06センバツ甲子園大会 3日目

第1試合 関西(岡山) 6−4 光星学院(青森)

(関)ダース(9回)
(光)桑鶴(7回)−村松(1回2/3)−桑鶴(1/3)
(本)山本(関西・5回表・1号ソロ)
関西
光星学院

関西が15安打4四球、光星学院が6安打8四死球と毎回のようにランナーが出る荒れた試合は、
関西の逆転・逃げ切り勝ちとなりました。
関西の9番打者・山本選手がラッキーボーイとなり、
5回表に打った本人も驚きの左中間への同点ソロホームラン、
6回表には満塁のチャンスでショート強襲の勝ち越しタイムリー内安打、
8回表にはセンターへの犠牲フライでダメ押しと3打点の大活躍でした。
一発勝負ですから、こういったラッキーボーイが出てくると大きいですね。

負けた光星学院は四死球で出したランナーをバントで確実に進めたり、
ディレードスチールを決めるなど関西バッテリーを揺さぶりましたが、あと一本が出ませんでした。
序盤にコントロールが定まらなかったダース投手を崩せなかったのが痛かったですね。
好投手を打つためにはワンチャンスを生かさなければ崩せないので、
一気に畳み掛ける集中力を夏に向けて養っていってもらいたいです。

勝った関西は先発・ダース投手のピッチングが不安定だったのが気がかりです。
140キロ前後のストレートとキレのある変化球と能力的には素晴らしいのですが、
ストライクとボールがはっきりしていたため、序盤はピッチングになりませんでした。
なんとかボールの勢いで勝ったという感じ。
試合後半には少しコントロールが落ち着いてきましたが、四死球8個は多すぎます。
守備陣もエラーをするなど、守備面にはかなり不安が残りました。
ダース投手にはもう少しテンポの良い投球をしてもらいたいです。
打撃の方は15安打と大当たり。9番山本選手がラッキーボーイとなりました。
ジャストミートした打球は外野の頭を超え、詰まった打球でも内野の頭を超えるといったように、
全体的にスイングの力強さが目立ちましたね。
ただ走塁ミスなど勿体無いプレーもありました。
全体的に荒っぽい印象を受けるチームなので、プレーの確実さを磨いて欲しいです。

目立った選手は光星学院・桑鶴投手、関西・ダース投手、関西・安井選手です。
光星学院の桑鶴投手は数年前に甲子園で投げたお兄さんのような投球フォーム、
腕の畳で投げる上体主導の投球フォームから、135前後のストレート(138)と、
スライダー・カーブ・スローカーブ・フォークと多彩な変化球を持つ投手です。
ただコントロールがまだアバウトで、四死球こそ多くはなかったものの、
序盤からボール球が多く、球数がかなり多くなってしまいました。
6回に打ち取りながらもヒットにされてしまったのは、そこらが影響したのかもしれません。
ボール自体はいいと思うので、コントロールを磨いて、夏に帰ってきてもらいたいです。

注目の関西・ダース投手はまだまだ荒削りといった印象です。
日ハム・ダルビッシュ投手のような投球フォームから、
常時140以上出せそうなストレート(最速144、制球重視で130中盤)を投げ、
スライダー・カーブといった変化球にもキレがありました。
しかし立ち上がりからコントロールが定まらず、ストライク・ボールがはっきりする苦しい投球でした。
今日は何度となくディレードスチールを決められるなど、クイックモーションにも課題あり。
まだまだ投げるだけといった印象を拭えません。
これから夏に向けてどれだけ成長していけるか。素材はいいだけに今後の成長を見守りたいです。

打者では関西の4番ショート安井選手の豪快な打撃フォームが目立ちました。
オリックス・中村紀洋選手のような神主打法で、やや構えた時のグリップの位置が下がっている感じ。
まるで剣道の構えのような独特の打撃フォームをしています。
1・2打席目は良い所がありませんでしたが、
3打席目以降はヒットを重ねて3安打放つなど、鋭いスイングとセンスの良さを見せました。
身長は170センチと体格に恵まれているわけではありませんが、なかなか面白い選手だと思います。
守備の方はもう少し? 将来的にはサードでしょうか。





第2試合 早稲田実業(東京) 7−0 北海道栄(北海道)

(早)斉藤(9回)
(栄)浜崎(5回)−久保(3回)−佐々木(1回)
早稲田実
北海道栄

駒大苫小牧の出場辞退で急遽出場することとなった北海道栄でしたが…
んー、やはり厳しかったのでしょうか。
1・2回の失点さえなければ、試合は分からなかったんですが。
準備期間不足が立ち上がりの失点に表れてしまったのかもしれません。
でもその後は2失点しかしておらず、試合自体は悪くなかったと思います。

負けた北海道栄は立ち上がりの浜崎投手の乱調が痛かったです。
1回は1アウト2塁から三者連続四球の押し出しで失点と最悪の形に。
緊張したためかストライクがなかなか入らなかったり、
ボールが真中付近に集まってしまうなど、思うような投球ができてませんでした。
序盤で0−5になってしまったのは北海道栄にとって誤算だったことでしょう。
3回以降は浜崎投手が立ち直り、キャッチャーの送球エラーで1点を失ったものの、
130キロ中盤のストレートと切れのいいスライダー、100キロ台のカーブと、
テンポの良い投球でノーヒットに抑えていただけに、立ち上がりの乱調が余計に悔やまれます。
ただ1点を失ったものの2番手のサイドハンド久保投手も頑張りましたし、
3番手のアンダースロー佐々木投手も1イニングを無失点に抑えました。
タイプの違う3投手が甲子園で自分の投球ができたことは北海道栄にとって大きな収穫だと思います。
北海道栄は… あー、駒大苫小牧と同じ南北海道ですか(^^;
大きな壁が存在しますが、今度は代役ではなく自らの力で甲子園を掴み取って欲しいです。
そのステップとなるものは身につけたはず。夏に期待します。

勝った早稲田実業はエース斉藤投手を中心にとした守りがしっかりしたチームで、
試合の主導権を北海道栄に渡しませんでした。
ピンチらしいピンチは初回のヒット・四球による1アウト満塁ぐらいなもので、
そこも低めに集める投球でピンチを脱し、
その後は外野手の好判断・好守備などもあって、相手打線を内安打2本に封じました。
このしっかりとした守備が早稲田実業の強みですね。
攻撃面では1・2回に相手のミスに乗じて一気に得点を積み重ねました。
ここらの畳み掛ける強さが伝統校ならではですね。
次の試合も守りの野球で勝利を掴み取って欲しいです。

目立った選手は早稲田実業・斉藤投手です。
癖のないオーソドックスな投球フォームから、130キロ後半のストレート(143)と
キレのよい120前後のスライダーを投げる右腕投手です。
1回にストレートを痛打されたのを見て、打者に合い易いのかなと思いましたが、
2回以降は変化球中心に投球を切り替えて、北海道栄の打線に付け入る隙を与えませんでした。
縦の変化球が武器のようで、スライダー以外にもカーブかチェンジアップなのか、
100キロ台・110キロ台と上手く変化球のスピード差を付けて、
打者のタイミングをずらしいていました。
ボールも全体的に低めに集まっていましたし、コントロールも良さそう。
まとまりのある良いピッチャーだと思います。
ただフォーム自体は素直なので、投球が単調にならないようにしたいところ。
注意点はそこだけです。





第3試合 北大津(滋賀) 2−1 旭川実(北海道)

(北)真田(9回)
(旭)天野(8回)−北山(1回)
北大津
旭川実

明治神宮大会で優勝した駒大苫小牧が出場辞退になってしまったとはいえ、
神宮枠が与えられた北海道勢がいずれも初戦敗退というのは… ちょっと辛いです。
北海道勢のレベルが上がっていることを示すチャンスを生かせませんでした。
結構良い選手が出てきているんですがねぇ… 
んー、まだもう少しでしょうか。駒大苫小牧に追いつけ追い越せで頑張って欲しいです。

負けた旭川実業は打線が最後まで北大津・真田投手を打ち崩せませんでした。
120キロにも満たないストレートを投げる変則左腕の前に、
旭川実業の打者はタイミングがほとんど合わず、なかなか連打が出ませんでした。
投手陣では変化球で打たせて取る天野投手、
135キロ前後(138)の勢いのあるストレートで勝負する2年生の本格派右腕・北山投手と
タイプの違う2投手が頑張っただけに、打線が繋がらなかったのが痛かったです。
全国には色々な投手がいるわけですから、
真田投手のような変則投手をどうやって攻略するのかも学んでいってもらいたいです。

勝った北大津はショート中村選手が再三の好プレーを見せるなど、守備の良さが目立ちました。
真田投手は左サイドやや下から浮き上がるように投げる変則投法から、
110キロ前後のストレート、100キロ台のスライダー、
90キロ前後のスローカーブといったように遅い球で打たせて取るタイプなので、
この北大津の守備の上手さは大きな戦力です。
しかし真田投手のピッチングは見事ですね。
120キロに満たない球で勝負するわけですからなぁ… 凄い勇気です。
スローカーブなんて90キロを切るような球も。恐るべき遅球の使い手です。
昨日の履正社・魚谷投手もそうですが、こういったタイプが増えているんですかね?
ロッテ・渡辺俊介投手の影響なのでしょうか。
敢えて速い球を捨てて、遅い球とコントロールで勝負する投手が増えてきたように思います。
ピッチングはスピードだけではないということですね。
体格やスピードに恵まれていない投手はこういったピッチングをお手本として欲しいです。
投手といっても色々な可能性がある、ということです。
そのお手本のような投球でした。
真田投手には次の試合でも相手打者を幻惑してもらいたいですね^-^;





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