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CS敗退

プロ野球クライマックスシリーズは、セリーグが2位中日が逆転勝利で勝ち抜き、
一方のパリーグは終始押し気味に試合を進めながらも、2位西武が敗退、
3位ソフトバンクが下克上で勝ち抜きを果たしました。

正直言って、ライオンズの敗退は全く考えていませんでしたね…
第1戦の9回裏ノーアウト満塁もそうでしたが、
昨日の試合もソフトバンクのチャンスは2度だけで他は三者凡退、
中村選手のホームランで1点を返してから、何度となく同点・逆転のチャンスがあり、
球場の雰囲気としては勝つ展開だったのですが… 今でも負けたことが信じられません。
素晴らしい好ゲームだったのは間違いなかったのですが、勝たないといけない試合でした。
こういう勝負所で勝つか負けるかは大きな違いで、
健闘しながらも、あと一歩及ばずに優勝を逃した今シーズンを象徴する終わり方でした。

これが渡辺監督の言う「選手のひ弱さ」なのでしょう。
2008年の監督就任から伸び伸び野球で若手の力を発揮してきましたが、
「勝負に対する厳しさ」が足りていないということでしょう。
十亀投手と野上投手が味わった一球の怖さ、厳しく指示を出せなかった炭谷捕手のリード、
第1戦で併殺阻止のスライディングができなかった秋山選手の走塁、
良い場面もたくさんありましたが、及ばない面も多かったことは事実です。
「勝てるチーム」ではなく、「勝つチーム」を作ること、それが必要だと感じました。

勝ち上がったチームと優勝チームが対戦するファイナルステージは明日開幕です。
アドバンテージ1勝が優勝チームにあるため、絶対的有利は揺るがないでしょう。
特にソフトバンクは戦前に山田投手が登録抹消となり、先発投手が不足していますから、
余程の孝行息子が出てこない限り、勝ち上がるのは難しいでしょうね。
それでも今季での引退が決まっている小久保選手の現役生活が少し伸びたわけですから、
チーム一丸となって戦っていってもらいたいです。


◆ライオンズネタ 「勝つチーム」を作るために その1:首脳陣編
今シーズンのライオンズは故障者が続出したこともあって、
最下位からの厳しいスタートとなりましたが、若手の成長もあって優勝争いに絡み、
あと一歩及ばなかったものの、実力的には日ハム・ソフトバンクに負けていませんでした。
しかし、勝てなかったことも事実。
ここからは全3回に分けて、来シーズンのライオンズに対する提言をしていきたいと思います。
その第1弾は、監督・コーチといった首脳陣に関してです。

最後に優勝・日本一となったのは2008年で、渡辺監督の1年目のシーズンでした。
この時にはヘッドコーチとして黒江透修氏がいて、打撃コーチに大久保博元氏がいました。
当時のチーム方針が「若手を伸び伸びと」という形だったので、
昔気質の厳しさを全面に出した黒江氏の指導方針は合っておらず、退団の運びとなりましたが、
ある意味、そういう厳しさを持った人がベンチにいて、選手の方が見返してやろうと思えたことで、
未熟なチームながらも、ある種の緊張感があったように思います。
それから年を経るごとに若手のチームが少しずつ成熟してきており、
今度は黒江氏が見せたような「厳しさ」が受け入れられる状況になりつつあるように思います。
大久保氏はアーリーワークの導入など若手への指導力がピックアップされがちですが、
スコアラーの膨大な情報を整理しながら、選手にシンプルに出す指示には定評がありました。
チームとしての戦い方を指示する参謀と相手投手をチームとして攻略する参謀がいて、
渡辺監督の戦術面の至らなさをよく補っていたように思います。

おっと、その前に渡辺監督の監督としての評価をしておかないといけませんね。
私は監督の手腕を評価する時に、
「求心力(人心掌握能力」「用兵(選手起用)」「戦術(戦い方全般)」の3つに着目して評価します。
「求心力」は監督がどれだけ選手に慕われていくか。カリスマや選手との信頼関係の評価です。
「用兵」は選手を適材適所に配置できるかどうか。先発・リリーフの起用、1・2軍の入れ替え等々。
豊富な戦力を利用して競争心を煽る方法は「戦術」ではなく、「用兵」として評価しています。
「戦術」は監督の力でどれだけ勝利に持ち込めるか、監督自身の閃きですね。
盗塁・バント・エンドランといった多彩な攻撃スタイルから、
シーズンを通して物事を見渡し、勝つ時期と我慢の時期を設定できるかどうかの評価です。
私は廣岡監督以前を知らないので、以降の監督評価を簡潔に記すと、
 森監督  求心力C、用兵A、戦術A
 東尾監督 求心力B、用兵B、戦術S
 伊原監督 求心力B、用兵S、戦術A
 伊東監督 求心力C、用兵A、戦術A
 渡辺監督 求心力S、用兵A、戦術B
独断と偏見で評価点もイメージでしかありませんが、
大別して、森監督と伊東監督が選手を適材適所に配置し、
森監督はシーズンの勝負所を抑えながら堅実な野球で、
伊東監督は機動力を駆使した積極的な野球で戦うも、最後は求心力が弱さで監督交代に。
東尾監督と伊原監督は、監督としてではなく兄貴分的な存在・コーチの延長としてチームを率い、
東尾監督は独特な投手勘で冴え渡る継投と機動力野球を駆使し、
伊原監督は犬伏・宮地氏など選手を適材適所に配置して勝ったタイプです。
今の渡辺監督の場合はいずれにも当てはまらず、
求心力が高く、用兵が上手いが、戦術は上手くないタイプと見受けられます。
求心力に関係するか分かりませんが、年々スピーチが上手になってますよね。
今年のシーズン終了後の挨拶とかファンの興奮を煽るのがすごく上手でしたし、
発信力のある監督であることは間違いないと思います。
現役時代の実績やカリスマから求心力のある監督は多くいますが、
各選手を偏りなく見つめ、用兵の上手さも兼ね備えている監督はそうはいません。
そういう意味でも、名監督と評価できるだけの資質を持っているように思います。
ただ、一方で、攻撃で動くことが少なく、反撃が遅すぎた試合が多く、攻め方にやや課題があります。
継投は投手出身の上手さはありますが、東尾監督の投手勘よりはデータ重視なところがあり、
長いシーズンを考えての投手起用ができているかというとそうでもなく、
シーズン前半は先発に負担が強い傾向があり、後半はリリーフに負担が強い傾向があります。
基本的な流れはそれでいいと思うのですが、もう少し両者の負担を軽減して欲しいです。

そういう意味でも、渡辺監督に必要なのは「戦術面を補える参謀コーチ」です。
三国志で言えば、渡辺監督は劉備のように人徳がありますが、
今のチームには諸葛亮孔明のように戦術に長けた参謀がいないわけです。
今年の交流戦開始前に、光山バッテリーコーチが兼任で作戦コーチに就任したことで、
少しは攻撃面にも変化が生まれてきましたが、個人的にはまだ足りないと思います。
戦術面に長け、渡辺監督に物申せるコーチを呼んでくる必要があると思います。
候補としては、実際の実力面は未知数であるものの、OBの辻発彦氏の名前が挙がってくるでしょう。
現役時代は廣岡・森監督、ヤクルト移籍後は野村克也氏といった名監督の下でプレーし、
セカンドの華麗な守備と87年日本シリーズで見せた伝説の走塁、いぶし銀の打撃は印象が強く、
黄金時代のライオンズの野球を体現した選手であることは間違いありません。
コーチとしては、森監督時代の横浜や2006年WBCで守備走塁コーチを務め、
昨年まで中日・落合監督の下で2軍監督や野手総合コーチなどを歴任しています。
「勝つためのチーム作り」をよく知っている辻氏にヘッドコーチをお願いしたいですね。
現在は2軍監督も空いているので、そちらでの話もあるかもしれませんが、
1軍で若い選手を指導する姿を見てみたいです。

加えて、投手コーチの交代を望みたいです。
杉本コーチも悪くはありませんでしたが、
今年最大のヒットである涌井投手の抑え転向は渡辺監督の独断的決断によるものと推測され、
表立った大きな働きはなかった感じがします。
CSで感じた1球の怖さ・厳しさを教え込むためにも、厳しく指導できるコーチが必要でしょう。
そういった面から名前が挙がってくるのは、OBの森繁和氏でしょう。
西武時代には西口・石井貴・豊田投手らを育て、貧打を補うだけの投手王国を作り、
昨年までの中日・落合監督の下での手腕は言うまでもありません。
今年は文化放送ライオンズナイターでも解説を務めましたし、復帰には何の障害もないはずです。
「勝つためのチーム」を作るためにも、森繁和氏の投手コーチ復帰を望みたいですね。

その他の首脳陣は基本的に残留でいいと思われますが、
土井正博ヘッド兼打撃コーチの退任で打撃コーチは少し弄る必要が出てきそうです。
打撃チーフコーチは安部理氏で良いとして、もう一人のコーチをどうするか。
私としては2軍の田辺徳雄打撃コーチを推したいです。
2002年から2軍コーチを歴任しており、今の野手のほぼ全員を田辺コーチが見ているだけに、
選手への指導力は間違いないと思われます。
代わりの2軍打撃コーチには今年引退した平尾博嗣氏を推したいです。
クライマックスシリーズの第2・3戦でゲスト解説を務めましたが、
「チャラ尾」と呼ばれたイメージとは異なり、節々に野球観の深さを感じられることも多く、
若手への指導力・伝達力も期待できると思います。

「勝つチーム」を作るためには勝つことを良く知る首脳陣が必要です。
チームが精神的に成熟しつつある現在こそ、勝負に対する厳しさを教え込んで欲しいですね。

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