日ハムはドラフト制度を破壊するつもりか
25日に開催される予定のプロ野球の新人選手選択会議(ドラフト)において、
ドラフト4日目にメジャーリーグ挑戦を表明した花巻東・大谷投手を強攻指名するそうです。
まだ指名はしていませんので、他球団をかく乱する情報戦の可能性もありますが、
過去にも数多くの強行指名に踏み切り、
昨年は叔父を慕っての巨人志望だった東海大・菅野投手を指名して拒否されるなど、
前例があるだけに、強行指名に踏み込む可能性も高そうです。
先日も書きましたが、今回の大谷投手の件は過去の例と大きく違います。
過去の選手はNPB、日本プロ野球に入りたくてドラフトにかかっていたのに対し、
今回の大谷投手はMLB、メジャーリーグに入りたくてプロ志望届けを出したのです。
今までの進学や社会人チームへ進んだり、希望球団以外は拒否は、
最終的には日本プロ野球のチームに入ることを目的としましたが、
今回の大谷投手は日本プロ野球のチームに入ることを目的としていないのです。
確かに4日前までは両天秤にかけていた節がありますが、
それでもドラフト前に一応の結論は出してくれたわけで、
それを阻害したとなれば、ドラフト制度が職業選択の自由を侵したと言われかねません。
これまでドラフト制度が職業選択の自由に反しないと考えられてきたのは、
どの球団に入っても、同じNPBという組織の中でプロ野球ができるからです。
西武に入ろうが、巨人に入ろうが、日ハムに入ろうが、試合ができなくなることはあり得ず、
プロ野球選手としての生活が最低限保障されているという意味で、
職業選択の自由には反しません。
しかし、NPBとMLBでは明らかに働き場所が違うわけで、
日本のプロ野球に所属しても、メジャーリーグのチームと対決したり、
アメリカで野球ができるというわけでもありません。
さらに、ドラフト指名それ自体はメジャーリーグとの交渉に実害を与えませんが、
実質は日本の球団に配慮して契約が来年4月以降にずれこむ可能性が高く、
大谷投手にとって半年近く契約が遅れるという実害が発生する可能性があります。
過去の強行指名の例、学問の自由との兼ね合いがあった、
巨人・桑田投手やダイエー・城島選手の場合は、拒否しても進学できなくなるわけではなく、
むしろ、箔が付いた分だけ進学の可能性が広がりますが、大谷投手の場合は害悪だけです。
そういった観点からすれば、日ハムの暴挙によって、
ドラフト制度が職業選択の自由に配慮していない、そう判定されかねません。
和菓子職人が和菓子を作ることができず、ケーキばかり作らされたらどうなるのか。
話が違うではないかと誰だって思います。
それとも、同じ料理人なんだから問題ないと言えるのでしょうか?
サラリーマンは転勤や出向で海外勤務もありますが、永続的なものではありません。
ならば、大谷投手は8年間の日本勤務だと考えたとしても、
8年後にアメリカ勤務が確定しているわけでもありません。
そういったことが起こらないように、日本の社会では入る自由、
入社の自由と採用の自由を緩く解しているだけに、
それが制限されているドラフト制度がこれ以上厳しいことを強いるものとなってしまえば、
ドラフト制度そのものが破壊されると言っても過言ではありません。
日ハムの強行指名はそのリスクを多分に含んだもので、
下手をすると、ドラフト制度が憲法違反となる可能性を秘めています。
今回ばかりは自重してもらいたいです。
◆プロ野球ネタ 埼玉西武ライオンズ・中村剛也選手が半月版損傷等で手術へ
想像以上に酷かったようで… むしろ、それでよく試合に出てましたよね。
しかも、約半分の試合は痛みを抱えながらで、ホームラン王を獲得したわけで…
落ち込む気持ちよりも驚きの方が大きいぐらいです。
復帰時期は明らかにされていませんが、少なくとも半年近く、
来週のワールドベースボールクラシックへの参加は事実上なくなり、
来季の開幕に間に合うかも微妙で、5月の交流戦前に合流できれば御の字ですが、
実際は6月のリーグ戦再開後の復帰となるかもしれません。
そうなると、来季のライオンズの戦力が厳しくなるのは間違いありません。
来季のDHでの出場は織り込み済みでしたが、大きく出遅れるケースは想定外でした。
今季の外国人選手であるヘルマン・オーティズ・カーター選手との再契約が必要で、
守れないカーター選手は不要論も沸きあがりそうでしたが、
再契約の可能性が高くなったと言えましょう。
となれば、中島選手もメジャー挑戦したと仮定すれば、
3番(左)栗山、4(指)カーター、5(一)オーティズ、6(三)ヘルマン
悪くはないんですが… 物足りない感はありますよね…
であれば、ライオンズも積極的に補強に動かなければなりません。
例えば、中日のブランコ選手。
横浜を始め、争奪戦となりそうですが、動く価値はあります。
現状では条件面で敵わないと言わざるを得ませんが、
投手コーチに前中日ヘッドコーチの森繁和氏を招聘すれば、
多少条件面で敵わなくとも、慕っての入団もありえるかもしれません。
仮に獲得に至らなかったとしても、オーティズ選手を始め、
他の外国人選手との契約に影響を与えることができます。
西武との契約は安泰だからと、待って好条件を引き出すことはできなくなり、
残留の目が強くなってくれることでしょう。
動くだけの価値はあると思います。
もっとも、前提条件である森コーチの入団が必要ですが…
2軍監督や1軍ヘッドが不在なのに、来季コーチ人事はまだ未発表、
どうなっているんでしょうかね?
フェニックスリーグ終了まで待つということなんかな?
あとはドラフト戦力の見直しにも繋がることでしょう。
今のライオンズに和製大砲候補はおらず、
高卒1年目の駒月外野手の素質に期待していますが、伸びるのはこれからでしょうし、
それ以外の選手は俊足巧打タイプがほとんどです。
同タイプの斉藤彰吾外野手が2軍での打撃を1軍で見せれば、長打力も期待できそうですが、
今のところはそういった気配もありません。
となれば、ドラフトで大砲候補の獲得に動く可能性が高そうです。
今のライオンズは緊急性を要する大きな補強ポイントがなかったため、
1位はエース候補の大阪桐蔭・藤浪投手を指名すると思われましたが、
ここに来て野手を1位候補になってくる可能性が高まったように思います。
候補は外れ1位候補だった駒澤大学・白崎浩之内野手でしょう。
高校は埼玉栄高校出身ということで地元ですし、
守備の不安はあるものの、サード・ショートを守ることができ、
右の強打者ということで補強ポイントに合致しています。
中村選手の長打力を補う活躍はまずできませんが、
将来性に期待し、中村選手の復帰まで育てて待つということはできそうです。
その後は、2位で立命館大・金子選手など即戦力のショートを予定していましたが、
ここで即戦力の投手を指名してくる可能性もありそうです。
3位は高校生の野手、4位で2位で補強できなかった方、5位で高校生を軸に投手、
こういった指名になってくるかもしれません。
指名予定の5人という人数は9人の引退・戦力外選手と比べると少ないだけに、
補強枠として2人余裕を持ったとしても、まだ2人余裕があるわけで、
他球団を戦力外になった選手の獲得もありそうです。
候補としては、阪神を戦力外となった小林宏之投手、楽天を戦力外となった有銘投手、
同じく楽天を戦力外となった岩村選手。
左右のリリーフ、補強ポイントのサードを埋めることができるだけに、
ドラフトだけではなく、こちらの動きもあるかもしれません。
【追記】
夜の報道と各球団のドラフトを検証した結果、
野手を1位指名する可能性がありそうなのはヤクルトぐらいで、
外れ1位も投手もしくは捕手の補強を優先しそうなので、果敢に攻める可能性もあります。
とはいえ、ウェーバー順の2位で残っているかは微妙なだけに、
そこは球団の評価次第かもしれません。
もっとも、ファンとして最も望むのは、中島選手のメジャー挑戦延期なわけですが…
腰の状態も心配ですし、もう1年ライオンズでやってくれないでしょうか?
負担の少ないサードを守る試合が多くなってもいいわけですし…
とはいえ、FAしたら獲得に名乗りを上げると見られるジャイアンツが
ワールドシリーズ出場を果たしたりと、夢への希望が膨らむことも確か。
実に悩ましい問題です。