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議会政治の基本を簡単に解説

前回、日本の各政党の歴史と特色を述べましたが、
考えてみると、その前提となる政治用語を解説してなかったので、基本から解説します。

●議会政治の歴史
①13世紀イギリス 国王派 VS 有力貴族派
 イギリスは女系も認めているので、直系が断絶すると他国に嫁いだ女性皇族が継承するので、
 しばしばイギリス本国以外から国王が現れることがあり、それが国内議会の対立に繋がった。
②16世紀ドイツ  カトリック派 VS プロテスタント派
 神聖ローマ帝国(現在のドイツ)での旧教派と新教派の対立。
 主にカトリック派が王侯貴族で、プロテスタント派が有力領主と新興商人の対立。
③18世紀フランス 王党派 VS 共和派
 共和派の主体は新興資本者階級、ブルジョアジーが中心。
④19世紀     資本階級 VS 労働者階級
 資本主義経済が各国で進展するにつれ、王侯貴族と新興ブルジョアジーが同一化、
 使う側と使われる側の対立に繋がる。
⑤20世紀     資本主義 VS 共産主義
 資本主義社会においては、共産主義は悪でしかないので、
 資本主義経済は支持しつつも労働者の現実的保護を図る西欧的社会主義が広がる。
⑥21世紀     国際協調主義 VS 民族主義
 東西冷戦が終結すると、経済のグローバル化(共通化)が進み、
 民族アイデンティティの崩壊=国民という概念の崩壊が進んだことで、
 逆に民族的アイデンティティを語りかける勢力が反動的に大きくなる。
 いわゆるトランプ現象的な、排他的民族主義。過激化すれば民族浄化で大量虐殺の悪夢。

今の政治状況でチェックすべきなのは、その政党が国際協調主義なのか、
民族主義的傾向が強いかどうかを確認すべきでしょう。
ただ、難しいのは、昔の自民党は国際協調主義的傾向が強かったものの、
今の自民党・安倍政権は民族主義的傾向が強まっていたりと判然としない面もあり。
自分の判断だと、国際協調主義(公明・立憲民主・社民党)、独自路線(共産党)、
民族主義的(自民党と日本維新の会、国民民主党)という感じか。
自民党と公明党の連立って、分類上は変なんですよねぇ…

●議会政治の用語
①革新派と保守派
 革新派は過激な改革を標榜するグループ。
 フランス革命のジャコバン派のように逆らう奴はギロチン的なアレ。
 現在で革新派というと、共産主義革命グループを指すことが多いが、
 本来的な意味は『過激派』に近い。
 保守派は革新派に対する用語で、ゆっくり改革する路線のグループ。
 日本では日米安保賛成派を保守派と言うことが多くなっているが、
 本来的な意味は『穏健派』に近く、そういう意味ではネオコンは保守とは言えず矛盾がある。
②リベラルと伝統主義(≠民族主義)
 リベラルの本来的な意味は自由主義であり、伝統的偏見からの脱却にある。
 リベラルの反対を議論されることはほとんどないが、敢えて言うなら伝統主義か。
 旧来の家族慣習に基づいた合理的でない伝統的な考え方をリベラル派は批判する。
 現在においてリベラルを自称する人間は、平等主義派・国際協調主義派のイメージ。
 悪く言えば夢想家とも言え、日本では日米安保反対派をリベラル派と言うこともある。
 伝統主義は時代遅れのイメージが強いため、ナショナリスト(民族主義者)と自称することが多い。
③右翼と左翼
 先の議会の歴史で言えば、王党派が右に座っていたから右翼、
 共和派が左に座っていたから左翼、と呼ばれるようになったのが語源。
 日本ではどちらも悪く使われることが多く、
 右翼と言うと街宣車で軍歌を流して天皇中心主義を叫ぶ暴力団関係者で、
 左翼と言うと無政府主義的なテロリスト集団を指すことが多い。
 本来的な意味では、右翼=保守派で、左翼=革新派であるが、
 革新派が政権を取って改革すれば、左翼だったものが保守になるわけで、
 逆に保守派が政権を取り戻して改革を戻せば、右翼だったものが革新派になるわけで、
 鏡のように容易に逆転してしまうため、現在では一般的には用いられず、
 やはり相手を揶揄する言葉として使われがち。
④中道
 右翼と左翼の言葉に対応して、自称として使われるのが『中道』。
 右翼でも左翼でもないという意味だが、実際は中道左派や中道右派と言われ、
 事実上の右翼と左翼に分類されることが多い。
 でも前述の通り、日本では右翼と左翼のイメージが悪すぎるので、
 中道左派や中道右派という言葉で代用されがち。
 日本における中道右派は、労働組合組織の『連合』の民間労組系組合を指すことが多く、
 中道左派は、労働者団体の『連合』の官製企業系労組を指すことが多い。


分かり難いかもしれないけど、大体こんな感じのイメージで良いかと。
現在の日本に右翼政党は事実上存在していないが、
安倍政権を中心に戦前の国家主義体制を礼賛する傾向もあり、しばしば右翼と揶揄される。
左翼は共産党を指すことが多いものの、現在はそこまで先鋭化しておらず、
真の意味での左翼政党も日本には存在していない。
残りを分類すると…
 保守派+民族主義…自民党、日本維新の会
 保守派+中道右派…国民民主党
 保守派+中道左派…立憲民主党
 保守派+リベラル…公明党、社民党
 革新派…共産党(昔ほどではなくリベラル寄り)
国民民主党は民族主義かリベラルなのか微妙な所…
立憲民主党がリベラル派で、安保問題は自民党に近い立場から、民族主義側に分類しました。
中道左派とリベラルはほぼ同じなので、同一視しても構わないけれども、
中道左派は労働組合を指すことが多く、リベラルは法曹界など、それ以外も含む。
まぁ、日本の労働組合組織率は低下の一方だし、中道右派と中道左派の区別は連合の区別に過ぎず、
近い将来には消える言葉だと思いますけど…

こう分類しても自民党と公明党の連立は不思議に思えますが、
昔の自民党は民族主義派もリベラル派も抱え込んでいたので、そういう意味では何でもアリ。
ただ、最近は民族主義的傾向が強いのは前述の通り。
自民党からすれば、公明党は集票マシーンに過ぎず、
逆に公明党からすれば、与党を下支えしている自負があるから成り立っているものの、
安倍政権になってから選挙で勝利が続いていることから、
集票マシーンの価値を低く見積もっている気配があり、そこが公明党軽視の理由。


最後に自民党とは別に、今の総理官邸の性格を整理。
●総理官邸
 第一次安倍政権崩壊後に、手のひら返しが続く中、唯一残ったのが経済産業省の官僚。
 伝統的な自民党は財務省主導型であり、そこが経済の強さに繋がっていたものの、
 安倍政権は経済産業省主導型となっているため、派手なキャッチフレーズで売ることが多く、
 そのため看板倒れ政策に終わることも多い(クールジャパン事業など)。
 今の総理官邸は高級官僚の人事権を握っているため、官僚の統率力が高く、
 それが政権の歪みとして財務省の不祥事や厚生労働省等の統計不正問題に繋がった。
 また、各都道府県の意向を受ける自民党本部と意向を違えることもあり、
 大阪維新の会との蜜月関係はわりと有名な話。
 今の総理官邸は改憲議論に積極的で、消極的な自民党議員の応援を控えたことが、
 今回の選挙で自民党候補が減った理由とも言える≠党の意向とは別に動いている。

まぁ、つまり、今の日本の政治状況は国会の政党政治で動いているのではなく、
行政機関である総理官邸によって動かされているようなものなわけです。
もはや自民党も総理官邸を御する力を持っていないし、追従するしかなくなってる。
各種不祥事が起きて、証人喚問の要求があっても、
総理大臣は「国会がお決めになること」と言うものの、
それを実際に決めているのは総理官邸であるのは公然の事実でしかない。
そういう意味では今の日本の政治状況は歪んでしまっているが、
マスコミも総理官邸の圧力に屈してしまっているので、
誰もその歪みを指摘しない状況が長らく続いているのが現状です。


◆高校野球ネタ 大船渡高校の佐々木投手の夏が終わる
賛否両論あると思いますが… 自分は中途半端だったようにしか見えません。
野手としても超一流の可能性を持った選手なのだから、
最初から投げさせないと決めていたのならば、
野手として試合に出しても良かったのでは?
ベンチスタートという所に、投げさせるチャンスがあるなら、
という色気があったとしか思えませんけど…

それか、野手として試合に出れないほど、佐々木投手の疲労が蓄積していた可能性ですね。
そのポテンシャルに体が付いていけてない面があるので、
無理をさせられる状態ではなかったのかも…
とはいえ、準決勝のインタビューでは、
「次、勝たないと1回戦敗退と同じなので」とコメントしていることから、
とても試合に出られない選手のコメントとは思えません。
佐々木投手としても納得できない終わり方だったのではないでしょうか。

あとは代役先発投手を含めた、選手の準備がどうだったのか?
野手は佐々木投手が投げるものと思っていたようですが、
少なくとも、代わりの先発投手に投げさせることを知らせておく必要があります。
佐々木投手が登板しないとなれば、球場の雰囲気もガッカリでしょうし、
それに反発するようにチームを鼓舞する必要があるのですが、
そういった選手への精神的ケアをしっかりとしたのでしょうか?
「監督が勝負を捨てた」と取られたら終わりじゃないですか。
とても用意周到に佐々木投手を温存したとは思えないだけに、
監督の過保護さが働いたと見られても仕方ないように思えます。
学生スポーツなので、観客やマスコミの期待は裏切っても構いませんが、
監督が選手の期待を裏切ってはいけません。
今は無理矢理納得できたとしても、選手達が数年後に後悔はなかった、
ベストを尽くせたと思えるのかどうか…まぁ、疑問は残ります。

結局、佐々木投手という大器を扱うのに、監督の荷が重すぎた気がします。
大器を壊さないようにと消極的にならざるを得なかった…感じでしょう。
これが『普通の子』を育てることを前提とした高校野球の限界だと思います。
これだけ素質を持った選手が出てくる以上、
ユースチームを作ってプレーすることも考えなければいけないでしょう。

あと、プロ入りしても育てる球団のプレッシャーは大変そうですね…
球速は一度捨て去って、体力面強化を図る必要がありますが、
それだけマスコミや周囲が待てるかどうか… 少々気がかりです。
仮に怪我で選手生命を棒に振れば、
それこそ甲子園の夢を犠牲にした大船渡の選手達の立場がない…

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