火焔聖母

最先端科学と古い因習が同居する東北地方の都市「いざなみ市」
その街で発生する謎の人体発火事件…
学生探偵「蘭堂研人」は事件を解決しながら、
その事件の真相を知る…


<どんなゲーム?>

謎解きをしながら話を進めて行くアドベンチャーゲームです。
ゲーム中には罠があったり、魅力的な女の子との恋愛があったりします。
この種のゲームの代表例に「慟哭」「REVIVE」などがありますが、
難易度はそれほど高くなく、初心者でもサクサク進められるでしょう。

ストーリーは学生探偵「蘭堂研人」が捜査依頼のために
東北地方のハイテク新興都市「いざなみ市」に入り、
そこで人体自然発火現象を目撃し…という感じで始まります。
最初は学校の事件やヒロイン達の問題を解決していき、
話が進むにつれ事件に巻き込まれていき、事の真相を解き明かすという感じです。

「いざなみ市」は全てがコンピュータ制御されている科学都市であると同時に、
旧市街では昔ながらの古い因習、とりわけ発火現象に関する因習が多い街です。
よってストーリーも科学的側面・民俗学的側面の両方が共存して進みます。
多少解釈が強引かもしれませんが、ミステリーを解き明かすのが好きな人は楽しめる内容です。




CGに関しては良い出来です。
人気の横田守氏がキャラデザ・原画を担当しています。
独特な肉質が特徴的で、線の細さが主流になっている今では逆に珍しいかもしれません。
なんとなく色気を感じる絵で、一般作品ですがなかなかキワドイCGもあります(笑)
背景・キャラともに良いのでCGは満点でしょう。

あとアニメシーンが一部にあるんですが、やや荒いと思える時があります。
でも標準的な出来でしょう。
ヒロインのアニメシーンがほとんどないのが残念だったりしますが(^^;



音楽はゲームの雰囲気に合っていて良いでしょう。
ただ私はラップで後ろでごにょごにょ言ってたり、
太鼓を不気味に使う音楽はちょっと苦手なので、好きにはなれませんでしたね(^^;
あと教会音楽というかキリスト教のイメージが強い音楽もあるので、
そういうのに抵抗がなければ良い出来と言えるでしょう。
やや度が強過ぎる(?)というのが音楽全般の感想です。

音声の方は満足いく出来です。
各声優さんキチンと演じているので良い内容になっています。



シナリオは序盤から核心部分を披露したりするので、
終始興味引かれる展開でプレイヤーを魅了してくれます。
科学とオカルトが共存する世界でどちらの理論も引用していて、
なかなか面白い展開が続きます。

ただ最後の謎解き部分や最後の展開などは強引と言わざるをえません。
謎解きではやや説明不足な部分が多く、専門知識もないと分かりづらいかもしれません。
「ニュートン」と「ムー」を両方愛読してる方なら分かるだろうってな内容かも(笑)
少し分かりづらい内容に思えました。
プレイヤーが消化不良と感じても仕方がない内容でしょう。

また事件を追うばかりに、ヒロインやサブキャラの心理描写が少なかったです。
ゲームの冒頭で「探偵は事件だけでなく原因を解決する」と言っているのにもかかわらず、
原因に位置するであろう人の行動理由が掴みにくい印象がありました。

私が思ったのは全体的に仮定で成立しているシナリオだったということです。
謎解きも心理描写も製作者のスタンスも全て「仮定」で終わってしまっています。
芯になる部分があまりにも脆弱で、どこか軽薄な感じさえします。
科学もオカルトもどっちつかずで強引な結び付け方なので、
どちらのファンも納得しない謎解きでしょう。
序盤からの導入が良いだけに終盤の強引さが残念でなりませんでした。

ゲームシナリオに素晴らしいものが増えている世の中で、
シナリオの主眼点が弱いものはあまりにもお粗末だとしか言い様がありません。
風呂敷はガンガン開いて行くのにも関わらず、その風呂敷は全くしまわれない感じです。
久しぶりにディスク叩き割ろうかと思いましたわ(^^;



ゲームシステムはやや不満が残るところでしょうか。
学校や街で情報を集めながら進んで行くアドベンチャー形式なんですが、
この種のゲームにありがちな「作業化現象」が進みやすく、少しやりづらいです。
メッセージスキップ機能もあるにはありますが、遅いのであまり使い勝手が良くないですし、
難しい内容なので読み返したいという時のための読み返し機能がないのも辛い所です。

またこの手のゲームの最大の魅力である「謎解き部分」は、
プレイヤーが介入することがほとんどなく、
コマンドの「調べる」「推理」によって導かれる結論の最終決定を下すだけです。
初心者に易しいシステムではありますが、易し過ぎた感じがします。

ただ人物メモによってキャラクターの好感度が分かったり、
ゲーム中の全てのCGが閲覧可能なので、そういう所は便利です。

プレイ時間は一回目は20時間ほどかかります。
やや長めに感じますが、ストーリーに引き込まれるのでそれほど苦には感じないでしょう。




結論としては「キャラ萌えゲーム」です。
キャラに愛着湧かないなら、このゲームはやらない方がいいです。
「謎解き」も不十分、「シナリオ」も不十分…これらを求めている人の期待には答えられないでしょう。
ただ魅力的なキャラが多いので、その期待には答えられる内容でしょう。

全体的に中途半端で終わってしまった感じのするゲームです。
より一層の努力が必要でしょう(爆)


<ゲーム評価>
CG 横田氏のキャラが魅力的で賞
シナリオ ディスク割るぞゴルァ!?で賞
音楽 教会音楽万歳で賞
システム 謎解き詰まらんで賞
総合ポイント とりあえずキャラ萌えで賞
合計 36 キャラゲーですわ


火焔聖母感想ルーム

ネタバレですが、内容はほとんどないので見る必要はないですよ(^^
不満ばっかり(爆)
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