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公共事業神話の崩壊

昨日、中央道の笹子トンネルでトンネルの落盤事故が起こり、
巻き込まれた3台の自動車に乗っていた9人が死亡する大惨事となってしまいました。
年末年始・お盆の時期になると混雑することで有名な大月ジャンクション付近で、
関東近郊で自動車に乗っている人は一度は通ったことがあるような場所です。
トンネル事故は過去にもありましたが、
これまではトンネル内の事故による火災、崖崩れによる事故で、
今回のようにトンネルの施設そのものが崩壊を起こした大規模事故は初めてです。
それだけにショックが大きいというか、
トンネル恐怖症になるくらいの衝撃度合いでしたね…

今回の事故を中日本高速道路は「老朽化」と説明し、
あたかも自然現象かのような表現を取りましたが、
明らかに点検ミスが原因の事故によるものでしょう。
人間の手が届かない天井付近は打音点検せず、目視による点検のみで、
その点検自体も5年に1回で、事故の原因と目されている上部ボルト部分は建設後は点検せず、
これでは「老朽化」で済まされないでしょう。


あとの事故関係の詳細はニュースを見てもらうとして、今回の事故をどう教訓にするかですが、
明日公示となる総選挙では、公共事業を進める自民党の追い風になると予想されますが、
私は逆に自民党が押し進めた公共事業体制そのものに事故原因があるとさえ思います。

長年、政権を担ってきた自民党は、公共事業を押し進める上で、
建設国債による「60年償還ルール」を用いてきました。
その内容を簡単に説明しますと、まず国債には「赤字国債」と「建設国債」がありますが、
「赤字国債」は財政法で発行が禁止され、その都度、国会で法案を成立させねばならず、
つい最近まで民主党政権が赤字国債発行法案が成立せずに国会運営に苦慮したように、
赤字国債の発行は一定のハードルの高さがあります。
一方の「建設国債」はそういったハードルがなく、
使用用途が道路建設等の公共事業であれば、わりと自由に発行できます。
なぜ、「建設国債」は自由度が高いのかといえば、公共事業によって道路や施設が作られれば、
それは物の資産として評価されるので、借金しても現物である程度担保されるからです。
そこで高度経済成長以降、この建設国債を用いて、大規模な公共事業が進められてきたわけです。

それに拍車をかけたのが「60年償還ルール」で、
コンクリートの耐用年数がおよそ60年と言われていますが、
道路は一度作ってしまえば、その耐用年数だけ持つと考えられますから、
公共事業着工の時に全ての工事費を負担する必要はなく、
耐用年数である60年をかけて返済していけば、極端な話、工事費ゼロでも着工できるわけです。
このシステムが公共事業の乱発を呼び、日本が国債を抱え込む原因ともなりました。

で、この「60年償還ルール」、非常に分かりやすい欠点がありますよね?
実際は60年も持たない可能性もありますが、持つように設計されていると仮定してください。
そう仮定したとしても、完全に抜け落ちてしまっているものがあります。

……
………これって初期工事費しか考えてませんよね?
つまり、「維持管理・補修修繕費」が完全に抜け落ちています。
国は公共事業で道路等を作るだけで、あとは高速道路料金等で管理会社に任せているわけです。
民主党が高速道慮無料化を実施できなかった理由はいくつかあるでしょうが、
こういった体制が無料化を実施できない理由だとも言えます。
結果、どうなるかと言えば、維持管理・補修修繕費用を最小限に抑えようと傾くわけで、
今回のような点検の不備によって、耐用年数さえも維持されないことになってしまうわけです。
原発安全神話と同じように、一度作った道路等は大丈夫という安全神話の元で、
大事な維持管理・補修修繕を怠ってしまい、それが今回の事故の根本的な原因だと思います。


要するに、日本の公共事業、とりわけ自民党が推し進めた公共事業は、
「作ること」だけを想定した公共事業で、「作った後」のことは何も考えていなかったということです。
かつて「熊しか通らない道路」と採算性の問題が国会で追及されたことがありましたが、
それだけでなく、維持管理の問題も抜け落ちてしまっていたわけです。
工事の初期費用の負担だけを考え、維持管理の費用を想定しなかったことが、
想定よりも早く老朽化を進めてしまい、大規模な事故に繋がってしまった原因だと言えます。

今回の事故原因となった老朽化はあくまで氷山の一角で、
高度経済成長時代の初期の建造物は、耐用年数である60年を迎えようとしており、
道路施設全般の老朽化が問題となってきています。
インフラの再整備のために公共事業を行うことが必要なのは間違いありませんが、
だからといって従来の体制で新しく道路施設を作るだけでは同じことの繰り返しです。
新規建設は採算性や維持管理費の問題を最初から踏まえた上で行い、
一方で現在の道路施設で補強工事を行う必要があるものは大規模修繕を行う必要があります。
従来の新規建設だけでなく、大規模な修繕も国が行うことが必要だと考えます。
そうすれば高速道路の無料化も実施可能になってきます。
今回の事故を教訓に、公共事業の中身を変えていってもらいたいです。


◆プロ野球ネタ 花巻東・大谷が軟化姿勢、入団に前向き?
まだ結論が出ていないので、何とも言えないところですが…
男が一度下した結論を翻すのはどうかと思うわけで、
私としては大谷君に初志貫徹してもらいたいです。

それにしても、大谷君の両親は…
…他人の親をとやかく言うのは好きではありませんが、
息子が一度は決断したことを支持せずに、あっさり反対に回るってのは…
両親なのに息子の敵とは… 呆れ返ります。
勿論、これが決断前なら分かるのですが、一度決断を下した上で、
それを世間に公表しながらも、あっさりと敵に寝返るとは… 情けない。
私が息子なら幻滅しますよ、そんな親… 情けない、情けない、情けない…

あと、ネット上などで「中傷」されていることを嫌っているようですが、
「中傷」とは根拠のない悪口を言うわけで、
実際にメジャー挑戦を表明したことで、
日ハム以外の11球団はその意思を尊重して指名を見送ったのですから、
大谷君が結果的に私達を「騙した」ことには変わりがないわけで、
批判されるだけの根拠は存在してします。
つまり、それは「中傷」ではなく「批判」です。

もし、大谷君が「嘘つき」や「詐欺師」といった不名誉を恐れるのであれば、
もう一度ドラフトを受け直せばいいんですよ。
1年浪人して、12球団に公平にチャンスを与えるならば、誰も批判しません。
なぜ、大谷君の意思を尊重しなかった日ハムだけが得をすることになるのか?
自分の意思を翻そうとしている自分に問題があるわけで、
その不名誉は自業自得なわけですから、義を重んじるなら、そうすべきでしょう。
それができないのならば、不義な人間ということですから、
不名誉を甘んじて受けるべきです。

最後に、仮に日ハムに入団し、ポスティングでメジャー挑戦できたとして、
今回の騒動がメジャー側に影響を与える可能性はないのでしょうかね?
アメリカ側でどういった報道のされ方をするかは分かりませんが、
「やっぱり国内だったか」と半ば諦めムードの雰囲気になれば良いのですが、
もし「メジャーをコケにされた」と解釈されるような報道がなされれば、
将来のメジャー移籍に影響してくると思うのですが…
制度改革がどうなるかは分かりませんが、妨害入札の可能性も出てきますし、
そう簡単に移籍できる環境でなくなる恐れもあると思いますが…
そこまで考えているんですかね?


◆政治ネタ 日本維新の会が順調に迷走中
当初は29日に公約を発表する予定が、
大阪側で東京側が報道陣に先行配布するという観測が生まれたようで、
急遽、28日の夜に発表されることになり、
翌日の29日には党首討論で石原代表が脱原発の修正を名言、
東京と大阪で足の引っ張り合いを繰り広げている模様です。

そんな日本維新の会の公約で「最低賃金の廃止」が波紋を呼んでいます。
それでは労働者の貧困化が進むだけなので、「負の所得税」を導入し、
収入が一定水準を下回る場合は国が援助するつもりなようです。
ただし、生活保護制度は廃止になる公算が高く、
その支給される一定水準も生活保護よりも低いラインとなりそうです。

そうなると、容易に考えうるのが、
企業が賃金を下げまくり、あとは国に任せようという流れ。
企業の内部留保が問題とされている世の中で、
金のあるはずの企業ではなく、金のない国に負担が回るのは変です。
労働力が売り手市場なら、労働者にとっても国にとっても不利益ではありませんが、
失業率が高く、求職さえ諦めている人もいる現在の労働環境では、
賃金は低下する一方になってしまうでしょう。

職に付ければ、それで雇用問題が解決するという考えはいかがなものかと。
職に付いてから本当の地獄が始まるでは、ニートが増えるだけじゃないでしょうか。
まさに「働いたら負け」な世の中ですね。


◆テレビネタ NHKスペシャル『中国文明の謎』
全3回の放送が終了しました。
古代中国史にスポットを当てて、中国の歴史観が上手くまとめられていましたね。
これと横山光輝氏の古代中国史マンガである
『殷周伝説』『項羽と劉邦』『三国志』を合わせれば、
中国の源流が見えてくるかと思われます。

見てない人のために、ごく簡潔に内容をまとめますと、
第1回目は最古の王朝である「夏」にスポットを当てて、
これまで伝説扱いされていた夏王朝の実在を紹介するとともに、
他文明で用いられた神と人との関係ではなく、
宮廷儀礼を用いた人と人との関係を重視したことを紹介し、
第2回目は殷が儀式用に生み出した漢字を周が一般化させ、
文化や言葉が違う多くの諸侯を漢字という共通文化で結びつけたことを紹介し、
第3回目は秦の始皇帝が天下統一の過程で、
中原諸国が作り上げた「中夏(夏の正当な後継者であるという意識)」を拡大させ、
自分達も「中夏」であると摩り替え、多民族国家である中国を一つのまとまりとし、
世界の中心であるとした「中華思想」が紹介されていました。

まぁ、でも全3回を見ても、中国が厄介な隣人であるイメージは変わらないわけですが(^^;
ただ、古代から多くの国家がひしめき合い、一定のまとまりを維持しながらも、
戦いを繰り広げ続けた大陸的な歴史からすれば、
外交力で対抗するのは年季が違うと言わざるを得ません。
あちらは2000年以上前から外交交渉を頻繁にしているわけですからね。
そら無謀な勝負ですわ(苦笑)
やはり中国とまともにぶつかるよりも、
同じ海洋国家としての歴史が強いフィリピン・ベトナム等の東南アジアの海洋諸国、
彼らとの連携を強く取ることが重要でしょうね。

それにしても、古代中国史はロマンがあるといいますか、
こうやって自分達のルーツがある程度の形になっているというのは正直羨ましいですね。
日本の場合は、大和朝廷の作った歴史しか伝わりませんでしたからね…
大和朝廷のルーツがどこにあったかも定かではありませんし、
邪馬台国の登場以降は歴史の空白期間があって分からないことだらけ。
中国は「中華思想」を作り上げる過程を知ることができているわけですが、
日本は「天皇思想」が作られた後しか知ることができていないわけで、
そういう意味での羨ましさを感じずにはいられません。
少なくとも、出雲を中心に農耕を中心とした文化が栄えた西日本と、
伊勢を中心に狩猟を中心とした文化が栄えた東日本と2つ以上の文化があったのは間違いなく、
それがどういう経緯で統一されていったのか、分からないことだらけです。
日本人のルーツはどこにあるんでしょうね?

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