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「備蓄米」のまさかの影響

さすがに価格が上がってしまうとは予想していませんでした…
輸入米を含めて、5月よりも300~400円ほど上がっています。
影響は少ないだろうとは思っていたものの、むしろ悪影響になるとは…

予想通り、政府の備蓄米は都市部を中心に配布されているようで、
地方では未だに備蓄米を見かけない状況が続いています。
そして、それを手掛ける小売店は備蓄米に安さの努力を費やしてしまうため、
今まで通常の米に費やしていた低価格の努力がなくなるだけでなく、
そこに安い外国産米との価格調整が加わった結果
却って国産米の店頭価格が上昇してしまう逆転現象が地方では起こっています。
つまり、備蓄米は米の価格を下げるどころか、
上げてしまうという皮肉な結果を地方にもたらしています…
結局、小泉農水大臣が5キロ2000円と提示した価格が、
小売店に備蓄米以外で儲けようという意識に繋がってしまい、
備蓄米を安値販売した分だけ国産米が割を食う結果になっています。
これを本末転倒と言います。

●「複雑怪奇」コメの5次問屋問題 専門家「集荷でいろんな人が入ってくるのは十分あり得る」
精米業者や配送業者を卸に換算しているとすれば、
当然そこに関わる人間は増えてくるでしょう。
ただ、今回の米騒動が始まる頃、昨年の8月頃の時点で、
道の駅での農家直売が5キロ2500円で、
当時の店頭で安いものは5キロ3000円、銘柄米なら3500円ぐらいだったので、
500~1000円程度の差異しかなさそうな感じです。
問題の根本がそこにあるとは思えないんですよね…

結局、問題の根本は、「単純な米不足」に尽きるわけで、
農水省が新型コロナの自粛時の数字を米に対する需要低下と予測してしまい、
昨年から米が不足し、さらに昨年の時点で30万トンの先食いをした結果、
今年も米が足らなくなってしまったわけです。
仮に備蓄米を30万トンが行き渡ったとしても、
需要低下の予測は変わっていないので、それでも米が不足するのは目に見えています。
一番の元凶は、転売ヤーでも卸売業者でもJAでもなく、
農水省のミスであることは明らかですが、未だにそのミスを認めていません。
論外です。

さらに今回の小泉農水大臣の備蓄米放出自体は良いことですが、
今回の備蓄米放出は輸送から何から全て政府負担となっているので、
具体的にどれだけのお金がかかったのかは調査しておくべきでしょう。
もしも、ごく一部の人にしか備蓄米が行き渡らなかったとすれば、
それにかかった費用は無駄と評価されかねません。
まだ影響は五分五分、この政策を評価するにはまだ時間が必要でしょう。
地方にも備蓄米が行き渡るまで1か月程度かかるという話で、
今の店頭に並んでいるお米の価格も1か月前水準と考えられるので、
6月いっぱいは逆転現象、米の価格の高騰が地方では続く可能性があります。
備蓄米の影響を受けてない地方は、1か月は米価格に注意した方が良いと思われます。


◆ニュースネタ 「電話が鳴りっぱなし」年金法案で立民に非難の嵐 「厚生年金の流用」イメージ払拭に躍起
うーん…個人的には文句が出ている方が不思議なんですけど…
何に文句あるのか、理論的に言ってもらえませんかね?
現時点で他の野党やニュース解説を見ても、納得いく文句は見当たらないんですが…

まず勘違いされているのは、流用されるのは「厚生年金積立金」であって、
各人が貰えるであろう「厚生年金」ではありません。
「厚生年金積立金」は年金制度を維持するために、
厚生年金から徴収して国が積み立てているお金であり、
元は厚生年金として徴収されても、厚生年金として配分されていないお金です。
ですから、それを流用した所で、厚生年金が直ちに減るわけではありません。
その流用条件も「年金の給付水準が著しく下がる時」という限定があるので、
すぐに年金の給付水準が上がるわけでもありません。
もしもの時の備えとして流用を認めたに過ぎません。
まぁ、それでも企業厚生年金を管理する側からすれば、
将来的な徴収量が上がるのではないかという不安もあるでしょうし、
そこそこ反対が予想される内容を盛り込んだことは、評価できると思います。

あと根本的な話で、年金制度は「積立方式」と「賦課方式」があり、
賦課方式は分かりやすく言えば、税金で賄う方式です。
戦後の日本は、戦争の被害を受けた老齢世代が少なく、若い世代が多かったため、
「積立方式」で年金制度が成立していましたが、
今は少子超高齢時代に突入しており、「積立方式」では対応しきれず、
「賦課方式」を混ぜ合わせる形になっています。
つまり、今の流れは、いかに税金で年金制度を充当するかになっています。
それが嫌だから、「積立方式」にすればいいというのは…
もう老人を全て殺し尽くすしか方法がないと言えます。大量殺戮者かな?
そんな状況で、国民年金制度の破綻が懸念されている中で、
もう一方の厚生年金の余剰金である厚生年金積立金に目を付けたのは、
根本的な解決にはならないとはいえ、一つの安心材料のはずなんですが…
どうしてこんなに反対を受けているのか、よう分からんです。

●「受給額が3147万円減るケースも」“遺族年金大幅カット法案”を検証 保障がどんどん削られる改悪の実態と盛り込まれた「配慮措置」のまやかし
これも今の時代に明らかにそぐわないでしょう。
この話の前提となっているのは「妻」で、稼ぎのある「夫」に先立たれたケースです。
逆の場合はどうかと言えば、「夫」の場合は55歳以上でなければ貰えません。
妻の場合は40歳未満でも貰えているのに、夫の場合は55歳以上でなければなりません。
つまり、この制度自体が戦前の家父長制を前提とし、
夫が戦死や労災で亡くなった専業主婦を支援する制度だったのは明らかです。
現状、戦死は自衛隊員しか想定できず、
労災認定も過去に比べれば格段にされやすくなったことを考えれば、
この制度だけを存続させておく意味の方が理解できません。

勿論、未だに男女の賃金格差は実際においてあることは認めますが、
それを遺族年金で逆支えする必要があるほどとも思えません。
現時点で貰っている年金世代はともかく、
いずれ廃止になるであろう制度を、
生涯貰える金額を算出して反論するのは、あまりにも勝手すぎる…
まさに反論のための反論と言えましょう。
それに何の意味があるの?


◆ニュースネタ 【リニア】水資源分野の対話完了に静岡市長がJRに「苦言」、島田市長は「注文」
実際にリニアの工事がどうなっているのか、最近の報道は全くないのですが…
一応、山梨県側の工事は1月8日に再開したらしいというのは分かっていますが、
その後は工事に関する報道は一切ありません。
田代ダム案が提示されてから2年、川勝氏が知事を辞めてから既に1年、
工事が加速するどころか未だに進んでないのは不思議な感じがしてしまいます。

●岐阜のリニアトンネル湧水対策工事、鹿児島の崩落事故受け中止に
湧水工事は有名な黒部ダムの工事を扱った『黒部の太陽』でも分かるように、
大変なリスクがあるのは分かるのですが…
だったら、最初からそんな所を掘るなよという話なわけで…
結局、地図を広げて一直線に引いた線で杓子定規に工事を進めるから、こうなるわけで…
工事現場の状況を考慮したものになっていないのが最大の問題です。
静岡県の場合は既に国鉄時代に水枯れさせられたので、
これだけ慎重に物事を進めたわけですが…
「戻せなくてゴメン、お金払うから許して」じゃないんだよなぁ…
生活に使う水なわけですから。
普通に環境破壊でしょ、これ。


◆アニメの話 『僕だけがいない街』から考える過去改変(ネタバレあり)
表題通り、『僕だけがいない街』はタイムリープモノに、
サスペンス要素が加わって面白い作品に仕上がっているんですが…
(↓以下、軽いネタバレを含むので追記に記載)

ネタバレになりますが、最終的に過去を改変し、
違う世界線に飛んじゃう展開になるんですが…
個人的には、こういう過去改変は嫌いなんですよね…

結局、こういう過去改変モノの理屈としては、
観測者である主人公の過去認識が変わることによって、
現代にも影響が出るという仕組みになっています。
物語の観測者は基本的に一人ですから、それは正しいようにも思えます。
しかし、実際に観測者は人間の数だけ存在しているわけで、
自分以外の観測者から見れば、自分もまた演者にすぎず、
人間の数だけ過去改変が可能となってしまいます。
ですから、仮に一人の観測者の過去認識が変更されたとしても、
他の観測者の認識が全て変わりでもしない限りは、
未来に影響を与えることは不可能だと考えます。
つまり、主観に基づいた過去認識(感情等)は変えることは容易であっても、
客観的な共通認識・歴史を覆すのは難しいと思っています。
それこそタイムマシンが完成し、過去の歴史的事実を変えたとしても、
途中で似たような歴史的事実が発生し、
未来は大きく変わらないであろうというのが私の見解です。

そういう観点で見ていくと、
過去改変である以上、改変された世界のヒロイン・愛梨は犠牲にならざるを得ず、
最後の展開はあまりにご都合主義だったと言わざるを得ません。
それならば、むしろ愛梨も過去改変してあの世界線に飛んだ、
つまり、元の世界の記憶を持っていた方が良かったんじゃないかと考えます。
愛梨の父親の話も、犯人の仕業で実は誘拐されかけていた、
といった展開も考えられるわけですし。
それ以外にも10話も、逮捕されてないのが不思議なくらいの杜撰な犯行で、
細かく見ていくと粗だらけで、サスペンスとしては楽しめませんでした。
そもそも、視聴者からすれば、2話でもう犯人の察しが付くわけですから…
そこを過去改変という形でまとめてしまったのが、そもそもの失敗だったと思います。

それならば、29歳の世界線=リバイバルできていた世界と、
過去の小学生時代の世界を全て「夢」としちゃって、
25歳の世界線が本当だったとすれば良かったと思います。
そうすれば、教育面の問題は生じますが、細かな粗は消化できたと思います。
あくまで過去改変も現実にあった記憶ではなく、一番理想的な展開にすぎず、
偶発性によって犯罪は阻止できたものの、
現実はもっとスムーズに行ってなかった感じにすれば良かったのでは。
そもそも、最初のリバイバルという能力自体がもう…夢っぽいし。

そういう意味では、全体的に面白かったものの、
結末というか考え方の面で賛同できなかった作品になった気がします。

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