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消費税10%に無条件降伏か

参議院通常選挙は民主の敗北、自民党とみんなの党の躍進という結果の模様です。
みんなの党の躍進、その他の新党の敗北は予想通りといった感じでしたが、
自民党の躍進をどう捉えればいいのか迷っています。
有権者は消費税10%を容認したと言っていいのでしょうか?
もう低所得者への還付も食料品の軽減税率も必要とせず、
無条件で消費税10%を呑んでいいと考えているのでしょうか?
さすがに、消費税に対しては民主党よりも自民党の方が先鋭的(タカ派)なことぐらいは
分かって自民党に投票したんですよね?
いやはや、予想以上に潔すぎる決断に私は敬服致しました。
自分自身を消費税増税論者だと思っている私でさえ、軽減税率は前提条件だというのに。
国民の潔すぎる決断に血の涙が流れる思いです。

…まぁ、おそらくはそこまで考えた決断ではなく、
「消費税増税」という言葉だけに踊らされ、その中身を見ることなく、
自民党も民主党も消費税増税は変わらないと考えちゃって、
どうせ政権交代にはならないからと、民主党にお灸を据える意味で、
自民党に反動的に投票した人が多かったのだと推測します。
まぁ、民主党が実際に消費税をどう考えているのかはっきりしない面もあるだけに、
自民党と同じく無条件増税に踏み切る可能性もあったわけですが、
少なくとも自民党よりは消費税の逆進性を考えてくれるという期待がありました。
それが他の人にはなかったということなのでしょう。
結局、日本の国民は消費税導入から20年以上経っても、なお、
消費税制度を真正面から見据えることができていない現実が浮き彫りになった気がします。
その結果が無条件降伏とは、いやはや、見るも無残かなという感じがします。

私の事前の予想では、悪天候で投票率が伸びず、
それでも勢いのあるみんなの党が躍進し、組織票を持つ公明党が堅実に確保、
消費税の議論の影響を追い風に共産党と社民党が多少伸び、
民主党が一番割りを食い、自民党がその次に減らすかなと見ていました。
それだけに自民党の勝利は、民主党に対する厳しい反応を感じるとともに、
消費税への諦めムードを感じさせるものとなりました。
共産党と社民党は私も支持する気にはなれないんですが、
この2党が死んでしまうと、保守政党ばかりとなってしまい、
一般国民に多大な影響を与える社会政策が置き去りにされ、
国民生活・労働者の権利が置き去りにされるのではという不安が強まります。
両党が現実的判断を提示できていない点に問題があるっちゃあるんですが、
国民生活の視点がこのまま政治から消えてしまうのではないかという危惧を感じています。
一応、連合が支持する民主党がいますけれど…
労組も労働者の権利を代弁しているとは言い切れない面があるだけに、ちょっと複雑。

まぁ、しかし、日本の国民はこの国をどうしたいのだろうか。
政治家がそれを提言できていない感は否めないけれども、
国民の方もそのビジョンを描けていない気がします。
自分も決して他人のことを言えるわけではありませんが。
このままでは政治は混迷する一層でしょうなぁ…
そして表層だけで揉めて何も解決せずに刻が過ぎてゆく…


◆追記 一夜明けての選挙結果
同じ話題なので、今日は追記という形で書かせていただきます。
一夜明けてみると、想像以上の民主党惨敗でしたなぁ。
仮にみんなの党と連立を組めてもアウトというビックリの結果でした。
一方の自民党は大勝。
もう少し批判票が自民党に行かず、みんなの党に行くと思ったんですが…
それだけ根強い支持が残っているということなんでしょうか。

ただ、選挙結果全体としては自民党の大勝となりましたが、
比例では民主党が一番であることに象徴されるように、得票数では民主党が上で、
2人目の候補の落選による死票が多くなった模様です。
民主党を完全には見放したわけではないものの、
ちょっとお灸を据えてやるかの行動結果が大惨事になった、感じです。
結果を見ると、その批判票の受け皿はみんなの党に回ったと見るべきでしょうか。
自民党に回ったかどうかはよく分かりません。
選挙速報を聞いていても、伝わってきたのが「公明党支持層の票」、
つまりは自公政権崩壊後も創価学会の票は自民党を中心に動いていた模様です。
政策的には唯一こだわりがあると思われる国民生活関連のものは、
民主党の方に近いように思えるんですが、自民党の方が御しやすいと考えてるのでしょうか。
自公政権崩壊後も自公の繋がりは続いているみたいです。

関心が高いと言われた割には、投票率は前回よりも低下、静岡県でも伸び悩みました。
そう考えると、消費税反対の人は、熱心な旧社会党支持者や共産党支持者を除いて、
諦めムードで投票には行かなかった、もしくはみんなの党に反対票を託し、
前回の選挙で自民離れを起こした自民党支持者が再び自民支持に戻り、
浮動票を取り込めなかった民主党が負けるに至ったといったところでしょうか。
自民党を支持する団体は減っているようですが、個人のレベルで見ると、
なかなか投票行動は変わらないみたいですね、ウチの親父もそうですけど。


今後の政治に関してですが、連立の変更は無理な雰囲気ですので、ねじれ国会が決定的、
まぁ、それ自体は別に問題はないのですが、
問題なのは与野党で法案ごとの協調路線が取れるのかどうかという点です。
民主党の国会運営の拙さは私も批判するところですが、
法案とは直接関係のない政治とカネの問題を殊更に取り上げ、
法案審議や国会運営がまったく進まないようなことは止めてもらいたいです。
民主党の強引で準備のない国会運営も嫌ですし、
自民党の細かいことをネチネチ付いて政策を議論しない姿勢も勘弁願いたいです。
そういう意味では民主党だけでなく、自民党にも変化を求めたいのですが…
変わらないでしょうなぁ… 今回の勝利に浮かれるだけで…
調子に乗って衆議院解散とか求めたら興ざめです。そしたら、また負けるんでしょうが。
その繰り返しになることなく、政党の健全なる成長を望みたいです。


あと、今回の選挙戦を通して違和感を受けたのは、「ブレてる」という言葉です。
自民党政権時代に帰れば、麻生総理の選挙内閣、鳩山総理の普天間問題、
そして今回の管総理の消費税発言ですが、
私の感覚からすると、「ブレてる」とは思えなかったりします。
私が「ブレてる」と思うのは、子ども手当てを支給するといって支給しなかったり、
消費税の増税を掲げておいて、反対にあったらすぐに撤回したりと、
そういうのが「ブレてる」と感じるわけで、大枠のやる・やらない以外の細部に関しては、
変更することも普通なんじゃないのと思っちゃいます。
勿論、こういう姿勢がポピュリズムに繋がり、大衆迎合的なバラマキ政治に繋がる危険性もありますが、
逆に「全くブレない」という姿勢は、民意を聞かないということを意味し、
独裁に陥りやすく、国民の立場からすれば困るのではないでしょうか。
政策のやる・やらないを改めるのではなく、政策をどうするのかという点で、
国民の反応を伺うことはむしろ健全なようにも思えます。
政治家が発言をコロコロ変えてはいけない、一国一城の主がそうそう態度を変えてはいけない、
という意見も分からないではないですが、
国政は企業の社長のように沢山いるわけでもなく、日本の首相はたった一人なわけで、
また、失われた10年に象徴されるように国政の失敗は取り返すことが困難なことを考えれば、
独裁に走らずに、民意の反応を伺うことも一つの手ではないかと思います。

政治は信じるものは救われるといった話ではなく、0か1かで解決せず、
0を幸福にすれば1が不幸になり、0を不幸にすれば1が幸福になるような話で、
必ず利益を受けるもの、不利益を受けるものが発生するのですから、
真ん中付近で妥協するのか、ある政策では多少0寄りに、別の政策では多少1寄りにとするのか、
そういった調整が最も大切とされる分野です。
その調整度合いを「ブレてる」という発言で一蹴してしまうのは危険なように思えます。
政策決定のプロセスとして、民意を伺うことも認めるべき時期に来ているのではないでしょうか。

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