06センバツ甲子園大会 10日目

第1試合 清峰(長崎) 4−0 日本文理(新潟)

(清)有迫(9回)
(日)栗山(4回1/4)−横山(4回2/3)
清峰
日本文理

攻守に卒がなかった清峰が4−0で日本文理に快勝しました。
これで清峰はセンバツ初出場ながらベスト4入り。
昨夏の初出場時も愛工大名電・済美といった強豪校を破っての3回戦へ、
惜しくも大阪桐蔭に破れましたが、大健闘しました。
今大会も東海大相模を破ってのベスト4入りと新鋭校ながら実力を見せつけています。
「長崎に清峰あり」、今大会の躍進で多くの高校野球ファンの脳裏にそれが刻まれたことでしょう。

試合は清峰の有迫投手と日本文理の栗山・横山投手の投げ合いとなりました。
日本文理の栗山投手は130中盤のストレート(138)と変化の大きいスライダーで好投しましたが、
四球やワイルドピッチ、内野の連携ミスなどが出てランナーを進塁させてしまい、
そこを逃さずに攻めた清峰に4点を奪われました。
その後、横山投手をマウンドに送り、清峰打線を相手に切れのある縦スライダーで三振の山を築きますが、
日本文理の打線は最後まで有迫投手のストレートにタイミング合わず。
清峰の好守にも阻まれ、ほとんどチャンスがありませんでした。
甲子園での経験の差でしょうかね。
一つのプレーに対する考えが清峰の方が勝っていたように感じました。

勝った清峰はエラーが2つあったものの、
ファースト・ショートが素晴らしいプレーを見せるなど、守りが良かったです。
走塁面もそうですが、守りでもワンプレーを大切にしている感じがしました。
攻撃ではキッチリとしたバント、エンドランなど基本が徹底されていますし、
こういった隙の無さが今年の清峰の強さでしょう。なかなかの試合巧者です。
で、このチームの唯一の問題だったのが有迫投手のコントロール。四死球の多さでした。
それが今日は制球重視で投げたこともあり、四球は2つだけ。
これまで1試合5〜8個は出していただけに、今日の四球の少なさには驚きました。
制球重視で投げているからといって、長打を浴びるわけでもなし。
被安打は4、全てシングルです。
ストレートは130前後で、見た目にもそんな威力があるとは感じませんでしたが、
日本文理の打者が球の出所が見難いと言っていたように、投球フォームが安定していたと思います。
昨夏のエース・古川投手のフォームに大分近づいてきましたね
上手く上体が倒れることで腕が振り切れ、フォームのロスがなくなりました。
今の状態なら、全力でなくとも十分相手を抑えられると思います。
一回戦と比べると格段に進歩している有迫投手、明日のピッチングにも注目ですね。

日本文理は四球・エラーといった守りのミスが悔やまれます。
先発の栗山投手はボール自体は良かったものの、
四球や自らの送球ミスでランナーを溜めてしまう苦しい投球となりました。
結果的には清峰との守備の差が出てしまったという感じですかね。
新潟代表ということで守備の連携プレーなど実戦練習が不足したためかも。
夏に向けてはその点を重点的に強化し、今日の試合の悔しさを晴らして欲しいです。
収穫としては3戦ともリリーフした横山投手の好投でしょう。
ストレートは130中盤(138)で力があり、
縦にストンと落ちる120前後のスライダーのキレは素晴らしいの一言です。
縦に落ちるスライダーなので、左打者もこれを膝元に投げられるとなかなか打てません。
今大会で投手の中で一番いい変化球だったと思います。
ほとんど打たれませんでした。まさに奪三振の山。
ややコントロールを乱すことがあるのが欠点ですが、投球は素晴らしかったです。
今大会は横山投手にとって大きな自信になったことでしょう。
2年生の栗山投手とともに、大きく成長して甲子園へと戻ってきて欲しいです。





第2試合 PL学園(大阪) 4−1 秋田商(秋田)

(P)前田(9回)
(秋)佐藤(9回)
PL
秋田商

PL学園のエースで4番前田投手が投打に大活躍し、準決勝へと駒を進めました。
打っては3打数2安打1犠打と活躍、
そして先制点となったホームスチールを決めるなど投手ながら足でも魅せました。
投げては8安打許しながらも無四球9奪三振1失点の好投。
7回と9回ににピンチを作りましたが、それ以外はほぼ完璧。
投打に渡っての素晴らしい活躍でした。さすがは今大会No1右腕です。


勝ったPL学園は前田投手の活躍が光りました。
ホームスチールは自分の判断だったそうです。突然閃いて実行したとか(^^;
その感性が凄いですよね。失敗したらとか考えちゃいそうですが。
逆に自分が投げるからこそ思いっきり行けたのかもしれません。
それだけ投球に自信があったということでしょうか。
佐藤投手も途中からクイックで投げたものの既に時遅し。
完璧にホームスチールが決まり、ショッキングな1点が秋田商に入りました。
その後はもうPLの流れで、打ち取った当たりが野手の間に落ちてばかり。
7回の岡本選手のタイムリー2ベース以外は、いずれもあと一歩で追いつくような打球でした。
それが落ちてヒットになるわけですから…もうこれは流れですね。
まさにこの試合を決めるホームスチールだったと思います。

投げては140前後のストレート(144)を軸に、100前後の緩いカーブ、
試合中盤からは110前後のカーブ、120前後のスライダー・フォークなどを投げ、
これまでの試合とは少し違ったピッチングを見せました。
今まではほとんどがストレート、たまに緩いカーブを投げる程度でしたが、
今日はクリーンアップを中心に、試合後半に変化球の配分が多くなりました。
ストレートがいいだけに変化球に振らされてしまう、そんな投球でした。
これが前田投手本来の力なんでしょう。
いや、まだセーブしている可能性もありますが(^^;
今日はストレートを抑え気味に投げた場面でも腕は振れていましたし、
失点しましたが、投球内容は前回の完封以上のものだったと思います。
ボールを置きにいかなかった分だけ、コントロールがややアバウトになって気もしますが、
高校生で無四球という結果は立派の一言。
まだ底が見えないだけに、次の試合でどのような投球を見せるのか…注目です。

その前田投手を支えたのがショート・セカンドを中心とした堅い守備です。
7回の1アウト満塁のピンチではショートゴロ併殺といったように、
随所でショート・セカンドのナイスプレーが見られました。
打線も派手さはなかったものの、
セーフティや足を絡めた野球で確実に1点ずつ加えていきました。
清峰同様に強豪校らしい卒のなさがありましたね。
心配なのが各打者の調子。
1回戦で打点の大会タイ記録をマークした6番戸沢選手は以降ノーヒット。
マークが厳しくなり、左打者の泣き所である膝元の変化球にやられています。
今日もヒットは9本放ったものの、ほとんどが詰まったような当たり。
振れている印象は受けませんでした。
準決勝は好投手の有迫投手が相手。
四死球でランナーを出せれば今日のような野球もできますが、
今日の試合のように有迫投手のコントロールがいいと攻略に苦労しそうです。
打線の復調が鍵ですね。


負けた秋田商は佐藤投手が浮き上がるストレートとスライダーをコントロールよく投げ、
PL打線を抑えていたんですが、詰まった打球が野手の間に落ちるという不運などもあって4失点。
ちょっと可哀想な結果でした。まぁ、これも時の運でしょうか…
それでも各イニングの失点を1点に留め、ビッグイニングにさえなかったのは見事です。
不運なヒットにも動じず、落ち着いて投げられていたと思います。ナイスピッチング。
一方、期待された持ち前の攻撃力は前田投手の前に十分に発揮されませんでした。
7回・9回は良い攻撃ができたんですがね。
もう少し早くこの攻撃を見せていれば… そうすれば終盤にもっと大きなチャンスを作れたはずです。
そう考えると相手のほうが一枚上手だったということでしょうかね。
特に強力なクリーンアップが前田投手の変化球に苦しんで5三振(チームで9の三振)
前田投手に完全にマークされていました。前田投手が良すぎましたね。
チームの課題としてはやはり守備。
あと一歩で打球に追いつけそうなところで落球するなど、球際の弱さが目立ちました。
佐藤投手は三振を奪えるタイプなので、これまで守備の重要性は意識してこなかったかもしれませんが、
全国レベルの相手となるとさすがにそうもいきません。
夏に向けて守備を鍛え、守り勝つ野球ができるようになって欲しいです。




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