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日本シリーズは虎vs鷹

プロ野球クライマックスシリーズが終わり、
セリーグはシーズン2位の阪神が4連勝で読売を下して、
パリーグはソフトバンクが3勝3敗+1で3位日ハムを下して、シリーズへ駒を進めました。
セリーグに関しては阪神の勢いが勝ったというか、読売の先発投手陣が酷過ぎた感が…
パリーグに関しては一進一退の攻防で見所も多かったように思えます。
日ハムもシーズン3位ではあったものの、後半は若手を積極的に起用し、
大谷投手だけではなく、上沢投手や白村投手、西川選手や中島選手ら、
若い力がクライマックスシリーズでも躍動し、互角以上の戦いを見せてくれました。
パリーグの実力伯仲を感じさせる熱い戦いでしたね。
他のパリーグ4球団も負けてられないと気が引き締まったのではないでしょうか。


明日はプロ野球ドラフト会議。
今年は「不作」と呼ばれていますが、故障者や不調な選手が多いだけに、
リスクを背負ってでも能力を買うか、リスクを回避して確実に指名するか、
そこが一つの注目点でしょうね。

ライオンズは前橋育英の高橋光成投手を1位指名すると公言、
まぁ、予想通りなので特に驚きはないです。
1位重複抽選を嫌って降りてくる球団をけん制するために、
敢えて1位指名を公言したのでしょうが、それが吉と出るか凶と出るか…

◆ライオンズネタ 2014年のライオンズを振り返る
スタートダッシュに躓き、5月の交流戦中に伊原監督が辞任、
田辺監督代行が就任して6・7月は盛り返すものの、8月に再度失速、
結局、一度も優勝争いはおろか、Aクラス争いにも絡めず、
なんとか最下位を免れての5位という散々な成績のシーズンになってしまいました。
私自身、更新する気力が萎えて、野球日記は停滞することに…
一応、試合チェックはしていたので、2014年のライオンズの感想をまとめます。


①フロントの失態 ~伊原監督就任+投手コーチ招聘失敗=補強怠慢~
2014年勝てなかった最大の理由は「チーム編成の失敗」でしょう。
伊原監督の采配を論じる前に、そもそも何で伊原監督を呼んだのか、そこが問題です。
私は就任当初から「時期尚早」として反対してきました。
今のチームは伊原前政権の2002年当時のような戦力の充実したチームではなく、
(当時2軍に中島・中村剛也・栗山選手が居ただけでも戦力の厚みが分かるでしょう)
浅村・秋山選手ら新たな若手を育てていけない時期でしたから、
用兵・作戦面重視の伊原監督を連れてくる意味が分かりませんでした。

察するに、フロントは伊原監督の「現有戦力の底上げで勝てる」という姿勢、
つまりは、「補強しなくても勝てる」という点を重視したように思われます。
当然そんな旨い話などあるわけなく、戦力がなかったから負けた、それに尽きます。
近年は2軍の人材さえも完全に食い尽くしていた状態で、
主力の故障者が出る度に負けが込んでしまい、あと一歩で勝てない選手層の薄さ…
戦力補強を怠った漬けが今年になって表面化したように思えます。


もう一つは伊原監督の采配の失敗にも繋がる「投手コーチ招聘の失敗」ですね。
一説では当初、OBの森繁和氏を招聘しようとしていたようですが、
中日で落合勢力が復権し、谷繁監督を支えるヘッドコーチとして迎えられたため、招聘失敗。
その代わりに呼んだのが清川コーチとは… 正直、落差ありすぎたかと…
仮に有力な投手コーチであれば、伊原監督も投手コーチに継投等を一任したでしょうが、
実際は伊原監督が先に口を挟んだのか、投手コーチが無能だったのか定かではありませんが、
伊原監督と清川コーチの関係は決して良かったとは言えず、
辞任前にフロントに投手コーチの交代を願い出て、チーフとブルペンを入れ替えるなど、
投手のやり繰りを巡って監督とコーチが対立していた面はあるかと思います。
田辺監督代行に代わってからも、投手陣が劇的に良くなったわけでもありませんし、
結果的に言えば、投手コーチの能力に問題があったようにも思えますね…


戦力補強も決して上手くいったとは言えず、
涌井投手と片岡選手がFAで流出したにも関わらず、相変わらずの補強ノータッチ。
唯一の望みであった外国人補強も、ヘルマン選手を切って獲得したランサム選手が大外れ、
レイノルズ投手は中盤に多少先発で活躍したもののやはり期待外れ、
ボウデン投手も不安定で勝ちゲームで使えるような投手ではありませんでした。
シーズン途中で獲得したメヒア選手が大活躍したのが唯一の救いで、
ドラフトで獲得した森・山川・岡田選手らも活躍して選手層は多少厚みを帯びたものの、
年々劣化する選手層の薄さに歯止めがかかっただけに過ぎず、補強の必要性は依然高いです。
ドラフトで選手を獲得する以上に、選手がFAで出て行ってしまうわけですから、
そこに歯止めをかけない限りは、厚い選手層を復活できるとは思えません。
「FA選手は基本無視」の方針を撤回し、補強すべき所は的確に補強して欲しいです。

②伊原監督の失態~開幕スタメン構想と時短練習による競争意識低下~
伊原監督は西武恒例の正月のトークショーにおいて開幕スタメン構想を発表しました。
 1(左)栗山、2(右)?、3(二)浅村、4(一)中村、
 5(指)坂田、6(三)ランサム、7(中)秋山、8(捕)炭谷、9(遊)金子侑
別に坂田選手以外は抜擢というわけでもなく、想定の範囲内のオーダーでしたが、
この発表から漏れた選手達はどう感じたのでしょうか?
見返してやると発奮したのか、それとも構想外として諦めたのか…

これに追い討ちをかけたのが、キャンプでの時短練習と実践練習の少なさで、
練習をしなければいけない若手の多い今のライオンズに対して、
ベテランが多かった黄金時代の時短練習を持ってきてもマッチしませんよ…
さらに紅白戦や練習試合といった実戦も少なく、
開幕スタメン構想外の選手が巻き返しアピールを狙ったとしても、その場さえない始末。
これでは競争意識が高まるわけがありません。

それを象徴するように、オープン戦は打撃不振が続き散々な結果に…
唯一明言しなかったライトのポジション争いのみが盛況だったのは大きな皮肉です。
また、オープン戦序盤にキャプテンの栗山選手が試合出場を志願し、それを認めたため、
伊原監督の「序盤は若手、後半の関東のオープン戦から主力合流」プランは崩れ、
監督と選手の間の調整に対する溝を感じさせる出来事もありました。
開幕しても打撃不振が続いたことを考えれば、
構想からキャンプ・オープン戦の一連の流れは失敗だったと言わざるを得ません。


投手陣において大きな失敗となったのは、二転三転した十亀投手の起用法です。
シーズン前から十亀投手の中継ぎ転向プランを掲げていましたが、
個人的にはこのプランに対しても違和感を感じていました。
ベテランの西口投手もリリーフに転向となり、
伊原監督の当初プランは岸・牧田・菊池雄星・野上・レイノルズ・岡本洋介投手、
全員上手く行けば、確かに先発投手は余るわけですが、
それ以外のメンバーの名前はなかなか出てこなかっただけに、
先発が足りなくなったらどうするのと不安視していました。
それに加え、昨年成功した十亀投手の投球スタイルが、
威力のあるストレートとカーブの緩急であったため、
リリーフでカーブを投げ切れるのかという不安も感じていました。

開幕してみると、その危惧は当たってしまい、
抑え候補のボウデン投手も期待外れだったことで、十亀投手が抑え起用され、
カーブを控えて結果が出なかったこともあり、
カーブを投げ出して成功するなど一定の変化もありましたが、
投球に劇的な変化は見られず、5月になると抑え失敗が続いて配置転換…
監督自らのプランをあっさりと反故にしてしまい、求心力を大きく低下させました。
加えて、調整期間も設けずに先発転向したため、転向当初こそ結果を残したものの、
7月になると股関節痛を訴えて離脱、結局、そのままシーズンを終えてしまいました。
本来なら、1年間ローテを守れる先発完投型投手、それを欠いたのは大きな痛手でした。
先発陣もレイノルズ投手と岡本洋介投手が大コケ、
先発投手が足りずに苦労したことは記憶に残っていることでしょう。


結局、投手・野手の両面において、伊原監督の主要プランは上手く行きませんでした。
いずれも戦力の厚みがあればこその用兵で、今のチームにそれは合致してませんでした。
競争意識を煽ることができないまま開幕を迎えてしまった上に、
真面目な秋山選手を言葉的に追い込む逆効果策で不調を長引かせてしまい、
また、全く使えなかった外国人選手を何度も使おうとして見切りが遅れてしまったりと、
細かな点も挙げれば、失敗のオンパレード…
やはり、それらは「戦力の見誤り」が主要原因だったように思えます。
伊原監督の起用で唯一当たったのは、ライトの競争作戦で、
木村選手と斉藤選手のシーズン中の活躍は、調子の上がらないチーム唯一の清涼剤でした…

③田辺監督代行の失態~緊急就任によるシーズン戦略性の欠如~
交流戦中盤に田辺コーチが監督代行に就任し、
それまで曖昧だった起用法を固定化させることで、チームを浮上に繋げました。
抑えは十亀投手が外されて以降、日替わりだったものの、左の高橋投手に固定し、
増田投手を8回のセットアッパーに回したことで、
勝ちパターンがようやく定まり、安定して戦えるようになりました。
打線でも2番に渡辺直人選手を固定し、1番秋山選手や9番金子侑選手の活躍、
途中加入のメヒア選手の活躍もあって、7月までは借金完済ペースで推移し、
監督交代効果は大きかったように思えます。
しかし、中村剛也選手と十亀投手を始めとして、怪我人が続出したこともあり、
8月に入ってからチームは大きく失速、最下位争いの5位に沈む結果となりました。

田辺監督代行の采配はオーソドックスでしたが、急遽監督に就任したこともあり、
シーズンを戦う上での戦略性がまるで見えてきませんでした。
まず、野手出身の監督らしく、続投させて後悔するよりも代えて後悔というスタンスで、
早めの継投を心がけていたようですが、あまりにも度が過ぎました。
好投していた先発投手を苦手とする左打者を迎えるからとスパッと交代させたり、
「もう代えるの?」という早すぎる継投がチームを蝕んだように思えます。
リリーフの軸である増田投手とウィリアムス投手は登板過多で一時離脱しましたし、
リリーフの登板過多の弊害でエース岸投手の長いイニングへの期待は膨らんでしまい、
肩の不安から何度か先発ローテを飛ばすことがありました。
登板するリリーフもなかなか結果が伴わないことが多く、
7・8月は先発好投するも、リリーフを投入して同点・逆転負けを喰らうシーンが多く、
早めの継投があまり実を結ばなかった印象が強いです。
ただ、若手を積極的に使ったこともあり、終盤は武隈投手と岩尾投手が安定、
リリーフ陣もある程度整備できたことは収穫ですが、チーム成績の犠牲も大きかったです…


野手に関して言えば、就任当初はオーダーを固定して戦っていましたが、
DHが使える試合でも中村剛也選手をサードで使ったり、
腰に不安のある渡辺直人選手をショートで使い続けたりと、
長いシーズンを考えた時に疑問符が付く起用法が多かったです。
結果、本来ならばオーダーを固定して戦わなければならない終盤の戦いにおいても、
故障者の関係もあって、オーダーは日替わりを強いられ、
打線の流れが定まらなかったことが得点力低下の最大の要因だったと思います。
怪我から復帰した浅村選手の起用法にしても、復帰当初は仕方ないにせよ、
役割を与えた方が結果を残す打者に対して6番起用を続けて調子が上がらず、
1番や3番に起用したのが8月後半から9月、あまりにも遅すぎました。
ルーキーの森友哉選手の抜擢したことは良かったものの、
それならば捕手としてだけでなく、ライトを守らせてみても面白かったと思います。
シーズン終盤には金子侑選手をライトで使ったりしていたわけですし、
早い段階から準備しておけば、森選手のライト起用も可能だった気がします。
捕手起用にしても、まだ3位の可能性が残る試合でも炭谷選手を外したて、
森選手や岡田選手を使ってみたりと、打てないならまだしも、
打撃で結果を残した翌日の試合でもスタメン落ちするなど、納得し難い起用もありました。
3位を狙いに行くのか、育成と割り切るのか、その方針が明確にならないまま、
シーズン終盤を迎えてしまい、中途半端な形に終わった印象を受けます。

シーズン終盤において、チームシーズン最多三振記録の更新が話題となり、
田辺監督代行が選手を批判するような発言が見受けられましたが、
その責任は選手にあるというよりも、首脳陣にあるように思えます。
三振する理由として考えられるのは、
 (1)ボール球に手を出す (2)初球から振れない (3)打席での集中力を欠く
だと思われますが、このうちの(2)(3)はチームの方針によるところが大きいです。
まず、シーズン序盤の伊原監督の下で、打撃を大きく制限したことにより、
調整不足もあいまって各打者の積極性が失われてたことで、三振が増えてしまいました。
逆に、田辺監督代行の下では自由に打たせることで、積極性が戻ったものの、
リリーフ投手陣の整備が遅れたことで思うように勝ち星が伸びず、
優勝争いからも3位争いからも転落したことで、打席での集中力が落ちました。
シーズン終盤は育成重視とも取れる起用法にシフトし、
各打者の打撃目標がさらにボヤけたものになってしまったように思えます。
そういった中で三振が増えてしまうのは致し方なく、
育成重視と割り切ったのなら、最多三振記録は全く気にすることなかったと思いますし、
逆に勝利重視でいたのなら、もっとチーム打撃を徹底させるべきでした。
とりわけメヒア選手はホームランの数が伸びるたびに、打撃内容が粗っぽくなり、
当初は見極めていた外角のボール球にも簡単に手を出す始末、
「タイトルがかかっているから」を免罪符としてお咎めなしでは他の選手へ示しが付きません。
中村剛也選手やメヒア選手がチーム打撃をするからこそ、
他の選手はよりチーム打撃を徹底せねばという気持ちが生まれるわけで、
例外扱いして雑な打撃を認めているようでは、チーム打撃など徹底できるわけもありません。


急遽、監督代行に就任したこともあって、
長いシーズンの戦い方、そしてチームとしてどう戦うのか、
それが曖昧なままにシーズンが終わってしまったことは無理からぬことではありますが、
正式に監督に就任した以上は、それらを疎かにして勝利を得ることはできないだけに、
いかにして田辺監督の野球の色を出していくか、
田辺監督の野球を選手やファンに理解させるか、がライオンズ復活の最大のポイントでしょう。


戦力面に関しては明日のドラフトが終わって以降に~

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