IZUMO感想ルーム


最近Studio e・go作品はあまりプレイしていなかったことや、
キャラクターも似通ってきているということ、評判もあまり聞かれなかったことなどもあり、
当初は『IZUMO』にあまり期待をしていませんでした。

ただシナリオにねこねこソフトのゲームや月姫で馴染みとなったNscripterの作者高橋直樹氏が参加したり、
ヒロインキャラにツインテールの渚がいるとの情報を聞くにつれて徐々に期待は大きくなっていきましたね。



ゲームをプレイして見た感想・だいたいの評価はレビューの通りです。
私の場合、シナリオの評価はやや高めとなっているかもしれません。
それは私の霊世界に関する考えとの一致があったことが大きかったからだと思います。
葦原の国・根の国といった生と死の概念と輪廻転生の考えが使われていることもさることながら、
3〜6章の各キャラクターの過去にまつわる物語における霊の使い方が良かったですね。


一番良かったのは3章。七海と千夏の話が素晴らしかったです。
苛められての自殺で無念さ・恨みに駆られた千夏の魂が主人公たちの前に立ちはだかり、
その姿を見た七海は救えなかったことの罪悪感・友としての負い目の中で葛藤しながらも、、
結果仲間の気持ちを理解し千夏と戦う…
憎しみに駆られ悪霊と化した千夏の姿はとてもリアリティがありました。
最近では自殺者を哀れみ、その周囲の責任ばかりがクローズアップされてしまい
自殺者本人の落ち度が語られることが極めて少なくなった現在の社会において、
あの被害妄想ばかりに駆られ、七海が苦しんだことなど微塵も考えていなかった千夏の姿は
自殺者が陥りやすい感情の泥沼をうまく表していたように思えたからです。

また、戦って「はい、終わり」という形に留まることなく、最後には救いをもたらしているのが、
この章のシナリオの素晴らしいところで涙を呼ぶところでした。
千夏の孤独を分かってあげる七海の姿、苦しみを分かち合うその姿は美しくもあり、
一人の魂を救う姿が綺麗に描かれていたと思います。
アニメやマンガなんかでは話を盛り上げるため、剣やお札・特殊な霊能力で除霊というパターンが多いだけに
この『気持ちを分かってあげる』という地道で危険ながらも、有効な方法が描かれていたのは良かったですね。


4章の綾香の話はやや微妙な所でした。
義父の狂気ぶりばかりに目がいってしまって、
綾香自身の罪の意識とその心情部分が疎かにされがちな感じがあったように思えます。
ただその点を除けば綺麗に仕上げられていましたね。


5章の渚の話は感動ストーリー。拓也の魂が渚を助けに来てくれるというものでした。
自らの過去に気づき始め、苦しみ、自棄になってしまった渚の心を救おうとする拓也の魂、
そして別れの時に全てを受け止めて感謝の念を伝える渚とのやり取りは感動的でしたね。
霊の感動話ではオーソドックスな形を呈してましたが、
渚の感情が伝わってくる素晴らしいシナリオだったと思います。
3章の次に好きなストーリーですね。


6章はネノクニの住人、アマテラスの苦悩のストーリー。
ここまで気丈で気難しいイメージが強かったアマテラスですが、
この章では人間味が溢れており、彼女の本当の思いというのがよく現れている話でした。
この章で一気にアマテラスに愛着が沸いたという人は多いのではないでしょうか?
かくいう私もその一人です。うぅ、可愛いよ、アマテラス(爆)


6〜8章の流れは色々と予想はしていましたが、
うまく演出されていて予想されていたもの以上のものを引き出していました。
しかし8章の美由紀のじゃじゃ馬っぷりは頭に来ましたな〜(笑)
主人公が聖人君子に見えるほどでした。自分だったら殴ってそうだよ(ヲイヲイ(^^;)


8〜9章の流れは少し不満の残る所だったかもしれません。
アマテラス萌えとしては最後までケリつけてから帰ろうとしろよと突っ込みたい気分でしたが、
よく考えれば世界を救出する方法というのも曖昧でヨモツオオカミの居場所などが分かってなったのですから、
一定の決着は着けていたと解釈もでき、納得はできました。
ただちょ〜っぴり不満は残りましたね(^^;


最終章〜エンディングは短すぎず長すぎずで表現したいことが的確に表されていました。
今の世界と仲間、母への想い、アマテラスとの別れ、イザナギの想いなど感動的に仕上がってましたね。
ややイザナミとの別れ(精神世界から出た後)があっさりと扱われていましたが、
その次のシーンではもうアマテラスとの別れへと主題が変わっているだけに納得でした。

エンディングはアマテラスだけが他と違っており、主人公がともにネノクニに残るという内容。
この結末は仲間があっさりと主人公の意思を認めてしまうなど不満の残る所がありました。
ただ『アマテラスとともに元の世界へ』『アマテラスと別れ離れ』と考えられるエンディングを自分なりに考えてみても、
何かしらのしこりや不満点が残ってしまったので、一番無難な手法だったかなぁとは思います。
どうせならアマテラスのみ、その3パターンのエンディングが欲しかったのが本音ですけどね(^^;
私服のアマテラスの姿が見たいよぉ。可愛いだろうなぁ…綺麗だろうなぁ…萌え萌えだろうなぁ(爆)




こんな感じでIZUMOの感想を述べてみました。
個人的には大満足なゲームでしたね。
シナリオは王道的でオーソドックスな感じはありましたけれども、世界観・心情描写などが優れています。
不幸な境遇や憎しみにとらわれた悪霊の姿など『人間の負の部分』もありながらも、、
最後にはハッピーエンドを迎え『負の部分を正の部分に変えるという』精神衛生的にも良い感じがありました(*^^*)
プレイし終わってどこか満たされたような温かいものが残る所が良かったですね。

最近の『シナリオ重視型ゲーム』というのは必ずしもハッピーエンドとは言えず、
満たされた気分で終われないゲームが増えているということもあり、
久しぶりに温かい涙と心を与えてくれたように思います。
2001年の最後に素晴らしいベストゲームに出会えたことに感謝して感想を終えさせていただきます・

ありがとう、IZUMO!!





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