05センバツ甲子園大会 3日目

第1試合 宇部商(山口) 6−2 高松(香川・21世紀枠)

(宇)好永(9回)
(高)田窪(9回)
宇部商
高松

宇部商が終始リードを奪い、粘り強く食らい付いていった21世紀枠出場の高松を振り切りました。
スコアを見ても分かる通り、宇部商は小まめに得点をしています。
ただ一方では1〜2点しか入ってないとも言えるわけで、高松が最小失点で何度となく切り抜けていました。
そんな嫌な試合展開にも宇部商は自分達の野球を崩さず、追加点を奪っていき、見事に勝利を収めました。
昨日の一迫商のように番狂わせもあるかな〜と思ったんですが…
宇部商が先手先手を取ることで、高松に全く付け入る隙を与えませんでした。

簡単な得点経過です。
1回表 宇部商の攻撃
1アウトから2番植村選手がシンカーを流し打つレフト前ヒットで出塁し、
続く3番工藤選手もシンカーを捉えるライト前ヒット、1アウト1・3塁とチャンスを広げます。
ここで4番好永投手が同じくシンカーを捉えてセンターへのタイムリーヒットを放ち、
宇部商が先制点を奪います。
この後、1アウト1・2塁、2アウト2・3塁とチャンスが続くも、後続が倒れて1点止まりに。

1回裏 高松の攻撃
先頭の1番因藤選手がカーブを捉える左中間突破の3ベースヒットで出塁するも、
好永投手のキレのあるストレートにタイミングが合わず、
セカンドフライ、空振り三振、ショートゴロに倒れて得点を取ることができません。

2回裏 高松の攻撃
先頭打者が四球で出塁し、送りバントの処理を好永投手が処理を誤ってオールセーフ。
ノーアウト1・2塁のチャンスを迎えるも、
スリーバント失敗、送りバント打ち上げキャッチャー好捕、3塁盗塁失敗とミスが相次ぎ、
得点を挙げることができません。

3回表 宇部商の攻撃
エラー・四球などで1アウト1・2塁とし、4番好永投手にチャンスが回るも内角ストレートに見逃し三振。
けれど5番江本選手が甘いカーブを引き付けて打つレフト線への2点タイムリー2ベースを放ち、
宇部商が追加点を挙げます。

3回裏 高松の攻撃
1アウトから四球でランナーが出て、2番樫原・3番稲毛選手の連続ヒットで1アウト満塁のチャンス。
ここで4番森選手がストレートを弾き返すタイムリーヒットを放ち、1点を返します。
続く打者は空振り三振に倒れるも、6番坂本選手が押し出し死球を受けて2点目。
さらに得点を狙うも、7番打者がレフトフライに倒れて2点止まり。

4回表 宇部商の攻撃
1アウトから8番星山選手がサード内安打・悪送球で2塁へ進塁し、
9番井田選手がセンターオーバーのタイムリー3ベースを放ち、追加点。
しかし後続は倒れて3塁ランナーは返せません。

5回表 宇部商の攻撃
2アウトから5番江本選手が出塁し、2塁への盗塁が成功して1アウト2塁に。
ここで6番豊田選手がレフト前へタイムリーヒットを放ち、追加点を挙げます。

中盤は両投手が頑張り、試合が一時落ち着きます。

7回表 宇部商の攻撃
先頭の4番好永選手が四球で出塁し、5番江本選手のセンター前ヒットと送りバントで1アウト2・3塁。
ここで7番添選手がセンターへ犠牲フライを打ち上げて、また1点を追加します。

8回裏 高松の攻撃
1アウトから4番森選手が4回以来のヒットを放つも、後続が倒れて無得点。
9回も反撃ならずにゲームセット。
6−2で宇部商が勝利しました。


勝敗を分けたのはミスでしょうか。
宇部商はコンバートの影響で内野守備が心配されていましたが、
終わってみればエラーは好永投手のバント処理ミスのみ。
堅い守りで好永投手を盛り立てていました。
攻撃でもバントを決めるところはきっちりと決めることができ、
足も絡めて得点するなど卒のない野球ができていました。
一方の高松は序盤に致命的なバントミスを2つしてしまい、攻撃の波に乗れませんでした。
昨日の一迫商はそういった細かいプレーができていましたから…その差でしょうね。
守ってもエラーが多く、守備のリズムの悪さが攻撃にも悪影響を及ぼしたように思います。
細かいプレーができたかどうか、甲子園ではそれが勝敗に大きく影響しますね。

勝った宇部商は常に先手を奪い、大応援団の高松を調子付けませんでした。
エースの好永投手は序盤ランナーを出しながらも粘り強く投げ、
尻上がりに調子を上げていき、高松打線を寄せ付けませんでした。
ストレートのキレが素晴らしく、中盤以降は変化球が低めに集まるなど安定感抜群でした。
ナイスピッチングでしたね。
打線はバントに盗塁と卒がなく、着実に得点することができました。
ただどのチャンスも1点止まりで、なかなか畳み掛けて得点をすることができませんでした。
そこを反省材料とし、次の試合に備えてもらいたいです。

負けた高松は序盤のバントミス、守備のエラーが悔やまれます。
早い段階に追いついていれば、大応援団もあいまって宇部商にプレッシャーをかけられたでしょうに。
ランナーを着実に進められなかったのが残念でなりません。
ただどのピンチも最小失点で乗り切っており、
諦めずに最後まで相手に付いていく野球は実践できていました。
甲子園の強豪チーム相手に接戦を演じたことを自信にしてもらいたいですね。

目に付いた選手は宇部商の好永投手と高松の田窪投手です。
好永投手は左スリークォーターやや横手気味で左腕を大きく使った投球フォームです。
…って、今回はこの言葉を使いまくってる気がするんですが。
何故か今大会の左投手はスリークォーター気味でフォームが安定している投手が多いんですよね。
ストレートは130キロ前後ですが、スピード感があり、ボールがキレていました。
終盤にもその球威は衰えず、135キロをマーク。良いストレートを持っています。
変化球は100キロ台のカーブ、110キロ台のスライダーのコンビネーション。
立ち上がり、いきなりカーブを3塁打されたせいか、どうも変化球が投げにくかったようで。
序盤は変化球のコントロールが定まらず、ボールの多い苦しいピッチングになっていました。
ただ中盤以降は変化球を低めに集め、コントロールよく投げることができっていました。
今後の課題は変化球の制球力、立ち上がりのピッチングでしょうね。
バッティングもいい選手なので、次の試合も楽しみです。

高松の田窪投手は180センチと長身ですが、
岩隈投手のように右腕をぶらんと落として上体だけで投げてしまっています。
もう少し下半身を使えれば良い球を投げられると思うんですが…少し残念。
120キロ台のシュート回転気味のストレート、100キロ台のカーブ・シンカーのコンビネーションです。
立ち上がりはコントロールを気にする余りに、シンカーを投げる投げる際に腕の振りが鈍ってしまい、
宇部商打線にその球を狙われてしまいました。
ただ中盤は低めに変化球を投げられるようになり、宇部商打線を苦しめました。
特にシンカーは落差があるので、今後の成長次第では面白い投手になれるかもしれません。



第2試合 愛工大名電(愛知) 2−0 大産大付(大阪)

(大)大西(7回)−内田(1回)
(名)斉賀(9回)
大産大付
名電 ×

愛工大名電・斉賀投手と大産大付・大西投手の投げ合いは、
スクイズバントなどで奪った2点を守りきった斉賀投手に軍配が上がりました。
斉賀投手は135キロ前後のストレートに縦のカーブ・スライダー・フォークを持つ速球派投手、
対する大西投手は120キロ前後のストレートにスライダー・カーブという正反対の軟投派投手、
タイプの違う2投手の対決として面白い試合でしたが、
打線の差の分だけ斉賀投手にプラスに働きました。

またこの試合は2年生4番対決としても注目が集まりました。
愛工大名電の4番堂上選手、大産大付の4番内田選手と。
どちらも181センチの大柄なスラッガーで2人の打棒に注目が集まりました。
結果は堂上選手が3打数2安打1犠打、内田選手が4打数ノーヒットとはっきりと差が出てしまいました。
しかもこの試合では内田投手がマウンドに上がり、バッター堂上選手という直接対決が実現したのですが、
そこでも堂上選手は外角低めのスライダーをミートしてセンター前に運ぶなど差を見せ付けました。
最後のバッターとなった内田選手の打球が堂上選手の守るサードに飛んだのも何かの縁でしょうか。
2人の2年生スラッガーの対決も大変に面白い試合でした。

簡単な得点経過です。
1回表 大産大付の攻撃
1アウトから2番宮城選手が1・2塁間を抜くヒットで出塁するも、
斉賀投手の素早い牽制球に刺されてタッチアウト。

2回裏 愛工大名電の攻撃
1アウトから5番山田選手がセンターへのヒットで出塁し、送りバントで2アウト2塁に。
さらに7番花山選手がセーフティーバントを試み、
投手・捕手・三塁手の真中に転がるナイスバントを見せて内安打としますが、
バントをする際に足がバッターボックスから出ていたため、反則行為を取られてアウトに。
妙な形で愛工大名電の攻撃が終わってしまいます。

3回裏 愛工大名電の攻撃
先頭打者が四球で出塁し、9番石黒選手の送りバントでランナーを進めるも、
この時に1塁への送球が少し逸れてボールがファーストの足元に転がり、
ランナーが一気に3塁を狙うも、しっかりとキャッチャーが3塁のカバーに入っており、悠々タッチアウトに。
その後、2番柴田選手のラッキーな内安打などで2アウト1・3塁としますが、
後続が倒れて得点が入りません。

4回表 大産大付の攻撃
四球などで2アウト2塁のチャンスを作るも、4番内田選手は良い当たりのセンターフライに倒れて無得点。

4回裏 愛工大名電の攻撃
先頭の4番堂上選手が外角の球を捉えてレフト左を抜く2ベースヒットで出塁し、
送りバントで3塁へ。この時にバント処理にミスががあってオールセーフ、ノーアウト1・3塁に。
さらに四球があってノーアウト満塁という絶好のチャンス。
ここで7番花山選手がカウント1−1からスクイズを試み、
低めボール気味の球をしっかりと転がすナイスバントを見せて愛工大名電が1点を先制します。
続いて1アウト2・3塁から8番井坂選手がスクイズを試みるもファール、
しかし井坂選手はレフト前へのタイムリーヒットを放ち、失敗を取り返します。
この後、2アウト2・3塁で1番佐々木選手に回りますが、粘った末にセカンドフライ、3点目はなりません。

5回裏 愛工大名電の攻撃
1アウトからショートゴロエラーでランナーが出塁すると、4番堂上選手が送りバント、ランナー2塁へ。
けれど2塁への速い牽制でタッチアウトになってしまい、バントを生かせません。

6回表 大産大付の攻撃
2アウトから四球でランナーが出て、牽制悪送球でランナーが3塁まで達するも、
後続の打者が空振り三振に倒れて得点することができません。

7回表 大産大付の攻撃
クリーンアップから始まる好打順も、5番鷲尾選手がショート内安打で出塁しただけであっさり凡退。
斉賀投手の縦の変化球に全くタイミングが合いません。

8回表 大産大付の攻撃
1アウトから8番福山選手がセンター前ヒットで出塁すると、
ここまで好投してきた大西投手に代えて代打を起用します。
しかし後続が倒れて無得点。代打策も成功しません。

8回裏 愛工大名電の攻撃
代打が出た関係でレフトを守っていた内田選手がマウンドへ。
1アウトから4番堂上選手にセンター前ヒットを許し、送りバントで2塁へ進められた後、
堂上選手に3塁盗塁を決められるも、後続を打ち取って無失点。9回に繋ぎます。

9回表 大産大付の攻撃
先頭の2番宮城選手がセンター前ヒットで出塁するも、
3番島袋選手のミートした打球はサードライナー、1塁ランナーも戻れずに併殺に。
そして4番内田投手もサードゴロに倒れてしまい、ゲームセット。
2−0で愛工大名電が勝利しました。


勝敗を分けたのは自分達の野球をできたかどうかだと思います。
愛工大名電は打線が抑えられたことで、機動力はあまり生かせませんでしたが、
得意のバントは見事に決めました。
ランナーを出すと打者に関わらず送りバントでランナーを進め、
ノーアウト満塁という場面ではスクイズで先制点を奪いました。
小技を絡めた新しい愛工大名電の野球をこの試合でも実践できましたね。
逆に大産大付は初出場の気負いからか自分達のバッティングができず、
斉賀投手に対してボール球を振らされてばかりいました。
この差が勝敗を分けたのだと思います。

勝った愛工大名電はバントを上手く使い、効率的に先制点を奪うことができました。
昨年までのバントに加えて、機動力があることで、相手チームが足にも警戒を払わざるを得ず、
今日の大産大付のようにバント処理を焦ってミスするなど守備の綻びも呼び込めるようになりました。
打線も強打者の堂上選手が4番にどっかりと座り、何でもできるチームになったような気がします。
ただバッティング自体では軟投派の大西投手を打ちあぐね、得点を重ねることができませんでした。
1番の佐々木選手を始め、少し強引さも出てしまったかなと思わなくもなし。
出塁しなければ機動力やバントは生かせないわけですし、次の試合の課題として欲しいです。
先発の斉賀投手はそんなに調子はよくありませんでした。
試合中盤こそ変化球が低めに集まったものの、序盤はカーブが高めに浮くなど危険な状態が続きました。
けれどその球を硬かった大産大付打線が見送ったり、凡打にしたりと逆に効果的に作用していました。
ただこれが初戦だったから良かったわけで、勝ち上がっていくとそう簡単に抑えることができません。
本来のコントロールを早い段階で取り戻して欲しいです。
ストレートも本来の力ではなかったと思いますし、もうワンランク上のピッチングを期待したいです。

負けた大産大付は初出場ということで打線に硬さが見られました。
序盤から高めに浮いてくる斉賀投手の変化球に反応することができず、
試合が詰まっていくにつれてボール球に手を出し、斉賀投手を助けてしまいました。
センター方向に弾き返すバッティングの基本をもう一度確認してもらいたいです。
投手陣の方は軟投派の大西投手に速球派の内田投手とタイプの違う両投手を持っているだけに、
打線の奮起に期待がかかります。

目に付いた選手は愛工大名電の斉賀投手、堂上選手、大産大付の大西投手、内田選手です。
斉賀投手は足を上げてワンテンポ置いて投げるオーバースローの速球派投手です。
ストレートは130〜135キロ前後、終盤にも137・141キロを計測するなどスピードは衰えませんでした。
ただ今日はキレがもう少しだったようで、見た目以上の力は感じませんでした。
それでもなかなかに威力のあるストレートを投げていたと思います。
変化球は全て縦変化。ですので、ちょっと見た目的には分かりません。
大きなカーブにスライダー、フォークも投げていたと思います。
序盤はカーブが高めに浮きがちで少し危険な状態が続きましたが、
試合中盤から低めに制球され始め、ストライクからボールになる変化球で空振りを奪えるようになっていました。
ストレートが速く、縦の変化球も生きる投手なので、コントロールがよくなってくれば良い投手になりそうです。
もう少し背筋が付いてくれば低めのボールが増えてくると思うんですが…
ちょっと体の反りが足りない印象。腕を柔らかく使うなりして修正して欲しいです。

2年生で4番サードの堂上選手は打撃センス溢れる右のスラッガーです。
父は元プロ野球選手、兄は中日ドラゴンズの現役プロ野球選手という野球一家、
兄は左打者でバットに当たればというホームラン打者でしたが、
この弟の直倫選手はバッティングセンス溢れる打者といった印象を受けます。
両腕をガシッと高く構え、体をあまり動かさずに体重移動だけで打つフォームで、
対応範囲が広く、あまり振り回さなくても打球が飛んでいく、
腕っ節の強さではなく、体で打つ打者のように思います。
飛距離は分かりませんが、確実性という点では直倫選手の方が上だと思います。
足も速いようで、3塁への盗塁も見せました。センス溢れる選手ですね。
少し気になるのは打撃のポイントがかなり前になっていたこと。
今日打ったのが外角の変化球系の球だったので問題はありませんが、
速球派投手に内角を攻められた時や小さな変化にどう対応するのか見てみたいです。

大産大付のエース大西投手は170センチながらも手足が長く見える投球フォームで、
投球のリズムを自在に変えながら打者の打ち気を外す左腕投手です。
ストレートは120キロ前後、カーブ・スライダーを使い打たせて取るピッチングをしていました。
両サイドのコントロールが良く、緩急も十分に生きていました。
今日のようなピッチングをしていれば、大崩れせずに一試合を投げきれると思います。
この調子で夏の大会も勝ち抜いてきて欲しいですね。

大産大付の2年生4番内田選手は大柄な体から力強いスイングを見せてくれましたが、
やや強引さが目立ったような気がします。
変化球にタイミングが合わずに引っ掛けてしまったりと良い所なし。少し硬かったですね。
ピッチングでは外国人投手風のフォームから130キロ台後半(Max142)キロを投げる本格派。
縦のスライダーも落差があり、なかなか良いピッチングをしていました。
今日対戦した堂上選手と切磋琢磨し、大きな打者になって欲しいです。



第3試合 如水館(広島) 5×−4 東筑紫学園(福岡)

(筑)酒井(8回1/3)
(如)政岡(9回)
東筑紫学園
如水館 1×

この試合は左のパソコン画面で西武−オリックスを、
右のTV画面でこの如水館−東筑紫学園戦をという形で両方を見ていたんですが、
両画面とも似たような試合展開で頭が混乱しちゃいました(笑)
ちょうどライオンズがピンチの時に如水館もピンチに、
ですからライオンズと重ねちゃって自然と如水館にも凌げ凌げと応援しちゃったり(^^;
私は思い入れ過ぎないようにどちらかを積極的に応援するということはしないんですがね。
そんなこんなで先にライオンズが慶応高校出身の佐藤友亮選手がタイムリー内安打を放ちサヨナラ。
お、これで如水館もサヨナラかと思ったら、代打の丹波選手のタイムリーヒットが飛び出してサヨナラ。
個人的になんとも不思議な試合になりました。
たまたま共通点があったから重ねて見てしまっただけかもしれませんが、
こういった偶然というのはあるんですよね、不思議なもんです。

試合の方は両チームともに立ち上がりを攻めて3得点ずつ上げるも、
その後は酒井・政岡両投手が自分の持ち味を出して0行進に。
東筑紫学園が満塁など再三のチャンスを作るも、
その度に政岡投手が踏ん張って得点を挙げることができません。
すると完璧に抑えられていた如水館が得点、負けじと東筑紫学園は追いつくも、
チャンスを生かせなかったことが響いてそのままサヨナラ負け。
ワンチャンスをものにした如水館、チャンスをものにできなかった東筑紫学園と
その差がくっきり出てしまう試合となりました。
得点は入れられる時に入れておかないと。チャンスを逃してばかりいると嫌な雰囲気になるもんです。

簡単な得点経過です。
1回表 東筑紫学園の攻撃
1アウトから四死球でチャンスを掴み、
4番黒木選手のセカンドゴロ併殺崩れでランナーが残って2アウト1・3塁。
ここで5番酒井投手が変化球に詰まりながらもレフト前に運ぶタイムリーヒットを放ち先制点、
さらに死球で2アウト満塁とし、
7番久澄選手のセンターへの2点タイムリーヒットが飛び出し、合計3点を奪います。

1回裏 如水館の攻撃
1アウトから四球でランナーが出ると、
3番磯合選手がランエンドヒットのレフト前ヒットを放ち、1アウト1・2塁に。
ワイルドピッチで1塁ランナーが2塁に進み、4番打者が倒れて2アウトとなるも、
5番鶴端選手の打球はセカンドタイムリー内安打となり、
さらに3塁への送球が悪送球となって2塁ランナーもホームイン、2点返して2アウト2塁。
ここで6番の政岡投手が高めストレートを捉える左中間真っ二つのタイムリー2ベースを放ち、
如水館が早々と同点に追いつきます。

2回表 東筑紫学園の攻撃
1アウトから1番鷹野選手がセンター前ヒットで出塁するも、
次打者のバント空振りの際にキャッチャーから1塁へ送球が行ってタッチアウト。

4回表 東筑紫学園の攻撃
1アウトから9番渡辺選手がセンター前ヒットで出塁し、1番鷹野選手も続いて1アウト1・3塁。
さらに盗塁・死球で1アウト満塁のチャンスを作るも、
3番小原選手がキャッチャーファールフライ、
4番黒木選手がカーブを打ち上げてセンターフェンス手前のフライに倒れてしまい、無得点に。

5回表 東筑紫学園の攻撃
1アウトから6番月森選手が右中間への2ベースヒットで出塁するも、
バント見送り時にキャッチャーの素早い牽制にあって2塁タッチアウト。
その後、四球・ヒット・四球で2アウト満塁のチャンスを作るも、
空振り三振に終わって2イニング連続で満塁のチャンスを生かせません。

6回表 東筑紫学園の攻撃
先頭の2番新地選手が左中間への2ベースヒットで出塁し、送りバントで3塁へ進むも、
後続が倒れて無得点。またチャンスを生かせず。

7回表 東筑紫学園の攻撃
今日始めて三者凡退に。

7回裏 如水館の攻撃
先頭打者がセカンドのエラーで出塁し、6番政岡投手がエンドランを決め、ノーアウト1・3塁に。
7番打者のセーフティースクイズはファールで凡退してしまいますが、
8番村上選手が1塁線へ見事なセーフティースクイズを決め、1点を勝ち越します。

8回表 東筑紫学園の攻撃
先頭の1番鷹野選手のセカンド後方のフライを如水館がまさかの落球。
エラーが飛び出してノーアウト2塁のチャンスを作ります。
そして送りバントで3塁へランナーを進め、3番小原選手のセンター犠牲フライで同点に追いつきます。

9回裏 如水館の攻撃
先頭の4番平賀選手の打ち上げだ打球は意外と伸びてセンターの頭を越す2ベースヒットに。
このランナーを送りバントで3塁へ進めるとバッターは当たっている6番の政岡投手。
ここで東筑紫学園は守りやすいように満塁策を選択。
2人を敬遠して1アウト満塁とします。
すると如水館は代打の丹波選手を起用。
そして丹波選手は叩きつけてセンターへと抜けるタイムリーヒットを放ち、
如水館がサヨナラ勝ちを収めました。


勝敗を分けたのはチャンスを生かせたか、生かせなかったかでしょうね。
如水館はピンチの連続で苦しい試合展開でしたが、
その度に政岡−磯合バッテリーが踏ん張り、得点を許しませんでした。
打線は酒井投手に2回以降ノーヒットと完璧に抑えられていたんですが、
7回に政岡投手がテンポ良く三者凡退で抑えると、
一気に蘇り、ベテラン迫田監督の指示通りに選手が動いて卒なく1点をもぎ取りました。
逆に東筑紫学園は何度もチャンスを掴みながらも、
全くの無策で、何もしないままチャンスを潰していってしまいました。
どこかで手を打っていれば勝ち越し点を奪えたかもしれないのに…
チャンスを生かせなかったことが大きく響きましたね。

勝った如水館は再三のピンチをよく凌ぎました。
政岡投手の頑張りはもちろんのこと、磯合選手の好リード・好送球も見逃せません。
守備陣が政岡投手を盛り立て、チーム一丸となって苦境を乗り越えていました。
政岡投手は立ち上がりから球数が多く、終盤までスタミナが持つのかなと疑問でしたが、
むしろ尻上がりに調子を上げていくなど、最後まで疲れを見せることはありませんでした。
打線は全般的に抑えられていたものの、迫田監督のサインを忠実に実行し、
ワンチャンスを見事にものにしていました。
投打の粘り強さが勝利を呼びこびましたね。
今日のようにチーム一丸となって戦っていってもらいたいです。

負けた東筑紫学園は再三のチャンスを生かせなかったのが残念です。
内外角に投げ分ける政岡投手に対して、打者がホームベース寄りに立って投げにくくするなど、
チーム全体で政岡投手を苦しめていましたが、最後の一本が出ませんでした。
エースの酒井投手は2回以降、低めのスライダーを軸に好投していたのですが、
終盤に疲れからコントロールが甘くなり、如水館のサヨナラ勝ちを許してしまいました。
ただよく投げたと思います。ナイスピッチングでした。
打線は4番の黒木選手、5番酒井投手と中軸打線が強力でしたが、あと一本が出ず。
効率よく得点する方法を身につけてもらいたいです。
チームの力自体はありますから、一回り大きくなって甲子園に帰ってきてもらいたいです。

目に付いた選手は如水館の政岡投手、東筑紫学園の酒井投手、黒木選手です。
政岡投手はスリークォーター時折サイド気味から投げる左腕投手です。
ストレートは130キロ前後、カーブ・スライダーとのコンビネーションで勝負します。
内外角の投げ分けで勝負する投手なんですが、今日は東筑紫学園の打者がベース寄りに立つことで、
死球などで内角を投げにくくしていましたが、それでも強気に内角を攻めるなど持ち味を発揮していました。
変化球中心のピッチングでしたが、何度となく訪れたピンチでは速いストレートで押すなど、、
強気なピッチングが光る投手です。
172球投げましたが、最後までボールの勢いは衰えず、スタミナも抜群でした。
バッティングの方でも同点のタイムリー2ベース、サヨナラを生むエンドランを決めるなど、
中心選手として活躍していました。
ピッチングだけでなく、打撃の方にも注目してみたいです。

東筑紫学園の酒井投手は腕を折って投げる小さな投球フォームですが、
腕をしっかり振っており、なかなか威力のある130キロ前後のストレートを投げます。
立ち上がりこそ力んで変化球が高めに浮きがちでしたが、2回以降は低めにスライダーが集まり、
ストライクからボールになる球で三振・内野ゴロを奪うなど素晴らしいピッチングを見せました。
最後はややコントロールが甘くなってサヨナラを許してしまいましたが、
試合全般では安定感のある素晴らしいピッチングを見せていました。
またバッティングでも2安打するなど、リストの利いたいい打撃をしていました。
チームの主力として夏に向けて頑張って欲しいです。

4番ファーストの黒木選手は183センチ105キロという巨漢ですが、
見た目以上に足が速く、打撃・守備ともに体の柔らかさがありました。
今日はヒットがありませんでしたが、当たり自体は悪くなかったと思います。
夏には勝負強いバッティングを身につけ、甲子園に戻ってきて欲しいです。



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