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今年の漢字は「偽」

個人的には「絆」とは真逆で「偽」という印象の一年でしたね。主に「偽善」という意味で。
東日本大震災で人々の絆を再確認した一方で、
放射能に対するデマ情報が飛び交い、それに踊らされてしまう人々、
今でも被災地の瓦礫処理において地方自治体の受け入れの行動が鈍く、
ごく一部の反対でしょうが、放射線汚染が怖いと頑なに反対する人々、そしてそれに簡単に屈してしまう行政の弱さ、
風評被害による買い控えをする消費者、逆に風評被害だと殊更に騒いで自分たちの努力のなさを棚に上げる農協と農家…
それらはごく一部の動きであり、全体としては「善」の行動をし、変化を受け入れた人が多かったのかもしれませんが、
一方で現状維持を重視し、変化を嫌い、偽善的な行動が目立ったことも事実です。
それは被災者も同じであって、土地から離れようという若者を裏切りだと糾弾したりする行為は、
やはり偽善としか言いようがなく、変化を受け入れられない人々の行動が私には目立ちました。
TPPもしかり、消費税増税もしかり。
両方とも実施方法に問題があるにせよ、世の中の変化からすれば受け入れざるを得ない事柄です。
頑なに拒否姿勢ばかりを見せ、議論が進まないのでは話になりません。
そこら辺が日本人の議論の下手さの理由であり、国内世論ではなく、外圧に屈してしまう理由でしょう。
要は国内で成熟した議論ができないから、外の意見に従わざるを得なくなる。
嫌ばかりを言って、自身の政治的責任は果たさない。まさに「偽善」でしょう。

同じく「偽善」から連想されるのが「正義の名の下の暴力」です。
今年は「アラブの春」と呼ばれたようにインターネットが重要な役割を担い、
中東地域を中心に市民運動が行われましたが、
一方で政権打倒後のエジプトやリビアといった国々が安定したかといえば、そうとは言い切れず、
結局は「現体制に対する反発」という意味合いが強すぎて、
半ばアナーキズムに近い未来像が無い革命に終わってしまったように思います。
インターネットは「扇動」にはもってこいのツールではあるものの、
その先にある「対話」「議論」までは及ばなかった感があります。

日本に目を向けてみると、流行語大賞を取った「なでしこJAPAN」、
代表選手に東京電力出身の選手がいましたが、彼女らが東電を擁護するような発言をネット上ですると、
それに対して中傷とも言える発言を行って荒らしたり、
ツィッターによって有名人の行動が報告されて問題になったりと、ネットの弊害も目立ちました。
彼らからすると、面白半分だったり、正義感からの行動なのかもしれませんが、
それが公平な第三者から見ると、とんでもない行動であったりすることはよくあることです。
自分の正義だけで見るのではなく、反対側からも見つめられる視点の多さを持って欲しいと感じることが多かったです。

同様の傾向は報道の質の低下にも見られることで、
例えば小沢一郎氏の強制起訴問題、まだ決着は付いていませんが、小沢氏の無罪が濃厚な状況です。
小沢氏を強制起訴に駆り立てたものは何だったのか、検察審査会の問題もありますが、
起訴するべきという世論を作ったマスコミにも大きな問題があることは間違いありません。
先日の沖縄局長のレイプ発言にしても、後日の報道では実際に見聞きしたマスコミは少なかったようで、
主に地元紙の報道を追うような形で大々的に報道されてしまい、実際の発言の真偽が確かめられることはありませんでした。
政治に対する監視という意味でも批判報道は必要なことだとは思うものの、
最近はそれを越えて、クレイマーのように難癖を付けた批判報道が目立っているように思えます。
公正な視点があるからこそ、批判報道は意味を持つのであって、
最初からどちらかに偏った立場で報道することは、戦中の大本営発表に従ったマスコミと何ら変わりがありません。
それが分からなくなっているマスコミも多くなってきており、
週刊誌のゴシップ記事並みに落ちてしまった報道に危うさを禁じえません。

昨年から続いている検察の問題も同様。
大阪地検特捜部主任検事証拠改ざん事件で明らかになった検察の「偽善」、
Winny事件で無罪が確定したことで、今後は京都地検も批判にさらされることでしょう。
Winny事件を、ごく簡単に言えば、刀を作っている鍛冶屋が殺人幇助で罪を問われるかという話であり、
勿論、刑事事件と知財事件を同列には語れないものの、そういったバカらしさを秘めた事件だったわけで、
そんなイチャモンを権力機関にやられては困るという感じですよね。
「正義の名の下の暴力」、「偽善」を感じずにはいられない事件でした。

いずれの問題においても言えることは、総じて視野が狭い。
自分達の理論だけで組み立ててしまい、そこに疑問を挟む余地がない。オリンパスの不祥事もそうでしょう。
東日本大震災でさらに思考が内向きになってしまい、この視野の狭さは恐怖です。

湊さんは今年を「激」で現そうとしましたが、おそらく来年が「激」でしょう。
政治だけ見ても、アメリカの大統領選挙を始め、主要国の選挙が目白押しで、
そのいずれもが現政権に対して逆風、順風に思えたロシアでさえ、逆風が吹き始めています。
世界が激動の変化を迎えつつある来年において、今年の日本人の視野の狭さが対応できるとは思えません。
的外れな批判を繰り返し、世界から取り残されないように、
私達は常に反対の視点を持ちながら、天秤のバランスの中で物事を決断していかなければならないように思います。


◆プロ野球 2012年の埼玉西武ライオンズ 投手編
今オフにおける投手の戦力異動を簡単にまとめると、
左腕エースの帆足投手がFAでソフトバンクへ、セットアッパーの許銘傑投手がオリックスへ、
リリーフを担っていたシコースキー投手とグラマン投手がそれぞれ退団、
入団したのは阪神戦力外の桟原投手、巨人戦力外のマイケル中村投手、
新外国人左腕のウィリアムス投手、秋の入団テストで好結果のゴンザレス投手、
ドラフトで即戦力右腕の十亀投手、左腕の小石投手が加わったという形です。

帆足投手と許銘傑投手の抜けた穴は大きくはありますが、
野手に比べて投手陣は中堅・ベテラン頼みになっている面が強く、
世代交代を推進していかなければならなかっただけに、却って良かったのかもしれません。
帆足投手は石井一久投手との二択で、石井投手の成績が落ちていただけに残留ならリリーフ転向の可能性もありましたが、
帆足投手が抜けたことで、ベテランの石井投手にはもう一頑張りしてもらわなければいけなくなりました。
勿論、一番の期待は菊池雄星投手の成長ではありますが、石井投手の復活も期待したいところです。
戦力外組の桟原投手とマイケル中村投手がどれだけやれるかは正直分からないです。
桟原投手は故障からどれだけ回復しているのか分かりませんし、
マイケル中村投手も巨人移籍後はさっぱりだっただけに、戦力にならない可能性もあります。
ただ、マイケル中村投手に関しては巨人移籍直後に見た時は組み立てが変で、持ち味を殺していた感があり、
考えて見ますと、日ハム時代も抑え捕手としてベテランの中嶋捕手がマスクを被ることが多く、
キャッチャーのリードで大きく変わってくる投手なのかもしれません。
新外国人は未知数で、ゴンザレス投手は秋のキャンプで好結果を残したので期待していますが、
コロンとした体型なだけに、体重オーバーでキャンプインを迎えるようなことがあると心配です。
十亀投手と小石投手は即戦力で働けそうですが、問題はどこで起用するか。
特に小石投手は帆足投手が抜けたことで先発の機会が増えそうな感じですが、
2人とも当初はリリーフでスタートすることになるのでしょうかね。
いずれにせよ、先発陣が豊富とは言えなくなっただけに、先発のチャンスはありそうです。

新戦力とその穴の分析はここら辺にして、来シーズンの投手におけるポイントは、
「エース」と「抑え」でしょう。
今シーズンは涌井投手と岸投手が揃って不調で二桁ならず、苦しいシーズンとなってしまいました。
来シーズンはソフトバンクが和田・杉内投手が抜け、日ハムはダルビッシュ投手が抜ける可能性が高く、
楽天も岩隈投手が抜ける可能性が高いということで、エース対決は絶対に勝利しなければなりません。
涌井投手と岸投手、そして抑えから再転向の牧田投手と3人の右腕がレベルの高い争いをすれば、
先発投手陣の層は自然と厚く感じられることになるでしょう。
まずは主力投手がしっかりとすること、そこがポイントですね。
二つ目は抑えを誰にするのか。
現状では新外国人投手のウィリアムス投手とゴンザレス投手を当てはめるようですが、
二人とも未知数なだけに、抑えとして固まるかどうか不安が残ります。
個人的にはセットアッパーとして活躍した岡本篤志投手に期待しています。
とりわけシーズン終盤は試合の流れを左右するような絶体絶命の場面でマウンドに立ち、
相手を力で捻じ伏せて抑えることで味方の士気を高め、数多くの逆転勝利の立役者となり、
シーズン後半は許銘傑投手以上の、牧田投手に並ぶ活躍を見せてくれました。
この投手で打たれたら諦めがつく、そういった風格を身に付けてきただけに、
最後を任せるには適任のように思います。
5月頃に一時抑えを務めましたが、その時は最後に投げさせられているという感じが強く、
頼もしさはまだなかったために失敗してしまいましたが、
今の岡本篤志投手なら、抑えで使っても抑えることのできる精神力を身につけているはずです。

以上のことから、投手陣の起用法を考えて見ますと、
[右先発] 涌井、岸、牧田、西口、大石、岩尾
[左先発] 石井一久、菊池雄星、中崎
[右中継] 野上、木村、十亀、平野、坂元、桟原、藤原、田中、藤田
[左中継] 小石、星野、松永、武隈、ウィリアムス、江草
[抑え]  岡本篤志、ゴンザレス、マイケル中村

先発投手は、涌井・岸・牧田・西口・石井・菊池でほぼ確定。
ベテランの西口・石井一久投手頼みなのは辛いので、
2年目となる大石投手やルーキーの十亀投手と小石投手が谷間や緊急時で投げてくれれば。
リリーフではクライマックスシリーズでも投げた野上投手に期待してます。
投げっぷりがよく、チェンジアップも効果的なだけに、
許銘傑投手に代わる8回のセットアッパーとして活躍してくれれば。
7回のセットアッパーには今シーズン7・8月に活躍した木村投手、
ルーキーの十亀投手が務めるようになれば、フレッシュさも加わり、頼もしい感じです。

総じて言えるのは、投手陣に関してはあまり悲観していません。
可能性的には若手が全く育たず、サッパリという可能性もあるものの、
一方で今年のホークスのように若手が一気に開花する可能性も秘めています。
チームの中心となる涌井・岸・牧田・菊池雄星投手らがグイグイ引っ張っていく展開になれば、
非常に面白い投手陣になるかと思われます。

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