■張 益徳
名は飛。
演義では字が”翼徳”となっている。
案外、関羽の字”雲長”に引っ掛けてみたのかもしれないが…
ともあれ、好きなほうで呼ぶのが一番。
関羽と並ぶ勇将。
魏の謀臣たちに「兵1万に匹敵する」とまで言われるのだから、
武勇のみならず、その存在感も計り知れない。
戦場での活躍はとりわけ派手で、演義で多少の脚色を汲まれて入るものの、
個人的武勇の印象では呂布と互角といってもいいだろう。
また、入蜀の時に各郡を落としたり、漢中争奪戦で張郃らと互角以上に戦ったり、
晩年へ向かうにつれて、将軍としての働きも目立ってきた。
しかし、部下に辛く当たるという点は、一向に改善されなかったらしい。
常日頃、劉備が気に掛けていたのだが、まったく効果が無かった。
蜀成立後の役職から張飛の隠された才能を深読みする人もいるが、
はたしてあの劉備に、セオリーどおりの官職が思いつくのかははなはだ疑問。
官位の役割などは、後々について回るものでもあり、それだけで人物を予測するのは非常に難しい。
よって、やはり”武略に秀でた粗暴な軍人”のイメージでしっくりくるのではないだろうか。
粗暴な反面、名士には弱かったらしい。
中でも、何故か劉巴を尊敬しており、その話を聞こうと家まで訪れているほど。
ひょっとしたら、晩年の張飛の姿というのは、結構な意外性を持っているのかもしれない。
部下によって殺されたのは自業自得。前述の欠点が、そのまま仇となった。