2003年プロ野球前半戦の結果報告


6月の選手補強を整理しておきます。主に外国人補強です。
(巨人)
サンタナ 投手 新外国人選手獲得(6月中旬)
(阪神)
リガン 投手 新外国人選手獲得(6月中旬)
(広島)
デイビー 投手 新外国人選手獲得(6月中旬)
(近鉄)
ロドリゲス 投手 新外国人選手獲得(6月上旬)
(ダイエー)
笹川隆 捕手 台湾から帰国(6月上旬)
ズレータ 内野手 新外国人選手獲得(6月中旬)
(オリックス)
フィリップス 投手 新外国人選手獲得(6月下旬)


〔セリーグ〕
順位 先月 チーム 勝率 先月 打率 先月 防御率 先月
阪神 57 22 .722 .685 .303 .292 3.45 3.68
ヤクルト 43 37 .538 .500 .294 .289 4.33 4.05
中日 40 39 .506 .500 .273 .270 4.38 4.67
巨人 40 41 .494 .538 .265 .267 4.78 4.42
広島 34 39 .466 .446 .267 .249 4.73 4.40
横浜 22 58 .275 .313 .258 .260 5.10 4.71

阪神の独走状態です。
チーム打率も3割に乗せ、防御率も3点台前半…数字的に完璧ですね。
このままあっさり優勝するかどうかは別として、優勝自体はもう決まりでしょう。

今年の阪神の良さはチーム一丸となっている強さでしょう。
とにかく打線が繋がる繋がる。最後まで諦めず、最後まで手を抜かないのが今年の強さなのだと思います。
不安要素があるとすれば、ここまで「出来すぎ」だということぐらい。
他のチームが早々とこけてしまったものだから、天王山と呼べるような試合がありませんでした。
常に心理的優位に戦ってきた中で、苦境に立たされた時、怪我人の離脱が増えた時にどうなるかが心配です。
 (それでも今までの阪神にはない強さがあると思いますが)
特にベテランの金本・片岡・伊良部選手がやや飛ばし過ぎな感があったので、夏の疲れが心配。
それでも優勝するでしょうから、日本シリーズへのコンディション維持がポイントか。
消化試合の戦い方を知らないだけに、1ヶ月以上空く間隔をどう戦うかに注目です。
阪神にとっては後半戦苦労した方がシリーズ戦いやすくなるかもしれません。

他のチームはと言うと… ヤクルト・中日・巨人が横一線。
3チームとも打線の地力があるだけに、連戦の中での投手陣の整備がポイント。
ヤクルト・中日は先発投手、巨人はリリーフ陣の整備が必要でしょうね。
この3チームの中で阪神を苦しめられそうなのはヤクルトでしょうか。
阪神は逆転勝ちが多いだけにリリーフがダメな所は勝てません。よって巨人はダメ。
先発投手の数が不足気味ですが、古田捕手を中心に守備等がしっかりしている球団なので、
ピッチャーが安心して投げられ、投手陣の底上げを期待できるのが強みです。
問題は誰がエースとなるか… 2年目の石川投手の出来が勝敗を左右しそうです。

広島・横浜は順位を上げるのにやや力不足という所。
若手選手への切り替え・首位イジメが今後の仕事になりそうです。
両チームとも楽しみな若手選手が多いだけに、来季へ向けて戦力の底上げを期待したいです。



阪神の独走によって優勝争いという面では面白みがなくなってしまいましたが、
このまま終わってしまってはセリーグ5球団が情けなさ過ぎます。
一日でも阪神の胴上げを遅めるために、各チームともに頑張って欲しいですね。
それが日本シリーズでセリーグの覇権を守ることにも繋がることでしょう。




〔パリーグ〕
順位 先月 チーム 勝率 先月 打率 先月 防御率 先月
ダイエー 48 32 .600 .603 .286 .279 3.52 3.47
近鉄 47 34 .580 .592 .277 .278 4.13 4.22
西武 44 36 .550 .528 .266 .271 4.27 4.07
日ハム 37 43 .463 .461 .273 .271 4.53 4.31
ロッテ 33 43 .434 .450 .256 .250 4.30 4.38
オリックス 26 47 .356 .346 .271 .268 5.43 4.68

セリーグと打って変わって上位3強の混戦パリーグ。
順位の変動はシーズン当初からほとんどなく、この順位が続いてきています。

ここまでの戦いではダイエーが一歩リードしていますね。
打線では小久保選手の穴を、村松・川崎・井口選手らの1・2・3番の機動力で埋めています。
特に井口選手にバッティングの粗さがなくなったのが大きな強みです。
ホームラン次第ではトリプル3も可能ですから、後半戦の井口選手の打撃にも注目です。
投手陣では斉藤・和田・新垣・杉内・寺原投手と大幅に若返りました。
これによって対西武戦を優位に運べていることが、ダイエーの今の位置にいる理由でしょう(斉藤・和田が4勝ずつ)

不安要素は抑え投手が決まっていないことです。
抑えとして篠原投手を据えていますが、本当に復活しているのかが怪しい所。
復帰当初のようなストレートの勢いがなくなっているだけに、連戦で使えるかどうかは未知数。
ポイントは岡本投手がどれだけやれるかでしょうね。
また若い先発陣が夏場の連戦を耐えられるかが分かりません。
誰一人として先発ローテを一年守った経験がなく、水田・永井投手といった実績ある投手の調子が上がらないだけに、
先発投手陣が崩れると厄介な感じがあります。
ペナント前半戦の最後では斉藤・和田投手といった軸にやや疲れが見えました。
ストレートのキレが落ちてくると、苦しくなりそうです。どこまでテクニックで誤魔化せるか…

近鉄は着々と勝ち星を積み重ねてきた印象があります。
4連敗など好不調の波が激しい面がありましたが、例年に比べれば波の少ない方。
6・7月になって岩隈・門倉・パウエル・ロドリゲス投手といった所が計算できるようになったのが強みですね。
打線では中村選手の怪我で苦しい試合が続きましたが、星野・北川・阿部選手らが頑張り、チームを支えました。
8月は各チームの投手陣に疲れが見られるだけに、近鉄打線の季節になります。
怪我を押して出場している中村選手がどの程度回復しているか、そこがポイント。
例年の打撃ができれば優勝に一番近いチームだと思います。

不安要素は中村選手の怪我。
右膝の円月板ということでシーズン中の完治は難しそうです。
それによって足の踏ん張りが利かず、ここまで打撃成績に大きく影響しています。
中村選手自身も怪我を考慮し、膝の負担が少ない打撃フォームを模索してるそうですから、
その打撃フォームの成否が大きく影響すると思われます。
あとはリリーフ陣の出来。いくら打っても、その度に点数を取られてしまっては勝てません。
抑えに廻した高村投手が活躍すれば、全体の役回りも安定し、リリーフ全体の底上げになるでしょう。
タイプ的には問題ないと思いますから、残る問題は経験と連投に耐えられるかの2点です。
早い段階に固定できれば、近鉄優位にペナントが進んでいくことでしょう。

西武はいまいち調子に乗れず。
下位チームからは順調に勝ち星を稼いでいるのですが、近鉄・ダイエーに分が悪くて乗り切れません。
特に例年勝ち越しているダイエーに負けているのが痛いですね。
上位に勝てない理由は先発投手陣の不調・怪我、繋がりの少ない打線でしょう。
西口・石井・許投手といった実績を残している先発投手を怪我で欠き、
その負担を一心に背負っていた松坂投手も前半戦の最終戦でダウン。苦しい状況が続いています。
また打線はホームランが多いものの(松井・カブ・和田・マック等)、
打点が思ったよりも少なく、得点力に結びついていないのが現状です。
その原因は昨年活躍した松井・小関選手の1・2番コンビの不振でしょう。
出塁が少ないため、チャンスを作ってクリーンアップに廻すことができません。
クリーンアップがチャンスメーカーとなっているのが現状、ソロor2ランホームランが目立っています。
後半戦はいかに先発投手陣を立て直せるか、1・2番を中心に繋ぎの野球ができるかがポイントでしょう。
この2点をクリアすれば優勝が見えてくることでしょう。

不安要素は松坂投手を始め、怪我からの復帰組がどれだけやれるか。
西口・石井・許投手ら怪我からの復帰でどれだけ投げられるか。
実績ある投手といえども、万全でなければ満足いく成績は残せません。
また松坂投手の怪我の程度がどれほどかも気になる所。
本人は2週間以内の復帰を目指すとのことですが、箇所が箇所だけに癖にならないかが心配。
投げるならば万全な状態で復帰し、優勝戦線最後まで戦い抜けるようにしなければダメでしょう。
どれだけ先発投手陣を整備できるか、これが最大のポイント。
幸い帆足・長田投手、打者では後藤・大島・佐藤選手ら若手選手が伸びてきているだけに、
上手く噛み合えば選手層は大幅に厚くなります。
そういう意味では実績を残している中堅・ベテラン組の奮起次第だと言えます。

日ハムは好不調の波が激しいです。
当初は先発投手陣がきっちり仕事をしていたものの、終盤ではやや崩れ気味に。
ただその分、リリーフ投手陣が良くなるのですが、今度は打線が落ちていく等など。
どうもチームの噛み合わせが良くありません。
ただヒルマン監督に代わってから、選手・チームが大きく成長しているだけに、
後半戦の巻き返し・来季以降の活躍が期待されます。

ロッテは先発投手陣がやや誤算でしたね。
清水直行・ミンチー投手らはローテを守ったものの、小野・加藤投手らを怪我等で欠き、
復帰を見込んでいた黒木知宏投手は調子が上がってきません。
打線はフェルナンデス選手の加入で悲観するほどではなくなっただけに、先発投手の出来が残念でした。
ただ伝統的に後半戦に強いチームなだけに、巻き返しが期待されます。
川井・シコースキー・小林宏・小林雅投手といったリリーフ陣の安定感はリーグ一ですから、
パリーグ後半戦の台風の目はこの球団になってくることでしょう。

オリックスは良い所ありませんでしたね。
新外国人選手や吉井・マック鈴木投手といった新戦力が満足に働かず、苦しい試合が続いています。
4月には監督交代ということもあり、チームの方針が満足に定まらぬまま、前半を終えた印象があります。
ただ前半戦終盤には新戦力が働き始めましたから、後半戦の巻き返しは十分ありえます。
チームとしての方針・目標を早く整えることが大切だと思います。



さて優勝争いに関してですが、有利な順は「近鉄>ダイエー>西武」だと思ってます。
ダイエーは最下位のオリックスの対戦成績が五分止まりで下位チームに取りこぼしが目立つのが気になるところ。
その下位チームの中でもロッテ相手にここまで貯金を稼いでいるのも気がかり。
ロッテは後半戦に分が良いだけに今までのようには貯金は稼げないでしょう。
西武もこのまま分が悪いと思えませんし。
ダイエーにとって後半戦は辛い戦いになると予想されます。

西武は前述のように優勝の条件がかなり厳しくなってます。
伸び白が一番あることは確かですが、全て上手く行くとは限りません。
昨年優勝した自信、日本シリーズの屈辱の経験がどこまで生きるかでしょうね。
上手く噛み合えば一気に抜け出す可能性がありますが、やや博打的要素が強いと予想されます。

そう考えていくと、上位・下位ともに安定して勝ち星を稼ぎ、尚且つ、怪我人の少ない近鉄が有利に思えます。
もっとも条件が攻撃の要である4番の中村選手の復調、守りの要である抑えの高村投手の出来と、
投打両方の軸が条件として挙げられるのは不安要素でもあります。
ただ西武・ダイエーの両チームに比べると、ややクリアしやすくもあります。
やはり一番有利なのは近鉄だと言えます。

ただパリーグは毎年、最後まで熱い戦いが繰り広げられます。
下位チームとの実力差も例年よりも縮まってきているだけに、そう簡単に優勝が決まるとは思えません。
9月後半まで拮抗した戦いが繰り広げられるでしょうね。
この1年で培ってきた戦力を最後の最後でどれだけ活かせるか?
パリーグの戦いはまだ始まったばかりです。





≪前半戦のMY最優秀選手≫

MY最優秀投手 MY最優秀野手
セリーグ 伊良部秀輝
(阪神タイガース)
今岡誠
(阪神タイガース)
パリーグ 和田毅
(福岡ダイエーホークス)
井口資仁
(福岡ダイエーホークス)



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