05夏の甲子園大会 6日目

第1試合 前橋商(群馬) 5−3 熊本工(熊本)

(前)冨田(9回)
(熊)敷根(3回2/3)−前田(3回1/3)−土屋(2回)
前橋商
熊本工

両チームの積極的な走塁が目立つ試合でしたが、
守備のエラーが絡んだ分だけ熊本工が遅れを取り、
しっかりと守った分だけ前橋商に勝利の女神が微笑みました。
互角な試合だっただけに1つのミスが大きく響いてしまいましたね。

簡単な得点経過です。
1回裏 熊本工の攻撃
四球と3番橋村選手のヒットでチャンスを作るも、サードゴロ併殺に倒れて無得点。

2回裏 熊本工の攻撃
1アウトから6番狩場選手がヒットで出塁し、送りバントで2塁へ。
続く8番元吉選手がヒットを放ち、2アウト1・3塁のチャンス。
ここで熊本工業は果敢にもダブルスチールを敢行するもこれは失敗。無得点。

4回表 前橋商の攻撃
1アウトからショートの送球エラー・四球などでランナーが出て、
6番山田選手がライト前タイムリーヒットを放ち、1点先制。
さらにセカンドが処理を誤るタイムリー内安打でもう1点を加えます。

5回裏 熊本工の攻撃
1アウトから8番元吉選手がヒットで出塁し、盗塁で2塁へ。
ここで1番藤田選手がレフト前タイムリーを放ち1点を返します。

6回表 前橋商の攻撃
先頭の4番森田選手が内安打で出塁し、四球・送りバントで1アウト2・3塁。
ここで7番須田選手がサードのグラブを弾くタイムリーヒットを放ち追加点。
さらにワイルドピッチでランナーが進み、スクイズバントを決めてもう1点。
この時にスタートを切っていた2塁ランナーも一気にホームへ、
2ランスクイズを決めて、計3点を加えます。

7回裏 熊本工の攻撃
1アウトから8番元吉選手が3ベースヒットで出塁し、ファーストゴロの間に1点を返します。

9回表 前橋商の攻撃
先頭の2番丸山選手がライト前ヒット+処理を誤る2ベースで出塁し、
送りバントで3塁へ進めるも、後続が倒れて無得点。

9回裏 熊本工の攻撃
1アウトから7番平松選手・8番元吉選手の連続ヒットでチャンスを作り、
2アウトから死球で満塁、さらに押し出し四球で1点を返すも、
最後はショートゴロに倒れて試合終了。
前橋商が5−3で熊本工を下しました。


勝った前橋商はエースの冨田投手を中心に守りがしっかりしていました。
富田投手は楽天・岩隈投手のように腕をぶらりと下げる投球フォームをしている右腕で、
ストレートは130前半(135キロ)ながらも、
100キロ前後のスローカーブ、120キロ後半のカット気味なスライダーと投球の幅がありました。
とりわけカット気味のスライダーが効果的だったと思います。
力むとボールが上ずる傾向があり、立ち上がりや9回などはその悪い癖が出てしまったようですが、
それ以外はコントロールもまとまっていたように思います。
攻撃面では2ランスクイズを決めるなど小技の上手さ、積極的な走塁が目立ちました。
派手さはないものの、1点1点確実に取る野球は見事でした。
次の試合でも今日のような試合運びをして欲しいですね。

負けた熊本工は守備のエラーが痛かったです。
良いプレーもあったんですが、結果的にエラーが失点に繋がってしまうなど、
守りのリズムが良くありませんでした。
攻撃面では序盤に点数を奪えたなかったのが響きましたね。
初回のチャンスや2回のダブルスチール失敗など、もう少し上手く攻めていたらと思わなくもありません。
積極的に攻めた結果でのことなので、仕方ないとは思いますが…
相手に先制点をやってしまったことで、試合の主導権を最後まで握れませんでした。
今日は2年生の長身右腕である前田投手がマウンドに上がりましたし、
この経験を来年へと繋いでいって欲しいです。



第2試合 駒大苫小牧(南北海道) 5−0 聖心ウルスラ学園(宮崎)

(ウ)川野(7回)−菊次(1回)
(苫)松橋(9回)
聖心ウルスラ
駒大苫小牧 ×

この試合は駒大苫小牧の完勝でしたね。
駒大苫小牧の先発・松橋投手は140キロ中盤のストレート(146キロ)を軸に、
カーブ・スライダーを交えて相手打線に付け入る隙を与えず。
聖心ウルスラ学園の打線が松橋投手の速球に付いていけず、
ストライク・ボールの見極めもできず、高めのボール球も空振り。
ほぼ完璧に抑えたといっていいんじゃないでしょうか。
これまでの松橋投手は良いボールを持ちながらも、脆さがあったのですが、
この試合を見る限りだとかなり安定感が出てきたように思います。
フォームも投げる時に顔が動く点は気になりますが、体自体のブレはなくなった気がします。
ストレート一直線で力みがちだったものが、変化球を効果的に交えるなど、
ようやくピッチングらしくなったように思えます。
変化球のキレ等はまだまだだと思いますが、だいぶ投手らしくなったんじゃないですかね。
昨夏・センバツに比べて大きく成長したことを高校野球ファンに見せてくれました。

簡単な得点経過です。
1回裏 駒大苫小牧の攻撃
1番林選手がセンターオーバーの2ベースヒットで出塁し、送りバントで3塁へ。
そしてファーストがボールを弾くエラーの間にランナーホームイン。
駒大苫小牧が1点を先制します。

4回表 聖心ウルスラ学園の攻撃
先頭の1番東選手がヒットで出塁し、送りバントで2塁へ進めるも、
後続が倒れて無得点。

4回裏 駒大苫小牧の攻撃
先頭の4番本間選手がレフト左への2ベースヒットで出塁し、
5番青池選手がエンドラン三遊間抜くタイムリーヒットを放ち、1点を追加します。
ただその後の1アウト3塁のチャンスは生かせず。

5回裏 駒大苫小牧の攻撃
先頭の9番小山選手がヒットで出塁し、送りバントで2塁へ。
ここで2番辻選手がセンター前タイムリーを放ち、1点を追加します。

6回表 聖心ウルスラ学園の攻撃
1アウトから9番甲斐選手が3塁線突破の2ベースヒットで出塁し、
送りバント・死球で2アウト1・3塁のチャンスを作るも、後続が倒れて無得点。

7回裏 駒大苫小牧の攻撃
先頭の代打・鷲谷選手がヒットで出塁し、送りバントなどで2アウト3塁となり、
聖心ウルスラ学園は1番林選手を敬遠。
林選手が2塁への盗塁を決めて2アウト2・3塁となった所で、
2番辻選手がセンター前に弾き返す2点タイムリーヒットを放ち、駄目押し点を奪います。

9回表 聖心ウルスラ学園の攻撃
駒大苫小牧の松橋投手が許したランナーは4回・6回のヒット・死球のランナーのみ。
あとのイニングは三者凡退で抑えるという危なげない投球で完封勝利。
駒大苫小牧が5−0で聖心ウルスラ学園を下しました。


勝った駒大苫小牧は昨年のような破壊力こそありませんが、
堅実な攻撃・守備とチームのまとまりがあります。
打線は派手さこそないものの、センター方向を中心に弾き返すバッティングが徹底されており、
打線の繋がり自体は昨年と変わらないように思います。
あとは投手力次第ですね。
今日は松橋投手が完封しましたが、他にもセンバツで投げた吉岡投手や田中投手も控えています。
3人の力ある投手をどう使っていくのか、
駒大苫小牧が勝ち上がっていくためのポイントはここだと思います。

負けた聖心ウルスラ学園は初回こそエラーで失点してしまいましたが、
その後はエースの川野投手を中心に粘り強くピンチを凌いでいきました。
結果的に5失点してしまいましたが、7回まではどのピンチも最小失点の1点で凌いでおり、
ズルズルと行かなかったことは評価できます。
初めての甲子園で昨夏優勝校との対戦となり、プレッシャーもあったでしょうが、
完封負けとはいえ、一定の試合ができたことは良かったんじゃないでしょうか。
今夏の経験を野球部の新しい歴史として後輩に伝えていって欲しいです。



第3試合 日本航空(山梨) 8−7 福井商(福井)

(福)林(4回2/3)−斉藤悠葵(3回1/3)
(航)毛塚(2回2/3)−長岡(6回1/3)
(本)鈴木1号(4回裏・日本航空・ソロ)
福井商
日本航空 ×

んー… センバツで好投していただけに福井商の林投手には期待していたんですが…
ストレートは140前半(145キロ)、スライダーのキレありと数字自体は悪くなかったんですが、
ストレートがシュート回転して真中に入ったりと、数字通りの威力がありませんでした。
なんか振り被った時にスムーズに腕が出てこないんですよね。
余計な力が入っている感じで、スライダーの時はスムーズに腕が抜けていたんですが、
ストレートを投げると妙に力が入っていてシュート回転。
スライダー中心に切り替えようとすると、今度はスライダーが抜けなくなったりと悪循環。
県大会から調子が良くなかったことで、迷いがあったのでしょうか。
ちょっと残念な内容でした。

逆に日本航空はその林投手の失投をよく捉えました。
140前後のストレートに振り遅れることなく、外野の頭を越す当たりを連発。
攻撃面では送りバントのミス、守備面ではエラーと試合内容自体は散々だったんですが、
打撃の勢いが福井商を上回りました。
荒っぽい試合となってしまいましたが、最終的に勝てたことは大きいですね。

簡単な得点経過です。
1回表 福井商の攻撃
先頭打者が死球で出塁し、送りバントで2塁へ進めるも、
二者連続三振に倒れて無得点。

1回裏 日本航空の攻撃
1アウトから2番新井選手がヒットで出塁し、
3番福江選手が内角ストレートを捉えるライトオーバータイムリー3ベースを放ち先制。
さらに2アウトから5番向井選手がストレートを捕らえるセンターオーバータイムリー2ベースを放ち、
好投手の福井投手から2点を奪います。

3回表 福井商の攻撃
先頭の9番原田選手がセカンドの送球エラーで出塁(送球がヘルメットに当たり臨時代走。無事)
送りバントで2塁へ進めた後、2番宮前選手がヒットを放ち、1アウト1・3塁。
2アウトとなるも二者連続四球があって、1点を返します。
さらに2アウト満塁から6番斉藤進吾選手のライト前2点タイムリーヒットで逆転。
ここで日本航空は2番手の長岡投手にスイッチ。
しかしワイルドピッチで1失点、
続いてファーストが弾きベースカバーが誰もいないタイムリーエラーでもう1点を失います。

3回裏 日本航空の攻撃
この回は三者連続三振。林投手が立ち上がりの兆しを見せます。

4回表 福井商の攻撃
四球・バント内安打・送りバントで1アウト2・3塁とし、
3番小坂選手が一二塁間抜く2点タイムリーヒットを放ち、追加点を挙げます。

4回裏 日本航空の攻撃
2アウトから8番鈴木選手がソロホームランを放ち、1点を返します。

5回裏 日本航空の攻撃
先頭の2番新井選手が2ベースヒットで出塁し、死球・死球などで1アウト満塁。
ファーストゴロの間に1点を返した後、
7番藤井選手がセンター前に落とす2点タイムリーヒットを放ち、1点差まで迫ります。
ここで福井商は2番手の斉藤悠葵投手にスイッチ。
急遽登板でややコントロールを乱したものの、後続を打ち取って3アウトチェンジ。

6回裏 日本航空の攻撃
先頭打者が四球で出塁するも、送りバント失敗で1アウト。
しかし2番新井選手がライト前ヒットでチャンスを作り直し、
ワイルドピッチもあって1アウト2・3塁のチャンス。
ここで3番福江選手がタイムリーヒットを放ち、同点に。
さらにスクイズで勝ち越しを狙うも小フライとなって成功せず。

7回裏 日本航空の攻撃
先頭の6番平林選手がヒットで出塁し、8番鈴木選手のタイムリーヒットで勝ち越し。
その後はバント失敗もあって得点ならず。

9回表 福井商の攻撃
1アウトから4番山本選手がヒットで出塁するも、二者連続三振に倒れて無得点。
試合終了、日本航空が8−7で福井商を下しました。


勝った日本航空は投打のバランスが取れている…と言いたいんですが、この結果ではどうも(^^;
先発した毛塚投手はストレートが140前後(142キロ)とボールに力がある右腕投手で、
スライダー・カーブ・シンカーで引っ掛けさせる投球が身上のようです。
ただ今日は力んでいたのかストレートが高めに浮くばかり。
結果的に四球でピンチを広げてしまい、失点に繋がってしまいました。
ボール自体は良いだけに勿体無かったですね。
あとは前述の通り。
打線はパワフルで良いのですが、送りバントやスクイズを失敗しているのはいただけません。
守備でもエラーを繰り返すなど試合が荒っぽくなってしまいました。
次の試合ではしっかりと修正してもらいたいです。

負けた福井商は林・斉藤投手という左右の二枚看板の出来が誤算でした。
林投手はボールの威力が本来のものではなく、
斉藤投手は急遽だったためかコントロールが定まらずに四球・ワイルドピッチで自滅してしまいました。
そんなに打てるチームではないだけに、失点が大きすぎましたね。
この夏は不本意な結果に終わってしまいましたが、
両投手ともに良いものを持っていますから、上のレベルを目指して頑張って欲しいです。



第4試合 銚子商(千葉) 7−1 鳥取西(鳥取)

(鳥)浜本(7回1/3)−米村(2/3)
(銚)遠藤(8回1/3)−山崎(2/3)
(本)長沢(8回裏・銚子商・ソロ)
鳥取西
銚子商 ×

少し体調が悪くて、この試合は最初と最後しか見れず…
得点シーンを見逃すことがなかったのは幸いか(^^;
終わってみれば銚子商の快勝でしたね。
鳥取西も初回の攻撃といい、中盤までは頑張っていたんですが、
尻上がりに良くなっていく遠藤投手を打ちあぐね、
銚子商の長打攻勢の前にやられてしまうなど最後は力が及びませんでした。

簡単な得点経過です。
1回表 鳥取西の攻撃
1番陰田選手がヒットで出塁し、送りバントで2塁へ。
続く3番吉岡選手がセンター前ヒットを放ち、1アウト1・3塁として、
4番衣笠選手がセンターへ犠牲フライを打ち上げて1点先制。
さらにショートのエラー、投球前に3塁が空く隙を突く盗塁で2アウト1・3塁とするも、
後続が倒れて1点止まりに。

1回裏 銚子商の攻撃
1番佐藤選手がレフト線に落ちる2ベースヒットで出塁し、送りバントで3塁へ。
ここで3番田崎選手がタイムリーヒットを放ち、同点に追いつきます。

3回裏 銚子商の攻撃
四球2つで2アウト1・2塁とし、5番長沢選手がレフトへの2点タイムリー2ベースを放ち、
銚子商がリードを奪います。

7回裏 銚子商の攻撃
1アウトから8番多田選手が2ベースヒットで出塁し、
9番遠藤投手のセンターオーバータイムリー2ベース、
2番渡辺選手のタイムリーヒット、
3番田崎選手のレフトオーバータイムリー2ベースと集中打が飛び出し、3点を追加します。

8回裏 銚子商の攻撃
5番長沢選手のレフトスタンドへのソロホームランで1点を追加。

9回表 鳥取西の攻撃
1アウトを取った所で銚子商は2番手の山崎投手にスイッチ。
死球のランナーを一人出すも後続を打ち取って試合終了。
銚子商が7−1で鳥取西を下しました。


勝った銚子商はこれで伝統校復活ですね。
投げてはエースの遠藤投手が130キロ後半のストレート(141キロ)、
縦横2種類のスライダーを武器に12奪三振の好投を見せました。
腕の振りが良くストレートの切れは見事でしたね。
立ち上がりこそ腕が振り切れず、得意のスライダーが効果半減となっていたんですが、
2回以降徐々に良くなっていき、安定感が増していきました。
打線は9安打でしたが、ワンチャンスで畳み掛ける強さがあり、
特に7回の長打攻勢は見事でした。
ここ一番で長打が出る黒潮打線復活ですね。
長いブランクがありましたが、良き伝統を受け継いでいると感じさせるイニングでした。
課題としては守備でしょうか。ややエラーが多かったです。
まぁ、エラーがあっても遠藤投手がペースを乱さずに投げていましたし、
それほど気にすることではないかもしれませんがね。
ただ初回の3塁ベースを空けてしまうミスなど、防げるものはしっかりと防いで欲しいです。

負けた鳥取西は初回の攻撃を始め、中盤までは良さが目立ったのですが…
最後は銚子商に力負けしてしまいました。
それでも持っている力は出せたと思います。
甲子園での経験を今後に生かしていってもらいたいです。



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