ナツメグ2
ほとりシナリオを中心に、ナツメグのテーマを語っていたら、
また例の如く長文になりつつあったり…
無事にまとまるかどうかは不明デス(^^;
まぁ、今日これから載せる内容とそう大差はないのですが。
ただ今日のはプレイ直後に書き殴ったものなので、
上手くまとまっているかは自信がないです。
言葉になりにくい感覚を言葉にしようとするのは、やはり慣れないというか大変です。
つーか、昔はようやったなと感慨深げに。それ散るとか、朱とか。
こういうのも思い出というのでしょうか(笑)
◆ゲームの話 ナツメグ
最後にほとりクリア~ コンプリート完了です。
んー、ほとりシナリオは評価が難しいです。
今までにないってわけじゃないんですけど…
どこに力点を置いて評価すればいいのかが見極め辛いです。
逆算で作っていったのかなぁと思えなくもなし。
後ろの展開先にありきで前を構成したんでしょうか。そう考えると色々と納得できます。
率直に言って、いい話でした。
自分も年食ってきましたから、主人公の気持ちに共感できる部分が出てきましたし。
18歳以上ではなく、25歳以上推奨ってな感じのシナリオかも(^^;
「ナツメグ」というタイトルからすれば、由佳子よりもほとりの方が本命だった気がします。
いやー、良い味を出してくれました。評価はさておき、独特の風味は面白かったです。
(以下、微妙にネタバレ)
ほとりシナリオの雰囲気を簡単に語れば、
「みずいろ・日和」を軸に、
「Kanon・真琴」「SNOW・桜花」+「ONE・それ散る」を合わせて割った感じ(^^;
まさか廃校の設定がここで使われるとは思ってもいませんでした。
一つ評価に困っているのは、ほとりシナリオの重点はどこにあったんだろうな、ということ。
ほとりとの恋愛・別れを描く本編だったのか、その後を描くエピローグだったのか。
他のヒロインは当然の如く本編だったわけですけど…
ほとりに関してはエピローグ部分だったように思えます。
そういう意味で本編の構成は日和・真琴チックであるものの、
全体を見た時はONE・それ散るに近い印象を受けました。
(以下、完全にネタバレ)
そんなエピローグ部分をどう捉えればいいかというと、ある意味でこれが「現実」ですよね。
学生時代と同じ関係を全く同じ形で持続させることはできませんし、
新しいステージに行けば新しい関係が存在するわけで、
ナツメグにおいて行われたような物事もいつかは忘れ去られ、
何事もなかったとさえ思えてしまうのかもしれません。
ナツメグにおいてそれは「転校」という形のキーワードになっており、
いつまでも友達でいようねと言ったところで、
やはり時間とともにその関係は変わっていってしまうわけです。
その関係の変化に耐えられなかったのがナツメグの主人公なのでしょう。
いずれ来る変化に耐えられないから、最初から関係を作ろうとしなかった中学時代、
仲間同士の良い関係の変化に耐えられなかったから、恋人関係になるのを拒んだ学園時代、
ほとりが失われたことに耐えられなかったから、
いつまでも認めらることができなかったエピローグ前半の主人公と、
主人公は変化を受け止められない人間として描かれています。
では最初から関係を構築しなければいいかというと、そうでないのは自明の理でして、
ナツメグでは「思い出を受け止める」ことで別れ・関係の変化を消化しようとしています。
これが最も適切な方法なのかは分かりませんが、
思い出に縛られるのではなく、思い出を抱いて生きることが一つの方法であることは確かでしょう。
良い思い出も悪い思い出もある。忘れたくない思い出もあれば忘れたい思い出もある。
それら全ての思い出が今の自分を構築している姿であり、
現実として「確かに存在するモノ」なのかもしれません。
例え関係が変わったとしても、思い出は変わることなく存在し、
思い出を通じてまた分かり合うことができ、新しい関係・思い出が構築される、
そういった心のやり取りが人生というものなのでしょう。
その気持ちの転換を描いているのが、ほとりシナリオの主人公なのでしょう。
ほとりの思い出に縛られて、大切だったはずの仲間と新たな思い出を作ることができず、
最後には全てを失ってしまいそうになるまでに至って、
ようやく思い出を抱いて生きることに気付く、そんなシナリオだったと思います。
ある意味でバッドエンドっぽいのですが、トゥルーエンドとも言えるそんなシナリオでした。
ただこれらはあくまで私の見解であり、実際にそう読み取れるのかどうかは分かりません(^^;
だから「評価が難しい」わけです。
なんとなく言ってることは分かるんだけれど、
実際に言葉にしてみると分からなくなる、みたいな(苦笑)
普通にほとりシナリオの構成だけでゲーム1本できそうな感じですからね。
それだけテーマ的に深みと味わいがあります。
説明・描写不足と言えばそうですし、コンパクトに上手くとまとめたと言えばそうですし…
美少女ゲームでここまで完全なハッピーでない「その後」に拘る作品はありませんから。
マンガだとそれなりにあるんですけど… それだけに評価を下し辛いです。
個人的な不満点を挙げるとすれば、
廃校という設定は生かされたものの、仲間という設定が生かされなかったことでしょうか。
Kanon・真琴シナリオの美汐や水瀬母娘のような思い出の共有が、
ナツメグにおいてなされなかったのが残念でなりません。
とはいっても、これを入れてしまうとエピローグの構成自体がオシャカになるため、
「敢えてそうしなかった」のでしょうが。
でも主人公が前向きになるのに時間がかかり過ぎるので、
何かハッピーエンド的展開はなかったのかと思っちゃうわけですよ。
半ばナツメグの存在自体を否定しかねない流れになるだけに、
「思い出の共有の大切さ」を伝える展開があっても良かったように思えるのです。
仮にも一度主人公は意図せずとも仲間関係を破綻させちゃってますし。
もっと早く前を見る展開が欲しかったようにも思います。
今回のほとりシナリオがトゥルーエンドとすれば、ハッピーエンドな展開も欲しかったです。
(ハッピーといっても、ほとりが残るとか単純な流れではなく)
そこが不満点といえば不満点なのですが、
今回のほとりシナリオの本旨からすれば除外してもいい要素なだけに、
余計にどう評価すればいいのかが分からなくなってしまいます(^^;
シナリオ単体としては十二分な出来だったものの、
テーマとして評価すると一本足りなかったようにも感じる、そんな風に思っています。
あー、それと最後の再会については… 難しいところですなぁ。
上で書いたように、ハッピーエンドがあったとすれば、迷わず再会させないんですが。
シナリオの主旨としてもそれが適切ですしね。
だけど再会しないままでは、あんまりだとも思えるわけでして…
そう考えると再会できて良かったねと思えた方が良かったのかも。
まぁ、これも複雑な所。不徹底と言えば不徹底だし、救いがあったと言えば救いがあったし。
それにしても主人公が学園の教師になったのは意外でした。
てっきり保父さんになるものとばかりに(^^;