メモリーズオフ2nd ゲームレビュー |
<どんなゲーム?> | ||||||||||||||
痛い&せつない系の恋愛アドベンチャーゲームです。 下のあらすじを見ても分かるように、最初から主人公は白河ほたると付き合ってる状態から始まります。 よって、ほたる以外のヒロインを攻略する場合、 別れが存在してくるので、精神的にはかなり辛い局面もあります。 恋愛の痛みや悲しみがプレイヤーに伝わってくるようなストーリーです。 既存のゲームでは「恋愛の楽しさ」が描かれていた反面、 「恋愛の痛み」を描いていた作品は少ないので、ある意味、画期的かもしれません。 |
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<簡単なあらすじ> | ||||||||||||||
ある日、メインヒロイン「白河ほたる」から告白され、 そのまま付き合い始めた主人公「伊波健」(名前変更不可)。 そして半年が経ち、高3の夏休みを迎えた主人公達。 主人公は部活を終えたが新たな1歩を踏み出せずいた… そこでの新しい出会い… 将来への不安、揺れ動く心、誤解、すれ違い、そして別れ… 主人公はその揺れ動く気持ちの中、1つの選択をするのだった… |
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<キャラクター性> | ||||||||||||||
ヒロインは全部で6人です。 主人公の彼女で主人公大好きなピアノ少女、「白河ほたる」 主人公が住んでいるアパートに引っ越してきた臨時教師、「南つばめ」 バイト先で偶然出会ったほたるの友達、「飛瀬巴」 クラスメイトで水泳部のエース、「寿々奈鷹乃」 料理が得意なほたるの姉、「白河静流」 感情の浮き沈みが激しいバイト仲間、「相摩めぐみ」 キャラクターはやや地味な印象があるかもしれません。 どちらかというとストーリー重視なので、ほたる以外のキャラはあまり立っていないように感じました。 個性もそれほど強くはありませんし、プレーするのに支障はありませんがキャラの面白みもないでしょう。 |
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<CG> | ||||||||||||||
CGは有名な「ささきむつみ」氏が原画を手がけています。 線の細さを感じる絵で、万人受けするでしょう。 個人的には髪が現実に近く黒や茶色っぽい黒なのが好きです。 あと「お下げ・テール好きの人」も要チェックでしょう(笑) 髪型がやや個性的な感じを受けました。 立ち絵やイベントCGも上手く描けていて、 前作の1stよりも表現力が増えて、華やかになっている気がしました。 CGは素晴らしい出来なので安心してプレイできるでしょう。 気になったのはCGの枚数格差。なぜか鷹乃だけ一人枚数が少ないです。 メインヒロインのほたるだけ多いというのは分かるのですが… 不満と言えば不満です(^^; |
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<シナリオ> | ||||||||||||||
シナリオは「恋愛の痛み」を描いている精神的に痛い作品です。 精神的に多感な時期の揺れや不安、誤解、すれ違いを描くことで、恋愛の辛さを目の当たりにできます。 従来の恋愛ゲームは「恋人に至るまでの過程における楽しさ」が中心に描かれていますが、 この作品は逆で「恋愛における別れと苦しさ」が中心に描かれており、 萌え重視のギャルゲーファンへのアンチテーゼとも言える作品になっています。 シナリオは全体的に重苦しい雰囲気で、楽しいやり取りも嘘が混じっていて、 どこか素直に楽しめない「悲しい束の間の幸せ」が多いです。 終始一貫しているので、お世辞にも楽しいと呼べるものではないということは覚悟しておいた方が良いでしょう。 内容としては、「想い出と絆」がテーマです。 各ヒロイン何らかの問題を抱えていて、家族との関係が重要な要素になってます。 想い出を胸に新しい絆を構築する…このテーマが全編に渡って上手く描けていたと思います。 個々の要素としては、将来に関する莫大な不安、恋愛におけるアイデンティティ、 誤解やすれ違いと別れといったことも描かれていて、 大きなテーマと小さなテーマの2種が上手に描かれていましたね。 あと設定上「恋人にほたる」がいるので、一見浮気ゲームのように見えていまいますが、 そこは将来への不安・恐れ、恋愛の資格や自己の価値などを描くことで、 浮気ゲームという印象を薄くしています。 でも結果から見れば浮気ということは変わりませんけどね(笑) 唯一、巴シナリオだけは浮気要素が強い感じはします。ライターが違うのでしょうか? なんか昼メロの不倫物みたいな導入でした(笑) シナリオの総括としては個々の要素は上手に描けていて、素晴らしい出来でした。 ただその個々の要素の繋ぎがイマイチで、全体的な「流れ」を失っているように思えました。 シナリオに余分な所の描写などをカットしているので、話が切れて切れて切れまくってます。 クリア後のシナリオのショートカット機能、イベントごとシナリオ名などを付けるといった便利に思えることが、 逆にこのストーリーの分断を生んでしまい、プレイヤーの想像力に任せるみたい感じになっています。 KID作品全体に言えることなのかもしれませんが、もう少し「流れ」を意識してほしかったです。 他にも主人公の視点だけではなく、ヒロインの視点を入れてみた方が良かったかもしれません。 特にメインヒロインのほたるの主人公に対する完璧なる一途さは、 「どうしてこんな酷いことをする主人公に寄り添おうとするのだ」とまでプレイヤーに思わせるほどなので、 そのほたるの一途な心を視点の切り替えなどでしてほしかったです。 ここらはDC版オリジナル要素アペンドストーリーで見れることを期待します(^^; 以下シナリオ微バレ重要問題提議。文字を選択しながら見てください。 「死」が多かった気がします。 事故死ならまだ構いませんが、バッドEDでは自殺をほのめかす文章があったりと、 かなり問題のある表現があったことも事実です。 やはり自ら命を絶つということは周りを考えない最低最悪の自己中心的考えなのですから、 そういう表現は絶対に自粛すべきです。 死を軽軽しく扱っているように思えます。 もう少し製作者側は考えるべきだったのではと思いました。 |
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<音楽・音声> | ||||||||||||||
音楽の出来自体は良いです。 ただ使い方が悪いせいか、あまり記憶に上るものは残念ながらありません。 日常部分(主人公が一人の時やモノローグ部分)は音楽が一切なく、 重苦しい雰囲気を作り出してしまっています。 1つの効果を狙ったのかもしれませんが、 前半部分まで重苦しくするのはどんなものかと疑問に思いました。 もう少し音楽の使い方を工夫すれば、表現豊かな作品になったと思います。 ただ音楽の出来が悪いというわけではなく、 各キャラのテーマ曲やメインテーマ曲は素晴らしい出来でした。 OP・EDの歌もゲームに合っており、歌詞も内容を暗示していてとても良かったです。 OP曲はこれから起こりうる辛い別れの気持ちを歌い上げたものでゲームの方向性を示しています。 ED曲はほたるEDでだけ聞くことができ、ほたるの気持ちを中心にゲームの総括がされています。 歌詞に注目してゲームを再びプレイするのも、ヒロインの気持ちが察しやすくなって良いかもしれません。 音声の方は各声優さんの方々、よく演じていらして物語を盛り上げてくれています。 喜怒哀楽全ての表現が出てきますが、どの方も上手く演じていたと思います。 ただ通常音量設定では音声が小さめなので、ボリュームコントロールをいじっておきましょう。 音楽よりは音声がメインなゲームなので、音声重視の方にオススメします。 白河ほたる(CV:水樹奈々) 南つばめ(CV:池澤春菜) 飛瀬巴(CV:仲西環) 寿々奈鷹乃(CV:千葉紗子) 白河静流(CV:菊池志穂) 相摩希(CV:南里侑香) |
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<基本システム> | ||||||||||||||
システムは相変わらずの完全無欠。最高のプレイ環境を提供しています。 セーブ数は1データに30可能、それまでの選択肢に簡単に戻れるクィックロードシステム、 ワンボタンで自動メッセージスキップ、速度調節可能なオートメッセージ機能、 選んだ選択肢はすぐ分かる履歴機能、音声再生可能な読み返し機能と充実しています。 おまけ要素はシナリオのショートカット機能、CG鑑賞、音楽鑑賞、OPムービー鑑賞、 クリア状況の確認など様様な要素があります。 またDC版ならではのダウンロード機能を利用したアペンドストーリーもあり、 クリア後も楽しめる作りになっています。 |
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<ゲーム性・演出面その他> | ||||||||||||||
特になし | ||||||||||||||
<まとめ> | ||||||||||||||
メモオフ2ndじゃ恋愛の痛さを追及した作品です。 その痛さを乗り越えた後には幸せがやってきます。 そんな恋愛の終わりと始まりを上手く描いていました。 不満な点やシナリオの粗もありますが、試みは面白かったと思います。 コンシューマーではなかなか出来ないことをやってのけたという点は大きいでしょう。 賛否両論、多い作品ではありますが、一度プレイしておいて損はないはずです。 是非、プレイして見てください。 |
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<評価点> | ||||||||||||||
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<動作環境等ゲーム詳細> | ||||||||||||||
「メモリーズオフ」「Never7」 |
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