最低限の消毒には取り組みたいものです。


◆ニュースネタ 安倍氏側、補填900万円超か 「桜を見る会」前日の夕食会
何でこのタイミングで動いたのか…
菅総理が元気過ぎる安倍元総理を疎んで仕掛けたとか、
形だけの捜査で終わるガス抜きだとか、色々と言われていますが…
前者だと、あまりに自爆テロ過ぎで、実際に野党に責められているわけですから、
後者の可能性の方が高い感じではありますが、
それにしては900万円という具体的な数字が出ているのはいかに…
ちょっと現段階では分かりませんねぇ…

話的には自民党・小渕優子氏の後援会旅行と同じですから、
それほど大事にならない可能性はありますが、
これに関しては去年の『桜を見る会』関連で質問されており、
事実であれば、それとの整合性が問われることになります。
実際に捜査がどこまで進むか分かりませんが、
政治問題化すればするほどお茶を濁して終わりとなりかねないので、
何とも言えない所ですねぇ… もう状況的に政治的に確信犯だったで良いじゃん?

というか、もう自民党全体でそういうことやってるんでしょ?って話。


◆ニュースネタ 進展のない日本学術会議問題
●学術会議、民間移行も選択肢=「野党納得しないなら」―自民政調会長
この問題で気になっているのは、政治家の上から目線です。
日本学術会議の知識を借りるという意識が全く伺えません。
専門家に見解を伺っているのに、何で聞く方が偉いのでしょうか?
生徒が学校の先生に対して、「家庭教師で教えてくれば?」って言うのかね?
この問題で一番鼻に付くのは、そこなんですよ…
どうして学者の力を借りるという発想にならないのか。
どうして批判から目を逸らし続けるのか。
学者は自分の意見を支持してもらうための応援団じゃないんですよ?

こういう所が今の自民党の『驕り』なんでしょう…
『上級国民』に留まらない、国民を支配しているという意識。
今の自民党の政治家に「主権者は誰?」と聞いたら、「自民党」と答えるのでしょうね…
リベラリストも、天皇中心を望む右翼勢力も裸足で逃げ足すような回答です。
国民主権でも天皇主権でもないのですから。
根拠のない過信… 率直に言って、狂ってます。


◆ニュースネタ 「困窮支援相談員」の呆れるほどに悲惨な待遇 「ハローワークの内側」も貧困の巣窟だった
あれ、これって一般にも浸透した常識だと思ってましたが…
言われるまでもなく変な構図です。
雇用を求めて相談に来た求職者の対応をしている人が、
1年先があるかどうかも分からない非正規の相談員なんですから。
より近い気持ちで相談者の気持ちを分かってあげられるのかもしれませんが、
同じ立場の人間が適切なアドバイスを送れるかどうかは…ね?

市役所の窓口業務も、最も仕事をしているのは非正規だったりしますし、
もう少し公共機関の従業員には優しくしましょう。
結局、ここら辺も改革しなければならないことであって、
国家公務員と地方公務員、地方への出向組と地元組、
地方公務員と非正規アルバイト、
そういった構造的格差が根本的にダメなんですよ…

もうダメでしょ? 自民党に忖度するばかりの国家公務員では。
アメリカのように政権が変わったら、
官僚機構もごっそり変わるための代替性を確保するには、
国家公務員と地方公務員の壁をなくし、容易に交代可能にすればいいんです。
地元のことが分からない出向組の官僚がそのまま知事に収まったりと、
馬鹿らしいでしょ、そういうの。
国家公務員は偉い、地方公務員でもいいや、という意識を無くし、
国民のために仕事をする公務員を再構築しなければなりません。

結局、現在一番悲惨なのが公的セクターに努めるアルバイト従業員なんです。
最低賃金ギリギリだし、1年毎の契約だし、勤めても民間に評価されないし。
公的セクターだから安心だと思いがちですが、
一番ブラックな職場が公的セクターだったりするので要注意です。


◆ニュースネタ 「ウーバー地蔵」急増 都心の「子連れウーバー」は大丈夫か
コロナ自粛によって一般化したウーバーイーツですが…
それに対する社会的批判も日に日に大きくなっており、
とりわけウーバー絡みの事故、事故相手に対する補償と、
従業員もとい請負人に対する補償が手薄なことが社会問題化しています。

まぁ、率直に言って、ウーバーのやり方は汚いと思いますが、
かといって多くの日本企業も同じことをやっているので、他人のことは言えません。
派遣従業員が一般化するにつれて、雇用継続性の期待が高まり、
それなりに法改正で対応されるようになってきました。
すると、今度は企業側が「偽装請負」という手を使い、
派遣会社に頼むのではなく、請負契約で頼めば補償しなくていいよね、ということに…
請負契約は職人さんに家を建ててとお願いするようなものですから、
結果に対してのみ報酬を支払うわけですから、
当然結果を残せなければ給金ゼロ、万が一の補償もないということになります。
それでは、さすがに実質「労働者」の保護がされなくなってしまいますから、
請負契約であっても、実質的に指揮監督下で働いているのであれば、
労働契約とみなすことになってはいますが、
それは労働者が法律に則って戦わなければならないわけですから…大変です。
普通の労働者は労働条件に『請負契約』と書かれているならば、
止めておいた方が無難だと言えます。

話を戻しまして、ウーバーのように請負契約を盾にする企業はいくらでもいるということです。
私達ができることは、そのような企業に与しないということでしょう。
そんな危険を放置しているウーバーを利用しない、
多少お金がかかっても安全に配達してくれる従業員を選ぶ、等々。
卑怯な企業を制裁するには、消費者が賢く選択するしかないということです。

話は少し変わりますが、上記のことが環境問題で実際に行われています。
もはや国際的企業は、環境問題に無関心な企業を取引先から削っています。
環境に優しい技術で作られた製品でなければ、取引先として選ばれない時代なのです。
今までは環境問題に無関心なトランプ大統領だったからこそ、
日本企業も無関心でいられましたが、バイデン大統領に代われば、
ヨーロッパ諸国と歩調を合わせてくるのは間違いなく、
同じように環境問題に無関心な企業は淘汰されていくことでしょう。
菅総理が施政方針演説で脱炭素社会を訴えましたが、
裏を返せば、そうしなければならない所まで追い込まれているということです。
日本企業は脱炭素社会にならなければ、世界的に選択されない時代になったわけです。

同じように労働問題に無関心な企業は、労働者に選択されないようにすべきです。
働ければどこでもいいという時代ではなく、
働いてもらえる職場づくりが必要な時代になったということです。

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