みずいろ |
胸がふるえる 淡く揺れてる まわるこの空みずいろ 離れえぬよう 流されぬよう ぎゅっと 今も聞こえる 高く広がる 淡いこの空の向こう 風に揺れては 刻みこんだ (みずいろ OP曲「みずいろ」より) |
<どんなゲーム?> |
シリアスで重い話でしたが、多くの支持を集めた「銀色」。 それを作った「ねこねこソフト」が次に送り出した作品がこの「みずいろ」です。 前作とは違い、明るくポップなノリな学園物正統派ギャルゲーになっていますね。 印象的にはリーフの「ToHeart」、タクティクスの「ONE」、KEYの「Kanon」のような感じのするゲームです。 そこら辺はさすが「同人上がり」といったところでしょう。 プレイヤー側の求めているものをうまく反映させています。 ゲームジャンルは学園物の恋愛ノベル。 登場キャラはギャルゲーの「お約束」に忠実ともいえる構成になってます。 健気で可愛い妹、 ポンコツな幼馴染、 すぐにに言い合いになるケンカ友達、 ちょっと内気な後輩、 おっとりとした先輩… …役一名、ねこねこ特有の「ポンコツ」が入ってるのが例外ですが(笑) ゲームの流れはまず過去編があり、続いて本編となります。 過去編で選んだ選択肢によって本編のシナリオ展開が決まっていきます。 この時点でシナリオが決定してしまうので、ゲーム性としては物足りないかもしれません。 ただ選択肢を気にすることなくストーリーを楽しめますし、 ここでシナリオ決定したキャラ以外は脇役に徹することになるので、 キャラの掛け合いや会話が楽しめるようになっているなどの長所があります。 シナリオは起承転結と綺麗に構成されています。 幼いころの出会いや別れを描いた過去編の起部、 現代編での学生生活を描いている承部、ヒロインとの恋愛を描いた転部、 ヒロインの抱いてる想いとその結末を描く結部という構成になっています。 シナリオの中身はというと感動的な話で、過去編でのヒロインの想いを通じて物語を描いていくものとなっています。 また過去編でシナリオが決定するので、キャラの位置付けが変わるなどして、 各シナリオで脇役がいい働きをしてくれたり、 キャラの掛け合いなどがあったりして会話部分を楽しませてくれます。 さらには文章表現にOP主題歌の歌詞を取り入れることによって、 音楽とシナリオをうまく合成しとても印象深く、味わい深いものに仕上がっています。 けれど不満な点もいくつか上げられます。 まず中盤の会話中心のギャグパートに比べ、終盤の感動的シナリオが短いこと。 中盤が普通のごくありふれた会話が多いだけに、刺激が少なく中だるみしてしまう感があります。 そして終盤は中盤の中だるみから加速的にストーリーが進むため、どことなくあっさりと終わってしまう感があります。 また過去編をはじめ、シナリオの至る所に伏線があるため、 あらかじめ展開を予想してしまい純粋にシナリオを楽しめない危険性があります。 展開を読んでしまうと、結末が予想通りかということばかり考えてしまい、 シナリオ中の微妙な表現や変化に気づかず、心情を理解しづらくなってしまうからです。 ただこれらはむしろ「プレイヤー側の問題」であり、 どういう心持でプレイするかで変わってくると思います。 もし不満があるのなら2回目のプレイをお勧めします。 他のキャラのシナリオでヒロインの印象が変わったりもするので、 (例えば雪希シナリオにおける日和、日和シナリオにおける雪希) 目的に応じてメッセージスキップを使っていけば、1回目より味わい深くなることは間違いないです。 (私は2回目の方が感動しました。こういうのはONE以来です) CGは全体的に綺麗に描かれています。 今回は明るい話ということで、キャラの目も普通の塗りになっていて、一般受けするものとなりました。 イベントCGは過去編のセピア色の構成、淡いCGが場面ごと使い分けられ良かったです。 一瞬だけ映し出すフラッシュCGもあったりと効果的な使い方がなされていたように思います。 ただ原画さんが複数いるためか、同じキャラでもCGによっては別人に見えたりと、 やや一貫性がないようにも思われました。 余談ですが背景絵でWhiteと銀色のキャラが描かれていたりします(笑) 葉月の振り返ると何かしそうな後姿や、あやめの哀愁漂う後姿がなんとも言えません(^^; 音楽は銀色の時と同様素晴らしい出来です。 今回は明るくポップな感じのゲームなので、明るい曲が多くてわくわくするものが多いです。 また後半の感動パートに繋げるための切ない曲もあるので、表情豊かな曲に仕上がっています。 外注でSoundUNIONさんが手がけてるようですが、間違いなく今の美少女業界でトップクラスの出来でしょう。 曲は主にHPであらかじめ公開されていた2曲が中心となっています。 OP主題歌の「みずいろ」のカラオケバージョン、 終盤の感動的な場面で必ず流れる「スカーレット」 この2曲は秀逸な出来で、シナリオを非常に盛り立ててくれます。 音声の方はどの声優さんも素晴らしい演技で安心してプレイできます。 主要キャラは全てフルボイスとなっています。 ただ終盤にかけて、ヒロインのモノローグ部分が多いので、 そこにも銀色1章のように語りを入れて欲しかった気もします(贅沢な話ですが) 個人的には銀色の時の声優さんが幸せなキャラをやってて感慨深いものがありました(^^; (雪希=1章のあやめ、日和=2章の狭霧) システム面は銀色のときと同様。 メッセージスキップ・オートモード・読み返し機能があります。 スキップは速めですが、未読既読判別がないので使用時は注意しなければなりません。 (とはいっても現代編は完全別シナリオなんで意味をなさないですが) あとオートモードが今回やや使いづらい気がします。 銀色のときよりも地の分が長い個所が多く、表示を「普通」にしていると、 読まないうちにめくられていることが多いです。 かといって、表示を「低速」にすると遅すぎるので微妙なバランス調整が欲しかったです。 クリア後のおまけは音楽・CG鑑賞・シーン回想・アフターストーリーがあり充実しています。 シーン回想はHシーン以外にも重要なシーンを回想できるので重宝します。 あの感動的なシーンをもう一度見たい場合にすぐ見れるのは嬉しいですね。 シナリオが良いゲームはこういう機能を標準装備して欲しいぐらいです。 オマケはHなアフターストーリーと恒例のおまけシナリオがあります。 アフターストーリーは本編ではシナリオを重視するために描けなかったような、 ちょっとお馬鹿でマニアックなHシーンが盛りこまれています。 おまけシナリオは相変わらず(笑) ジョジョネタ多数です。 ただし銀色から続いてる話もあったりして、新規参入の方はついていけないかも(^^; 総評としては、「普通のギャルゲー」という一言に尽きるでしょう。 ただしこの「普通」という観点が難しいです。 その人の「普通」、つまりはギャルゲーにおいて何を求めているかで評価が変わってきます。 キャラを求めてるなら、「萌えゲー」 シナリオに重点を置く人は、「感動ゲー」 Hシーンを重視する人は、「エロゲー」 音楽を通じてシナリオを見る人は、「音楽中心シナリオゲー」 そういう意味ではプレイヤーを映し出す鏡的なものかもしれません。 全体的に非常にバランスが取れているので、一般向けな良作ギャルゲーと言えるでしょう。 |
<ゲーム評価> |
CG | 10点 | 綺麗な塗りで賞 |
シナリオ | 10点 | 感動で賞 |
音楽・音声 | 10点 | 神の領域で賞 |
システム | 8点 | シーン回想が良いで賞 |
総合ポイント | 9点 | バランスが取れてるで賞 |
合計 | 47点 | プレイする義務アリで賞 |
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