05センバツ甲子園大会 12日目

決勝戦 愛工大名電(愛知) 9−2 神村学園(鹿児島)

(神)野上(7回)−馬沢(1回)
(名)斉賀(9回)
(本)堂上(1回裏・2号ソロ)
神村学園
愛工大名電 ×

2年連続のセンバツ決勝となった愛工大名電が昨年の雪辱を晴らして神村学園に快勝し、
センバツ初優勝を果たしました!
思えば昨年の今日、愛工大名電は済美にあと一歩及ばずに5−6で敗戦、準優勝に終わりました。
一年前の決勝で先発を務めたのが斉賀投手、
甲子園初登板ということもあってランナーを気にしすぎて早々と3失点して降板、
斉賀投手にとっては自分の力を出せないまま終わるという悔しい登板となってしまいました。
キャプテンの柴田選手は2番サードでバントを決めるなど、
副キャプテンの佐々木選手は6番センターでタイムリーヒットを放つなど活躍したものの勝利に結びつかず。
夏の甲子園の出場も逃しましたから、悔しい1年間だったことでしょう。
でもその悔しさを胸に目標を「全国制覇」と最初から銘打ち、今日のために戦っていきました。
高い目標に向けで努力し、その成果が出た形ですね。
愛工大名電は決勝戦に臨む気持ちからして違いました。
今日の勝利で1年間背負ってきたものから解放された気分でしょう。ご苦労様です。
そして本当におめでとうございます。

負けた神村学園は投打ともに本来の力を出すことができず、悔いの残る試合となってしまいました。
エースの野上投手は足の怪我の影響か、3連投の疲れなのか、
腕が振れずに持ち前のキレのあるスライダーを投げることができず、
堂上選手にスライダーをホームランにされるなど完璧に打たれてしまいました。
これまでスライダーほとんど打たれることがなかったんですが…やはりいつもと違ったのでしょう。
野上投手が自分のピッチングができなかったことで、
序盤から失点してしまうという苦しい試合になってしまいました。
打線も本来の力を出せず、4番天王寺谷選手など中軸はサッパリ。
今まで先行逃げ切りという試合ばかりだっただけに、早く点を返そうと焦ってしまったのかもしれません。
打撃が淡白で斉賀投手をどう攻略するかという意図が見られませんでした。
今までは堅く送っていた所を強行して併殺になるなど、らしくない攻撃でした。
守備ではショート・セカンドがナイスプレーを見せるなど持ち味を発揮しましたが、
それ以外の面では良い所なく、敗れ去ることとなってしまいました。
神村学園にとっては悔しい結果となってしまいましたが、
創部3年目での初出場準優勝は十分誇れる結果ですから、
このセンバツでの試合を神村学園の新しいスタートとして欲しいです。
1年後には愛工大名電のように、「この試合が始まりだった」、そう思えるようにして欲しいですね。

今日の試合の得点経過です。
1回表 神村学園の攻撃
愛工大名電の先発はエースの斉賀投手。
準決勝は不安定なピッチングで5回降板となりましたが、
今日はその時よりもボールのキレがあり、三者凡退に抑える順調な立ち上がりを見せます。

1回裏 愛工大名電の攻撃
神村学園の先発は3連投となるエースの野上投手。
昨日はナイスピッチングを見せましたが、今日は立ち上がりからボールのキレがいまいち。
愛工大名電はその野上投手の不安定な立ち上がりを攻めます。
1番山田選手が意外と打球が伸びるセンターフェンス直撃の3ベースヒットで出塁すると、
2番柴田選手のレフト後方への犠牲フライでランナーホームイン。1点を先制します。
さらに4番堂上選手が外角真中付近のスライダーを捉えるレフトスタンドへのソロホームランを放ち、
愛工大名電が2点を先行します。

2回表 神村学園の攻撃
先頭の4番天王寺谷選手の1打席目は外角135キロストレートに詰まってサードゴロ。
1アウトから5番寺田選手が高めストレートを叩くヒットを放ち、
6番作増選手が甘いスライダーを流すレフト前ヒットで繋いで1アウト1・2塁のチャンス。
しかし7番橋野選手がファールチップ空振り三振、
8番野上投手がセカンドゴロに倒れて無得点。

3回表 神村学園の攻撃
先頭の9番谷口選手が高めの球を叩きつけてセカンド左への内安打で出塁するも、
1番鎌田選手がバスターでサードゴロ併殺に。
2番馬沢選手も倒れて得点することができません。

3回裏 愛工大名電の攻撃
この回から神村学園のレフトは蒲田選手から西崎選手に交代。
野上投手は2アウトを簡単に取るも、追い込んでから2番柴田選手に死球を与えてしまいます。
すると3番佐々木選手が外角のストレート系の球を捉え、
レフトフェンス直撃のタイムリー3ベースヒットを放ち、1点を追加します。
(フェンスの下の方で予想以上にボールが強く跳ね返り、クッションボールの処理が遅れる)
4番堂上選手が四球で2アウト1・3塁となった所で、
5番小島選手が低めストレートを叩きつけて内野の頭を越すライト前タイムリーヒットを放ち、
もう1点を追加します。
この後、小島選手が盗塁を決めて2アウト2・3塁となるも、6番斉賀投手はセカンドゴロ。

4回表 神村学園の攻撃
クリーンアップからの好打順も、3番椎葉選手が強い打球のファーストゴロ、
4番天王寺谷選手が低めストレート系の球にセカンドゴロ、
5番寺田選手がフォークを打つもセカンドゴロに倒れ、三者凡退に終わってしまいます。

4回裏 愛工大名電の攻撃
先頭の7番井坂選手が外角スライダーを打つレフト前ヒットで出塁し、
8番花山選手の所で神村学園はサードが極端なバントシフトを敷くも、
ピッチャー前に打球を殺すナイスバントを決めて1アウト2塁に。
しかし9番石黒選手は弱い当たりのショートゴロ、
1番山田選手は内角低めスライダーに空振り三振に倒れて無得点に。

6回裏 愛工大名電の攻撃
先頭の6番斉賀投手が当たり損ねが幸いしたショート内安打で出塁し、
7番井坂選手は送りバントファールの後、外角低めスライダーに空振り三振、
8番花山選手が極端なバントシフトに対して挑戦するかのように、
3塁手前へ打球を殺したナイス送りバントを決めて2アウト2塁。
9番石黒選手は外角低めスライダーに空振り三振。

7回表 神村学園の攻撃
3番椎葉選手は低めフォークにハーフスイング空振り三振、
4番天王寺谷選手は低めワンバウンドスライダーに空振り三振、
5番寺田選手はスライダーに見逃し三振。
クリーンアップが三者連続三振に倒れてしまい、反撃の糸口が掴めません。

7回裏 愛工大名電の攻撃
1アウトから2番柴田選手が高めスライダーを叩きつけて三遊間深くへの打球、
ショートの谷口選手が追いついてワンバウンド送球を見せるも足が速くてセーフ。
3番佐々木選手の所で柴田選手が2塁盗塁成功、
佐々木選手は外角低めスライダーに泳いでショート後方のフライを打ち上げるも、
ショートが打球を見失ってしまって捕球できず、ヒットとなって1アウト1・2塁。
4番堂上選手の所で2塁ランナーの柴田選手が3塁へ盗塁(ノーサイン? 1塁ランナーは動かず)、
続くようにして1塁ランナーの佐々木選手も2塁へ盗塁、
堂上選手は外角低めスライダーを打ち上げてレフト右への犠牲フライ、1点を追加します。
さらに5番小島選手が初球打ちレフト前タイムリーヒットを放ち、もう1点を追加。
小島選手が2塁・3塁への盗塁を決めた後、
6番斉賀投手が甘めスライダーを打つ三遊間抜くタイムリーヒットを放ち、計3点を追加します。

8回表 神村学園の攻撃
先頭の6番作増選手が四球で出塁するも、
7番橋野選手はスライダー打たされてショートゴロ併殺コース、足が速くて1塁はセーフ。
ここで神村学園は8番野上投手に代えて、代打の下川選手を起用。
その下川選手はファールで10球以上粘って四球を勝ち取り、1アウト1・2塁とします。
9番谷口選手は外角低めストレートに空振り三振に倒れるも、
途中から1番に入った金堀選手が甘い真中低めストレートを捉えるセンター右へのタイムリーヒットを放ち、
神村学園がようやく1点を返します。
2アウト1・3塁という場面で1塁ランナーが早めに飛び出してしまうも、
斉賀投手の牽制が悪送球となって3塁ランナーホームイン、1塁ランナーも2塁へ。
2番馬沢選手は高めスライダーを叩きつけるセカンドゴロもエラーが飛び出して、2アウト1・3塁に。
3番椎葉選手はフルカウントまで行くも、外角スライダーに空振り三振。2点止まり。

8回裏 愛工大名電の攻撃
セカンドの馬沢選手がピッチャーとして登板するも、微妙にボールが外れて先頭打者に四球。
名電は送りバントでランナーを進めた後、
1番山田選手が一二塁間抜くタイムリーヒットを放ち1点、
2番柴田選手がセンター前ヒット、3番佐々木選手が四球で2アウト満塁。
4番堂上選手はショートゴロに倒れ、ホームゲッツーかと思いきや、1塁はセーフ。
さらにファーストとランナーが交錯したのかボールが転々として、ランナーホームイン。
この後も盗塁を仕掛けるも、5番小島選手は良い当たりのライトフライに倒れて3アウトチェンジ。
愛工大名電はこの回2点を追加し、試合を決定付けます。

9回表 神村学園の攻撃
斉賀投手は4番天王寺谷選手を高めストレートで押し込んでショートゴロで1アウト、
5番寺田選手にはストレートを打ち返されるもライトの小島選手が前進してキャッチ、2アウト。
最後の6番作増選手を低めスライダーでセカンドゴロに打ち取り試合終了。
9−2で愛工大名電が勝利し、昨年の雪辱を晴らして初優勝を果たしました!!


勝敗を分けたのは…といっても愛工大名電の快勝ですからね、明らかです(^^;
敢えて上げれば初回の先制点ですかね。
昨年は済美高校に早々と点数を奪われてしまい、その後追いかけたんですが届かずという試合でしたから、
名電は是が非でも先取点が欲しかったはずです。
それを1・2番で早々に1点奪い、
さらに4番堂上選手が野上投手の得意とするスライダーを完璧な当たりでホームランにするなど
最高の形で先制点を取ることができました。
愛工大名電が先制したことで、堂上選手がホームランを打ったことで、
神村学園の打者・4番天王寺谷選手らが打とうという意識が強くなりすぎてしまいました。
そこを斉賀投手が利用して、低めの球を打たせて捕るピッチングができたわけですから、
この先制点は勝敗を決した点数だと言えると思います。
1・2番の早い仕掛け、堂上選手の長打力・勝負強さが光る試合でしたね。

勝った愛工大名電は斉賀投手に柴田・佐々木選手と昨年甲子園を経験した選手が一回り大きくなり、
2年生4番の堂上選手が加わるなどバランスの取れた素晴らしいチームへと成長しました。
昨年はバント作戦ばかりが目立ち、個々の選手の能力自体はそれほどだったんですが、
今年の愛工大名電はスター軍団と言っていいほどメンバーに特色がありました。
今年も送りバントが多かったんですが、盗塁も積極的で今日の試合ではなんと8盗塁を記録。
長打力も素晴らしく、堂上選手は今大会2本塁打を放つなど今大会のNO1スラッガーでした。
他にも2番柴田・3番佐々木・5番小島選手らも2ベース・3ベースを多く放つなど、
中軸打者の長打力が目立っていました。
先行逃げ切りでも勝てる・接戦でも勝てる・リードを許していても勝てる…穴のないチームになりました。
愛工大名電は神宮大会も柳ヶ浦に次ぐ準優勝、センバツは優勝…
こうなってくると今後全国の目標になることは間違いないです。
同じ愛知にはセンバツベスト8の東邦というライバルがおり、他にも強豪校がひしめいています。
愛工大名電にとってはこのセンバツは通過点に過ぎません。
1年前からの戦いがひとまず終わったというだけで、これから新しい戦いが始まるわけです。
他のチームの厳しいマーク・周囲のプレッシャーに負けないよう、夏に向けて頑張って欲しいですね。
次の目標は一つ、春夏連覇です!

負けた神村学園に関しては前述の通り。
それでもここまで頑張りましたよ。
神村学園の野球部、そして共学として再スタートをし始めたばかりの学校自身にとっても、
大きな出来事だったことには違いありません。
今回のスタートをきっかけにし、新しい野球部の歴史・学校の歴史を作っていって欲しいです。
神村学園は女子ソフト・硬式野球が強く、硬式野球は埼玉栄に次ぐ準優勝だったそうです。
奇しくも男女とも同じ結果になったわけですね。
いつの日か、野球で男女のアベック優勝が果たせる日が来ることを楽しみにしていたいです。
そうなれば女子選手も甲子園のグラウンドに立つ、そんな日が来るかもしれません。
神村学園には高校野球の新たな1ページを開けるよう頑張ってもらいたいです。
次は夏です。選手がもう一回り大きくなって、センバツで果たせなかった優勝の栄冠を勝ち取って欲しいです。




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