東日本大震災から1年
震災から1年を経過しながらも、進まない瓦礫処理のニュースを聞いていて思うのが、
ジャン・ジャック・ルソーとアダム・スミスの思想です。
『社会契約論』で有名なルソーは、このような被災者の方々に対する我々の感情を
「同情(pity=哀れみ)」であると説きました。
要するに、窓越しの悲劇、自分には直接的な害が及ばない故の感情、
より俗的に言うなら、上から目線での哀れみ・施し、ということです。
自分が安全だからこその悲劇、映画やワイドショーを見ているような感覚でしょうか。
震災瓦礫の処理や震災後の放射能に対する過敏な反応を見ていますと、
ルソーの「同情」論を否定しきることはできないように思えてきます。
それに対して『国富論』で有名なアダム・スミスは、
ルソーの「同情」を一歩進めて、「同感(sympathy)」であると説きました。
ルソーの「同情」のように自分と相手との間に明確な壁があるのではなく、
相手の立場になって、同じ感覚を人間は共有できると考えたわけです。
アダム・スミスというと古典派経済学の生みの親で、
現代からすると市場に任せるままで貧富の差を拡大させたと取られがちですが、
当時は重商主義経済で国の特権階級と結びついた一部の商人の独占状態でしたから、
そんな重商主義に対する批判が自由主義経済と神の見えざる手の発想だったわけです。
震災直後はアダム・スミスの言うように、
「同感」を得ようと、「同感」に応えようとした結果、
神の見えざる手に導かれるように支援の輪が広がっていきましたが、
今はそんな神の見えざる手も薄れ、消えかかっている気もします。
まぁ、だからといて、常に気持ちを向けていたり、
身を削り落としてでも支援する必要はないし、逆に重荷にさえ思えますが、
協力できるところは前向きに協力していきたいものです。
震災瓦礫関連で言えば、東京都以外では静岡県の島田市が手を挙げて試験焼却を済ませ、
続いて静岡市や浜松市も手を挙げるなど、少しずつではありますが、
支援の輪が広がりつつあるようです。
一方で、最終処分場の確保や、自治体のごみ焼却処理能力の余力の問題、
瓦礫の輸送の問題等もあって、そう簡単にはいかない面もあることは確かなので、
そういった課題にも目を向けつつ、
私たちにもできる日常のごみを減らす等のの当たり前の努力をしていくことが必要かと思われます。
◆プロ野球 広島・嶋外野手と西武・江草投手とでトレード成立
両チームにメリットのある良いトレードだと思います。
構想外になりつつある選手でありながら、チームの補強ポイントを抑えたトレード、
しかも江草投手の出身地は広島、嶋選手は埼玉と、里帰りトレードにもなりました。
ライオンズの立場からすると、5番を打てる左の強打者が補強ポイントでした。
主軸は言わずもがなの3番中島・4番中村という右の強打者、
レギュラー確定的で6番起用が有力な浅村選手も右打者、
バランス的に5番に左打者を置きたいところなのですが、
期待した新外国人のクリス・カーター選手は怪我がちでオープン戦にほとんど出られず、
出場したオープン戦でも左投手に簡単に三振を喫するなど、
現段階では期待はずれの感が強くなっています。
もう一人の新外国人であるヘルマン選手は、
俊足とシュアな打撃と選球眼の良さを見せるなど、1番打者としてアピールを見せており、
現段階では栗山選手を5番でテストしているわけですが、
出塁率の高い選手なだけに、できれば1・2番に置いておきたいというのが本音です。
和製大砲として期待される坂田選手も故障明けで2軍ですから、
5番を打てそうな左の強打者は喉から手が出るほど欲しく、
一塁やDHが空いている状態なので、嶋選手が活躍するチャンスは十分あります。
逆に心配された投手陣の方は全体的に好調で、
菊池雄星投手やルーキーの十亀投手による激しい先発争いばかりが言われていますが、
課題のリリーフ陣の方もほとんどの投手が結果を残しており、レベルの高い争いになっています。
右ではゴンザレス投手が抑えの筆頭候補で、昨年活躍の岡本篤志投手やマイケル中村投手、
若い野上投手や木村投手も結果を残していますし、
左ではウィリアムス投手、松永投手、小石投手、星野投手、武隈投手がアピールしており、
誰を落とすのか悩ましい状態になっています。
比較的左投手が少ないチームだといっても、
現状では江草投手が1軍入りを果たすことは難しく、出番も限られていると思われるだけに、
青木投手の怪我でチャンスのある広島への移籍は良かったように思えます。
2人にとってこのトレードが良い方向に作用することを祈りたいですね。
◆ライオンズネタ 埼玉西武ライオンズのオープン戦
前述のように、全般的には順調な調整が続いていますが、
開幕投手最有力の涌井投手が不安定な投球で開幕投手を決めきれず、
次点の岸投手が脇腹の違和感で一時離脱となり、少し不安要素が出てきました。
涌井投手は先日の土曜日に先発し、初回に3失点するなど苦しいピッチング、
真冬並みの寒さということで同情の余地もあったのですが、
相手野手がベンチスタートで一番元気な1回表の3失点はともかく、
2回以降をランナーを出しながらで、打たせて取る投球を徹底できなかったのはマイナス材料、
本当ならこの日のピッチングで開幕投手決定となるところだったんですが…
次回登板で内容と結果が求められることになってしまいました。
岸投手は大事になる前ということで、長期離脱にはならない見通しのようですが、
昨年も脇腹痛で出遅れただけに心配ではあります。
予定では次回登板は2軍戦で登板し、ギリギリ開幕に間に合いそうではあるものの、
最悪でも先発6番手として4月中旬に間に合えば十分といったところでしょうか。
いずれにせよ、開幕投手争いからは脱落、現状ではルーキーの十亀投手が最有力です(^^;
課題だったリリーフは前述の通り。ほとんど失点がなく、高いレベルの争いになっています。
まだ勝ち試合でゴンザレス投手の抑えテストができていないだけに、
そろそろ、そういった展開に持ち込みたいところです。
一方の野手陣は打線低調、他のチームも同じような状況ではありますが。
打順が確定しているのは、3番中島・4番中村・6番浅村選手の3人ぐらい。
栗山選手が1・2・5番のどこに入るか決まっておらず、
前述の通り、5番の左打者が不在のため、5番を打つことが多くなっています。
代わりに1番を打っているヘルマン選手がわりと結果を残しているので、
この調子でシーズンに入っても1番ヘルマン・5番栗山選手で固まってくれば、
打線の左右のバランス感が良くなり、攻撃の基点も複数生まれ、
得点パターンが広がるという利点も生まれてきます。
それでもシーズンに入ってみないと分からないだけに、
5番候補としてカーター選手や坂田選手の復帰、嶋選手の活躍が期待されます。
若手はオープン戦になってアピールがいまひとつ。
浅村選手との差ばかりが目立つ形になっています。
紅白戦・練習試合と結果を残していた2番原選手も、
オープン戦では打率1割台と低迷しており、巻き返しがないと危うい感じです。
若い野手陣にはもう少しアピールをしてもらいたいところですね。