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「失望の党」

自分が思っていた以上に、希望の党に対する失望が広がっている印象ですね…
一言で言えば、希望の党は「やりすぎ」ました。
小池東京都知事の中で、「安倍不人気<民進党不人気」と民意を考えていたのかもしれませんが、
安倍政権の支持者と民進党不人気の人はほぼ確実に=であるのに対し、
安倍政権の不支持者における民進党不人気層は圧倒的に少なかった可能性があります。

野党転落以降、いや民主党の政権交代以降、全く国民に届かなかった民進党の声が、
最後の最後で前原代表の「二大政党制を実現しよう」という声が国民に届いてしまったわけです。
ある意味、だらしない野党第一党の民進党を小池東京都知事が叩き直し、
安倍政権を倒してくれる、それを国民は期待したのだと思います。
ところが、土曜日の「三都物語」での政権交代に対する消極的な姿勢、
日曜日朝の「排除リスト」の衝撃、若狭氏のTV番組での「政権を取りに行くのは次の次」発言、
国民を高揚させた前原代表の「二大政党制の実現」とは程遠いトーンダウンに対し、
国民は期待を持って見つめていた分、失望が広がってしまったのだと思われます。

小池都知事とすれば、第二の民進党と言われないためにも「選別」は当然と考えましたが、
その「選別」をどのように、誰が行うのかが問題だったと思います。
それが本物かどうかは分からないにせよ、「排除リスト」のようなものが出回り、
「選別」前に結果が分かっている状況に、国民は自らの置かれている不条理に重ねてしまいました。
面接を行う前に、政治信条を理由に弾かれてしまった、そういう不条理さと重なってしまっただけでなく、
その「排除リスト」にはお題目としたリベラル系の排除以外にも、
消費税増税を決めた野田元総理や岡田氏、むしろ保守系の安住氏も排除していたりしていたため、
明らかにリベラルとは異なる「審査基準」に対して、結局は好き嫌いで選んでいるのではないか、
それは安倍政権の行っている「お友達優遇」「金持ち優遇」と何ら変わらないではないかという疑念を抱き、
ついには希望の党は政権を取りに行くつもりもないのではないか、と失望が広がったように思えます。

もし、仮に、即座に排除リストを否定し、「選別」ではなく「試験」だと柔らかい言い回しに変えて、
若狭氏が「政権を取りに行く」と明言していたら、希望の党に吹いていた風は止まらなかったと思います。
今日の一次公認リスト発表でどういうフォローがなされるのか。
逆に今朝の報道では10個の協定書を突き付けるなど、軟化の兆しは見えないだけに、
特に地方出身議員を中心に離反の流れは強まるかもしれません。

支持母体の連合がどういう方針を打ち出すかは分かりませんが、
既に静岡県では細野氏ら希望の党所属候補者の推薦を取り止めており、
民進党所属議員の応援に集中しそうな感じです。
おそらく、各連合支部に支援を任せるという形にせざるを得ないと思われるので、
東京・愛知といった大都市圏はともかく、
地方においては希望の党より無所属で出た方が得、という可能性は高まりそうです。


◆政治ネタ 迷走する「希望の党」翻弄される「民進党」(元記事そのまま)
今、何が起きているのかは、正確な情報がないので何とも言えませんが、
民進党の支持母体である連合の立場から考えると、予想はできます。

鍵を握るのは、9月26日に行われたという、
小池東京都知事と前原民進党代表、連合の神津会長の三者会談です。
おそらく、その場でも小池都知事は民進党全員の受け入れ自体は拒否し、
前原代表もリベラル派が切られることは仕方ないと腹を括ったものの、
連合として一番困るのは「誰を応援すればよいか」が分からなくなることなので、
入党できなかった民進党員にも推薦や選挙協力を行うこと、ないしは、
最低でも対立候補を擁立しないことを約束していたはずです。

しかし、実際には、土曜の夜に維新の会との不可侵協定が結ばれたことで、
大阪の民進党は完全に切り捨てられてしまい、
日曜の朝には希望の党の「一次公認リスト」なるものが出回り、
現職の民進党議員は1人も公認されていない47人の名前が挙がりました。
そこには枝野氏を始めとして、対立候補が多数立てられていて、
これに対して連合は「話が違う」と激怒に至ったと思われます。

さらに追い打ちをかけたのが、若狭議員のNHK『日曜討論』での発言で、
「政権を取りに行くのは次の次」とバカ正直な発言をしてしまい、
これによって民進党が掲げた「二大政党制の実現」という解党大義が失われてしまいました。
完全に疑心暗鬼に陥った民進党側は、公認を貰えずに推薦で終わるのではと疑い出し、
リベラル系議員以外も大混乱に陥り始めたように思われます。


希望の党と民進党の両党に共通するのは、上下のコミュニケーション不足。
民進党・前原代表は最初から「全員が公認を受けられるよう努力する」としており、
全員が希望の党に行けるとは一切明言していません。
当初からリベラル系議員が拒否されることは分かっていたものの、
民進党の埋没によって党全体が議席を失うことを考えれば、致し方なしと考え、
紛糾しないように、できるだけ言葉を濁して党大会で説明した印象はあります。

一方の希望の党でも、小池都知事と若狭議員の考え方が一致してない可能性があります。
選挙に勝つためなら多少の政策の違いには目を瞑るものの、
第二の民進党という有権者の誹りや、党内決定に従わない民進党の伝統は改めたかったので、
一定の試験を課した上で受け入れようと小池都知事は考えていたと思われますが、
若狭議員は民進党側に主導権を取られることを恐れ、
原理原則に従って民進党議員を次々と弾いてしまい、交渉がまとまらなくなったのでしょう。

そもそも、国政は若狭議員に任せると言っていた小池都知事が、
若狭議員らの新党の動きを「リセット」せざるを得なかったのも、
若狭議員と民進党離党組の意思疎通が図れなかったことが原因だと思われます。
小池都知事としては、そこで一度、若狭議員に「失格」の烙印を押しつつも、
都知事選以降の恩義もあるので、民進党合流の交渉役という名誉挽回のチャンスを与えましたが、
結局、それを若狭議員は生かせないどころか、TV番組で不用意な発言をしてしまったことで、
国民から見て希望の党が何を目指す政党なのかが分からなくなってしまい、
これまで吹いていた追い風が止み、逆風も感じ始めるなど、さらなる不興を買ったと言えましょう。

とにかく、若狭議員は小池都知事と異なって政治センスが全く感じられません。
当初は公明党の元代表にも対抗馬を立てるという話だったようですし、
流出した第一次公認予定者の名簿が公表を予定していたものと同一だとは限りませんが、
人数的には一致するだけに、意図的に民進党議員はハブにされたと思われても仕方ないです。
言わば、彼は「原理主義者」、まとまる話もまとまらないタイプで、交渉役には不向きです。

今後、民進党との連携協議がどうなるのか分かりません。
連合が希望の党の応援を止めて、枝野新党の方を支持することもあるでしょうし、
両方を応援する姿勢で、具体的には各連合支部に判断を任せることもあり得るでしょう。
その動き次第で希望の党に公認申請を求めている中道議員の動きも変わるわけで、
このままスンナリと終わらない感じはありますねぇ…

そもそも、小池劇場にしては具体的な「敵」の姿が見えてこないのが気がかり。
前原代表のように、「自民党政治」や「安倍政権」への対決姿勢をはっきりと表明しておらず。
「敵」が見えない小池劇場では支持は伸びません。

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