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パリーグは全日程が終了

注目のソフトバンク・王監督の最終采配試合は、
延長12回で0-1でソフトバンクがサヨナラ負け、
東北楽天が山崎武司選手のサヨナラタイムリーで勝利し、
5位・東北楽天、6位・ソフトバンクが確定しました。
試合は最下位争い(適切な言い方をすれば5位争いですが)にも関わらず、
首位攻防戦のような熱戦、田中・杉内両投手による投げ合いとなりました。
田中投手は高卒新人2年連続二桁勝利をかけて、
杉内投手は最多奪三振のタイトル獲得をかけての登板でしたが、
杉内投手は単独でのタイトル受賞を決め、田中投手は熱投報われず9勝止まり、
試合結果とは逆に好対照の結果となってしまいましたが、
1点を争う好ゲームだったと思います。

…しかし、なぁ… 延長12回表、1アウト1・2塁で松中選手という、
ソフトバンクにとって最高のお膳立てがなされたのにも関わらず、
結果は初球打ちのセカンドゴロ併殺打…
思わずズッコケてしまう終わり方になってしまいました。
今季の松中投手は成績的には復活を果たしたものの、
ここ一番という所では打てていなかった印象がありますよね…
今季のソフトバンクを象徴する終わり方にちょっと寂しくなってしまいました…

それでも試合後の野村監督による王監督への花束贈呈はなかなかに良いシーンで、
「王監督、お疲れ様でした」という言葉が素直に出てきました。
西武黄金時代が終焉を迎え、パリーグ全体が混迷の時期に入りつつあった95年に監督へ就任し、
色々な苦労を重ねながらもホークスをBクラスの常連から優勝争いへの常連へと引き上げ、
地域密着というパリーグにおける新たな潮流を呼び込むことに成功したのは、
王監督の広告塔としての働きがあればこそだと思っています。
パリーグを盛り上げてくれてありがとうございました、と王監督に感謝の念を伝えたいですね。


◆今シーズンの埼玉西武ライオンズ(2)
一昨日の話の続きです。
今日は先発・リリーフに関してです。


ライオンズの先発投手陣は、長年、松坂・西口投手という2大エースがいたため、
先発3本柱は毎年安定した成績を残していました。
(3人目は張誌家・帆足・涌井投手など変遷を辿りますが)
ただ、4番手以降は年によって成績が異なり、
その成績がそのままチーム成績に繋がることが多いです。
先発投手に苦労するかしないかはその年のチーム成績を示すバロメータになっています。

そういう意味では、今年のライオンズは先発投手に苦労することはありませんでした。
エースの涌井投手がやや安定感を欠き、昨年のような好成績を残せず、
絶対的な投手こそ生まれませんでしたが、
涌井・岸・帆足・石井一久・西口投手と二桁勝利の先発4人と8勝投手の5人に加え、
キニー・許銘傑・平野投手が谷間で投げ、一定の成績を収めるなど
先発の頭数が足りなくなることはありませんでした。
大沼投手をリリーフ一本にできた点に今年の先発投手陣の豊富さが示されているように思います。

この先発投手陣の豊富さを呼んだのが、FAによる石井一久投手の獲得です。
石井投手の獲得により、涌井・岸・西口投手に続く4番目の先発投手が確定となり、
成績の方も中盤から後半戦にかけて勝ち星が伸び悩んだものの、
11勝を挙げるなど、先発投手としての働きをしっかりとこなしてくれました。
そして、それ以上に大きかったのが、石井投手の獲得により危機感を強めた帆足投手の復活です。
当初は先発5番手で、日程に余裕のあった3・4月には先発が一回飛ばされるなど、
それほど期待感は高くなかったんですが、
1点台の防御率で安定感抜群の投球を見せるようになり、一躍左腕エースへと成長しました。
石井投手の獲得は先発投手を2人増やしたことになり、
FA補強は大成功だったと言えるでしょうね。

また、シーズン序盤は2年目のジンクスに苦しんでいた岸投手でしたが、
シーズン中盤からは内容が一気に好転し、後半戦は連勝続きで、
帆足投手と並ぶ先発の軸としてチームの優勝に大きく貢献しました。
序盤はランナーを出すと、やや神経質になりがちで、粘ることができなかったんですが、
同時期に西口投手がストレートの球威が足らずに苦しんでいた時に、
フォームの反動を強くして腕の振りを強めて復活の糸口を掴んだように、
岸投手も腕の振りを強くすることで、本来の躍動感あるフォームを取り戻し、
キレのあるストレートが戻ってきて完全復調となりました。
西口投手が岸投手に具体的なアドバイスをしたのかどうか定かではありませんが、
何らかの影響があったようには思います。
こういった先発投手陣の相乗効果が今季のライオンズには現れていたように思います。

エースの涌井投手は10勝11敗と苦しみましたが、
シーズン前半はダルビッシュ投手と投げ合うなど、エース対決が多く、
なかなか波に乗ることができなかったことが響いてしまったように思います。
シーズン中盤はストレートの力が増し、かなり投球内容が好転したのですが、
北京五輪帰国後はやや疲れが出てきたのか、投げる度に内容が悪化していった気がします。
粘れていないというよりも、疲れているという印象を私は受けていました。
涌井投手は絶対的な力で抑える投手ではなく、7回3失点ぐらいに安定してまとめるタイプなので、
エース対決とかには向かないのかもしれないとも思ったり。
シーズン中盤のピッチングなら十分行けそうですが、それをシーズン維持するのも大変でしょうから、
そこをどうするのか、シーズン通してのペース配分が来季の課題となりそうです。


リリーフでは、何といっても、抑えのグラマン投手の安定感が光りました。
優勝を逃し、大逆転負けを喫した9月23日の試合まで防御率は0点台、
打たれても防御率は1.42、抜群の安定感でチームの勝利に大きく貢献してくれました。
9回はグラマン投手に任せられるので、そこまでどう繋ぐかだけを考えればよく、
それだけでなく、8回のセットアッパーが崩れかけた時には、
8回途中からでもマウンドに上がり、後続を抑えてチームに勝利をもたらすなど、
ストッパーをこなすだけでなく、セットアッパーをも補う活躍を見せてくれました。
他のパリーグ球団は抑え投手に苦しむことが多かっただけに、
グラマン投手が一年を通して安定感ある投球をしてくれたことは、
チームにとって非常に大きかったと思います。

課題であった8回のセットアッパーは、
シーズン前半は岡本真也投手、中盤は正津投手、後半は小野寺投手と変遷を辿るなど、
抑えたり打たれたりを繰り返しましたが、
総合的に見れば、それなりの結果だったのではないでしょうか。
余計な四球から失点することがあっただけに、印象的には悪いのですが、
結果としてはそう悪くはなかったように思います。

リリーフ全体を昨年までと比較すると、
セットアッパーの三井投手の不調、
岩崎・山崎敏・山岸投手といった若手リリーフの不振が誤算となりましたが、
その代わりにセットアッパーの岡本真也投手の獲得、
星野・正津投手の復活、大沼・谷中投手の再生により、戦力的にはダウンしませんでした。
抑えのグラマン投手という軸がしっかりと定まっていた分だけ、
今年の方が安定した戦いをすることができたように思います。
まさにグラマン様様。
今年のライオンズリリーフ陣は安定しているとは言わないまでも、
最後まで崩れなかったのはグラマン投手のおかげでしょうね。

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