06センバツ甲子園大会 2日目

第1試合 岐阜城北(岐阜) 2−1 一関学院(岩手・希望枠)

(一)太田(8回2/3)
(城)尾藤(9回)
一関学院
岐阜城北 2×

岐阜城北の尾藤投手と一関学院の太田投手の左腕対決は、岐阜城北の尾藤投手に軍配が上がりました。
勝負は9回裏の逆転サヨナラ勝ちで決するなど、最後まで互角の投げ合いを見せてくれました。
先制したのは一関学院。
岐阜城北・尾藤投手がこのイニングだけストレートのコントロールが定まらず、
先頭打者への四球、送りバント、2アウトから無警戒の3塁盗塁を決められて最後はワイルドピッチ。
自滅の形で失点してしまいました。
しかしその後は立ち直り、後半はパーフェクトピッチング。一関学院に付け入る隙を与えませんでした。
一関学院・太田投手は力強いストレートと低めへのスライダー・カーブで岐阜城北打線を封じてましたが、
終盤にストレートの球威が落ち始めてしまい、
徐々に岐阜城北打線にボールの見極めがされるようになってしまいました。
8回裏のノーアウト2塁のピンチはバント引き2塁ランナー飛び出しタッチアウトでピンチを脱したもの、
勝利のかかった9回裏にはストライクを揃えすぎてしまい、
犠牲フライ・サヨナラタイムリーで逆転を許してしまいました。
試合後半に尻上がりに調子を上げた尾藤投手と疲れを見せてしまった太田投手、
その差が勝敗を分けてしまいました。

負けた一関学院は希望枠選出らしく、エースの太田投手を中心に堅い守りを誇っていましたが、
攻撃陣は尾藤投手のボール球に手を出すなど、最後まで攻略の糸口を掴めませんでした。
夏に向けて太田投手のスタミナアップ、打撃陣の強化などを課題として練習に取り組んで欲しいです。
勝った岐阜城北もエースの尾藤投手を中心とした守備面がいいですね。
ただ打撃の方がもう少し。今日は勝てたから良かったものの…ギリギリでした。
バントが一発で決められずにスリーバントになったり、
8回裏にはノーアウト2塁で打者が際どいボールを見送り、
バントをするものと思った2塁走者が飛び出してしまって戻りきれずにタッチアウトになるなど、
小技のミスが目立ちました。
しっかりとしたプレーをしていれば、もう少し早く追いつけていたように思います。
次の試合までにバント・走塁といったチームプレーの確認をしておいて欲しいです。

目立った選手は岐阜城北・尾藤投手と一関学院・太田投手です。
尾藤投手はやや小柄ながらも力強いストレートを投げる本格左腕。
ストレートは130キロ後半(最速141)をマーク。
ただ力投型なせいか中盤以降は130キロ中盤、スライダーを軸とした投球に切り替えました。
この左特有のスライダーの切れが良く、高校生レベルでは打つのが難しい球かと。
なかなかにレベルの高い左腕投手だと思います。
課題としては投げ終わった形でしょうか。一本足で立つことが多く、ややバランスが悪いです。
しっかりと前に踏み出せていればいいんですが、そうでないとコントロールを乱す恐れも。
おそらく4回はそのバランスが崩れたためにコントロールを乱したのだと思います。
基本的なコントロールはいいですし、バランスさえ崩さなければ問題ないと思います。

太田投手も小柄ながら力強いストレートを投げるスリークォーターの左腕投手で、
ストレートは130キロ中盤で尾藤投手に及ばないものの、
ソフトバンク・和田投手のように腕が隠れて出てくる感じなので球速以上の速さがあります。
また110キロ台スライダー、100キロ台カーブといった変化球との腕の振りの差が少なく、
岐阜城北の打者はタイミングを合わせづらそうにしていました。
ややコントロールに難があるのか、立ち上がりにボールが上ずりがちでしたが、
ストレートの勢いで乗り切り、2回以降は変化球を低めに集める好投が続きました。
しかし終盤にはストレートの威力がなくなり、振らせていたボール球を見極められる結果に。
最後はストライクを揃えすぎて痛打されるなどスタミナ面の課題が露呈されました。
尾藤投手同様に持っているものは素晴らしいと思いますので、
夏に向けてスタミナをしっかり付け、もう一回り大きな投手になって欲しいです。





第2試合 横浜(神奈川) 1−0 履正社(大阪)

(横)川角(9回)
(履)魚谷(9回)
横浜
履正社

今大会屈指の強力打線を誇る両チームの対決は、意外にも1点を争う投手戦となりました。
履正社の軟投派サイドスロー(体の入りはアンダー)の魚谷投手と土井捕手のバッテリーは、
120キロ中盤のストレートと90キロ台のスローカーブといった緩急を生かしながら、
両サイドを丹念に攻めるコントロール抜群の投球で横浜打線を苦しめました。
一方の横浜は何度となくチャンスがあったものの、バント・走塁ミスで得点に結びつかず。
それでも6回に高浜選手のタイムリーヒットで1点を奪い、
その1点を横浜のエース・川角投手と福田捕手のバッテリーが守りきり、
2安打完封で勝利を収めました。

負けた履正社は魚谷・土井選手のバッテリーが横浜打線を上手く封じていたんですが…
持ち前の強力打線が全く機能せずに終わってしまいました。
頼みの4番土井選手も横浜バッテリーの内角攻めに苦しみ、1安打止まりに。
9回2アウト3塁の場面で打席に立ったものの、打ち上げてのセカンドフライ。
せっかくのチャンスを生かせませんでした。
全国クラスの好投手と会ったときにいかに打ち崩すか。
大坂には多くの好投手がいるでしょうから、夏に向けて更なる打線強化に励んで欲しいです。
勝った横浜は走塁・バントミスなどがあって、思うように得点できませんでした。
今までの横浜高校らしくないなぁと。ちょっと攻撃が荒っぽかったですね。
その分だけ川角投手が豊富な変化球を生かした好投で頑張りましたが。
個々の能力自体は高そうですから、もっとまとまりを持って、
バント等のチームプレーを徹底していって欲しいです。
さすがに松坂投手の時ほどではないものの、成瀬・涌井投手の準優勝時よりも選手の力はあるはず。
チームとして成長していけば、優勝も狙えるかと。

目立った選手は… あー、横浜高校はタレント揃いなので困る(^^;
まず履正社・魚谷投手、横浜・川角投手、
次に履正社・土井選手、横浜・福田選手、白井選手、高浜選手の順でいきます。
履正社の魚谷投手はアンダースローのような体の入りをして、サイドスローで投げる変則右腕投手。
ストレートは120キロ中盤(127)ですが、
90キロ台のスローカーブ、100キロ台のスライダーと変幻自在の投球をします。
コントロールも抜群で両サイドをしっかりと攻められていましたね。
横浜の強力打線を意識してか、やや神経質になってボールが先行する場面もありましたが、
全体的には上手く打ち気を外した見事なピッチングだったと思います。
また投げ終わった形が良く、痛烈なピッチャーライナーを2人連続でアウトにしたのは見事でした。
横浜の強力打線を封じたことは大きな自信になったはず。
今日の試合を糧に真っ向勝負の軟投派投手になってもらいたいです。

横浜の川角投手は左スリークォーター(ややサイド気味)から投げる長身左腕投手。
ストレートは130キロ前後で制球重視。力を入れた時は130キロ中盤ぐらい(135?)
変化球が豊富で110キロ台のスライダー、100キロ台のカーブ、
120キロ台のスクリューといったものを投げていました。
他にも投げていたような…よく分かりませんでした(^^; 結構色々な変化が付いていた気がします。
変化球を低めに集め、右打者にはストレートで内角を攻めるなど、履正社打線に連打を許しませんでした。
横浜高校の先輩でロッテに入団した成瀬投手のように安定感のある左腕投手だと思います。
次の試合でも今日のような投球ができるかどうか、完全なエースとなるためには次の試合が大事ですね。

打者では注目の両捕手から。
履正社の4番キャッチャー土井選手はがっしりした体格で捕手らしい捕手といった印象。
軟投派の魚谷投手をリードして横浜打線を1点に抑えたのは見事です。
試合で肩を見せる機会は1度ありましたが、
それは打者の福田選手の守備妨害があったためによく分かりませんでした。
今日の試合で捕球ミスは見かけませんでしたし、守備は悪くない印象を受けました。
注目の打撃は体格に似合わない脇のしまったシャープな構え。田淵氏みたいな感じ?
ただ結果の方は思うようにいかず。3打席目に三遊間を抜くヒットを放ちましたが、やや詰まり気味。
快音が聞かれるということはありませんでした。ちょっと力が入ってたんですかねぇ…
最後の打席はそんなに厳しい球でもなかったんですが…残念。
チャンスに強い打者に成長し、再び夏の甲子園に戻ってきてもらいたいです。

同じく横浜の4番キャッチャー福田選手は土井選手よりもスラッとした感じ。
1年生の時から打撃の評価は高かったのですが、先輩の西武・涌井投手をリードしきれず、
マスクを代わるという試合もありましたが、
今はもう主将としてチームを引っ張り、川角投手をリードして完封させるなど守備面も成長したようですね。
ただ僅か2安打でしたから、守備面で活躍するという機会はありませんでしたが。次の試合に期待です。
得意の打撃の方は3打数ノーヒット1四球という結果。
脇の閉まったシャープな構えなんですが、外角低めのスライダーに泳ぐことが多く、
バッティングで良い所はありませんでした。
2打席目のショートライナーが一番良い当たりでしたが、泳いでの片手一本でしたから…
こちらも次の試合に期待ですね。

活躍した選手では1番セカンドの白井選手。長打2本を含む3打数3安打1犠打と大活躍でした。
バットを揺らしながら構える右打者でヤクルト・宮本選手のような形。
秋の大会で14盗塁するなど足が武器の模様。
今日の4打席目もサード右抜くヒットで一気に2塁を陥れました。足はさすが。
ただ初回の2ベースで出塁した後、送りバントが小フライになった瞬間に2塁へ戻ってしまって、
ワンバウンドしたのにも関わらず2塁から動けなかったり、
3番高浜選手の良い当たりのレフトフライで飛び出してしまってアウトになるなど走塁の判断ミスもありました。
こういったミスは命取りになってしまうので、気をつけてもらいたいです。
2年生の3番ショート高浜選手はこの試合唯一のタイムリーヒットを放ちました。
ヘッドの位置が高い左打者で、ミートの上手い巧打者といった印象。
ヒットはこの1本だけでしたが、1打席目のレフトフライ、
4打席目のピッチャーライナーなど当たり自体は良かったので、次の試合でも期待ですね。





第3試合 八重山商工(沖縄) 5−2 高岡商(富山)

(高)堀岡(6回0/3)−細川(2回)
(八)大嶺(9回)
(本)金城長靖(八重山商工・1回裏・1号ソロ)
高岡商
八重山商工 ×

5回の高岡商の攻撃が結果的にターニングポイントになってしまいましたね。
2−3の5回表、2アウト満塁から5番北田選手がセンター前に抜けるヒットを放ち、
一気に二者生還で逆転と思いきや、
2塁ランナーが3塁を踏んでなかったようでアピールプレーでアウトに。
最初は3塁ランナーのホームインが認められたものの、
審判が集まってルールの確認をしたところ、
満塁ではフォースプレーになるので、アピールアウトによって全ての得点が認められず、
結局ヒットにもならず、記録はセンターゴロ(^^; 幻の逆転劇となってしまいました。
この後、高岡商はチャンスらしいチャンスを作れず。
7回の継投のタイミングも逸して追加点を奪われるなど試合の主導権を握れませんでした。
3塁ベースを踏み忘れた走者は悔やんでも悔やみきれないでしょう…
その後に高岡商の唯一のヒットを放ったのが彼だったというのはせめてもの救いでしょうか。
この悔しさを胸に、再び甲子園の舞台へと帰ってきてもらいたいです。

負けた高岡商は上述の通り。5回の走塁ミスが痛かったです。
4・5回に八重山商工のエース大嶺投手のストレートを狙い打って突破口を開いたんですが、
6回以降は変化球を上手く織り交ぜてきた大嶺投手に対応できずに1安打止まり。
試合の主導権を奪うことができませんでした。
また2点差ならば試合は分からなかっただけに、7回の継投のタイミングを逸したのも残念でした。
堀岡・細川両投手が良かっただけに、勿体無い試合でした。
課題は昨夏と同じでミスをしないこと。
さらに精度を高め、卒のない野球ができるようにして欲しいです。

勝った八重山商工は打者の思い切りの良さが目立ちました。
打球の速さが明らかに他チームとは違い、既に夏のチームが出来上がっているかのようでした。
1回の金城長靖選手のレフトポール直撃のソロホームランに代表されるように、
バットの面で押し込むように打つため、逆方向にも強い打球が行きます。
スイングの鋭さと振った後のフォローの強さ、前評判どおりですね。
エースの大嶺投手は立ち上がりからストレート中心、
中盤に球威が少し落ちて高岡商打線に掴まったものの、相手の走塁ミスに助けられ、
6回以降は温存していた変化球、とりわけ縦スライダーの切れ・精度が高まり、
ピッチングの組立が俄然良くなり、高岡商打線に付け入る隙を与えませんでした。
エースが9回まで投げきったというのは八重山商工にとって大きいでしょうね。
守備でエラーがあったものの、大きなミスには繋がりませんでした。
今日の1戦で全国でも戦えることが分かったでしょう。
次の横浜戦も全力でぶつかっていって欲しいです。
よく鍛えられています。全国クラスの力は十分ありますよ。

目立った選手は八重山商工・大嶺投手と高岡商・堀岡投手、細川投手です。
大嶺投手は右オーバーハンドの本格右腕。
ストレートが速く、140キロ前後(最速144)。
立ち上がりはストレート一本で三振を奪うなど、力強い投球を見せてくれました。
中盤は130キロ中盤〜後半でしたが、120キロ中盤の縦スライダーが低めに集まり始め、
相手打線に狙い球を絞れなくしました。
前半はストレート中心、後半はスライダー中心とやや極端な配球ではありましたが、
それが逆に相手の目先を変えることとなったのかもしれません。
とはいえ、もう少し楽な投球ができた気もしますが(^^;
立ち上がりの変化球はやや高かったこともあったのかもしれません。
持っている力は素晴らしいので、あとは実戦でどれだけピッチングを磨けるか。
次の横浜戦のピッチングに注目です。

高岡商の堀岡投手も右の本格派。
130キロ後半のストレート(141)と120キロ後半の縦スライダーの組立。
テンポが良く、序盤から安定した投球を見せていました。
ただスタミナが持たなかったのか、序盤から変化球を使いすぎたのか、
7回に四球からリズムを乱し、八重山商工の強力打線に掴まる結果となってしまいました。
大嶺投手にはやや及ばないものの、ピッチング自体は良かったので、
このまま夏に向けて成長していってもらいたいです。
2番手の細川投手はストレートこそ130前後なものの、コントロールが良く、
120キロ台の縦カーブ(ドロップ)が狙ったところに投げられていました。
ドロップの高さが絶妙で、あれだけ良いカーブも久々に見たなと。
7回のピンチで連投したのも分かります。それだけの価値があるボールでした。
個人的にもう少し見たかったかな。2イニングで終わってしまったのは残念です。

打者では八重山商工の3番セカンド金城長靖選手
4番サード羽地選手らのバッティングが目を引きました。
どちらもスイングが速く、打球が強烈。
腕の力だけで打つのではなく、体の力で打つ良い打撃フォームをしています。
次の試合の打撃にも注目です。





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