みずいろDC版 |
Rain drops drow 雨音に目を伏せた 触れた指先を 今も 蒼い水波 変わるシグナルに 雨のリンクを 飛び越すの 長いステップ 跳ねる髪揺れて 映る景色達は 染まらない あの日から 目を閉じて そこにあるScene いつまでも そう褪せず 白い吐息 空と海 ありふれた冬日 (みずいろ 挿入曲「scarelett」の歌詞より) |
<どんなゲーム?> |
「普通の」ギャルゲーです。以上、終了(嘘) PC18禁でヒットした『ねこねこソフト』の『みずいろ』をコンシューマ移植したものです。 新規シナリオやオリジナルキャラが追加され、ただのベタ移植でない「リニューアル版」という感じですね。 ゲームは過去編での出来事から始まり、そこで選んだ選択肢によって現代編のシナリオが決まります。 つまり過去編での行動によって、現代編におけるキャラの位置付けが変化してくるということです。 ゲーム性は低くなりますが、ヒロインを脇役として使いやすくるため、キャラのかけあいが多かったり、 シナリオに没頭できるなどの長所にもなっています。 シナリオ構成は、過去編での出会いを描いた「起部」、楽しい学園生活を描いた「承部」、 ヒロインとの恋愛模様を描いた「転部」、過去の出来事を通じた現在を描く「結部」というように、 起承転結と綺麗な構成をしています。 承部はギャグ満載で楽しかったり、転部はヒロインの可愛さに萌えたり、 起部や結部ではヒロインの内面を知って切ない気分になったりと色々な要素が組み込まれたゲームです。 登場キャラはPC版と同様で… しっかりものの義妹、『片瀬雪希』 ポンコツな幼馴染、『早坂日和』 すぐに言い合いになるケンカ友達、『小野崎清香』 ちょっと内気な後輩、『進藤むつき』 おっとりした先輩、『神津麻美』 さらにDC版オリジナルで… ポンコツな幼馴染家政婦、『早坂日和』(Mk−2) 理論派で感情をあらわにしない家庭教師、『石川冬佳』 …が追加され、ギャルゲーにおけるお約束キャラが網羅されています。 (誰だ? 「メガネっ娘」がいないぞ! とか言ってるのは(笑) シナリオなどの内容に触れる前に、DC版とPC版の差異について述べておきます。 PC版の「本編Hシーン」「アフターHぃストーリー」「おまけシナリオ(ジョジョ・FCモノ)」がカットされ、 DC版では「新規イベントCG・音楽・新OPムービー」「日和シナリオ2」「冬佳シナリオ」、 そして「おまけシナリオ2本(探偵モノ)」が追加されています。 システム面ではオートメッセージモードの細かい速度設定が追加されたりとプレイしやすくなっています。 また過去編に音声が追加されたり、日和以外のキャラに二重エンディングがなくなったりしています。 アフターストーリーがなくなったことで萌え度がやや下がっていますが、 移植度も高いし、挿入歌が2曲(scarlett、Smile)追加されているのでイーブンではないでしょうか? おまけシナリオの弾け具合がやや足りなかったような気はしますけどね(^^; それではDC版に関して、CG・音楽・シナリオ・システムの順で語っていきたいと思います。 CGは一般受けするCGで立ち絵・イベントCGともに良い出来です。 ただ原画家さんが複数いるためか、一部イベントCGに統一感がないものがありました。 けれど新規追加CGと旧CGとの差はあまりなかったです。 エンディングや過去の思い出を語るシーンで淡いイベントCGが使われたり、 ある場面に一瞬だけ挿入されるイベントCGがあったりと、効果的な使われ方をしているのが印象的でしたね。 各キャラの新規追加CGは1枚で、新キャラのCG枚数は既存キャラに比べて少なめになっています。 特に石川冬佳のCGが少ないように思え、やや物足りない感じがしました。 シナリオのテキスト量と関係があるのでしょうが、もう少し増やして欲しかったように思います。 音楽は明るい曲から切ない曲まで多種多様に揃っています。 どの音楽も記憶に残るいいもので、みずいろの世界を綺麗に表現しています。 歌は主題歌の「みずいろ」・挿入歌の「ごめんね」に加え、 DC版では「scarlett」「Smile」が挿入歌として加わりました。 歌バージョンはそれほどかかることはないですが、 (Smileが各シナリオ1回ずつ、scrlettが日和、ごめんねが雪希シナリオで) 曲バージョンは良い場面で頻繁に使われるせいか、かなり印象に残る曲だったように思います。 歌以外の曲では「いっしょに」「遠くへ」などが印象に残りましたね。 あと音楽鑑賞モードにはないですが、オマケで「闇からいでしモノ」もやっぱりかかります(笑) シナリオはストーリー性よりも、文章による感情表現で勝負している感じがします。 「普通のギャルゲー」ということなので、設定通りのありふれたストーリーが多く、 (妹シナリオ・幼馴染シナリオ等々お約束的な流れのもの) 特に奇抜という感じはなく、物語で勝負しているシナリオではありません。 過去編をプレイすることで、現代編の内容が予想できてしまうのも、物語の奇抜さで勝負してないことの現れでしょう。 ですから、このシナリオは主人公やヒロインの感情の変遷・その想いをありのままに描くことによって、 プレイヤーの共通体験を引き出したり、ゲーム中のフレーズを印象深いものにしたものなんだと思います。 物語で勝負というよりは、平易な物語の中に込められたプレイヤーを惹きつける要素で勝負した内容ですね。 また感情表現をする上で、婉曲的に表現するのにそれを象徴する「物」を使っているのが印象深かったです。 登場人物の色々な想いを形あるものに変える意味でも、この「物」の引用は良い味を出していました。 中には一度プレイするだけではその「物」が表すものを掴みづらいものもありましたが、 見事な比喩・婉曲表現をしていたシナリオだったと思います。 以上のことを見ても分かるように、1回目プレイの内容が分かっていない時よりも、 内容が分かった上で物語を味わう方が楽しめるシナリオになっています。 1回目よりも2回目、2回目よりも3回目というように、 プレイするごとに物語に散りばめられた様々な要素を味わえるシナリオと言えるでしょう。 秀逸なシナリオとは言えませんが、普通だからこそ味わえる「思い出の共有」というものが存分にあったシナリオでした。 ちなみに追加シナリオは新日和が幼馴染シナリオ、冬佳がみずいろの精神部分を担ったシナリオという感じです。 どちらも内容あるシナリオですが、PC版からのシナリオに比べ、短いのが難点でした。 システムはメッセージスキップの既読・未読判別、オートメッセージ機能、読み返し機能と機能が揃っています。 特にPC版で問題だったオートメッセージ機能の細かい速度設定が可能となったのが大きいです。 読み返し機能に音声再生がないのが残念でしたが、システム面はかなり充実していたと思います。 コンシューマ移植で一番問題となるのは画面や文字フォントの問題・読みこみの速さなのですが、 これらの部分も最適になっており、不満は全くなかったです。 TV画面・PCディスプレイどちらでも文字がハッキリと映し出されていたので、移植レベルはかなり高かったように思います。 セーブ・ロード時間もストレスなく対応されていたので満足でした。 あとDCコントローラーの操作で驚いたのは、十字キー・アナログキーでのメッセージ送りでした。 普通はAボタンなどで送るのですが、キーコントロールで操作可能と珍しいケースです。 長時間プレイになると、ボタンを押すのが面倒くさくなりがちなので、この十字キー送りは楽で良かったですね。 おまけは「CG鑑賞モード」「音楽鑑賞モード」「シーン回想モード」「おまけシナリオ」とこちらも充実です。 シーン回想は重要イベントがチョイスされているので、あの感動的な場面をもう一度という時に重宝しますね。 おまけシナリオはやや電波な感じで、万人向けとは言えなかったのが残念でした(笑) 総括としては、PC版同様、「普通」のギャルゲーという感じです。 「普通」といっても思い浮かべるものは千差万別。求めているものや個人の経験で違ってきます。 それを映し出す鏡的なゲームといえるでしょう。 キャラを求めている人には「萌えゲーム」 シナリオ重視の人には「感動ゲーム」 音楽との調和を重視する人には「サウンドノベルゲーム」 プレイヤーの求めるものによって、このゲームは色々な色合いを持ってきます。 「みずいろ」という色は青とも白とも言えない、どんな色にも変わりうるそんな色なのです。 |
<ゲーム評価> |
CG | 10点 | 綺麗な塗りで賞 |
シナリオ | 10点 | 情感を揺さぶられるで賞 |
音楽・音声 | 10点 | 神の領域で賞 |
システム | 10点 | 移植度120%で賞 |
総合ポイント | 8点 | アフターHぃストーリーの埋め合わせが欲しかったで賞 |
合計 | 48点 | ギャルゲー好きにはオススメの一本!! |
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