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自己保身選挙

安倍首相によって衆議院解散が行われ、選挙モードに突入しました。
当初は「消費税増税の先延ばしを問う」という大ボケをかまし、
誰もが「争点になるわけないだろ」と痛烈にツッコミを入れる馬鹿話でしたが、
なんとボケじゃなくて天然か、笑えねー、と本当になってしまいました(苦笑)
お題目は「アベノミクスの是非」にすり返られたようですが…
政治とカネの問題に蓋をし(説明責任を果たさずに立候補する人もいますし)、
沖縄の民意を完全に無視し、地方創生や女性の社会進出もそっちのけ、
民主党と約束した議員定数削減も反故にし、社会保障・年金も置き去り、
東北の復興支援も道半ばという中、税金だけが投入されることに…大義なし。

そもそも、勝敗ラインの設定が無茶苦茶で、安倍首相は与党過半数に設定…
さすがにそれは低すぎるということで、自民党は修正したようですが、
要はどんなに負けても負けにならない選挙をやるつもりだったようです。
人々が忙しく、寒い12月に選挙を行うことで、政治的無関心を誘い、
低投票率を背景に圧力団体や創価学会の組織票で勝つ、そういう腹積もりなのでしょう。
絶対に負けない選挙…というより負けを認めない選挙…自己保身の何ものでもありません。

とはいえ、選挙が実際に行われる以上は、有権者は投票行動に出なければなりません。
争点はアベノミクスを含めた安倍政権の是非を問う選挙となりそうです。
集団的自衛権の拡大、特定秘密保護法の制定、憲法改正の是非等々…
日本を明治憲法下に戻すような安倍政権の一連の流れをどう評価するのか。
これに関しては、人によって支持・不支持がはっきりと分かれてくると思うので、
特に説明することもないでしょうから、ここでは焦点のアベノミクスについて考えます。


◆ニュースネタ 「アベノミクス」
「アベノミクス」と言葉がやや独り歩きしている感があり、
結局、その実態とは何ぞや?ということが分かり辛く、それが第一の問題となります。
一言で言えば、「ええじゃないか」です(笑)
日銀の大規模な金融緩和によって、水道の蛇口を大きく開いて水を大量に流し込み、
こんなにお金が流し込まれているのだから、大丈夫だよと安心させることで、
人々に経済は大丈夫という「錯覚による期待」を先行して与える手法です。

これが科学における「理想状態」ならば、ホースの先から水が大量に出るわけですが、
実際にはそのホースは穴だらけだったり、中にゴミが詰まっていて流れにくかったり、
中にはホースを二股に分けて水流を横取りされていることも…
現実にはチョロチョロしか出ないじゃないか、というのが今の状況です。
せめて水流によって中のゴミ詰まりが取れるといいんですがね~(苦笑)

それが消費税増税の直撃を受けたのも無理からぬ話で、
「期待先行」でホースの先で水が出るのを楽しみにしていた人達に、
消費税という名の大日照りに遭ってしまえば、現実を嫌と言うほど痛感するというもの、
そんな「期待先行」は消費税という現実の前にあっという間に屈してしまいます。
要するにアベノミクスと消費税増税は水と油、
それを一緒にやろうとしたから無理がたたった、そういうことです。
…にも関わらず、1年半の消費税増税は決定事項だと安倍総理は言う。
1年半の間にアベノミクスが完遂されていると見通せているのか、
それとも、思いつきだけの時間稼ぎ工作か。まぁ、思いつきでしょうね(苦笑)


もし「アベノミクス」を完遂させるとするならば、今のやり方は逆に手ぬるいです。
成功には、外需の取り込みが重要になるので、国際的競争力を高めた大企業が、
日本経済を常にリードし続ける形を作らなければなりません。
それにはトヨタ自動車のような企業を一社でも多く、
企業合併と買収を重ねながら、より強い企業を作ることが必要になります。
今はアメリカの好景気によって「外需」の取り込みがなされたことで、
大企業の企業収益が改善しているわけですが、
これで満足しているようでは見通しも暗いと言わざるを得ません。

それらがもたらす結果は「格差の拡大」であることは容易に想像が付くわけで、
一部の巨大国際企業と淘汰された国内弱小企業とに分かれてしまいます。
安倍政権が行おうとしていた、法人税減税、残業代0、職務発明の企業特許化、
派遣法改正による労働者派遣雇い止めの拡大のおそれ、
いずれも大企業優遇政策ばかりで、労働者の働き方を根底から壊すものばかりです。
「アベノミクス」の先にあるものは何なのか、それを正確に把握する必要があります。

追加して言うのならば、「アベノミクスがまだ行き渡っていない」、あれは嘘です。
アベノミクスは中小企業や一般労働者の隅々にまで恩恵が行き渡ることはありません。
考えてみて下さい。日銀が垂れ流したお金はどこに行くんですか? 銀行ですよ。
銀行はどこにお金を出しますか? お金の匂いのするところ、お金持ちにでしょ?
つまり、最初から中小企業や貧乏人は救済の想定外であり、
別件で保護するしかないわけですが、それをやらずに消費税増税・解散とはね…


他に経済対策はないのかと考えると、財政再建・社会保障重視路線があります。
「アベノミクス」が期待先行・外需拡大を特徴とするならば、
こちらは安心先行・内需掘り起こしを特徴とすることになります。
そもそも、国民がお金を使えないのは何故なのか?
老後の不安、年金制度に対する不信、老人介護の問題、派遣を始めとする雇用不安…
そういった先々の心配が耐えないために、貯蓄をして自己防衛するしかありません。
ならば、逆に年金介護社会保障制度を充実させることによって、国民の不安を取り除き、
消費税増税によってそれらの財源を賄い、内需を根本的に立て直す、
それが民主党政権の消費税導入の端緒だったわけです。

しかし、それも政権交代によって、消費税増税分の使い道が曖昧となってしまい、
結局、3%増税、5%増税に引き続き、8%増税も焼け石に水ということに…
このまま曖昧なまま10%増税したところで、財政的にはたいした意味もなく終わり、
さらなる増税、20%以上まで段階的に上がっていく可能性があります。
消費税増税の使い道をしっかりと正すことなしに、再増税などあり得ませぬ。


もう日本は途上国ではありませんから、
1960年代のような一億総中流な高度経済成長の実現なんて、不可能です。
それを認識した上で、大企業優先で国際競争力を高めるのか、
ほどほどで良いから社会の安心を優先し、内需の掘り起こしを図るのか、
どちらの経済路線で進めるのかを国民は選ぶ必要があります。
前者ならば、アベノミクスに賛成。後者ならば、アベノミクスに反対。
まぁ、簡単に言えば、そういう話なわけです。


しかし、「アベノミクス」は道半ば、とは…
不信任決議を受けてもいないのに、衆議院を解散して道半ばで放り出したのは、
安倍総理の方だと思うのですが(^^;
矛盾だらけの経済対策…結局、この人は経済に無関心なのだと痛感させられます。
否が応でも、選挙で「勝利」を仕立て上げて、
集団的自衛権等の承認、憲法改正への流れを作りたいんでしょうねぇ…

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