06センバツ甲子園大会 7日目

第1試合 岐阜城北(岐阜) 10−7 智弁和歌山(和歌山)

(智)松隈(1回1/3)−竹中(6回2/3)
(城)尾藤(9回)
(本)尾藤(4回裏・城北・1号2ラン)
智弁和歌山
岐阜城北 × 10

尾藤投手の投打に渡る大活躍が印象に残る試合でした。
それまで好投していた岐阜城北の尾藤投手が3回表に突如コントロールを乱し、
死球でランナーを溜めてしまい、3番広井・5番橋本選手らのタイムリーヒットなどで6失点。
試合の流れは決まったかと思いましたが、
その裏に相手のミスに乗じて機動力でチャンスを広げると、
5番尾藤投手の右中間最深部のフェンス直撃2点タイムリー2ベースなどで一挙5得点。
同点に追いついたことで、再び尾藤投手が調子に乗り始め、
4回裏には自らのバットでライトポール際へ運ぶ2ランホームランで勝ち越し。
その後は智弁和歌山打線を1点に抑え、岐阜城北が乱打戦を制しました。

勝った岐阜城北は打線がこれほど強いとは思いませんでした。
一回戦は一関の左腕・太田投手に抑えられていましたからね。
今日4安打と活躍した3番キャッチャー水川選手、
ホームランを放つなど5打点の活躍をした5番尾藤投手ら主軸に左打者がいたからでしょうか?
全体的に岐阜城北打線は狙い球が絞れていました。
智弁和歌山の投手をよく研究していたと思います。
またただ打つだけではなく、ディレードスチールやホームスチール(惜しくも失敗)を仕掛けるなど、
積極的に相手バッテリーを揺さぶっていました。
積極的な走塁が得点に結びついていたように思います。
また守備陣も堅い守備で、尾藤投手の気迫溢れる投球を援護しました。
投打にまとまりがある良いチームだと思います。
課題としては尾藤投手の中盤の崩れ。突如崩れるので、そこをどう乗り切るのかが課題です。

負けた智弁和歌山は松隈・竹中投手の出来が全てでした。
オーソドックスなタイプなだけに打たれると歯止めが利かなくなりました。
今日は甘い球だけでなく、低めの球も打たれていましたから、
もう少し打者のタイミングを外す工夫が必要のように思います。
まぁ、松隈投手が足を痛めていて本来の出来ではなかったというのもあるでしょうがね。
その影響かライトの守備でもファンブルするなど精彩を欠いていました。
ライト方向へ何度も痛烈な打球が行ってましたから…悪い方、悪い方に出てしまったようです。
まずは故障を癒し、夏に向けて投手力の拡充を図って欲しいです。
一方の打線は尾藤投手に集中打を食らわすなど、長打力が目立ちました。
ただ全般的にはボール球に手をだしがちで、完全に攻略するというところまでは行きませんでした。
その打線の粗さが4回以降僅か1得点という結果になったのだと思います。
シャープな打撃で繋ぐ意識を強く持つなど、夏に向けてチーム力の向上を図って欲しいです。

目立った選手は岐阜城北の尾藤投手です。
今日もストレートは130キロ後半(139)、1回戦同様に勢いのある球を投げていました。
スライダー・カーブのキレも良かったです。
崩れたのは3回表だけ。その後は立ち直り、気迫溢れる投球を見せてくれました。
投手のタイプ的にはコントロールのまとまっている西武・三井投手という印象。
逆球も多かったので、コースではなくストライクを取るコントロールはあるという感じかと。
細かいコントロールよりもボールのキレで勝負するタイプの投手だと思います。
能力的には素晴らしいものがあるので、あとは中盤に突如崩れるところをなくしてくれれば。
力投型の投手なので抜ける部分があるのは仕方ないんですが、
乱れすぎるところがあるので、イニングの早い段階で修正してもらいたいです。





第2試合 横浜(神奈川) 7−6 八重山商工(沖縄)

(横)川角(7回1/3)−浦川(1回2/3)
(八)金城長靖(3回2/3)−大嶺(5回1/3)
(本)岡田(横浜・3回表・1号ソロ)、
   金城長靖(八重山商工・6回裏・2号ソロ)
横浜
八重山商工

この試合も乱打戦。しかし最後に勝敗を分けたものは「守備」でした。
序盤の1〜3回は八重山商工打線が横浜・川角投手を攻め立てるものの、
川角投手の粘りのピッチングの前に得点できず。
そうするうちに横浜が3回表に八重山商工の先発・金城長靖投手から
9番岡田選手が高めストレートを捉えるライトスタンドへのソロホームランを放ち先制、
さらに4回表には相手のミスに乗じて5番佐藤・6番下水流選手の長打で追加点、
代わった大嶺投手の連続ワイルドピッチなどで7−0と大量リードを奪いました。
普段ならこれで試合が決まったと思いますが、八重山商工打線を考えるとこのまま終わるわけがなく(^^;
6回裏にセカンドに回った金城長靖選手がレフトスタンドへのソロホームランを放ち、
リリーフで登板した大嶺投手が横浜打線に連打を許さない好投を見せ、試合の流れを呼び込みます。

そして迎えた8回裏、八重山商工は疲れの見えた川角投手を攻め、
3番金城長靖選手から6連打が飛び出し、なんと7−6と1点差まで追い上げます。
横浜は1アウト2塁の場面で2番手の2年生左腕の浦川投手をマウンドへ送ります。
この場面で9番打者の打球は強い当たりのピッチャー返しのゴロ、
これを浦川投手がナイス反応で捕球し、飛び出した2塁走者を挟み込み、挟殺プレーへ。
2塁ランナーを二三塁間に挟みこんでいる間に、打者走者が2塁ベースに来たのでそこでタッチしてアウト、
そして再びランナーを挟んでタッチアウト。なんと挟殺プレーで併殺を取ったわけです。
ここは八重山商工のイケイケムード、抑えるのは困難かと思われました。
そこで挟殺プレーで併殺ですからね、大きかったです、このプレーは。
さらに9回裏にもピンチがあったものの、
最後はショート高浜選手が三遊間深くの打球に追いつき、1塁へ素晴らしい送球をしてアウト!
ゲームセットとなりました。
最後の打球は並のショートなら、送球間に合わずの内安打、
もしくは思い切り投げすぎての悪送球になっていたはず。
それを思い切り投げてコントロール良くファーストに届いたというのは日頃の練習の賜物でしょう。
最後の最後で横浜高校らしい徹底して鍛え上げられた守りが発揮された形です。
まさに「練習は嘘を付かない」。
一番大事な場面で一番大事なプレーをするためには練習しかないということでしょう。
この2つのシーンがそれを教えてくれました。簡単そうに見えて難しい、凄いプレーでした。

勝った横浜は1回戦でも書いたように、今年のチームはどちらかというと個々の力ばかりが目立ち、
チームとしての力をあまり感じていませんでした。
しかし最後に勝利を掴んだのは、横浜高校の伝統である守りの野球、徹底的に鍛えられた守備でした。
ああいうプレーを見ていると、やっぱり練習量が半端じゃないんだなと思わされます。
あのプレーをするためにどれだけの時間練習しているのか、
それを考えればあのワンプレーの大きさが分かってもらえると思います。
今日の試合で結束力が強まったことでしょう。
大きな試練を乗り越え、日頃の練習の大切さを知った今のチームは脅威です。優勝候補筆頭でしょう。
課題は投手力。川角投手は強力打線の八重山商工打線によく投げたというべきですがね。
甘い球が行けば長打を食らってしまうので、低めに変化球を集める丁寧な投球だったと思います。
では何が課題かというと、ピッチャーのスタミナ。
今後は登板感覚も縮まっていくので、2番手以降の投手の出来が鍵になります。
今日投げた浦川投手らの踏ん張りに期待ですね。

負けた八重山商工は8回の連打が見事でした。
もうあの時は完全に八重山商工のムード。球場を支配していましたね。
2回に金城賢司選手がレフトフェンスにぶつかりながら捕球するなど、
最後までファイト溢れるプレーが見られました。
横浜高校というビッグネームにも気後れせずにぶつかっていった姿は
離島では勝てないと思っていた石垣島の人々を勇気づけたと思います。
腕の力だけではない体の芯を使った力強いバッティングや、
大嶺・金城投手といった力強い投手など、その身体能力は今大会No1のチームでした。
今大会は大嶺投手が故障上がりということで無理できませんでしたから、
夏にはベストの体調にし、再び八重山商工旋風を起こしてもらいたいです。

目に付いた選手は1回戦でも書いたので、簡単に。
八重山商工では3番投手・二塁手の金城長靖選手
慎重は170センチと上背がありませんが、
下半身がしっかりしており、ストレートは130後半〜140前後(最速143)。
スライダー・カーブを交えてコントロール良く投げていました。
やや変化球にキレがなかったので、そこを横浜打線に狙われてしまいましたが、悪くはなかったです。
打撃の方では2試合連続ホームランを含む4安打の固め打ち。
体の軸で打つ打者で、タイプ的には名前の通り横浜・金城選手。スイッチヒッターも共通しています。
思い切りが良く、力強いスイング。将来性の高い選手だと思いました。
大嶺投手は1回戦同様のナイスピッチ。
140前後のストレート(142)とスライダーで横浜打線を封じました。
登板直後のワイルドピッチが悔やまれますね。スタミナがついてくればこちらも楽しみ。

横浜高校では3番ショート高浜選手の守備が光りました。
今日は一つエラーをしてしまいましたが、最後の送球は見事。素晴らしい強肩ですね。
バットの方はイマイチでしたが、まだ2年生ですので、こちらも将来が楽しみです。
4番キャッチャーの福田選手は今日もノーヒット。
やられるパターンは全て同じ。外角のスライダーです。
それにも関わらず、真中付近に来たスライダーを見逃し。何を狙っているのかが分かりません。
今のところはその実力が発揮されず。ちょっと心配です。
この先、勝ち上がっていくためには福田選手のバットが必要なはず。早く一本が欲しいですね。





第3試合 関西(岡山) 7−7 早稲田実(東京)

10 11 12 13 14 15 (早)斉藤(15回)
(関)中村(5回1/3)−ダース(9回2/3)
(本)小柳(早実・5回表・1号2ラン
   上田(関西・7回裏・1号2ラン
早実
関西

途中から登板した関西・ダース投手と早稲田実・斉藤投手は延長戦になると互いに一歩も譲らず。
絶対に負けないと気迫溢れる投球を見せた両投手の活躍で、この試合は決着付かず。
引き分け再試合となり、明日の第四試合に対戦することになりました。

この試合は序盤からシーソーゲームでしたが、大きく動いたのは6回・7回。
関西の先発は2年生右腕の中村投手で130前後の威力あるストレートとスライダーで
早稲田実打線を抑えていたんですが、
5回表に早稲田実・2番小柳選手に高めストレートを打たれての2ランホームランを浴びて一変。
コントロールが極端に悪くなり、その後二者連続四球、6回にも先頭打者に四球。
関西は我慢しきれずにダース投手にスイッチしますが、一回戦同様にこちらも制球定まらず。
四死球でランナーを溜めて、失投を打たれるパターンで2−6とリードを許してしまいました。

その後、関西の3番上田選手が2ランホームランを放ち追い上げるも、
9回表終了時で4−7、好投手・斉藤投手の前に追いつくのは絶望的かと思われました。
しかしこれまで鉄壁だった早稲田実のライトが僅かにボールをこぼす2ベースヒットでチャンスを作ると、
なんと斉藤投手が二者連続の死球、ノーアウト満塁となります。
ここで4番安井選手が走者一掃の3点タイムリー3ベースを放ち、7−7の同点に追いつきます。
一転して勝利目前からサヨナラの危機に追い込まれた早稲田実業。
満塁策を取って併殺を狙います。
なんとその目論見が見事に当たり、ピッチャーゴロホーム併殺、
内角低めスライダーでの空振り三振でサヨナラの危機を脱しました。

延長戦はもう両投手ともに一歩も譲らず。
コントロールに不安のあったダース投手は力が程よく抜けて、ストレート・スライダーと安定した投球。
早稲田実業になかなかチャンスを作らせませんでした。
一方の斉藤投手は200球という球数を超えながらも、
球速は130後半という力強い投球で関西打線を抑えていきました。
延長戦で見所だったのは14回裏の関西の攻撃、1アウト2塁という場面で打者はダース選手。
スライダーが高めに抜けた失投を捉えた痛烈な打球を、前進守備だったレフト頭上を襲おうとしますが、
これをレフト船橋選手がバックしながら腕を一杯に伸ばしてナイスキャッチ!
飛び出した2塁ランナーは戻れずに併殺。
早稲田実の素晴らしい守備が失点を防ぎました。

この試合はやはり早稲田実業の守り、そして関西の攻撃力の戦いになっていましたね。
早稲田実業は立ち上がりからエース・斉藤投手の状態が良く、
ストレートの威力が抜群、序盤3回ぐらいはほぼストレートのみで抑えていました。
ストレートは常時140キロという感じで、最速145キロをマーク。気迫溢れる素晴らしい投球でした。
それは終盤になっても変わらず、ボールのキレこそ落ちましたが、
130キロ後半のストレートで思い切って勝負にいっていました。
気迫溢れる素晴らしい投球をしていました。
また守備陣も堅く、随所で素晴らしいプレー。斉藤投手を助けていましたね。

逆に関西はその斉藤投手と守備陣を崩すために、エンドランを積極的にかけました。
2ストライクと追い込まれていても、関係なしにエンドランをかけるなど、
ベンチが積極的に動いていました。
試合前半はエンドランでランナーを進め、犠牲フライで得点するという形でしたから、
序盤に積極的に動いたことが斉藤投手を完全には乗らせなかったのだと思います。
両チームの得意分野が存分に発揮された素晴らしい試合でしたね。
明日の第四試合ということで、疲れが心配されますが、
今日の試合のような素晴らしいゲームを見せてもらいたいです。





第4試合 日本文理(新潟) 6−3 北大津(滋賀)

(北)真田(5回)−猪飼(2回)−竹下(1回)
(日)栗山(4回)−横山(5回)
北大津
日本文理 ×

今日の試合は乱打戦ばかりで、第三試合に至っては延長15回まで行ったため、
この試合は開始時間が大幅に遅れてしまいました。
試合開始時間はなんと6時10分。プロ野球のナイター並の時間です(^^;
さらに試合開始直後に日本文理のセンターとショートが激突し、
ショート長谷川選手が一時担架で運ばれて試合中断するなど、序盤の展開がかなり遅かったです。
(長谷川選手は無事にポジションに戻りました)
今日は冬型の気圧配置でかなり寒かったですから… コンディション的に厳しかったのではないかと。
寒さによる影響がどの程度あったかは分かりませんが、
寒さに慣れている日本文理の方が若干有利だったのかもしれません。

とはいえ、勝った日本文理は力のあるチームだと感じました。
攻撃面では盗塁やスクイズを用い、軟投派の真田・猪飼投手を苦しめ、
ワンチャンスを確実にものにしていきました。
また守備面では初回の激突など若干ミスがあったものの、大崩れはしませんでした。
栗山・横山投手ともに好投しましたし、継投のタイミングもバッチリ。
攻守両面において卒のない野球を見せてくれました。
チームの全体的なバランスがいいですね。この調子で頑張って欲しいです。

負けた北大津は守備陣がポロポロとエラーすることが多く、
得意の守りの野球に徹し切れませんでした。
真田・猪飼投手といった軟投派投手が粘りきれませんでしたが、
3番手の竹下投手はストレート130中盤(137)をマークするなど投球内容が良かったです。
夏に向けて、この竹下投手が伸びてくれば、軟投派と速球派で両方が生きてくるはず。
さらに投手を中心とした守りの野球に磨きをかけ、甲子園に戻ってきてもらいたいです。

目立った選手は日本文理の横山投手ですね。
今日は前回よりもストレートの配分が多く、配球のバランスが良かったです。
得意のスライダー・カーブといった変化球のキレ・コントロールはもちろんのこと、
ストレートが130中盤(138)をマークするなど威力がありました。
登板した5回こそ2アウトから連続四球を与えるなど不安定でしたが、
その後はテンポのいいピッチングで北大津打線を完全に抑えました。
1試合ごと成長してきているので、次の登板も楽しみです。





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