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西武「裏金」問題

なんか予想以上の反応になってますなぁ…
正直、ここまで大きく報道されるとは思いませんでした。
ある意味、「時代」なんですかね。良い意味でも悪い意味でも。

かなり誤解されている節もあるようなので、論点を整理しておきます。
04年8月に巨人が一場投手に対して栄養費を払ったのが問題となり、
同年10月に横浜・阪神の栄養費が明るみに、
それを受けて05年6月に12球団で「倫理行動宣言」を採択、
スカウト活動における選手側への利益供与を禁止しました。
さらに今年の3月中旬に今季のドラフト制度を正式決定する予定になっていて、
倫理行動宣言に違反した場合の罰則規定も決められる方向となっていました。

栄養費事件や倫理行動宣言採択前のプロ野球は、裏金の噂が絶えませんでした。
特に故・根本陸夫氏が西武・ダイエーの監督・フロントに就任していた80年代から90年代は、
「囲い込み」や逆指名制度における「裏金」が横行していたと言われています。
(根本氏に関しては、こちら参照のこと)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A0%B9%E6%9C%AC%E9%99%B8%E5%A4%AB
ただ、その時はまだ噂程度で、週刊誌でちょこちょこ記事が出る程度だったんですが、
一場投手の事件で巨人・横浜・阪神がタクシー代・栄養費の存在を認め、
裏金があったこと初めて証明されたわけです。
もちろん、これ以外にも多くの噂があったわけですが、
それらが露見すると球界そのものが保てなくなる危険性がありますから、
以前のことは水に流し、今後は裏金を使わないようにしようというものが「倫理行動宣言」です。
裏金は一場投手の件以外に「なかった」のではなく、
「なかったことにした」わけです。

今回、再び金銭の授受が明らかになったわけですが、
B投手(木村投手)への270万は04年1月から04年9月までの間であり、
倫理行動宣言採択前のことです。
04年8月の巨人の騒動の後にも渡されていたことは多少問題もあるでしょうが、
木村投手の母親は当時入院中で04年10月に死去していることから、
木村投手を03年ドラフト時に「囲い込み」、東京ガスへの就職を斡旋した経緯から、
母親の存命中はお金を振り込み続けたということでしょう。
その後は一定の義理を果たした、もしくは振込先の口座が閉鎖になったために、
支払われなくなったと考えられます。
いずれにせよ、こちらは倫理行動宣言採択前のことですから、
(贈与税がどう処理されたのかの問題や、
 アマチュア球界との協定に違反するという問題は残りますが)
プロ野球界としての問題は少ないように思います。

問題はやはりA選手(早稲田)のケースで、
こちらの場合も囲い込みで契約がなされたのは03年秋~04年冬の時点、
父親の話では一度目の入学時に支払いがなされたとされていて、
ここまではB投手と同じ流れです。
ところが、こちらは05年10月に残金500万円が振り込まれたとされており、
これは明らかに05年6月の倫理行動宣言採択後の利益供与で、同採択に違反します。
これが今回の問題の最大の焦点です。
西武側を擁護するならば、、A選手との契約は宣言採択前であり、
05年10月の振込みは新人選手獲得が目的ではなく、
約束どおりにA選手を獲得できない状況になったことに対する手切れ金であり、
(お互いに黙っていましょうねということ)
むしろ倫理行動宣言の理念に則ったものだとも言えます。
…まぁ、自分で言っててもアレですが。裏金の処理ですし。
それでも新人選手獲得の目的ではないとするなら、一定の理はあります。
だが同時に、倫理行動宣言は球界の浄化を約束したものなのだから、
疑わしい行為も当然してはならないと考えられるわけで、
今回のように騒動を起こした西武の対応は宣言に反するとも言えます。
結局、曖昧で罰則が定められず、
共同宣言的なものに留まっていたことのツケが出ている形となっています。
西武の取った行動に対する問題の焦点は、西武のA選手に対する05年10月の振込みの意思、
そして倫理行動宣言の解釈にあると考えられます。

それ以外にも、勿論、アマ球界との取り決めを破ったことや、
ここまで何の発表がなされなかった西武球団の対応の遅さ、
また倫理行動宣言そのものに現れている球界の隠蔽体質、
裏金の存在を認めてしまうドラフト制度など付随する問題は様々にあります。
今回のニュースを見聞きする時は、
まずどの問題に焦点が当てられているのかを中心に見てもらいたいです。
いきなりドラフト制度が悪い、完全ウェーバー制だとか言われても、
理論に飛躍がありすぎて、関連性が全く見えてきません。
完全ウェーバーなら裏金問題が全て片付くのかといえば違うわけですし。
色々なものが複雑に絡み合い、それぞれの主張を展開しようとする雰囲気があるだけに、
野球ファンや一般の視聴者は流されないように注意して見ていって欲しいです。
…ただ何度も言いますが、西武球団が起こした騒動そのものは許されません。
すんませんです…m(_ _)m


◆プロ野球 西武「裏金」問題
一つ分からなかったことがあるのですが、
東京ガス・木村投手はどうしてロッテ志望で、横浜の指名を拒否したのでしょうか?
高校時代に広島の打診を受けず、西武の囲い込みを受けた理由は、
社会人入団の契約金の高さ・入団保障、
そして入団時までの生活費の工面(月30万)で分かるのですが…
西武が太田体制に代わり、裏金の選手を獲得しないと通達されたであろう時は、
12球団OKの姿勢に一時的になったものの、すぐに在京パ→ロッテ志望に。
在京パが西武を指していて、引っ込みが付かなかったからロッテになっただとか、
裏切られた西武を見返すためにパリーグに行きたかったとか言われていますが…
それらが横浜の指名を拒否するほどの理由とは思えないです。
それこそロッテと何か蜜月な関係なのではないかと疑われ、
自ら裏金情報を明らかにしかねない状況に追い込んだでしょうし…
裏金の発覚を恐れていたとすれば、
多少渋る姿勢を見せた後に入団していた方が利巧だったように思います。

もうここからは完全に憶測でしかありませんが、
ロッテは西武が木村投手に裏金を渡していた事実を知っていたのではないでしょうか?
今考えると、昨年6・7月頃にあったバレンタイン監督の「裏金は今でもある」発言は、
西武球団に対する牽制、並びに木村投手サイドに対する意思表示だった可能性も…
…まぁ、金額が違いすぎますし、その時点でロッテが木村投手を狙っていたかも定かではありませんし、
単にバレンタイン監督のオーバーアクションであったのかもしれませんが。
それでも東京ガス側が04年6月の時点で裏金の事実を知っていたわけですし、
その後に来た首脳陣、八木沢投手コーチらが知っていたとしてもおかしくはないです。
最近のロッテスカウト陣は情報収集が巧みですし、調べが付いていた可能性もあるかと。
そう考えると西武の獲得断念後、12球団OKとなりながらも、
楽天の希望枠を蹴り、在京パとしてロッテ志望を表明したのは合点がいきます。
ロッテが西武同様に裏金を渡したと考えるよりも、
ロッテが裏金の事実を捕んだと考える方が合理的です。

その後、横浜の指名を拒否したことにロッテが絡んでいたかは…んー、分かりません。
そういう状況なら、木村投手側がロッテから情報が漏れることを恐れて、
その事実を知らなかった横浜を避けると考えるのが当然なのかもしれません。
…まぁ、結果的には発覚しちゃったわけで、元も子もありませんでしたが…
そう考えていくと、木村投手も判断が甘かったとはいえ、
現行のドラフト制度の被害者だったのかもしれません。
裏金と囲い込みに振り回された4年間だったかと… 正直、スマンかった…

この憶測が仮に正しいものだとするなら、
それじゃ朝日にリークしたのはロッテなのではないかと思えてきたり(爆)
まぁ、それはないでしょう。ないと思いたい(^^;
今回の発覚で木村投手とロッテとの関係も疑われる可能性はあるわけですから、
どちらかといえばマイナスイメージ、
今年のドラフトで木村投手を獲得できない可能性も強まりますから、考えられないでしょう。
…いや、まぁ、完全ウェーバー制導入の利の方が大きいと考えたり、
球界再編をもう一度と強く思っているなら話は別ですけど…
そういった節は全くありませんし、
もし仮にそうたとしても、週明けにでも第二、第三の爆弾を投下して、
ドラフト改革を決定付けるでしょう。
…まぁ、そんなことありえませんわな(笑) 同じパリーグの仲間~だし(爆)
球界全体のイメージ低下に繋がってしまったわけですし、
やはり球界内部からのリークではないように思えます。
変な憶測をして正直スイマセンでした、ロッテさん… ネタということでヨロ。


◆プロ野球 西武のオープン戦
4-2でライオンズが勝利。
オープン戦が好調すぎて逆に変な気分ですが、
こういった球場外が騒がしい時は、勝利が何よりもの薬です。ありがたい。

今日の先発はグラマン投手で、5回4安打1失点の好投で開幕ローテ決定。
ランナーを出した2回に連打を浴びるなどバタバタしましたが、
相手の走塁ミスなどもあって最小失点で切り抜けましたし、とりあえず良しでしょう。
ローテ定着のためにはランナーを出してからの投球がポイントですね。
盗塁も一つ決められましたし、開幕までにセットの投球を再確認しておいて欲しいです。
2番手のギッセル投手は、2回3安打1四球で1失点。
6回は3連打で失点するなど内容がイマイチ。
最後は三振ゲッツーで、相手の拙攻に助けられた形でしたし、うーん…といった感じ。
現時点での開幕1軍入りは厳しそうです。
それでも貴重な戦力には変わりありませんから、下でじっくり仕上げて欲しいっす。
3番手の山崎投手は2回無失点だったものの、3安打2四死球と内容はイマイチ。
球速も出てなかったようですし、どうやら1軍入りは厳しめ。潮崎道場でやり直してください。

打線では1番福地選手が3ベースヒットに、ソロホームランと2本の長打でアピール。
しかもホームランは課題だった右打席での一発、良いアピールになったのではないでしょうか。
足には定評がありますから、昨年以上の打撃を見せればレギュラーは確実。
移籍2年目も期待です。
2番片岡選手はチャンスを生かす2本のタイムリーヒットでアピール。
今日は中島選手が首を寝違えて欠場となり、ショートで出場。
打線では繋ぎ役、塁に出れば果敢に盗塁、守備では要の二遊間と、
ライオンズの野球には欠かせない選手になっただけに、さらなる活躍に期待ですね。

他には細川選手が2安打、江藤選手が2ベース、
中村剛也選手が途中出場でタイムリーとそれぞれ好結果。
特に中村剛也選手はしばらくヒットが出てなかっただけにホッとしています。
主軸であるカブレラ・和田選手の長打力が落ちてきているだけに、
新たな和製大砲である中村剛也選手にかかる期待は大きいです。
一昨年の交流戦時のようなホームラン量産を見せてもらいたいです。

心配なのは、赤田・カブレラ・和田選手の主軸の3人。
和田選手はヒット1本放ったものの、まだまだ調子が上がってきているとは言い難く。
打撃フォーム改造中なだけに、仕上がるのかが多少不安になります。
カブレラ選手は未だにノーヒット。まだ出場2試合目ですから、気が早いんでしょうけど…
やはり景気のいい一発を見たいというのが心情です。
赤田選手は選手会長・キャプテンということで、今回の騒動に心を痛めていないか心配です。
高卒入団で高校時代から有名でしたから、裏金騒動に巻き込まれることはないでしょうが、
真面目な選手で、自身の成績も伴ってませんから、追い込まれなければいいんですけど…
グラウンドで元気な姿を見せてくれればそれだけで励まされますから、
周囲の状況に負けないよう頑張ってもらいたいです。

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