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消費税増税を考える

10月1日に安倍政権が来年春から消費税を8%に上げることを正式発表しました。
世間的には「仕方ないな」と済まされがちですが、本当にそうでしょうか?
今回はあからさま過ぎたので、「大企業優遇では?」とマスコミも気付きましたが、
根本的に民主党・野田政権と自民党・安倍政権では増税に関する考え方が真逆です。
野田政権で決まったから、今回も「仕方ない」では済まされない問題があります。

まず、最初に民主党の野田政権の消費税増税の論理を一言で現せば、
「景気回復のために消費税を増税する」という考え方です。
一見すると、矛盾しているように思えますが、
民主党の基本的なスタンスとして、社会に問題があると考えますので、
長引くデフレの原因は「年金・医療・福祉・労働環境といった社会不安」と考えました。
国民が漠然とした将来不安を抱えているから、安心してお金を使うことができない、
自己防衛のための消費者選択の末がデフレだったと考えたわけです。
そこで深刻化していた日本の財政問題にメスを入れる必要があり、
日本は将来的にも大丈夫と示すことが増税による財政健全化策なのです。
つまり、日本社会に潜む病巣そのものを取り除くための「増税」でした。

一方、自民党・安倍政権の消費税増税の論理を一言で現せば、
「お金を使うために消費税を増税する」という考え方です。
先日は東京電力の柏崎原発再稼動申請を「自転車操業」と称しましたが、
一番「自転車操業」が得意なのは自民党であることは間違いなく、
過去にも60年償還ルールによる建設国債の乱発、
公共事業中心の一時的な経済活性化策による財政悪化など、全て「自転車操業」です。
今回の消費税増税もそれと同じで、景気回復のための財源が欲しい、
それが消費税増税に繋がっていることは否定できない面があります。
そもそも、自民党がデフレの原因が何にあると考えているのか判然とせず、
おそらく「国民の気のせいである=デフレマインド」と考えている節があります。
ですから、国民一人一人の地道な節約とたまにのプチ贅沢の努力を完全無視し、
数字上で景気が回復しているから、増税できるね、と簡単に判断しちゃうわけです。
ある種の軽さ、病気の原因分からないけど、
とりあえず手術してお金集めよう的な嫌らしさを禁じ得ません。

報道では過去に橋本政権の5%増税が再度の不景気を招いたと紹介されがちですが、
逆の見方をすれば、橋本政権の5%増税による財政健全化策を、
その後の小渕政権と森政権が国債大量発行の公共事業投資で無駄遣いし、
財政健全化の道筋ができるどころか、財政破綻の懸念が出るまで追い込んだとも言えます。
また、消費税が導入された3%の時も、相次ぐ反対に遭ったために、
大幅な減税措置とセットにされたため、この時も財政健全化には繋がりませんでした。
今回もまた同じ過ちを繰り返すのは間違いなく、トウキョウ五輪でそれに拍車をかけ、
日本の財政が本格的に破綻するのも時間の問題になったと言えると思います。
貧富の格差も拡大し、トルコやブラジルでの暴動が日本で起きるようになっても、
何ら不思議なことではありません。

増税に伴う減税措置も国民には納得のいかないものばかりでしょう。
復興法人税の前倒しの廃止は意味が分かりません。
政治家や霞ヶ関の官僚以外は、余っているなら復興をスピーディにやれよ、と思っています。
10年の間にどれだけの人間が故郷の復興を見ずに亡くなっていくのか。
それを考えずにして、余りそうだから戻すね、では困るわけです。
何のために復興増税したのか、自民党政権は勘違いしていると言わざるを得ません。
賃金アップの企業に支援金という制度にしても、
健常者に歩いたらお金をくれると言っているようなものです。
企業が儲かっているなら、社会に還元するのは当たり前で、
身内の社員の生活を支えずして何のための企業活動なのか、当たり前のことに金出すって?
それよりは労働環境を改善すべく、労働基準監督官の増員や監視強化に割くべきで、
自由の名の元に好き放題やらせていて良い話ではありません。
前にも書きましたが、自民党が見ているのは「人間」ではありません。一人の人間なんて見ない。
自民党が見ているのは「物を言う集団」です。経済で言えば経団連しか見てません。


では、消費税増税問題をどうすればいいのか、根本的な制度改革が必要です。
結局、自民党や公明党が考えている「逆進性」対策は単なる「バラマキ」で、
消費税の負担が大きくなる家計を本当の意味で支えられるかは疑問です。
制度的にも最終消費する人間が損をする制度なので、
生産性のない子どもや年金生活者の負担が最も大きくなり、
労働者でも中小企業のサラリーマンは負担が大きく、個人事業主や農家、大企業という順に。
そもそも、消費税で問題なのは、負担しているのは消費者なのに、
支払っているのは事業者であることに問題があるわけで、
そこが「軽減税率」が導入できなかったり、
小規模小売店では消費税を免れる「益税問題」に繋がってくるんですよ。
上げる・上げないの議論ばかりで、中身の改善に全く触れようとしない、
これでは効率の悪い消費税が導入され、税率が上がっていくばかりで、
その隙間で得をする人間がいて、国は上げた分を簡単に使ってしまう、
消費税1000%になっても財政は健全化しないんじゃないかな(苦笑)

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