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西武・CS敗退、そして渡辺監督辞任

パリーグのクライマックスシリーズは、ライオンズがロッテに1勝2敗で破れ、
逆転2位の勢いを繋げずに、早々と敗退が決定してしまいました。

敗因は難しいですが、第一にキャッチャーの差、
第二に2戦目に岡本洋介投手を完封させた渡辺監督の親心でしょうか。
今や炭谷選手は不動の正捕手に育ったものの、
まだ中日・谷繁選手や巨人・阿部選手のように存在感を示すまでには至らず、
チームの中心は片岡・栗山・中村選手らで、まだその影響力は大きくありません。
今年は送球難が影響して盗塁阻止率が低かったですし、
守備でもっと炭谷選手が存在感を示さないと、短期決戦では勝てないように思えます。

あとは2戦目にリリーフの調整の機会を逸したことでしょう。
ウィリアムス投手は故障明けでどれだけ投げられるか未知数だったことが、
3戦目に投入のタイミングが遅れた最大の理由でしょうし、
涌井投手の登板感覚も空いていたこともあり、調整のタイミングを作れませんでした。
勝負に徹するのなら、2戦目はウィリアムス-涌井投手と繋ぐべきだったのですが、
そこは渡辺監督が先発投手に優しい故に、完投・完封を優先したのでしょう。
考えてみますと、その甘さ・優しさが渡辺監督の長所でもあって、
逆に勝負所で勝ちを逃して、目前で優勝を逃した甘さだったのかもしれません。


そんなCS敗退でシーズンを終えた翌日の今日、渡辺監督の辞任が決まりました。
本人も語ったように、5年連続V逸とあっては責任を取らざるを得ないわけですが、
今年に関して言えば、戦力補強を失敗した影響が非常に大きく、
中村選手の長期離脱と中島選手のメジャー移籍が分かっていたにも関わらず、
連れてきた外国人選手はスピリー選手、途中入団のカーター選手で、
オーティズ選手を含めて戦力にならず、3人とも解雇では勝てるわけないです。
そんなわけで、フロントのバックアップが不十分だったこともあるものの、、
長期政権になっていたこともあって、ここらが潮時と判断したのかもしれません。

渡辺監督の評価ですが、ライオンズを立て直した名監督と言っていいと思います。
黄金時代の終焉以降、最初に東尾監督が就任して積極的に若返りを進め、
選手の高齢化とFAによる選手流出に悩んでいたパリーグの中で、
若手を試合で使いながら育てる新しいモデルを構築して連覇を果たしたものの、
慢性的な得点力不足に悩まされ、徐々に大砲志向が露骨になってしまい、
鈴木健・高木大成といった中距離打者を生かせなくなり、
松坂投手というスターが入団したことで、個人志向が強くなっていきました。
次いで就任した伊原監督は、松井稼頭央選手らが円熟期を迎えつつある時期で、
3番に犬伏・宮路選手という苦労人を置くことで、緩んだチームを引き締め直し、
勝てるチームで勝てる野球をして優勝したものの、伊東監督が既定路線で勇退。
伊東監督は松坂投手が円熟期を迎え、中島選手という新たなスターも生まれたことで、
シーズン2位から日本一となったものの、親会社の経営問題によって緊縮路線となり、
満足な補強がない中では思うような成績を残せず、
それを選手の責任に転化してしまったことで、若い選手の心が離れて内部崩壊。
そんな中で渡辺監督は就任したわけで、親会社の経営再建と共に、
「埼玉」西武ライオンズとして新たな球団再建を託された監督でした。

結果としては優勝は初年度の1回のみで、5年連続V逸に終わってしまったものの、
この間に、豊田投手と和田選手、細川選手に帆足投手、中島選手と、
毎年のようにFAで主力選手が流出しながらも、若手を試合の中で育て上げ、
かつ、混戦パリーグの中で優勝争いを繰り広げるなど、
育成と勝利の両立を図ることができた名監督でした。
また、発信力にも優れ、マスコミへのリップサービスは勿論、
常にファンを大事にする姿勢を貫いたことで、観客動員数も飛躍的に回復、
球団再建に大きな尽力を果たしてくれました。
黄金時代以降のライオンズの中では、球団を再建した大恩人と言えましょう。

そんな名監督に相応しい渡辺監督でしたが、唯一課題だったのが継投でしょうね。
先発完投投手を理想とする余りに、
継投のタイミングや1年を通した投手のやり繰りに不得手な面がありました。
同じ投手出身の監督でも、そこは東尾監督とは大きく異なり、
指揮官として少し優しすぎた印象もあります。
当初は「寛容力」でチームをまとめたものの、成熟するに連れて厳しさも必要で、
それを発揮してくれるヘッド格がいなかったことが、V逸の原因でしょう。

いずれにせよ、ライオンズを再建してくれた恩人であることは間違いなく、
今はゆっくりと静養し、いずれ監督としての再登板を果たしてもらいたいです。


後任監督に関しては、基本的に渡辺監督の路線を継承してくれる人物、
時期尚早の感はあるものの、潮崎2軍監督の昇格を推します。
片岡・栗山・中村選手が円熟期に入り、浅村・秋山選手ら若手が花咲く中では、
改革・刷新よりは継承・発展をすべき、と私は考えます。

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