« 猫撫ディストーション | メイン | だいびんぐ中。 »

オタクの宿命(サガ)

第一に、お金がかかる。これは異論のないところでしょう。
自分の興味を持ったものに邁進し、その分、興味の無いものへの投資を削る、
そうやってオタクは生きています。

第二に、常に学ばなければならない。オタクは博識でなければなりません。
最近のアニメでは、昔のアニメを元ネタにしたパロディを入れてみたり、
昔のお笑い番組で使われたギャグを用いたりと、
ネタの二重三重の用い方がされていますから、
オタクがそれらのアニメを楽しむためには過去のアニメやギャグを知っていなければなりません。
同様に、人間の創作物たるものは、あらゆるものから影響を受けているので、
古典文学と呼ばれる名著や哲学・宗教、伝記モノでは歴史や民俗学、
SFでは物理学や天文学、現代の問題を扱ったものでは今日的な政治観や倫理観、数多くのものが要求されます。
当然、それら全てのものをオタクが最初から身につけているわけでもありませんので、
常に自分の興味分野を愉しむために、知識を取り入れていかなければならないわけです。

オタクの道を極めることは、もはや哲学です(苦笑)


◆ゲームレビュー 『猫撫ディストーション』
そんなわけで、全てプレイし終わりましたが、最後の方は少々難しかったですね。
詳しくは後述しますが、柚と琴子のシナリオに関してはもう少し解説が欲しかったです。
前回は「シュレディンガーの猫」の簡単な解説をしておきましたが、
それだけでは足りない、物理学の浅く広い知識が必要な感じです。
つーわけで、上にも書いたように、オタクであるためには学ばねばならないのです(苦笑)

一応、色々と参考資料を探している最中ですが、私が今読んでるのは、
講談社ブルーバックスの『マクスウェルの悪魔』と、
『別冊ニュートン ニュートン力学VS量子力学』の2冊、とりあえずこれで戦えるはず。
特に後者は世界の決定論と非決定論をメインに編集されているので、
『猫撫ディストーション』のテーマとピッタリ一致していると思います。
ゲームの内容がよく分からなかったという人は、
図書館等で上記の本を探してみてください。
私は前者はほぼ読み終わり、後者はパラパラと見てチェックした段階、
数日中に図書館に出かけて読んでみようかと思っています。

話を戻しまして、『猫撫ディストーション』に関してですが、
話の内容はともかくとしても、世界観の説明を抜きにして語ることはほぼ不可能です。
性質上、どうしてもネタばれが必要になってきてしまいますので、
そういうのを一切見たくないという人はご覧にならないでください。
今日は普通にレビューなので、できるだけ濁して書きます。

まず、全てを終えてみると、シナリオの最後の部分が人によって理解の差が出てしまったように思います。
残念ながら、必ずしも適切な説明がなされていませんでした。
人によっては単なる「夢オチ」と解釈した人もいるかもしれません。
でも、私はそれは正確な理解ではないように思えます。
理由は明らかで、あくまで最後の部分はオマケに過ぎないからです。
メインのシナリオはきちんとあり、それと連関する形で最後の部分が描かれているのですから、
最後の部分を敢えて切り離す必要はなく、メインシナリオを通して理解するべきでしょう。
そう考えると、最後の部分は「主人公=プレイヤー」と置き換えるべきで、
実世界への活かし方を説いたに過ぎないと考えます。

改めて『猫撫ディストーション』の世界観を簡単に説明すれば、
何枚もの紙(世界)が平行に並んでいたとして(平行世界)、
それを主人公という「観測者」を中心にホッチキスで止めた世界、と言えば分かりやすいでしょうか。
その世界ではある役割を与えられた人間がいて、
姉の結衣は「ニュートン物理学の象徴」であり、「絶対零度の悪魔」として存在し、
母の式子は「生物学の象徴」であり、「母なる自然」として存在し、
妹の琴子は「量子力学の象徴」として存在しています。
姉の結衣の「悪魔」という表現が日本人的には悪い印象で聞こえてしまいますが、
数学・物理学での「~の悪魔」というと、不可能を可能にする存在という意味で使われますので、
正しい日本語訳は「神の所業」が相応しいと思われます
(おそらく一神教と多神教の違いでしょう。神は1人なれど、悪魔は複数いますからね)。

ニュートン物理学を突き詰めると、世界は既に決定されている(決定論)となり、
最終的には熱的終焉を迎えて世界は滅びると解釈されます。
一方で量子力学では、「シュレディンガーの猫」に代表されるように世界は決定されていない(非決定論)であり、
可能性は複数存在すると解釈されます。
結衣と式子のシナリオをプレイする上では、上記のことを理解しておかねばならず、
最終的には式子の視点、世界の非決定論を中軸に据えて、物語を通しながら、
世界の見方を考えていくのが『猫撫ディストーション』という作品です。

こうやって説明すると、非常に堅く、難解なシナリオのように思えますが、
基本は家族を中心に据えたアットホームな日常を描いているので、
小難しい感じや悲壮感などはありません。
ただ、日常をこなしながら、キャラクターとの会話を通じ、
世界のありようを学んでいくというのがこの作品の流れです。
物理学の知識が多少は要求されるものの、数式とかは出てきませんし、
どちらかといえば哲学的世界観に近いものですから、それほど構えることはないと思います。
ただ、終盤が多少分かりにくいので、知識はないにこしたことはありません。
上記の知識があれば、ある程度は理解できると思われます。

最近は萌え系教養マンガも出てきたりしていますが、
やはりそういう読み物では説明が中心になりすぎていたり、
逆にキャラが前に出すぎていて何を言っているか分からないものになったりして、
結局は身にならないケースもあります。
あくまで『猫撫ディストーション』はフィクションの世界ではありますが、
現代の科学的分析や哲学を元にしながら、上手く作品の世界を構築しています。
物語を通して、現代の認識論を身につける上では非常に有用な作品のように思います。
考えさせられる作品をプレイしたい人にはおススメの一作ですね。


◆プロ野球ネタ 日ハム・梨田監督が退任、ロッテの瀬戸山球団社長らが退任
日本ハムの梨田監督は自発的な「勇退」という形を取っていますが…
ヒルマン元監督とは違い、母国に帰るわけでもなく、
他に監督としての引き受け先が決まっているわけでもないですから、
結果を残している監督が、特に大きな理由もなく辞めるのは不自然な感じがします。
それほど長期政権になっているわけでもありませんし…
…となると、以前スポーツ紙で話題になった時は梨田監督側からのアドバルーンで、
その結果、球団側の反応が芳しくなく、そのまま退任が決定してしまったということでしょうか。
退任発表以降、首位ソフトバンクとの差は広がるばかりで、
ここに来ての7.5ゲーム差は絶望的な数字のように思えます。
あとはクライマックスシリーズでの巻き返しに賭けることになりますが…

ロッテの瀬戸山球団社長と石川球団運営本部長の退団に関しては、
サブロー選手の巨人へのトレードが痛手になったように思います。
球団の赤字削減を目指し、経費削減のためにFAでの主力引止めを積極的に行わず、
清水直行投手やサブロー選手ら高年俸の主力選手をトレードで放出する一方、
若手の手本となる井口選手を獲得したり、スピードのある選手を集めて、
若い選手を育てながら勝つという球団スタイルへの変更を目指していました。
その過程で主力選手の放出はやむをえないわけですが、
メジャー志望を表明していた清水直行選手の放出はまだしも、
こういう言い方は変ですが、千葉ロッテに忠義を尽くしていたサブロー選手を、
同じ外野手の工藤選手と交換するという釣り合いの取れないトレードが、
ファンや球団トップの反感を買ってしまったように思います。
特に千葉ロッテ側に旨みがあったわけでもなく、
サブロー選手の放出は士気を下げるだけの大失敗だった気がします。
それが今回の退団劇の理由なのでしょう。

コメントを投稿

(いままで、ここでコメントしたことがないときは、コメントを表示する前にこのブログのオーナーの承認が必要になることがあります。承認されるまではコメントは表示されません。そのときはしばらく待ってください。)