■徐 文嚮

名は盛。

自尊心の高さは呉でもトップクラス。朱桓と同格かと思わせる。
蒋欽の部下を無断で処断しようとしたり、周泰の指揮下に入ることを嫌ったり…
その中でも、特筆に価するのが、劉備の来襲に備えて魏に臣従したときのエピソード。
よほど臣従するのが悔しかったらしく、魏の使者の前でも憚ることなく涙を流したという。
それを見て、魏の使者は逆に呉に対する警戒心を強めた。
これに関してはプライドというより、愛国心とも取れなくは無い。

知勇兼備であり、わずかな手勢で黄祖の血縁・黄射の軍を食い止めたり、
偽の城塞で魏軍を欺いたりと、記憶に残る戦い方をする武将。
偽城のときは、霧の中とはいえ、その造りがあまりにもいい加減だったので、
味方でさえもそんなものに騙されるとは思っていなかったらしい。
しかし結果は、霧の向こうで偽城を見抜けなかったどころか、
曹丕は軍勢と勘違いして、その多さに驚いて撤退。
その時に初めて、諸将は徐盛の見識の深さに感心したらしい。

実は230年を待たずに死去している。これもそれほど長くはなく、残念なことである。


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