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2015年08月16日

戦後70年

“晋”安保法案を審議していることもあって、
戦争の悲惨さを強調する論調が強くなっていますが、
結局、70年経っても、あの戦争は何だったのかということが日本人の中で総括されず、
70年という歳月だけが過ぎてしまったかのように思えます。
…いや、自分が70年も生きているわけじゃないのですが、
そんな「気がする」ということです(苦笑)

確かに、戦時下の軍事教育によって国民の政治判断が歪められた面は否めませんが、
だからといって、「アメリカと戦争するなんて昔の人は馬鹿だなぁ」とは言えんでしょう。
結局、今も昔も日本人の基本的メンタリティは変わっておらず、
常に戦時下のメンタリティの危機を内包し続けているわけです。

今になって振り返るに、太平洋戦争の原因とは何だったのか。
それは「国際感覚の欠如」でしょう。
世界情勢の読み違え…
アメリカの日本に対する強硬的態度の本気度、ソ連に対する本末転倒的な信頼感、
無知な国民の無謀なる満州植民政策…
所謂「日本の論理」でのみ考え、世界情勢を読み取れず、
その世界の白い目に己を振り返ることもせずに突き進んだ結果が滅亡だった、それだけです。

それは今日においても変わるところはなく、
「日本の論理」にせいぜい「アメリカの(表面的な)要望」が付け加わっただけで、
世界から日本を見つめるという態度に関しては、まだまだ不十分な面が多いと思われます。
“晋”安保法案は「読み違い」という意味ではその最たるものですし、
せいぜい東西冷戦・湾岸戦争時代の世界情勢でしか考えていない過去の遺物です。
アレですよ、公共事業と同じですよ。新国立競技場と同じ。
走り出したら止まらない、見直しがされない公共事業。“晋”安保法案もそれと同じ。
太平洋戦争だって、何度も回避する方法や早期に終わらせる方法はあったはず、
にも関わらず、走り出した戦争は止まらない、止める術さえ持たない、
そして一体誰がそれを推進したのか、それさえもアヤフヤで分からない。
全くもってそういった無責任性は70年経っても変わっていないわけです。


今、自分なりに太平洋戦争を国際的な視点から総括してみると、
満州を最後まで捨てきれなかったことが戦争の原因だと思われます。
しかし、その満州への拘りを強くもっていたのが、
軍部だけというわけではなく、日本国民そのものであった事実が重要です。
満州進出は今で言う「経済対策」だったわけです。
世界恐慌を脱したイギリスは植民地との経済のブロック化で対応しましたが、
日本は資源等が不足していたため、大陸進出は必要不可欠、
それに加えて貧困対策としての移民政策も芳しくなく、
新たな移民先として満州が望まれた、国民も新聞もそれを強く要求した、わけです。

しかし、ここで日本政府と軍部は大きな過ちを冒します。
満州進出のパートナーとして選んだのは、当初のアメリカではなくソ連でした。
日露戦争を見ても分かるように、本来、満州の権益を巡る相手はロシアでありソ連でした。
ソ連成立後も日本は反共を訴え、ソ連を敵視する政策を取っていたはずでした。
しかし、そこをどう誤って判断したのか、ソ連よりもアメリカを選ぶわけです。
その理由は分かりません。世界恐慌の影響を受けなかったソ連経済が魅力的に見えたのか、
当時は伝わっていなかったスターリンの残虐非道っぷりを知らなかったのか、
世界恐慌を脱し切れていなかったアメリカよりもソ連を選んだわけです。
しかも、ソ連を枢軸国(ドイツ・イタリア)側に巻き込めると思っていた、
その時点で既に本末転倒に陥ってしまっているわけです。

ドイツやイタリアが掲げた「ファシズム」というのはそもそも何なのか。
それは「反共」です。単なる軍事独裁政権ではありません。
ですから、ドイツとソ連が手を組むわけがない、衝突するのは時間の問題でした。
元々、日本も反共から始まったわけですが、
本末転倒、その敵国のソ連と手を結んでしまった、そりゃ三国同盟が機能するわけがない。
こういった面にも日本の思想の空虚さが現れており、
イデオロギーを無視して本末転倒に至る点は今日も何ら変わることはありません。

あとはもう走り出した戦争は止まらない。
戦争を止めてしまえば、それを指導する軍部の人間は責任を取らされる、
それならば一億玉砕…責任逃れ体質も何ら変わることはありません。

太平洋戦争は日本にとっては大きな出来事ではありましたが、
世界史的に見れば、第二次世界大戦の一端にしか過ぎず、
それは事実上ナチスドイツの降伏で終わりを告げている出来事でしかありません。
そういう意味では、ドイツに比べれば、もっと容易に総括できた「はず」でした。
それが原子爆弾の投下や戦争責任の曖昧さによってぼかされ、
全くもって総括されずに70年という月日だけが過ぎてしまった…それが事実です。
日本人が過去に誤ったのは、「国際的視点」を持たずに「イデオロギーより実利」を重視し、
「無責任体質」なままに、走り出した計画を推敲もせずに突き進めた結果が、
「侵略戦争」となった、そういうことです。
そういった日本人の負のメンタリティを自覚し、
反省することなしには戦後は終わらない、私はそう思いますね。


長くなったので、今日はこれにて終了。今日ぐらいしか語れないしねf(^_^)
高校野球や昨今の政治ネタ、低迷するライオンズの話はまた後日…