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2015年埼玉西武ライオンズ総括(3)

今日は野手陣全般に関する課題です。

秋山選手のシーズン最多安打記録更新や2年目の森友哉選手の活躍など、
打線は全体的に明るい話題が多かった一方、
メヒア選手の不調や若手の伸び悩みもあって、上位・下位が完全に分断されたことで、
得点力は思ったほど上がらず、
好投手を打つことができずに、上位球団に大きく負け越す原因となってしまいました。
主力・控えの差は投手陣以上に大きく、選手層の底上げが課題になっています。


◆打線の誤算1 メヒア選手の処遇
打線の最大の誤算は昨年の本塁打王・メヒア選手の不調でしょう。
開幕から不調が続き、交流戦の時期にはスタメン落ちの試合も出てきて、
6・7月も一進一退といった形が続くも、8月後半辺りからようやく本領発揮、
最終的には27本塁打89打点と一定の成績を残したものの、
打率は.235に終わるなど、低迷が長引いてしまいました。

幾つか不調の要因はあると思うのですが、
当初理由とされたオフの「太りすぎ」は根本的原因ではなかったように思えます。
実際、キャンプ終盤には大分絞れていましたし、それ自体が影響したというよりは、
それを含めてのメヒア選手の管理体制に一番の問題があったように思えます。
今季の不調の要因は既に昨年終盤にも現れており、
チームの成績が低迷する中、ホームラン王争いが掛かっているということで、
一発狙いの外角振り回しの打撃を黙認してしまったことで、
一発は出ても率が残らないという状況を今年にも引きずってしまった感があります。
シーズン終了後や今年のキャンプ・オープン戦でその打撃を改めることができず、
開幕すると外角に広がったストライクゾーンもあって、さらに症状が悪化、
メヒア選手本来の広角に打つ打撃が戻るのに大きく時間を要してしまいました。

また、それならそれで早期に2軍調整させて修正することもできたはずですが、
契約の関係なのか2軍調整させることはなく、打順変更やスタメン落ちなど、
徹底した対応は取られることがなく、処遇が曖昧な時期がありました。
一時期はこのまま戦力外にしてしまうのではないか、そう危惧するほどでした。
もう少し早めに特効薬を打っていたのなら、復調も早まったように思えます。
メヒア選手への対応を誤ったことが、打線再生の機会を奪った最大の要因でしょう。


◆打線の誤算2 浅村選手の不調と森友哉選手の疲れ
開幕の時点から今年のライオンズの打線を動かす推進力は、
3番に座る浅村選手と、6番の森友哉選手と見ていましたが、
オールスターを挟んで2人の打撃は急失速、
2人の打順がコロコロ変わる異常事態になったことで、
打線の繋がりが完全に絶たれてしまいました。

浅村選手の不調の原因は夏の練習不足だったように思われます。
今年はキャンプから守備中心のメニューを組んで下半身を鍛えていたものの、
シーズン中盤は疲れから練習を抑え気味にすることが多くなり、
結果的に好調を支えた春の貯金を使い果たしてしまった形となりました。
一方の森友哉選手も年間通しての1軍出場は初めてということで、
さすがに後半戦は疲れを見せてしまいました。

2人とも9月には持ち直しただけに、来季以降の不安はありませんが、
チームとしては2人の不調が非常に痛かったのは間違いありません。


◆打線の誤算3 若手の伸び悩み~欠ける機動力~
ショートのポジションを金子侑司選手と永江選手、外崎選手、
ライトのポジションを木村選手と斉藤選手ら、
他にも岡田選手や山川選手など、レギュラー取りを期待された若手がいましたが、
最終的にショートはベテランの渡辺直人選手、
ライトは内野が本職の脇谷選手が守るなど、ベテラン選手に負ける結果となりました。

渡辺直人選手や脇谷選手の経験や技術は必要不可欠で、
1軍戦力として必要なのは間違いないのですが、
だからといって、彼らにスピードや勢いといったものは求められませんし、
やはりスピードのある若手選手の台頭は必要です。

現に今年のチーム盗塁数はリーグ最低の66。
一番多くて秋山選手の17です。これでは話になりません。
11盗塁の金子侑選手や9盗塁の外崎選手、
4盗塁の斉藤選手や1盗塁に終わった木村選手など、
スピードのある選手がレギュラー取りに絡んでこなければ、
来年の打線も「打つだけ」となってしまい、攻撃の多彩さを欠くことになってしまいます。

現状ではそこがソフトバンクと日ハムとの差になっており、
スピードのある若手の台頭がそのまま打線の質の向上に繋がると思われます。


◆打線の来季に向けての課題~機動力野球の復活~
待望のヒットメーカー秋山選手の誕生に、
中村剛也・メヒア選手といった長距離砲の存在、
本来なら、それだけで独走してもおかしくない戦力にも関わらず、
それができないのは繋ぎの打者、スピードのある打者が欠けているからです。
若手の成長によって、どれだけ機動力を上げられるか、そこがポイントですね。

(捕手)炭谷・岡田(森友哉)
(内野)メヒア・浅村・中村剛也・渡辺直人・脇谷(金子侑司・外崎・永江・山川)
(外野)秋山・栗山・大崎・熊代(木村・斉藤)
1(中)秋山、2(遊)金子侑・外崎、3(二)浅村、4(一)中村剛也、5(三)森友哉、
6(指)メヒア、7(左)栗山、8(捕)炭谷、9(右)斉藤・木村

最大の問題は森友哉選手をどのポジションで使うか、ですよね…
捕手を早々に諦める必要はないと思いますが、サブポジション1つは固定して欲しい所。
ライトで固定するのか、サードに挑戦させるのか、
今後の補強戦略次第だとは思いますが、DH固定はもう避けた方が良いでしょう。

補強ポイントはスピードのある外野手。
ドラフトでは関東一高のオコエ選手ら俊足巧打の選手がいるので、
今年の場合は投手よりも野手を優先した方が良いのではないかと思われます。
ドラフト補強が失敗した場合は、オリックス退団のヘルマン選手を再度呼ぶのも一手。
ドラフトで補強できた場合は森友哉選手をサードへ、
ヘルマン選手の再獲得の場合は森友哉選手をライトへ回す形になるでしょうね。

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