21(Two One) |
生きるということは本当に幸せなんだろうか? 『助けたいんだよね』 『簡単です、生きるためにですよ』 『私が・・・心の一片になるから』 『だから私は悲しまないわ。泣いてもあげない』 『だからこのまま。その人と一緒に生きていきます』 『一人で得られる幸せなんて、私はいらないの』 『夢と現実・・・私は迷わず夢を選ぶわ』 (21、OPより) |
<どんなゲーム?> |
ヒロイン達の内面を中心に描いた作品「BLESS」でデビューしたBasiLの2作目は、 医師である主人公の苦悩と葛藤、そして人魚の謎をめぐる人々の思いを描いた作品です。 「生きるということ」はどういうことなのか、 そんな難しいテーマに挑んだ作品となっています。 ストーリーは、若い外科医の主人公が患者を救えなかったと悩み、 自分の力の限界に苦悩しているところから始まります。 そんな時、病院で起こる殺人事件。 真相を求めるうちに「人魚の肉」という言葉に主人公は直面する… 不思議と「人魚」という言葉で結びつくヒロイン達… 「人魚の肉」とは一体何か? そして事件の真相とは? 果たして主人公は事件を通じて何を見出すのであろうか? …こういった感じの話です。 サスペンス物なんですが、内容は哲学的です。 前作ではヒロインの内面が中心でしたが、今回は主人公の内面が中心となります。 ヒロイン達の心に触れる中で主人公が 「医者とは何か、何ができるのか、生きることはどういうことなのか」 という問いかけの答えを導いていくものになっています。 シナリオはゲームの季節が秋ということもあり、しっとりとした感じです。 主人公はゲーム開始時から深刻に思い詰めて考えているので、 医療現場ということもあり、やや感情移入しづらいかもしれません。 そこらへんは医療現場のマンガかなんかで想像力で補いましょう(笑) 殺人事件が起こるからといって全編にわたって暗いというわけではないですが、 全体的にやや重く翳のあるような感じのするシナリオです。 「人魚の肉」を扱っているだけに不老不死という言葉も付いて回り、 なかなか掘り下げたテーマになっています。 主人公の苦悩・葛藤やヒロインの内面もうまく描かれており、 キャラクターをうまく魅せているように思えました。 ただシナリオによっては事件が未解決のまま終わってしまったりするので、 いまいち消化不良だったり、シナリオの格差が生じたりしています。 またテーマに対する答えも言葉専攻で、物事が付いて回らないので、 頭の中での論じ合いみたいな形になり、イマイチ理解しにくいように思えました。 それならば多少は残酷でも、BadEDという形で見せた方が感慨が沸くように思えました。 そういう意味では内容のわりに分かりにくいシナリオであったように思えます。 キャラの名セリフが多いだけにそこらへんは残念でした。 CGは西又葵氏が担当、一部他の方が担当しています。 綺麗に描かれているので十分満足な出来だと思います。 立ちCGとイベントCGの差もないので十分な出来といえるでしょう。 余談ですが背景絵で患者さんが映っているCGでは妙なことをしている人もいるので、 注意してみると見るとなかなか楽しめますよ(笑) 音楽は前作に比べて大幅アップしました。 特にOP・ED歌のボーカル(^^; 前作はひどかったのなんのって、あれは電波ソング(爆) 今回は曲も歌い手もいいので、良い曲に仕上がってます。 サスペンス系なだけにそいった感じの曲が多い感じはします。 特に心に残る曲があるわけではないですが、 OP主題歌のアレンジバージョンは作品の雰囲気にも合っていて、 どこか物悲しく、せつない感じがする好い曲です。 ゲームシステムは基本的に選択肢分岐になっています。 ただ登場キャラクターに対して「信頼」「普通」「疑惑」の3段階設定でき、 それによってシナリオの分岐の仕方も変わってくるので、 シナリオの流れを感じてうまく設定しなければなりません。 またシナリオ攻略チャートがあり、イベント達成率も示されるので、 どこで分岐するのかが一目瞭然となっています。 攻略難易度としては、それほど高くはありませんが、 上の信頼システムや攻略順序があるので、 気づかない場合は何度も同じルートをさ迷うということもあるかもしれません。 そういう場合は攻略を参照しましょうね^-^; 一度でもEDを見ればCG鑑賞、シナリオ回想、音楽鑑賞が追加されます。 シナリオ回想ではHシーンと各キャラのEDを見ることが出来ます。 またメインキャラクリア後、おまけシナリオが追加されます。 内容はギャグと思いきや後半は真面目。 本編のサイドストーリー的な感じのものです。 基本システムは前作に比べ大幅にパワーアップして非常に使いやすくなりました。 セーブ・ロード・拡張セーブ・クイックセーブ・回想と充実しています。 ゲームシステムとしては、シナリオが分岐するだけで、 事件の真相が変化するというわけではないので、 敢えてこのシステムを使う必要があったのかどうかは疑問です。 もう少し変化をつけることができれば、 謎解きの要素も加わって面白くなっていたと思うんでやや残念でした。 おまけシナリオはサブキャラ救済企画という感じです。 この内容ならメインに加えても良かったのでは?とさえ思えました。 テーマが重い話なだけに思いっきりギャグに走っても良かったのでは? どうせなら淫乱肉奴隷シナリオを入れて欲しかった(笑) 全体的にはバランスが取れているなかなかの秀作です。 「医師としてどう立ち直るか」がテーマなようなので、 主人公の成長ストーリーと見れば良い内容と言えるでしょう。 ただ「不老不死や生きるということ」をテーマとして着眼した場合は、 やや内容が掴みづらいかもしれません。 ただそう簡単に答えがでるわけではない難しいテーマなので、 よく健闘したと言える内容ではあると思います。 サスペンス物というよりは成長ストーリーなので、 そういう内容が好きな人にお勧めです。 |
<ゲーム評価> |
CG | 9 | 綺麗な絵で賞 |
シナリオ | 8 | ちょっと独り善がりで賞 |
音楽 | 8 | OP主題歌がいいで賞 |
システム | 9 | 基本システムは良いで賞 |
総合ポイント | 7 | シナリオ格差があるで賞 |
合計 | 41点 | なかなかお勧め。 高橋留美子「人魚の傷」は読まないでね。 |
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