04夏の甲子園大会 11日目

第1試合 中京大中京(愛知) 7−3 東海大翔洋(静岡)

(翔)川口(6回0/3)−本木(1回)−金谷(1回)
(中)小椋(9回)
東海大翔洋
中京大中京 ×

初回に4番キャッチャーというチームの要である東海大翔洋:斉藤選手が右肘に投球を受けて打撲、
1回裏から途中交代というアクシデント発生、
緊急的にマスクを被ったキャプテン垂水選手など頑張ったものの、
後半になるにつれてバッテリーの呼吸が合わなくなってミス連発、
打線の方でもぽっかりと空いた4番にチャンスが回ってしまうなど、
東海大翔洋にとっては痛い負傷交代となってしまいました。
一方の中京大中京としてはエースの小椋投手のコントロールが良くなく、
チームとしては苦しかっただけに助かったという感じですね。
良くも悪くも1回の交代劇が勝敗を分けてしまったように思います。

1つ気になるのはその場面での審判のジャッジ。
4番斉藤選手が右肘に投球を受けるんですが、打ちに行ったので避けていない、よって判定はファール、
その後も打たせて内角ストレートにどん詰まりのピッチャーゴロという流れでした。
負傷は死球の影響だと思いますが、もし死球を宣告していて、打たせず歩かせていたら、
臨時代走を送るなりで治療する時間が稼げ、交代せずに済んだかもしれません。
どうも死球判定に対して厳しすぎると思います。
わざと当たる死球が多かったり、避けずに当たる選手がいるので、死球判定を厳しくしているのでしょうが、
打ちに行って避けられなかったものまで取らないのはおかしいでしょう?
それも右肘に当たっているのですから、そんな場所で当たりに行く人間は余程の決死の覚悟ですよ。
明らかに故意に当たりに行ったわけでもなく、ストライクゾーンの球に当たったわけでもなし、
ただ打ちに行ったから避けられなかっただけなのに死球を取らないとは… はっきり言って呆れます。
それじゃ内角の球は打ちに行くなとでも言うのですか? 振りにいけませんよ、こんなのでは。
もう少し柔軟な判定ができないものでしょうか?
怪我を悪化させかねない判定をした審判団に怒りを感じます。
正面から見ている2塁塁審に聞くなり、何らかの対処法をして欲しい所。

簡単な得点経過です。
1回表 東海大翔洋の攻撃
2番滝本選手がヒットで出塁し、3番川口投手が低めチェンジアップを切るレフト前ヒットで1アウト1・2塁。
さらにワイルドピッチが飛び出して1アウト2・3塁。
ここで4番斉藤選手が打ちに行った所で右肘に当たる死球があるも、避けてないとされてファールに。
直後に鈍い音をさせるどん詰まりのピッチャーゴロ、頭を越すもショートバックホームでアウト。
2アウト1・2塁となるも、5番榎本選手が内角ストレートをおっつけて三遊間抜くタイムリーヒットを放ち、
東海大翔洋が1点を先制します。
6番打者は外角低め一杯のストレートに見逃し三振。

1回裏 中京大中京の攻撃
投球を受けた斉藤選手の治療を行うも、そのまま交代。
サードのキャプテン垂水選手がキャッチャー、サードに控えの西方選手が入ります。
垂水選手は春からサードにコンバートされたので捕手経験はあるものの、
久々にマスクを被るということで不安な面も。
この回は三者凡退に打ちとって無失点。

2回裏 中京大中京の攻撃
死球でランナーを出すも、エンドラン空振りでキャッチャーが2塁へ好返球タッチアウト!
久々のマスクながら良い守備を見せます。
この後、ショートライナー落球エラー、ライト前ポテンヒット、死球で2アウト満塁となるも、
後続が倒れて無得点。

3回裏 中京大中京の攻撃
先頭打者が四球で出塁するも、送りバントに対して川口投手がナイスダッシュ&送球を見せて2塁アウト!
この後、2アウトとなるも、4番中村選手がバットの先でライト前に運ぶヒットを放ち、
5番磯村選手がカーブを捕らえる左中間へのタイムリー2ベースを放ち、同点に追いつきます。

4回表 東海大翔洋の攻撃
先頭の5番榎本選手がコンパクトにセンター前へ弾き返すヒットを放つも、
送りバントやや打ち上げた打球はサードファールゾーンに、これにサード中西選手がダイビングキャッチ好捕!
1アウト1塁となり、セカンドゴロ併殺コースに飛ぶも、ランナーに重なったのか2塁に送れず1塁へ、
しかしこの球が悪送球となってベンチ直撃、ボールデットと判定されて1アウト2・3塁に。
ここで8番垂水選手が甘いスライダーを捉えるセンター前タイムリーを放ち、再び翔洋が勝ち越します。

5回裏 中京大中京の攻撃
四死球でノーアウト1・2塁とし、5番磯村選手が3塁線に絶妙のナイスバントを決めてノーアウト満塁。
次打者のセカンドゴロ併殺の間に3塁ランナーがホームイン、同点に追いつきます。

6回表 東海大翔洋の攻撃
先頭の6番兎本選手が甘いチェンジアップを捉えるレフトフェンス直撃の2ベースヒットを放ち、送りバントで3塁へ。
ここで8番垂水選手が内角ストレートにやや差し込まれながらも振り切ってレフトへの犠牲フライ、
東海大翔洋が再び1点を勝ち越します。

6回裏 中京大中京の攻撃
先頭打者が四球で出塁し、9番小椋投手がバスターエンドランで三遊間抜くヒットを放ち、ノーアウト1・2塁。
続く1番伊藤選手の3塁手前のセーフティーバントが内安打となって再びノーアウト満塁。
ここで2番西平選手が三遊間抜くタイムリーヒットを放ち同点に。
3番打者のサードゴロホームフォースアウトで1アウト満塁となるも、
4番中村選手の所でバッテリーエラーが飛び出して勝ち越し点が入ります。
さらに1アウト2・3塁から中村選手がライトへの大きな犠牲フライを放ち、2点差とリードを広げます。

7回表 東海大翔洋の攻撃
先頭打者がサードゴロ悪送球で出塁し、送りバントで2塁へ進めるも、
3番川口投手が外角ストレートを捉えるもののセンター後方のフライに倒れ(ランナー3塁へ)、
代役4番の西方選手がショートゴロに倒れて無得点。

7回裏 中京大中京の攻撃
先頭の6番山本選手がライト線に落ちる2ベースヒットで出塁。
ここで東海大翔洋は川口投手を諦め、2番手の本木投手をマウンドに送ります。川口投手はライトに。
送りバントで3塁へ進めた後、ワイルドピッチが飛び出して中京大中京が1点を追加します。

8回裏 中京大中京の攻撃
この回から東海大翔洋は2年生右腕の金谷投手をマウンドに。
しかし東海大翔洋は内野手のエラーが飛び出してしまい、1点を失ってしまいます。

9回表 東海大翔洋の攻撃
2アウトから1番岩本選手がヒットで出塁するも反撃ならず。
7−3で中京大中京が勝利しました。


負けた東海大翔洋は4番斉藤選手の負傷交代が悔やまれます。
ここまでコントロールよく投げてきた川口投手が7四死球と大荒れ。
キャッチャー交代の影響がなかったとは言えないと思います。
試合中盤にはバッテリーエラーが多く見られ、それにつられるように内野手もエラーを連発して失点。
四死球にエラーが絡むという拙い形で失点を重ねてしまいました。
打線の方では8番垂水選手が気を吐いたものの、終盤のチャンスで4番打者に回ってきてしまって得点できず。
東海大翔洋としては流れを掴むことができませんでした。
今回の苦い経験で控え選手の重要性が身に染みたことでしょう。
来期以降は控え選手も充実させながら、強いチームを作り上げていって欲しいと思います。

一方の中京大中京は勝ったものの、自分たちの野球をやりきれませんでした。
先発の小倉投手はコントロールが甘く、痛打されてしまう場面が目立ち、
攻撃陣は毎回のチャンスを生かすことができず、相手のエラー等による失点ばかりでした。
その中でもバント内安打など卒のなさを見せられたのは一つの収穫でしょうか。
次の試合までにしっかりと修正してもらいたいです。



この試合で目に付いたのは東海大翔洋の川口投手のバッティングです。
今大会の投手の中でもバッティングセンスはかなり高い方だと私は見ています。
ややオープン気味でシャープな構えで、上手くひきつけて打つことができるバッター。
スイング後も体を残すことができるので、崩されたボールに対しても対応できそうな能力を持っています。
完全な二枚腰ではありませんが、それができそうな選手です。
打者として川口投手は面白いと思ってます。

他には中京大中京の2年生打者が目に付きました。
4番レフトの中村選手は清原選手のような打撃フォームでパワフルな感じを受けました。
5番ショートの磯村選手はバント内安打を見せるなど素晴らしい活躍を見せてくれています。
今後もこの2年生2人には大注目ですね。

(追加)
東海大翔洋の2年生右腕の金谷投手にも注目。
腕を追って投げる投球フォームで、ストレートは130キロ台中盤(130〜138)をマーク。
なかなか力強い球を投げるピッチャーという印象です。
ただ変化球(スライダー)のコントロールがイマイチ、今後の成長は変化球しだいだと言えます。
フォームが悪くないだけに面白いピッチャーだと思います。



第2試合 横浜(神奈川) 7−5 明徳義塾(高知)

(横)涌井(9回)
(明)松下(7回2/3)−鶴川(1回1/3)
(本)橋本(横浜・1回表・2ラン)、中田(明徳・4回裏・ソロ)
横浜
明徳義塾

横浜高校と明徳義塾の3度目の対決は今回も横浜が勝利しました。これで3連勝。
いずれの試合も明徳義塾が試合を優勢に進めながらも、試合終盤に逆転されて敗戦という展開ばかり。
松坂投手の80回大会での対戦が尾を引いてるのではないかと思ってしまうほどです。
明徳義塾にそういった苦手意識があるかどうか分かりませんが、
横浜の渡辺監督には終盤に逆転できるという自信があったようです(試合後のインタビュー)
そういった過去の対戦経験による自信が横浜の勝利に繋がったような気がします。
伝統校の歴史というのは強いですね。

試合展開としては雨の影響で立ち上がり慎重だった両投手を攻めて得点、2−3と明徳がリードします。
その後は両投手が好投するものの、明徳・中田選手の上手い一発が飛び出して明徳が2−4と差を広げ、
試合を決めたかと思われました。
しかし横浜は疲れの見えた松下投手を攻めて、終盤の集中打で得点。
見事な逆転勝利で横浜が勝利しました。、

簡単な得点経過です。
1回表 横浜の攻撃
2アウトから3番石川選手が四球で出塁し、
4番橋本選手が高め甘いスライダーを捉えるセンターバックスクリーンへの2ランホームランを放ち、
横浜高校が先制点を奪います。
この後、死球・ヒットでチャンスを作るも、7番涌井投手が外角高めストレートに空振り三振に倒れて追加点ならず。

1回裏 明徳の攻撃
2アウトから3番梅田選手が死球で出塁し、
4番田辺選手が低めストレートを上手く弾き返すセンター前ヒットで繋ぎ、
5番久保田選手がフルカウントから甘く入ったスライダーを捉えてセンターフェンス直撃の2点タイムリー3ベースで同点、
さらに6番中田選手が内角高め141キロストレートに詰まりながらもレフト前に落とすタイムリーヒットを放ち勝ち越し。
明徳義塾が3点を奪って、逆転します。

2回表 横浜の攻撃
9番玉城選手がヒットで出塁するも後続が倒れて無得点。
この後の回は4番橋本選手のセンター前ヒットが1本でるも、後は松下投手に完全に抑えられてしまい、
6回表までチャンスらしいチャンスを作れない展開が続きます。

2回裏 明徳の攻撃
この回から横浜はキャッチャーにキャプテンの村田選手を起用。
ストレート主体のピッチングでリズムを取り戻した涌井投手は明徳打線を力で封じていきます。

4回裏 明徳の攻撃
2・3回と涌井投手は三者凡退に封じたものの、1アウトから6番中田選手に内より高めストレートを上手く押し込まれ、
レフトポール際に入るソロホームランを打たれて失点、差を2点に広げられてしまいます。

5回裏 明徳の攻撃
先頭の9番野村選手は変化球抜け球を捉えらる右中間突破の2ベースヒットで出塁し、
送りバント・四球で1アウト1・3塁のチャンスを作るも、
3番梅田選手が高めストレートに空振り三振、田辺選手の所で盗塁が決まって2・3塁とするものの、
田辺選手が外角低め134キロカットボールに空振り三振に倒れて無得点。

6回表 横浜の攻撃
先頭の3番石川選手が外角ストレートを打ち返す3塁線突破の2ベースヒットで出塁するも、
橋本選手の送りバントは打ち上げてピッチャーフライ、1アウト2塁に。
しかし5番赤堀選手がそのミスを埋める内角ストレートを叩く三遊間抜くタイムリーヒットを放ち、1点を返します。

6回裏 明徳の攻撃
横浜の涌井投手が三者連続三振に封じます。これで5回から5者連続三振。

7回表 横浜の攻撃
先頭の8番村田選手が外角ストレートを流す一二塁間抜くヒットで出塁し、送りバントで2塁へ。
四球とセーフティー性の送りバントで2アウト2・3塁のチャンス。
このチャンスで3番石川選手は敬遠されて2アウト満塁。
ここで4番橋本選手は内角ストレートに当たる死球、押し出しとなって横浜が同点に追いつきます。
この後、5番赤堀選手が打った瞬間抜けると思うジャストミートのライナーを放つもショート正面に飛んでアウト。

8回表 横浜の攻撃
1アウトから7番涌井投手が高めストレートを捉えるセンター前ヒットで出塁するも、送りバントが強くて2塁アウト。
2アウト1塁となるも9番玉城選手が一二塁間抜くヒットを放ってチャンスを広げ、
1番佐藤選手が快音響かせるライト前へのタイムリーヒットを放ち、横浜が勝ち越し点を挙げます。
ここで明徳は投手交代。鶴川投手が登板。
後続は打ち取ります。

9回表 横浜の攻撃
先頭の3番石川選手が高めストレートを打ち返すセンター前ヒットで出塁し、2塁への盗塁を決めてノーアウト2塁。
ここで4番橋本選手が内角ストレートを上手く腕を畳んで打つ3塁左抜くタイムリー2ベースで追加点、
さらに2アウト2塁となってから7番涌井投手が外角141キロストレートを叩く一二塁間抜くタイムリーヒットで追加点、
7−4と横浜高校がリードを広げます。

9回裏 明徳の攻撃
先頭の5番久保田選手は外角146キロストレートに見逃し三振。
6番中田選手が甘いスライダーを打つ右中間突破の2ベースヒット、さらに中継ミスで3塁へ進んでチャンス。
ここで7番鶴川投手はセンター広報への犠牲フライを放って1点を返します。
しかし代打の伊賀選手が内角スライダーに空振り三振に倒れてゲームセット。
7−5で横浜高校が勝利しました。


負けた明徳義塾は涌井投手の立ち上がりを上手く攻めて得点したんですがね。
残念ながら後半はほとんどの選手がストレートに振り負けてしまい、手も足も出ませんでした。
松下投手が打たせて取るピッチングを見せ、バックも好守備を見せるなどよく頑張ったものの、
最後は粘りきれずに横浜に逆転負け。
ピッチャーの粘り強さが足りませんでした。最終的な投手力の差が勝敗に繋がった気がします。

勝った横浜は涌井投手のピッチングが光りました。
立ち上がりに3失点してしまったものの、その後はほぼ完璧の内容。
ストレートの走りがよく、強打の明徳打線が振り遅れてばかり、完全に勝っていました。
中田選手のホームランは金属バットでなければ微妙な所なので気にすることもなし。
2回以降は甘い球を打たれた長打2本(+ホームラン)という素晴らしいピッチングでした。
打線の方はバントミスが2度あったものの、後続の打者がミスをカバーし、
集中打で試合をひっくり返すことができました。
この集中力と粘り強さが素晴らしいですね。
激戦区の神奈川を勝ち抜いただけあります。苦しい展開でも慌てない強さがあります。
この勝利で横浜は勢いに乗っていくことでしょう。
今や優勝候補最有力。頂点目指して頑張っていって欲しいです。



横浜の涌井投手に関してですが、5失点という結果ながらも内容は素晴らしかったです。
雨が降っていたこともあり、慎重にいこうと思いすぎたのか足の踏み出しが弱く、立ち上がりに3失点してしまいましたが、
2回以降は体重が前に乗っていき、躍動感あるピッチングを披露してくれました。
今まではスライダー・カーブ・チェンジアップ・シンカー・カットボールと多彩な変化球のコンビネーションで勝負していたものの、
今日は140キロ前後〜140キロ中盤のストレートを主体に押し切るピッチング、力強さを感じました。
ストレートの切れ味が素晴らしく、明徳打線のどの打者も振り遅れ。
空振りを奪ったり、ファールになったりとまともに前に飛ぶ打球は少なかったように思います。
ランナーを出してからも投げ急がず、ゆったりとしたピッチングを見せてくれ、
雨降りという悪天候の中で安定感あるピッチングができていました。
スピードは最後まで落ちず、9回には常時ストレート145キロ前後(144〜146)をマーク。
本当に素晴らしいピッチングでした。涌井投手のストレートの威力は間違いなく本物ですね。
今大会はダルビッシュ投手に注目が集まっていますが、
私は現段階の能力としては涌井投手の方が上だと思っています。
このストレートのキレ、変化球の安定性、フィールディングの良さ、マウンド度胸、
そして野球エリートでありながらもここまで幾度となく辛酸を舐めてきたハングリーさ、
そういったものが大きな魅力として感じられます。
最大のライバルである東北高校が負けましたから、
横浜高校の涌井投手にはこの後の大会をしょって立つような快投を期待したいです。

この他には横浜高校の石川選手橋本選手、明徳義塾の中田選手らが目立ちました。
石川選手はバットコントロールの上手さ、2年生4番の橋本選手は打撃センスの良さ、
2年生の中田選手は巨漢ながらも柔らかいバットコントロールが目に付きました。
両チームともに素晴らしい選手が多く、来年以降も楽しみな選手が揃っています。
横浜高校には今後の戦いに期待し、明徳には来年以降の戦いを楽しみにしたいです。




第3試合 千葉経大付(千葉) 3−1 東北(宮城)

10 (経)松本(7回)−井上(1/3)−松本(2回2/3)
(東)ダルビッシュ(9回2/3)−真壁(1/3)
千葉経大付
東北

雨の中で行われた壮絶な投手戦は千葉経済大付が勝利しました。
ダルビッシュ投手は足場の悪さのせいか、球数が多くなってしまい、
最後は力尽いて甘い球を打たれて失点、勝ち越しを許してしまいます。
直後に登板した2番手の真壁投手も打たれて2点差となってしまい、
最後は千葉経済大付の松本投手が気迫のピッチングで三者三振で締めて試合終了。
東北が春同様逆転負けを喫し、東北勢悲願の初優勝は遠のきました。
(福島の聖光学院が残っています)

優勝候補最有力の東北の敗戦に関しては… 雨の影響がなかったとは言えないでしょう。
9回表のサード横田選手の送球エラーは地面のぬかるみが影響していたでしょうし、
10回を始め、8回以降にヒットを許したのは疲れと足元のぬかるみで高めにボールが行きがちになり、
甘い球が多くなってしまったからだと思われます。

あとは若生監督の継投。不可思議な継投する人ですが…今回のはさすがに…
1点勝ち越しを許し、166球を投げていたとはいえ、2アウトを取っていただけに交代は不可思議でした。
これだけ投げさせているなら、士気を下げないためにもダルビッシュ投手に最後まで下駄を預けるべきでしょう。
あの投手交代の間が試合のリズムを壊し、2失点目が反撃意欲を削いだように思います。
失礼ですが10回の1失点で試合を諦めたとしか思えない。真壁投手の「思い出登板」としか考えられません。
意図はどうあれ、最終回の継投が試合を決めてしまった感は否めません。

簡単な得点経過です。
1回表 千葉経大付の攻撃
1番平野選手が外角低めスライダーを踏み込んで打つセンター前ヒットで出塁し、
バスターエンドランセカンドゴロで2塁へ進塁。
3番井原選手が高いバウンドでサードの頭を越すヒットで続いて1アウト1・3塁のチャンスを作るも、
4番松本選手は外角高めストレートに空振り三振、
5番井上選手は甘い外角スライダーを捉えるもライトフライに倒れて無得点。

2回表 千葉経大付の攻撃
1アウトから死球でランナーが出て、ショートがグラブでボールを弾くエラーがあって1アウト1・2塁となるも、
キャッチャーファールフライ、ライトファールフライト後続が倒れてしまって無得点。

4回表 千葉経大付の攻撃
2アウトから8番加藤選手がショート内安打で出塁し、9番和田選手がスライダーを打つ三遊間抜くヒットで続き、
1番平野選手が四球を選んで満塁のチャンスを作るも、
内角低めいっぱい142キロストレートに手が出ず見逃し三振、この回も無得点。

5回裏 東北の攻撃
6番加藤政義選手が1・2塁間深くへのセカンド内安打で出塁。東北はこれが初めてのヒット。
しかし7番打者はレフトハーフライナー、続いて盗塁失敗となって無得点。

6回表 千葉経大付の攻撃
先頭打者が死球で出塁し、送りバントで2塁へ進めるも、
ショートゴロ・ショート後方のフライト立て続けに東北:加藤選手が良いプレーを見せて無得点。

6回裏 東北の攻撃
先頭の森選手が内角ストレートを振りぬくレフト前ヒットで出塁するも、
9番ダルビッシュ投手が強攻でセカンド後方のフライ、後続も倒れて無得点。

7回裏 東北の攻撃
先頭の3番大沼選手がセカンド左への内安打で出塁し、
4番横田選手が低めストレート捉える三遊間抜くヒットでノーアウト1・2塁。
バントエンドランで1アウト2・3塁とした後、
6番加藤政義選手のどん詰まりファーストゴロの間に3塁ランナーホームイン。
東北がついに1点を奪います。

8回表 千葉経大付の攻撃
先頭の4番松本投手がやや甘い高めストレートを叩く右中間突破の3ベースヒットで出塁し、
死球と盗塁でノーアウト2・3塁のチャンスを作るも、
6番打者が高めストレート抜け球に空振り三振、
7番打者のスクイズは3塁ランナーが出遅れたことも会ってピッチャー前失敗、
8番打者は内角ストレートに空振り三振と絶好のチャンスを生かせず。

8回裏 東北の攻撃
この回から井上投手が登板し、ライトのファインプレーで1アウトを取るも、
9番ダルビッシュ投手にヒットを打たれて降板、再び松本投手が登板。
2アウトを取ってから2番槙選手にライト線抜く2ベースヒットを打たれて2アウト2・3塁とするも、
3番大沼選手が強いセカンドゴロに倒れて無得点。

9回表 千葉経大付の攻撃
先頭の代打:香取選手が高めストレートを打つセンター前ヒットで出塁し、送りバントで2塁へ。
2番打者のファーストゴロの間に3塁へ進んで、2アウト3塁。
ここで3番井原選手のサード正面のゴロを、横田選手が落球して1塁へ悪送球、
タイムリーエラーとなって千葉経大付が同点に追いつきます。
この後、4番松本選手が強いサードゴロ内安打で繋ぐも、
5番井上選手の打球はレフト正面のライナーとなって同点止まり。

10回表 千葉経大付の攻撃
1アウトから7番滝沢選手が甘いスライダーを打つセンターオーバー2ベースヒットで出塁するも、
8番打者がライトフライに倒れて2アウト2塁。
しかしここで9番途中出場の河野選手が甘いストレートを叩くセンター右へのタイムリー2ベースを放ち勝ち越し。
2アウト2塁という場面で東北は真壁投手にスイッチ。ダルビッシュ投手はレフトに。
真壁投手は四球を出して2アウト1・2塁のピンチ。
ここで2番川上先週の三遊間抜くタイムリーヒットでこの回2点目を奪います。

10回裏 東北の攻撃
松本投手が気迫のピッチングを見せて三者連続三振!
最後はダルビッシュ投手が内角高めストレートに見逃し三振。
試合終了、3−1で千葉経大付が逆転勝利!


負けた東北は千葉経大付の松本投手を打てなかったのが悔やまれます。
甘い球もあったはずなんですが、最後まで捉えきれず。
序盤にリードを奪えず、接戦になってしまったことで試合にほころびが生まれましたね。
今大会は優勝候補に挙げられるだけの選手を揃えていながら敗退…
大勝を繰り返してきただけに接戦の弱さ・逆境を撥ね返す力が足りなかったように思います。
順調すぎたことで逆にハングリーさを欠いてしまった印象。惜しいチームでした…

勝った千葉経大付は松本投手の好投が光りました。
細かいコントロールやボールそのものの威力というよりも、気迫で上回ったという印象。
特に最終回の鬼気迫るピッチングは見事でした。
「野球はメンタルなスポーツ」ということなのでしょう。気持ちで負けなかった、上回ったことが勝因だと思います。
打線はダルビッシュ投手という名前に負けず、しっかりとスイングをし、
甘いスライダー・ストレートを確実に捉えていました。
試合終盤で追い付き、勝ち越せたのは徹底した狙い球の絞りがあったからでしょう。
上手く交わされずに対処できました。まとまりのある素晴らしいチームですね。



注目の東北ダルビッシュ投手ですが、
今日は雨で足場が悪かったせいかボール球が多く、終盤には高めに浮く失投が数多くありました。
スタミナ切れか雨にやられたか… いずれにせよ、苦しいピッチングだったことは間違いありません。
ストレートは140前後(〜147)とスピードがあったものの、ややスライダーの腕が緩い時があり、
試合終盤にはストレート・スライダーともに高めに上ずりがちでした。
中盤まではピンチを作りながらも粘り強く投げるなど要所を締めるピッチングをしていましたが、
エラーによる不運な失点があったとはいえ、終盤の制球の乱れを修正できなかったように思います。

今大会を通じてのダルビッシュ投手の印象ですが、あまりピピッと来るようなものはありませんでした。
ストレートは147キロマークし、腕を振った時はかなりのスピード感あり。
スライダー・シンカーのキレもよく変化球も一級品。
コントロールも安定と文句の付けようがないはずなんですが、どこか物足りなさを感じるマウンドでした。
それが何か具体的には分かりませんがね。
良く言えば要所を締める「大人のピッチング」なんですが、悪く言うと「手抜きのピッチング」。
長身であるせいか、最後まで気だるい印象が付きまとっていました。
器用で才能があるからある程度でも抑えられるんですが、逆にそれが詰めの甘さになってしまっている、
そういった印象が最後まで抜け切りませんでした。
将来性豊かな素晴らしいピッチャーだと思うので、今後も練習を続けていき、
大投手への道を歩んでいって欲しいです。
ダルビッシュ投手が成功するか否かは今後の努力次第だと思ってます。




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