■蒯 子柔
名は良。
蒯越の兄。
正史と演義で結構役目が変わる珍しい人物。
華歆ほどでもないが、やはり正反対と言えるほどに違う。
有名なのは演義の方かと思われる。
占いをした結果を頼りに孫堅を待ち伏せ、落石によって死亡させている。
他にも、同じ孫堅軍との戦いの時に、軍令違反の蔡瑁を斬れだの、
人質(黄祖)を無視して孫堅を潰せだの、とにかく好戦的。
おかげで、「三国志Ⅷ」ではずいぶん戦向きの能力が過大評価されていた。
蒯良の落石で、数部隊まとめて混乱させられたプレイヤーも多いだろう。
一方、正史によると、荊州で暴れていた賊に対して「武力ではなく仁愛で押さえ込むように」と進言。
蒯越の言と対極を成している。また、好戦的または性急と言える進言は行っていない。
韓嵩・蒯越らともに曹操帰順派…というか、徹底抗戦派は荊州にはいなかったんだろう。
荊州も、豪族および戦乱を嫌って南下した士人ばかりなので、揚州と同じ流れになって当然ともいえる。
学術色が濃い上に、本当に志のある識者たちは、むしろ劉表を嫌って隠れ蓑として利用していたので、
帰順があっさりと決まったのも無理は無い。
このあたりのことは、桓階や杜襲らの伝ではっきりと書かれている。
蔡瑁と同じく、蒯兄弟も荊州豪族の一つ。
当然、曹操に降伏を決めたことを含め、非難が集中する…はずなのだが。
蔡瑁らが悪玉すぎて、彼らのマイナス面が目立たない。単純なことこの上無い。