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朝日の巨人契約金報道は菅野事件の「続き」

書いているうちに要点整理ができてきたので、
最初に書いたものは「追記」に掲載し、ここでは今回の問題の捉え方を中心に指摘しておきます。

巨人側が反論しているように、今回の契約金問題に違法性はなく、
横浜ベイスターズが那須野・元投手の契約金超過が明らかになって処分された前例から、
レギュレーション違反の疑いで厳重注意処分で終わると思われます。
では、今回の朝日新聞の報道が何ら意味を持たない名誉毀損報道かといえば否であり、
契約金超過の具体的な手法である「超過分の複数年に渡る支払い」は一考の余地があります。
現在では契約金1億円出来高5000万円の上限が設定されているわけですが、
同様の手法を取れば、2年目以降に年俸や出来高払いに上乗せして支払うことが可能であり、
入団時に契約金の後払いをするという約束で契約金を事実上超過することができるからです。

例えば、A選手はドラフト1位で年俸1500万円、契約金1億+出来高5000万円の最高条件で入団し、
A選手はプロで活躍する自信があったので、自分の分は年俸だけで十分だとして、
活躍した際の出来高5000万円は両親に丸々プレゼントすると約束し、
契約金のうち5000万円を所属する大学野球部へ、3000万円を母校の野球部へ、
残りの2000万円をお世話になったシニアチームへ寄付したとします。
この場合は問題があるとは思えませんよね?
では次に、同じ条件で入団したB選手は、
指名されたC球団の方針として所属チーム等に謝礼を払うのが通例だとB選手に説明し、
B選手は引退後のことを考えて契約金等を残しておきたかったものの、
C球団は謝礼として支払った分は2年目以降に簡単な出来高設定で補填すると約束したので、
(極端ですが、2年目の契約で1軍1試合以上出場で1億円の出来高払いを約束)
同じように契約金5000万円を大学野球部へ、3000万円を母校野球部へ…と寄付した、
C球団ではそういったシステムが慣例化していたため、
アマチュア指導者の中には謝礼目当てにC球団以外は拒否するよう指導するようになった。
この場合は事実上の裏金として機能していてアウトに思えますが、
現状では個々の選手契約はチェックしないので、現行制度でも可能だと思われます。
(あくまで可能性の話で、実際にこういうことが行われているわけではありません)

今はドラフトでの逆指名制度が廃止され、1位は指名くじ引き制度になっており、
ドラフトをめぐる「裏金」問題が発生する可能性は少なくなっていますが、
同時にそれを揺るがす問題が起こっていることも確かです。
記憶に新しいところでは昨年のドラフトでの東海大・菅野投手、
巨人以外は拒否を表明しましたが、日ハムが強行指名して指名権を獲得、
3月末まで交渉期限は残っているものの、入団拒否での大学浪人が決定的になっています。
その前年には沢村投手が巨人以外ならメジャーを表明して巨人が単独指名、
その前は長野選手が2度のドラフト指名拒否の末に巨人へと入団しています。
こういった志望球団以外は拒否が話題となるのは、逆指名廃止以降は巨人のみですから、
そこに何らかの「システム」があるのではないかという疑うことも不思議ではありません。

こういった選手側からの事実上の逆指名問題の原因に、
裏金のような不正の温床があるのではないかという疑いが出てくることも当然のことですし、
逆に菅野投手のように血縁関係の問題から逆指名を再度認めてもいいのではないかという考えもあり、
ドラフト制度を再考する意味でも、過去の契約金問題を明らかにすることが無意味だとは思えません。
実際に、長野選手や沢村投手の時は逆指名復活の機運は高まらなかったものの、
菅野投手の場合は血縁関係があったこともあって、多少なりとも同情的意見も聞かれましたから、
そんな流れで巨人が逆指名制度の復活を主張する可能性はあったと思われます。

このように、今回の朝日新聞の報道は過去の出来事である面は否めませんが、
現在のドラフト制度を巡る問題と少なからずリンクして考える必要があり、
過去の問題だからそれでいいと流してしまう姿勢は明らかな誤りであると思われます。
そういう意味で、今回の朝日新聞の巨人の契約金超過報道は、
昨年のドラフトでの菅野投手の問題の「続き」であって、
球団経営の圧迫に繋がった逆指名制度の復活は全くもってありえないことを明らかにするとともに、
現行のドラフト制度の問題点である選手側からの事実上の逆指名表明をいかに防ぐか、
そういった問題提議に繋がるものだと考えます。


◆プロ野球 埼玉西武ライオンズのオープン戦
菊池雄星投手はピリッとせずに、先発争いから一歩後退…
それでも脱落とならないのは、菊池雄星投手に対する責任があるからだと思います。
今年のオールスターゲーム第3戦は、昨年の宮城に続き、被災地の岩手での開催が有力で、
そうなれば、岩手・花巻東出身の菊池雄星投手の登板が求められますから、
オールスターに出ても恥じない成績を残させねばならないわけで、
そう考えていくと、球界的にも菊池雄星投手の開幕ローテ入りは絶対なわけです。
なんとか我慢しているのは、球団の期待とともに、
そういった球界に対する責任感も同時にあるように思えます。
マジでローテ入りしてくれないと困るんだよ、しっかりしてくれ、というのが本音かと。

まぁ、でも修正点は明らかで、フォームを変えた以上、スライダー投手の意識を捨てることです。
スライダーを曲げようとして肘の位置が下がってしまえば、フォーム変更の意味がないわけで、
曲がりの大きなスライダーよりも、曲がりの小さなカットボールに意識を切り替え、
変化球はカーブを主体にする意識を持っていけば、フォームの修正も容易になるはずです。
ブルペンでカーブが悪いからカーブを投げないんじゃなくて、
岸投手のように自分はカーブ投手だと思い込んで、
ボールになろうがカーブを組み立てに必ず入れる意識を持っておいて欲しいです。
カーブ入らない、スライダー投げよう、肘が下がってスライダーも入らない、
右打者の内角ストレートばかりになるでは、威力があっても打たれるのは当然です。

牧田投手も内容的にはぼちぼちで開幕投手争いから一歩後退。
好投していれば、涌井投手の結果次第で開幕投手もありえましたが、
開幕2カード目の頭の先発が有力かと思われます。
リリーフ陣は相変わらずの好投。
抑えのゴンザレス、右セットアッパーの岡本篤志投手は決定、残る右は野上投手とマイケル投手、
左腕は松永投手とウィリアムス投手が有力で、小石投手をどう使うかがポイントになりそうです。
ローテが足りなければ、小石投手の先発テストもあったのでしょうが、
数的には足りてるだけに、ロング想定の中継ぎになるのでしょうかね。

打線の方は貧打で問題あり。まぁ、来週になってもこれだと困りますが。まだセーフ圏内。
1番はヘルマン選手で決定的。2番原選手がぼちぼち程度に信頼回復。
3番中島・4番中村・6番浅村も決定的ではあるものの、5番栗山がいまひとつ悩み。
代わりがいれば、原選手の状態次第で2番もあるのですが、カーター選手は手術でサヨナラ…
上本選手や新加入の嶋選手を5番テストしてみるのもありかも。
7番は対左投手は高山選手が有力。対右投手でも誰も結果残らず、そのままが有力。
8番のキャッチャーは打撃が不毛。オープン戦では銀仁朗・星選手ともに結果出ず。
上本選手は打撃がいいものの、走られまくりで困っちゃう。打撃を生かす方へ流れそう。
9番は秋山選手が怪我で2軍落ちしてから不毛状態、代走出場が多いものの、熊代選手が一番マシ?
とにかく下位打線候補が決まらない状態なだけに、もう少しテストして欲しいところです。

◆巨人の契約金問題(詳細)
正直言いまして、今更感が漂うものの、
巨人側の反論があまりに盗人猛々しい感じがしてしまい、なんだかなぁという気がしてしまいます。
過去に横浜ベイスターズで2004年入団だった那須野・元投手の契約金超過が発覚し、
西武の不正スカウト問題発覚時に今回の巨人同様に11億円の契約金超過が発覚しており、
両チームに厳重注意処分がなされ、
西武は不正スカウト問題の影響でその年の高校生ドラフトの1・2巡指名権が剥奪されました。
そういった経緯を考えますに、「違反ではない」の一転で通すことはできず、
少なくとも横浜と同様の厳重注意処分が課されることは必至であり、
開き直れる状況ではないことは確かなはずです。

ただ、西武の処分理由で示された「一場投手の栄養費事件(2004年)の出来事」という点からしても、
今回発覚したのは2004年入団の野間口投手の件が最も新しく、
そういう意味でも処分対象になるような事件ではありませんし、
巨人が主張しているように、契約金はあくまで目安だったことは確かですから、
明確な違反行為とまでは言えず、道義的な責任が追及されるのみでしょう。

しかし、馬鹿でも分かることですが、横浜の一件とは違い、西武同様に複数の選手に行われており、
今回の巨人側の対応を合わせてみても、過去の大幅な契約金超過は毎年のことだったのは間違いなく、
お金を後に出したか先に出したかだけの違いだけで、裏金としての性質に違いはありません。
加えて、その契約金の支払い方法にしても、経理的問題なのか隠蔽のためなのかは分かりませんが、
複数年に渡って分割で支払われており、契約金を実態的に把握することの難しさが明らかにされました。
この間に2004年の近鉄バファローズ消滅による球界再編問題もあって、
球団経営の問題もありましたから、契約金高騰を何ら問題がなかったと片付けることはできないでしょう。

それじゃ逆に朝日新聞が今になって報道する意味を考えて見ますと、
ドラフトの逆指名制度は2007年に廃止されたままですので、意味はないように思えるのですが、
昨年の東海大・菅野投手の例からしても、逆指名制度の復活を望む声が聞かれるのも確かで、
過去の逆指名制度の検証という意味では大きな意味を持つように思われます。
加えて、超過分の契約金を分割払いした点において、
2008年以降は契約金1億円と出来高5000万円の上限金額が定められたものの、
仮に当事者の契約で2年目・3年目の年俸や出来高支払い分が、
成績の如何に関わらずに異常に高く設定されていたとすれば、
それは今回発覚した超過分の契約金の分割払いの方法と何ら違いはなく
(契約更改で報道陣が発表する選手年俸はあくまで推定であり、正確な額は発表されず、チェック不能)、
入団時の契約金最高額の設定だけでは対応策が不十分だとも言えます。

現在のドラフト制度では逆指名は行われてはいませんので、直接的な問題ではありませんが、
巨人の場合は長野選手が2度他球団の指名を拒否しており、
沢村投手は拒否こそないもののドラフト直前に巨人以外ならメジャーと表明して単独指名、
昨年は菅野投手が巨人志望を表明し、日ハムが強行指名するも拒否姿勢で浪人扱いとなっています。
こういった巨人の指名以外はお断りという姿勢の中に、
契約金の超過やそれに類似する2年目以降の年俸・出来高支払いでの分割払いが約束されているのではないか、
そういった疑念の目が向いてしまうことも無理からぬことです。
今回発覚した中でも退団時の「功労金」と支払われているものの性質も難しく
各選手の契約を一体的に把握することは難しく、そのチェックも事実上不可能なことから、
対応策は非常に難しくはあるのですが、
選手側からの逆指名表明はアマ側で自粛すべき事柄であり、
今後、そういったことがあった場合は不正がないか厳しくチェックする体制を作るべきだと思います。

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