東京オリンピックの光と影
もう既に日本中の人がご存知でしょうが、2020年のオリンピック開催地として、
東京が選ばれることとなり、56年ぶりの東京オリンピックが開催されることとなりました。
勿論、めでたいことだと思いますし、
私も老朽化の目立つ幹線道路網の抜本的整備を条件に賛成の立場を示していましたが、
なんともやるせない、複雑怪奇な気持ちに苛まされています。
以前、オリンピック招致に東北の震災復興を掲げたことを「偽善」と批判しましたが…
人間、土壇場になると本音が出ちゃうんでしょうね。
もう偽善者としての取り繕いさえ、なくなってました(苦笑)
フクシマ? それどこの外国デスカ?(爆)
結局、IOCへ媚びへつらう形で招致活動も進んでいた感じで、
自らの名誉欲のために始まった石原元都知事のオリンピック招致活動でしたが、
そこに震災復興の大義名分を掲げて広がりを見せ、
かと思えば「コンパクトな大会」と言って、やっぱり被災地は置き去りにされ、
そして最後には「お金あります」と言って、
汚染水問題が浮上するや「福島と東京は離れている」と言い出し、被災地は完全に切り捨て。
なにがオールジャパンなのか。オール東京(千葉西部と神奈川東部)の間違いだろ。
最後に被災地が足を引っ張ると見るや、臭いものに蓋、
大義名分をかなぐり捨てて容赦なく保身に走りやがりました。
ホント白々しい感じしか残らなかったです。心から喜んでる人、本当にいんの?
相当な偽善者というか、偽善の意識さえ持っていない悪人ばかりな世の中ですね…
日本人の悪いところはそこですよ。「見てみぬ振りをする」、そこがずっと変わっていない。
前回の東京オリンピックも美しい思い出として語られていますが、
大規模な突貫工事は現在に来てその歪みを吐き出しつつあり、
高度経済成長に伴う人口流動により、都市化に馴染めず孤独化、逆に農村では過疎化が進み、
開発が優先された太平洋側は経済が発展したものの、
日本海側は取り残され、未だに新幹線の開通もなされていない状況…
そういった「影の部分」があったにも関わらず、誰もそれを口にせず、見てみぬ振り、
ホップズ的に言えば、「トウキョウという名の化け物が地方を飲み込んでいる」わけです。
今回もトウキョウのための電力を作っていた福島第一原発が事故を起こし、
福島の人達に多大な迷惑をかけた上、オリンピック招致の際に汚染水・放射能不安が起こるや、
「福島とトウキョウは離れている。トウキョウは大丈夫」と言って、完全に切り捨て、
私達はトウキョウオリンピックの熱狂の中で、福島と被災地を忘れ、
批判する人を「水を差すな」の一言で言論封殺し、影の部分を見てみぬ振りをするのでしょうか。
光の部分を喜ぶことは大変いいことですが、同時に影の部分も直視して貰いたいです。
すぐに現実から目を背けたがるのが日本人の悪い癖。
◆ニュースネタ 福島第一原発の汚染水問題
安倍総理の自信の程がどこから来るものなのか分かりませんが…
むしろ、問題にしたいのは、今まで政府は何をやっていたのか、ということです。
民主党政権時代には当時の菅総理が東京電力に代わって指揮を取ったら、
過剰介入であると批判していたのは今の自民党政権でした。
実際、政権交代後、政府が積極介入しているような雰囲気はなく、
東京電力に任せていたら、予てから問題が指摘されていた汚染水漏れが深刻化し、
慌てて政府主導で対策を練ると言い切る空々しさ、お前ら、半年間何やってたの?
これも「見てみぬ振りをしていたら大変なことになってました」な典型例なわけで…
日本のバブル崩壊の不良債権も同じでしたし、本当に溜め込むの好きですね(苦笑)
アベノミクスも同じようにならないことを祈るばかりです。成長戦略って本当にあんの?
◆ニュースネタ 消費税増税問題
まぁ、増税は基本路線で、単に民主党政権の手柄だからケチを付けているだけ、
国民の批判をかわすための「熟考してますポーズ」に過ぎないわけですが。
増税のベストタイミングは景気が過熱し、調整弁として上げる方法ですが、
景気が底だと見れば、敢えて不景気に増税するのも悪い手ではありません。
そういう意味では、野田政権の増税タイミングはそれほど外してはいませんでした。
しかし、安倍政権になって、ドル安政策を終えたアメリカの好景気に引っ張られる形で、
景気の回復局面に入ってくると少し事情が違ってきます。
公共投資を中心とする大規模な財政出動を伴っているので、
増税によって税収が増えたとしても、その分がそのまま出ていってしまうので、
財政健全化には程遠い結果に終わってしまうのは間違いありません。
まさに焼け石に水、上げた分以上を使っていたら、意味がないわけです。
過去にも消費税を5%に上げた橋本政権の後、財政出動を行った小渕政権が来たことで、
消費税増税分は完全に吹き飛んでしまい、さらなる増税へと繋がることは間違いなく、
10%、20%、さらに上へと、同じことを繰り返すだけです。