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2015年埼玉西武ライオンズ総括(1)

直接対決のロッテ最終戦に敗北し、シーズン最終戦も落としてしまったライオンズ、
一方のロッテは終盤に連勝を飾り、昨日3位を決めてCS出場を決定、
これによってライオンズは4位確定Bクラスでシーズンを終えることとなりました。
…にも関わらず、田辺監督の続投が決定、
言いたいことは色々あるので、それぞれまとめながら今季の総括をしようと思います。

今日は総括の総括、「監督」「フロント」の総括です。


◆田辺監督の「監督」としての是非
総じて見れば、昨年の監督代行時と同じ失敗をしてしまったように思えます。
就任当初・開幕時はオーダーを固定し、良い形で打線が機能しましたが、
中盤くらいに不調な選手が際立つとオーダーをコロコロ代えて日替わりに、
結局はホームランに頼り切る打線となってしまい、
良い投手を打てずに完封負け=上位に勝てない打線となってしまいました。
一方の投手起用は就任当初・開幕からリリーフを酷使してしまい、
スタートダッシュに成功はしたものの、オールスター前に増田・高橋投手が疲弊、
オールスター後の大型連敗を喫する原因を作ってしまいました。
采配も真面目な性格が象徴するようにオーソドックスで、
東尾・渡辺監督のような博打勝負に出ることは少なく、
また、森・伊原監督のような用意周到さもない。
結論としては、人が良いだけの凡将、そう言わざるを得ない結果でした。

それは優勝したソフトバンクと比べればより顕著になります。
開幕時こそリリーフ陣の出遅れもあって、Aクラスそこそこな成績でしたが、
バリオス投手や二保投手ら経験の浅い投手を勝ち試合でも大胆に使い、
野手陣でも李選手や本多選手、内川選手といった主力が不調であったならば、
思い切ってスタメンから外したり、2軍調整を命じるなど、起用にメリハリがあり、
代役の若手中堅選手がそこでしっかり結果を残すことで、戦力をさらに厚くし、
8月以降は手がつけられない状態となり、独走でリーグ優勝を決めました。
確かに、戦力が最初から厚いソフトバンクならではの戦い方とも言えますが、
工藤監督は目先の1ヶ月に囚われず、シーズン終盤を目指した戦い方をし、
さらにはリリーフの酷使を防ぎ、2年~3年先も勝てる常勝軍団作りをしている意味で、
田辺監督とでは見ている先が明らかに違う、ということは確かでしょう。

凡将と名将の差として最も顕著に現れてしまうのが「負け試合」の内容です。
名将はさっと切り替えて、主力の使い減りを防ぎながら、若手を使って収穫を探す。
凡将は簡単に切り替えられずに引っ張ってしまい、
流れが決まった後に若手を出して見殺しにしてしまう。
負け試合はいかに犠牲を少なくして負けるのかが大事なのであって、
それができるかできないかが指揮官の良し悪しの判断材料になります。
その観点から、両監督を見比べてみると… 言わずもがなです…

もっとも、昨年を含めて、田辺監督のやり方が完全に間違っているわけでもありません。
昨年のライオンズは戦力不足にも関わらず、勝つための監督=伊原監督を据えてしまい、
ボロボロになった最下位のチームを立て直すためには、
田辺監督代行の一戦必勝のスタイルは悪くありませんでしたし、
開幕ダッシュを成功させたのも、自信喪失気味だったチームには良い薬だったと思います。
問題はそこから戦い方を切り替えられなかったことにあり、
開幕ダッシュ~苦手の交流戦とアクセルをフルに踏み続けてしまったことで、
チームがオールスター前にエンストを起こした、それが今年のライオンズだったわけです。

私は別に田辺徳雄氏が嫌いなわけではありません。
むしろ、現役時代のいぶし銀の活躍、
打撃コーチとして多くの選手を育てた実績、人柄を含めて好きな人物です。
ただ、監督には向いていない、そういう判断をせざるを得ない結果です。
我慢強い性格でもあるので、昨年のように選手を育てる状況には向いているでしょう。
しかし、今年のように勝たなければいけない状況では向いていない、そう思います。


◆田辺監督続投に見るフロントの無能さ
後任監督には潮崎2軍監督が事実上内定しているのにも関わらず、
どうして早々に田辺監督を続投させたのか、そこに今のフロントの問題点が隠れています。
監督としてはイマヒトツのことが分かっているのに続投させるのは、
監督としての器量よりも打撃コーチとしての器量が勝っているからでしょう。
つまり、監督を首にした後、打撃コーチとして流出することを危惧しているのです。
ならば、2軍コーチに戻すなりすればいいわけですが、
代行監督ならともかく監督経験者をそのように処遇した例はなく、
そこが監督交代に二の足を踏んでいる最大の理由だと思われます。

仮に田辺監督自身がコーチになることを望んだとしても、
球団フロントはやはりそれを良しとはしない可能性も見え隠れします。
それはライオンズのコーチ人事が純粋な実力主義ではなく、
OBの派遣雇用先としての意味合いの方が強くなってしまっているからです。
ライオンズのコーチで一度球団を去った後に、再度コーチに就任した例は多くありません。
土井正博コーチと伊原コーチ、大石コーチに杉本コーチ、ぐらいでしょう。
外部招聘には否定的で、成功しても短命に終わるケースが多く、
2軍昇格が格段に多いだけに、順番に回している印象を強く受けます。
それではチームに必要なコーチを呼べませんし、
また監督経験者をコーチとして再起用することもできません。
フロントにはコーチを回さなければいけないOBリストがたくさんあるわけですから…

そういった、ある種の「ぬるま湯」体質が近年は強くなっているように思います。
もし、昨年の監督が田辺監督で、今年が伊原監督であったのならば…
優勝も十分狙えたように思えます。
そういったトンチンカンな監督・コーチ人事を見ていると、
球団フロントは本当に優勝する気があるのかと疑わしくなってしまいます。
某球団ではありませんが、優勝すると年俸が上がるから5年に1回ぐらいで十分、
そう考えているのでは?と邪推してしまいます。
本気で優勝を狙うならば、OB中心の輪番人事ではなく、
監督の希望に沿った適切な人事を行ってもらいたいです。

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