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選挙総括~二大政党制の「夢」散~(追記)

今回の衆議院総選挙は、良くも悪くも小池東京都知事に振り回され続け、
「どんぐりころころ」の如く、「小池にはまってさぁ大変」な選挙でした(苦笑)
二大政党制の実現に賭けた民進党・前原代表の目論見が完全に崩れ去ったことは、
二大政党制の限界を示すものでもあったように思えます。
アメリカの政治を見ていてもそうでしょう?
トランプ大統領は共和党の大統領なのに、共和党の議会と上手くいっていない。
二大政党といえども、党内が一枚岩になることは、ありえないわけです。

今回の選挙の特徴は、やはり「スピード」でしょう。
解散表明から公示前にかけての希望の党の結成、民進党の解体、立憲民主党の誕生と、
1週間足らずのうちに、怒涛の如く政治状況が変わっていきました。
あまりにも流れが変わるものだから、週刊誌の政治記事が全くついていけない、
日ごとに変わる政治状況に政治専門家と謂われる人達も右往左往でした。

もう一つが「ツィッター」の存在。
今回躍進した立憲民主党の勝因もツィッターにあったことは間違いありません。
あまりのフォロワーの数の多さに、「判官贔屓では?」という声や、
一部には「ロボットフォロワーだ」と揶揄する声も聞かれた程。
判官贔屓があった面は否めませんが、それだけであの数になるとは思えません。
枝野代表が立憲民主党の結成前に民進党本部から出てきた時に報道陣の前で呟いた
「カラオケで『不協和音』を歌うんだ」というあの一言、
非公認キャラの「立憲民主くん」が広く画像拡散したこと、
そういうある種の「ネタ的要素」が若年層の共感を呼んだ面は否定できません。
勿論、「ネタ」で政治をやってもらっては困るわけですが(苦笑)、
そういうある種の政治家の何気ない一言、「人間臭さ」が身近な共感を呼んだのも確か。
元々、政治家は広く国民の要望を聞いて実現するのが仕事です。
それが一部の有権者の要望しか聞かなくなったことが「お友達優先」の今の政治、
身近な雰囲気を感じる立憲民主党は自分達の声も聞いてくれるのではないか、
そういう期待感があったことは間違いないと思われます。

今後は野党第一党として、立憲民主党にかかる期待も大きくなることが予想されます。
同時に、今度は民進党出身者で希望の党から立憲民主党に擦り寄る人や、
選挙協力をした社民党と共産党との距離感も問題になってきます。
政党政治ですから、所属議員の数が多いほど優位なのは間違いありませんが、
逆に数が増えれば増える程に、個々の議員の考え方の違いや、
国民との意思との乖離は大きくなってしまいます。
これは二大政党制の明確な「限界」です。
日本の大企業にも言えることですが、組織が大きくなればなるほどに、
内部の意思疎通を欠き、「顧客」や「個人」よりも「組織」が優先してしまうのです。
そこが旧民主党・民進党の失敗であり、今の自民党にも同じことが言えます。

今回の選挙によって、「二大政党制」の夢は散り果てました。
今後さらにスピード感を増していく政治に、大政党が付いていけなくなるのは間違いありません。
機動的な意思決定をするために、「政党」は小規模に留め、国民の意見を集約することに務める。
一方で国会は「数の論理」であることを否定できないので、
「統一会派」を結成して政権与党と対峙し、政権奪取を狙うことが必要であると考えます。
その時に党利党略で主導権争いが起きないように、各党の「専門性」を磨いておくことが大切。
民主党政権時代に国民新党が金融を担当していたように、
各党の強みを作ることで、個々の存在価値を高めつつ、政策に責任を持たせることができます。
自民党が総合商社なら、野党連立政権は専門店の連携で勝負するのが良いと思います。

今は日本は、政治も経済においても、大きな行き詰まりを迎えています。
これまでは大資本・大政党が良しとされてきましたが、今はその大きさが逆に仇となっています。
スピード感の欠如や組織腐敗、人間性の喪失を無くすためにも、
「人が見える単位での中規模の切り分け」は必要不可欠でしょう。
今回の立憲民主党の成功は、切り分け(スリム化)の成功例だったと言えます。
その成功体験を今後の政治状況・経済状況に生かしていって欲しいですね。


◆野党共闘失敗の影の主役「共産党」の今後
選挙戦序盤は、自民党VS希望の党、希望の党の失速で自民党の勝利が確実視されると、
公明党VS立憲民主党の選挙戦(主戦場は北海道)になるなど、
明らかに蚊帳の外に置かれた共産党ですが、鍵を握っていたのも共産党でした。
野党共闘の一部復活という形で立憲民主党の勝利に貢献しつつも、
民進党に裏切られたそもそもの原因も共産党に無いわけではありません。

有権者が批判票の受け皿として共産党を避けた理由も同じで、
共産党には政権担当能力が無いことに原因があります。
政党の生き残りを賭けた小規模な選挙でなら、共産党との選挙協力は大きいことは確か、
ただ、政権選択選挙となった場合、共産党に譲った議席が致命傷になりかねません。
仮に選挙協力の結果、共産党に10議席を譲ることになったとして、
与党の過半数割れを引き起こしたとしても、共産党の議席はカウントされないため、
共産党との連立が組めない故に、政権交代ができないケース(例:羽田内閣)が出てきます
(ただ、恩恵的には議席以上の票を期待できるので、トータル的にはトントンでしょうが)。
民進党の前原代表が共産党との選挙協力を渋ったのも、分からなくもありません。

仮に、今後、立憲民主党・社民党・共産党+αで過半数を超える勢力を作れたとしても、
共産党が政権に入るのかどうかは真剣に考えなければなりません。
ある意味、旧社会党が事実上崩壊し、共産党が生き残ることができたのは、
新党ブームの時も政権から外れていた万年野党だったからこそとも言えます。
自公政権の打倒という目的は同じでも、達成後の政権の枠組みが異なるジレンマ、
そこが共産党の最大のネックです。

自分自身は東西冷戦を知らないわけではありませんが、
既に生まれたころには共産主義の限界が見えていた頃だったこともあり、
共産党に対するアレルギーはありません。
ただ、自分より上の世代では、共産党に対するアレルギーも根強いものがあるでしょう。
このまま共産党は万年野党を貫いていくのか、
それとも共産党という名前を捨ててでも、平等な社会の実現という政策実現を掲げるのか、
旧社会党に突き付けられた現実が、今度は共産党にも突き付けられていると言えます。

これはどの党にも言えることですが、各政党が全部をやる必要はないと思っています。
自民党は総合病院であるならば、野党連合は専門病院で連携すれば良い話。
政策の優先順位を決めて、この政策に関しては他党に譲らない、
ここまでなら譲れると妥協点を作ることが必要だと思います。
共産党なら何でしょうね…
戦争をしないのは譲れないラインで、教育が専門になってくるんでしょうかね?
社民党なら消費者問題・非正規雇用から、立憲民主党は労働者の立場から、
といったように政策ごとの棲み分けを決めることが必要だと思われます。
「軍隊のない国」という理想は党是として残しつつも、
現実には戦争が存在し、周辺国が軍隊を持っている以上、自衛権は否定できませんから、
そこは「戦争をしない」という条件で、他の政党に任せれば良いということ、
党の「理想(主義主張)」と連立政権が描く「現実(政策)」とを上手く分けることが、
政権担当能力を示しつつも、逆に党の独自性を失わない唯一の方法だと考えます。

二大政党制であれ、多党制であれ、批判のみの政党では生き残れません。
逆説的に言えば、自民党一党独裁体制だったからこそ、共産党という批判党が必要とされました。
それが崩れ去った以上は必要とされなくなっちゃうんです。
自公一強政治だからこそ共産党が必要とされ、自公一強政治が終われば必要なくなるジレンマ、
それが共産党の抱える最大の問題点です。
旧社会党の轍を踏まずに、いかに政党価値を高められるか、
野党再編のカギを握るのは共産党内の変革だと思います。


◆ニュースネタ 古賀茂明氏の総選挙に関するコラム
北朝鮮問題とか、経済問題とか、議論にならなかった点に対するツッコミが、
ほぼ同一だったので、リンクを掲載。
これを見てから書いたんじゃないですよ、本当に(笑)
それぐらい似通ってたからビックリ。みんな、心の内ではそう思ってたんですかねぇ?

(24日追記)
◆政治ネタ 希望の党の真の敗因「本気さが感じられなかった」
落選した若狭氏らがテレビ番組に出演して、色々とコメントしていますが…
「排除」という言葉で潮目が変わったことは確かですが、
「排除」というキツイ言葉そのものに原因があったわけではありません。
にこやかに「排除」という言葉を口にできてしまう「軽々しさ」に対して、
政権を取りに行く「本気度合い」が全く感じられなかったためです。

合流を決定した民進党の両院議員総会が紛糾しなかったことを疑問視する意見もありますが、
あの場面での前原代表は、間違いなく「本気で」政権交代を目指していたことは確か、
その「本気」が民進党議員や有権者に伝わったことで、
「希望の党はひょっとしたら行けるかもしれない」という期待に変えました。
しかし、その民進党の「本気」を笑顔で「排除」とぶった切ってしまうその無神経さ、
それが両者の温度差をはっきりと国民に伝えてしまい、
希望の党に対する「疑念」に変えてしまったのだと思います。

突然の解散総選挙によって、国民は選択肢を奪われ、路頭に迷いかけていた中、
颯爽と登場した希望の党がどういう政党なのか、国民が注目していたのは間違いありません。
それが民進党の合流によって「政権選択選挙」の色合いが強くなったのにも関わらず、
「排除」の発言によって水を差すどころか、液体窒素をぶっ掛けた、
凍り付いた瞬間、何かがおかしいということに国民は気づいたんです。
公示前の小池都知事の出馬観測や、公示後の首班指名を誰にするのかという質問、
しつこいように何度も繰り返されたのは、誰もが希望の党の本気度を疑っていたからです。
実際に政権を取れる見込みなんてないのに、口では「政権選択」と繰り返す、
その空々しさが疑念に疑念を呼び、希望の党の立ち位置を余計に分からなくしたんです。

逆に極右的保守勢力からすれば、民進党の合流自体は嫌悪するものだったでしょうし、
実際に日本のこころ出身の中山成彬氏はツィッター上で嫌悪感を吐露していました。
つまり、小池都知事は保守とリベラルの良い所取りをしようとして、
都知事と国政の良い所取りをしようとして、両方の支持を失ったということです。
そこに「本気度」はなく、「気軽さ」だけが目立った。
その軽薄さが「小池ファースト」だと批判され、集中砲火を浴びた原因でしょう。

その意味では、最も「本気度」が感じられたのは立憲民主党の枝野党首でした。
まさに背水の陣、後がないという状況での結党会見、
その「本気」が国民に伝わった(バリバリの極右の石原慎太郎氏にでさえ)からこそ、
大幅な議席を獲得できたのは間違いありません。

「本気さ」というといかにも精神論に聞こえますが、
やはり人間の判断材料に「感情」というものは付いて回るものです。
「本気さ」が国民に伝わったかどうか、選挙の明暗を分けた点はそこだったと思います。


◆ニュースネタ 田原総一朗の怒り
言いたいことはよく分かります(笑)
大体において「野党が酷過ぎる」って言う人は、「政治への関心が酷過ぎる」人です(苦笑)
「野党がだらしない」という言葉もよく聞きますが、「なんとなく」に過ぎないケースが多々。
要は与党がテレビに映る回数が多いから、与党が頑張ってるように見えるだけで、
地道な活動しかできない野党はテレビに映る回数が少ないために、「何もやってない」ように見える。

少なくとも、今の国会答弁を少しでも聞いたことがあれば、そんな感想は抱けないはずなんです。
おそらく、このテレビを見ていて、「田原総一朗って何なの?」と思った思いそのままを、
安倍総理を始めとする内閣の面々に感じるはずですから(苦笑)
暖簾に腕押し。一方通行で関係のない話をされちゃうんだから、何を頑張れば良いのでしょうか?
下着ドロとか、昔の武勇伝でもゆっくり聞いてあげれば良いんですかね?(笑)

あと、女子アナに対して、田原氏がニュースに質問返しするのは珍しくない話。
今の女性政治家の多くがアナウンサー出身なのは、
かつて女性の社会進出の象徴がアナウンサーであったためです。
同時にインテリの象徴でもあったことから、アナウンサー出身の政治家が多いわけです。
それに比べて、今の女性アナウンサーはどちらかと言えばアイドル寄り、
田原氏からすれば、そういう女性アナウンサーの風潮を心配しているのでしょう。
実際に、質問されてパッと答えられる女性アナウンサーの方が珍しくなりましたからねぇ…
当たり障りのない答えをしどろもどろにするアナウンサーの本当に多いこと…


◆政治ネタ 結論:野党再編私案
二大政党制は歪みが大きいので(自民党は政権権力の名の下に歴史的に結集している政党)、
多党制による専門政党連立政権の樹立を目指す目標で、野党再編案を述べると、
①共産党⇒労働党へ変化
②社民党⇒立憲民主党へ吸収合併
③無所属・生活・希望の一部⇒中道新党
④希望・維新⇒保守党
政策の違いによって、まず4つの野党へと分かれる。

そして、政党公約とは別に統一政策を作り、統一会派を作って自公政権と対決する。
統一政策を作る際は、絶対に譲れないライン(ex戦争は絶対しない)だけを各党が設け、
残りは振り分けた各専門政党の政策に基本的に従うとする。
各党の公約は「理想」として残すも、現実的な「政策実現」を目指すために妥協する。

小選挙区は「政権の枠組みを選ぶ選挙」と割り切って、統一候補を擁立する。
比例選挙は「政党を選ぶ選挙」と割り切って、国民に連立政権のリーダーを選んでもらう。
自公政権を倒し、真の寛容な改革保守政権を実現する。

…まぁ、現実には各党の歴史的対立や個人的感情、支持団体の軋轢もあったりと、
簡単にまとまる話ではないと思いますが、
今の選挙制度で勝つためには、野党が一致団結しなければなりません。
単純な選挙協力だけでは、政権交代時の軋轢が出てきてしまうというのが今回の教訓。

それでも、野党だけにこれだけ注目が集まった選挙は珍しく、
与党議員の顔よりも野党議員の顔の方が目立つ選挙だったのは間違いありません。
「野党が変われば、日本の政治が変わる」、その精神で頑張って欲しいですね。

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