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衆議院解散、そして民進党は事実上の解党へ

久々に民進党(旧:民主党)のニュースで賑わったと思ったら…(苦笑)
個人的には、前原代表の大英断だったと思います。
既に国民から見放されて沈んだ民進党丸が自力で再浮上することはありえないわけで、
頼みの共産党との選挙協力も、北朝鮮情勢の悪化による国民の危機意識を考えれば、
今までのように政権批判票が共産党に流れる可能性も極めて低く、
希望の党の華々しい登場によって民進党が消滅してしまうのは時間の問題でした。
その前に「政権交代」という大義を掲げて、
民進党をできるだけ穏便な形で事実上の解党に進められたのは高く評価します。
与党の「しがらみ」も酷いものですが、野党の「しがらみ」も大きかったわけで、
「政党」という「容器」で判断せずに、中身で判断できたことは良かったと思います。

昨日の時点では民進党の両院議員総会が紛糾することが心配されましたが、
最大の支援組織である連合を既に取り込んでいたことで、
いわゆるリベラル派も強硬に反対できなくなった感じですね。
既に一部観測が上がっているように、自由党・小沢一郎氏の黒幕説は当たってる気がします。

今後の問題は、民進党所属議員と立候補予定者が、どれだけ希望の党に受け入れられるかでしょう。
希望の党が民進党を全員丸ごと受け入れてしまえば、やはり「第二の民進党」という批判は免れません。
既に民進党議員は国民の期待を一度裏切ってしまっているだけに、
いわゆる「禊(みそぎ)」を済ませなければ、国民としても希望の党に希望が持てなくなってしまいます。
民主党政権の失敗理由は何だったのか、
希望の党で何を実現したいのか、
希望の党の政策に理解を示せるかどうか、その3点を国民としても問いたい所です。

「このまま希望の党が受け入れてくれるから、小池人気で議員の座も安泰」と安易に考えているなら、
どんなに名前の通った議員であろうとも、容赦なく切って欲しいです。
現職であろうと元職であろうと新人であろうと、「民進党」という看板なしの一政治家の力量を見て欲しいです。
必要なのは名前ではなく「志」、それを判断できるのが小池氏だと期待しています。


◆政治ネタ 政治家にとって「変節」は許されるか否か?
民進党出身議員が希望の党に受け入れられるためには、
「憲法改正」「安保問題」「原発ゼロ」といった政策への同意が必要だと言われています。
憲法改正に関しては9条改憲等の範囲の問題はあるにせよ、
問題意識自体はあるでしょうし、最終的には国民が決める問題なので大きな枷にはなりません。
問題は「安保問題」でしょう。
民進党は安保法制に反対し、小池都知事は自民党にいて賛成した、その差異をどう埋めるか、です。

ただ、個人的な見解を言えば、政治家が「変節」することは許されると考えます。
むしろ、「変節」できなかったことが民主党政権の失敗だったとも言えます。
現代政治は多岐に渡るため、全ての政治問題に通じている人は少なく、
特定分野を勉強しているという政治家がほとんどです。
ですから、今の政治は政党ごとに政策が違うというよりは、
政策通とそれ以外の人々、といった党派を超えた「政策集団」が重要視されます。
党内の政策集団がいかに党内意見を集約できるか、そこがポイントなわけです。
民主党が失敗したのは、党内意見を集約した後にも、反対意見が出て遅々として進まなかったことです。
一度決まったら党の方針に従う、そういう政治家一人一人の「変節」が足りませんでした。
自分の不勉強・不見識を恥じることはありません。
間違っていたと思えば、それを認めて意見を採用すること、それが政治家に求められる資質です。

特に「安保問題」に関して言えば、世界情勢の影響を受けることが多々です。
今は北朝鮮問題の緊迫化によって、現実的な安保対応が必要とされています。
自分もどちらかと言えばリベラル派の考え方に近いのですが、
それが通用するのは、いわゆる「普通の国」相手の話、
国際法を遵守するという前提条件を守れる相手の話です。
自由には前提となる「約束」が必要不可欠で、それがないのは「自由」ではなく「無法」です。
ですから、リベラル的な考え方は歴史的にも新しいもので、憲法や法律といった「約束」が前提です。
それを守らない相手、北朝鮮に対しては、リベラル派の主張を通すことは不可能です。
リベラル派が主張していた、「アメリカの戦争に巻き込まれる恐れ」ではなく、
「日本が仕掛けられた戦争にアメリカが巻き込まれる可能性」の方が強くなっている状況では、
安保法制時に行っていた当時の批判は、現在とで前提そのものが異なっていると言えます。

それよりも「安保問題」で国民が心配しているのは、過剰防衛に走らないかどうか、です。
抑止力が必要だからと核武装を推進したりするのは、明らかに行き過ぎです。
安倍政権は強硬的な政策を進めたことで、権力の暴走に対する危惧が常に付きまといました。
暴走しない節度のある現実的な安全保障、それが国民の求めるものであり、
リベラル派でも着地しうる結論のように思えます。
今の政治情勢ではリベラル派の主張を叶えるのは無理ですが、時が変わればリベラル派の主張も必要です。
結局は政策のバランスが問題なのであって、どちらかの極振りではないのです。
そういう意味でも民進党のリベラル派も「変節」することを恐れずに、
国民にとって今必要とされる対応は何なのか、それを第一に考えてもらいたいです。

「変節」と言えば、小池都知事自身も原発政策に関しては賛成⇒ゼロ⇒将来的ゼロと定まってないわけで…
そちらの説明も選挙戦を通じて明確にしていくことが必要になってくると思われます。

…と長々と語りつつも、希望の党の受け入れ判断はもっと現実的な要請だと思われます。
主義主張よりも、選挙区調整がし易いか否か、そちらの方が重要な問題と捉えられるでしょうね。
選挙まであまりに時間がなく、実際に公認申請者と面談する時間もそうは取れないでしょうし…
これは全て国民に対する「禊」、そういうパフォーマンスだと思った方が分かりやすい気がします。

◆政治ネタ 「希望の党」の課題
無事に民進党・自由党の合流・禊が終えられると仮定した上で問題となるのが、
選挙後の総理候補を誰にするかでしょう。
今日の会見でも小池都知事の衆議院選への出馬は否定されましたが、
最終的には小池氏が立たなければ、政権選択選挙として成り立たないように思えます。
とはいえ、山積みの都政の問題をどうするのかという問題もあり、難しいところではあります。
他に総理候補と言われるような議員を引っ張ってくる自信があるのかどうか。
そうなってくると、人材は数えるほどしかいませんが…自民党を切り崩すにはもう遅いようにも思えますが…
最終的に候補者を引っ張ってくることができなければ、小池氏が自ら立たざるを得ないように思えます。
都知事を1年足らずで辞めるのは問題がありますが、政治状況がそれだけ変わったことを主張し、
都知事として改革を進めようにも国政の影響は否定できなかったことを説明した上で、
後継者がしっかりとした人物であるのならば、それほど大きな反対は起こらないようにも思えます。
まぁ、こればかりは予測が難しいですけどね。
パフォーマンス上手な小池氏なら乗り切れちゃうのではないかとも思えます。

あとは都知事選以降の盟友であった若狭議員と自由党から合流を目指す黒幕・小沢一郎氏の処遇ですね。
小沢氏は民主党出身議員のアレルギーも予想されますが、
結果的に小沢氏を追い出したことが民主党の「決められない政治」の始まりだったとも言えるわけで、
そこを民主党出身議員が真摯に反映できるかどうかですが、
小沢氏があまり目立ち過ぎるようでは、「政党クラッシャー」の異名を持つだけに、先行きに不安が残ります。
ただ、強烈に改革を進めていくには必要な人材だとは思います。
個人的には選挙協力程度に止めると思ってましたが、黒幕が懐に飛び込んできましたね。どうなりますか。

それと若狭議員の処遇も問題です。
当初は国政に関しては若狭議員に任せる気持ちもあった小池都知事でしたが、
細野氏を始めとする民進党出身者との折り合いが悪く、新党構想が進まなかったという事情もあったようです。
こう言っては何ですが、政治経験が浅く、また政治センスもない若狭議員が、
党首顔で振る舞うことは当初から無理がありましたし、それは今後も同じことです。
ある意味、「希望の党」設立によるリセットで、若狭議員も一度「失格」の烙印を押されたはずなのですが、
未だに我が物顔でマスコミ対応をしているのは、今後の火種になりうると見ています。
再度、小池都知事に「失格」の烙印を押されるような事態を招いてしまうのか、
その前に自ら身を引いて裏方に回るのか、そこも希望の党の今後を占う要素だと思っています。
小池都知事に付いていけば、党三役など自動的に役職も貰えるように思っているのなら、
それは大きな勘違いであることは間違いありません。

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