04夏の甲子園大会 4日目

第1試合 千葉経済大附属(千葉) 4−1 鳴門第一(徳島)

(鳴)賀川(8回)
(経)井上(7回)−松本(2回)
鳴門一
千葉経大付 ×

初出場同士の対決は千葉経大付が逃げ切る形で勝利しました。
試合の方は鳴門一の賀川投手と千葉経大の井上投手の投手戦。
千葉経大付の井上投手は序盤からキレの良いスライダーで鳴門一打線を抑えていきます。
一方の鳴門一の賀川投手は4回に集中打で3点を失ってしまったものの、
5回以降はパーフェクトに抑えるなど粘り強く投げていきました。
鳴門一打線は6回以降に徐々に反撃を始め、7回には3連打で1点を返して追い上げます。
その後出てきた松本投手を攻めるものの、あと一本が出ず。
結局、千葉経大付が逃げ切った形となりました。

簡単な得点経過です。
3回裏 千葉経大付の攻撃
先頭の8番加藤選手が高めストレートを叩く右中間への3ベースヒットで出塁し、
1アウト3塁となった所で1番平野選手がカーブを叩くセンター前タイムリーを放ち先制。
ただこの後は2番打者が外角低めカーブに見逃し三振、1塁ランナーが牽制タッチアウトになるなど良い所なし。

4回表 鳴門一の攻撃
2アウトランナーなしから4番小林選手がボテボテが幸いした内安打で出塁し、
5番打者が四球を選んで2アウト1・2塁。
しかし後続が倒れて無得点。

4回裏 千葉経大付の攻撃
先頭の3番井原選手が低めカーブを狙い打つレフトオーバーの2ベースヒットで出塁し、
4番松本選手の外角カーブに合わせた打球はショートの逆を突く形となって強襲ヒット。
この時、弾いた打球がショート後方レフト前に転がるのを見て、
3塁コーチの香取コーチが腕をぐるぐる回して2塁ランナーは一気にホームイン!
さらにバックホームの間に打者走者の松本選手が2塁を突く好走塁を見せます。ノーアウト2塁。
そして5番井上投手が低めカーブを叩く三遊間抜くヒットを放ち、ノーアウト1・3塁。
1アウトとなって7番滝沢選手が甘いストレートを捉えるレフトーバー2点タイムリー3ベースで追加点。
この後、四球があって1アウト1・3塁のチャンスがあったものの、
カーブを捉えた打球がショートライナーとなって併殺で終わります。

6回表 鳴門一の攻撃。
先頭の1番宮本選手が一二塁間抜くヒットで出塁し、送りバントで2塁へ進めるも後続が倒れて無得点。

7回表 鳴門一の攻撃
1アウトから6番阿部選手がショート内安打で出塁し、
7番宮本選手がエンドランで右中間へのヒットを放ち、1アウト1・3塁のチャンス。
ここで8番田淵選手が左中間へのタイムリーヒットを放ち、1点を返します。なおも1アウト1・3塁。
しかしここはセカンドゴロ併殺に終わってしまい、2点目はなりません。

8回表 鳴門一の攻撃
千葉経大付はこの回からエースの松本投手にスイッチします。
1アウトから2番近藤選手がセンター前ヒット(極端なシフトのために捕球したのはレフト)で出塁し、
3番右打者の臼井選手の所でセンターが右中間に、レフトが左中間に、レフトががら空きの極端なシフトを引くも、
それをあざ笑うかのように三遊間抜くレフト左への2ベースヒット、1アウト2・3塁のチャンスを作ります。
しかし4番小林選手はピッチャーゴロ、5番森本選手はカーブ打ち上げてショート後方のフライトあと一本が出ず、
点数を奪うことができません。

9回表 鳴門一の攻撃
先頭の6番阿部選手の死球で出塁するも、
7番宮本選手は外角ストレートを捉えてのライト正面ライナー、8番打者も倒れて2アウト1塁。
代打の長谷川選手がセンター前ヒットで2アウト1・3塁とするも反撃はここまで。
最後はセンターフライに終わって試合終了。
4−1で千葉経大付が逃げ切りました。


勝敗分けたのは何といっても4回の千葉経大付の走塁でしょう。
ノーアウト2塁という場面で、よく3塁コーチの香取コーチは腕を回しましたよ。
普通のコーチなら、無理をしてでもという場面ではないので止めていたことでしょう。
それを瞬時に行けると判断して迷わず腕を回す勇気、そして2塁走者からの高い信頼感、
その2つがなければできることではありません。
背番号17を付けた香取コーチの大ファインプレーですね。
まさに10人目の選手、素晴らしいアシストだったと思います。
甲子園のベンチ枠が18人に拡大された時に、試合を左右するような専門コーチが出てくると予想してましたが、
ついにそういう選手がでてきてくれましたね。
3塁コーチの判断が試合を決めたのはこの試合が初めてでしょう。
高校野球に新たな歴史が刻まれた瞬間です。
野球は試合に出ている選手9人だけのものではありません。ベンチにいる選手にも活躍の場があるのです。


負けた鳴門一は賀川投手がよく頑張りました。
4回はコントロールが甘くなって失点を重ねてしまいましたが、それ以外は低めのカーブがコントロール抜群。
安定感あるピッチングを見せてくれたと思います。
残念なのはチャンスで中軸が引っ張って凡退してしまったことでしょうか。
チャンスの時こそ、逆らわないバッティングをして欲しかったです。
4番キャッチャーの小林選手を始め、まだ2年生にいい選手がいます。
今日の試合の悔しさを胸に、来季甲子園に戻ってきてもらいたいです。

勝った千葉経大付は思い切った走塁が功を奏しました。
3塁コーチの好判断はもちろんのこと、松本選手が2塁まで達したのが大きかったと思います。
普段から走塁に対して高い意識を持っている証拠でしょう。
守備も安定していますから、投手力次第では上位を狙えると思います。
次の試合も頑張って欲しいですね。



この試合で目に付いた選手は鳴門一の賀川投手、千葉経大付の井上投手と松本選手です。
賀川投手はカーブが持ち味のサウスポー。
近鉄の岩隈投手のように利き手をぶらんと下げ、タメを作って投げる投球フォームです。
ストレートは125キロ前後、121〜126。
90キロ台のスローカーブと100キロ台の2種類のカーブのコンビネーションです。
コントロールは安定して低めにそれらのボールを集めることができます。コントロール乱れたのは4回だけでした。
5回からは110キロ台のスライダーも交えて、安定感抜群のピッチング。
結果は残念でしたが、この甲子園での好投を胸に今後の野球人生に生かしていって欲しいです。

千葉経大付の井上投手は135キロ近いボールを投げる本格派右腕です。
足を上げた時にクロスに後ろに引き、腰を落として投げる独特のピッチングです。
西武の豊田投手や大沼投手のようなフラミンゴ投法のような感じ。
やや体の開きが早いのが気がかり、グラブの使い方が良くなればそれは直るでしょう。
ストレートは130キロ前半、130〜135キロ。
変化球はカット気味にスッと曲がる125キロ前後の高速スライダー、110キロ台の縦スライダーを投げていました。
高速スライダーのキレが大変よく、あれを外角低めに投げられると厳しそうです。
課題は左投手へのピッチング。高速スライダーの効果が減ってしまうので、そこが今後の課題でしょう。
今日はコントロールも良く低めにボールが集まっていました。
5回まで15個のアウトのうち内野ゴロが10。見事な打たせて取るピッチングでしたね。
次の試合でも好投が期待できそう。楽しみな投手です。

注目の松本監督の息子松本選手は4番センターでスタメン出場。
3打数1安打1打点でチームの勝利に貢献しました。
打撃フォームはややオープン気味で胸ぐらいの位置にバットを起き、ホームベース側にバットを傾けて構えます。
少しスイング時のトップの位置が低いかな〜という印象。
内角高め・ストレートへどんな対応をするのか見てみたいです。
バットコントロールは上手そう。低めは強そうな選手です。
投手としてはやや不満。
体を沈み込んでサイド気味に投げるスリークォーター投手、ストレートは130前後、カーブとのコンビネーションが武器。
今日は変化球のコントロールが悪く、ストレート主体のピッチングでした。
印象としては熊本工業の岩見投手のスケールダウン版という感じ。
関東NO1左腕という話も聞いていたので、少なからず不満の残るピッチングでした。
ただ投げていくうちに少しずつ良くなっていったと思うので、
投球練習をして準備万端な時のピッチングを見てから判断したいです。



第2試合 富山商業(富山) 10−5 佐賀学園(佐賀)

(佐)野口(1/3)−澤田(5回2/3)−堤(2回)
(富)滝(合わせて9回)−二瀬(途中リリーフで0回)
佐賀学園
富山商 × 10

富山県勢初となる3年連続甲子園出場の富山商が打ち勝ちました。
佐賀学園は後半に追い上げたんですが、序盤の失点が大きすぎて追いつかず。
甲子園経験の差が出た形となりました。

富山商は投手力が課題でしたが、終わってみれば2年生の背番号15・滝投手が完投勝利。
途中、佐賀学園の4番打者:堤選手限定でファーストの二瀬投手が登板したものの、
アウトを取れなかったので滝投手が完投したも同然でしょう。
エース永野投手をケガで欠いて苦しいピッチングスタッフでしたが、
ここに来て軸になれそうなピッチャーが出てきてくれましたね。

簡単な得点経過です。
1回表 佐賀学園の攻撃
1番小城選手がヒットで出塁し、送りバントで2塁へ進め、サードゴロの間にランナー3塁へ。
2アウト3塁、左打者の4番堤選手を迎えると、富山商は投手交代。
ファーストの二瀬選手がマウンドに上がり、ピッチャーの滝投手がファーストに回ります。
結局、四球を出して2アウト1・3塁となった所で、富山商業は投手交代、再び滝投手がマウンドに。
5番打者をレフトフライに打ちとって無得点で凌ぎます。

1回裏 富山商の攻撃
制球の定まらない野口投手の立ち上がりを攻め、四球・送りバントで1アウト2塁とし、
3番黒部選手が高めカーブを叩く一二塁間を抜くヒットを放ち、1アウト1・3塁。
ここで4番二瀬選手が高めストレートを叩くセンター前タイムリーヒットを放ち先制点。
さらに5番杉本選手が甘いストレートを捉えるセンターフェンス直撃のタイムリー2ベースで2点目。
なおも1アウト2・3塁、というところで佐賀学園は澤田投手にスイッチします。
しかし6番打者にストレートの四球で満塁とし、7番打者には押し出し四球と荒れまくり。
8番滝投手がセンターへ犠牲フライを打ち上げて、この回4点目。
富山商がいきなり4点をリードします。

3回裏 富山商の攻撃
先頭の5番杉本選手が一二塁間抜くヒットで出塁すると、送りバントが良い所に転がって内安打に。
送りバントで1アウト2・3塁として8番滝投手が変化球を叩くセンター前2点タイムリーヒットを放ち追加点。
9番仲沢選手も詰まりながらセンター前に運ぶタイムリーヒットを放ち加点。
さらにダブルスチールの後にセーフティースクイズを決めてこの回3点目を挙げます。

4回表 佐賀学園の攻撃
4番堤選手から始まる打順ということで、再び二瀬投手が登板。
その堤選手はショート右への安打で出塁し、悪送球で2塁へ。
送りバントで3塁へ進んだ後に、再び戻った滝投手のワイルドピッチでホームイン。
佐賀学園が1点を返します。

6回表 佐賀学園の攻撃
3番飯田選手がヒットで出塁し、再び二瀬投手が登板。4番堤選手は四球でノーアウト1・2塁。
再び滝投手がマウンドに戻り、送りバントで1アウト2・3塁。
ここで6番相原選手が左中間深くへの2点タイムリー2ベースを放ち、佐賀学園が追い上げていきます。

6回裏 富山商の攻撃
1番熊木選手がヒットで出塁し、2塁へ盗塁。しかし2番打者のスリーバントはファールで三振。
けれどここから打線が繋がって3番黒部選手が左中間抜くタイムリー2ベースを放てば、
4番二瀬選手がセンタータイムリーヒットを放ち追加点、
さらに6番宮田選手が左中間へのタイムリー2ベースヒットを放つなど計3点を追加、再び突き放します。

8回表 佐賀学園の攻撃
1アウトランナーなしで4番堤選手を迎えるも、今度は滝投手が続投。
ここで4番堤選手がカーブを捉えるレフトオーバーの2ベースヒットを放ち、
5番原選手の三遊間抜くタイムリーヒットで1点を返します。
さらに6番相原選手のヒットの後、サードゴロ併殺崩れの2アウト1・2塁から、
8番山下選手がエンドランライト線に落ちるタイムリー2ベースを放ち2点目。
この後、2アウト2・3塁のチャンスがあるも、空振り三振に倒れて2点止まり。

結局試合はこのまま富山商が逃げ切り。
10−5で勝利しました。


こうやって試合を振り返ってみると、堤選手に対する二瀬投手のリリーフは効果あったんですね。
試合後のインタビューで「堤選手に打たせると相手チームが勢いづくから」とコメントしてましたが、
確かに8回表に堤選手の長打が飛び出すとそんな感じで押せ押せモードが漂っていました。
そう考えるとアウトは取れなかったにせよ、
二瀬投手を投入したことは佐賀学園の勢いを削ぐ効果をもたらしたのでしょう。
試合の流れを読んだ上手い継投でした。
もし1回表、滝投手を続投させていて堤選手のタイムリーが飛び出していたら…
逆の展開になっていたかもしれませんね。

負けた佐賀学園は投手陣の不出来が悔やまれます。
甲子園での登板で緊張したのか、コントロールが定まらず。苦しいピッチングになってしまいました。
ただ4番堤選手を中心に打撃陣が繋がりを見せるなど良いところもありました。
今日登板した2人の2年生左腕を中心に、甲子園で勝てるチームへと育っていって欲しいです。

勝った富山商は甲子園経験が生きましたね。
これまで富山県は特別に強いチームがなかったので、3年連続甲子園出場は見事です。
出場するだけでなく甲子園で勝てているのも富山県勢では珍しいことです。
今日の試合ではその経験が生きたのか、打線が地区大会の数字どおりの活躍を見せ、
バントや盗塁を絡めた多角的な攻めは素晴らしかったと思います。
やや中盤にバントミスがあるなど雑なプレーが見られましたから、
次の試合に向けて気を引き締め直して練習していって欲しいです。
あとは投手力次第。エースの永野投手の故障が治るか、滝投手が一本立ちするか。
次の試合までにしっかりと調整してもらいたいです。



目に付いた選手は富山商の2年生右腕:滝投手です。
滝投手はオーソドックスな右腕投手。130キロ前後のストレートとカーブで勝負するピッチャーです。
投球フォームはオーソドックスなバランス型。フォームが安定しているので、コントロールも大きく乱れません。
100キロ前後のカーブはかなり落差があり、緩急で勝負できるピッチャーです。
裏を返せばこれといった大きな特徴がありませんが、
全体的に良い形でまとまっている投手なので、これからの成長を期待したいです。
次回登板を期待しています。



第3試合 東海大甲府(山梨) 11−6 西日本短大附属

(西)藤村(3回1/3)−石田(4回2/3)
(東)佐野(4回)−岩倉(5回)
(本)坂井(西日本短大付・4回表・2ラン)
西日本短大付
東海大甲府 11

こういう試合はやめて欲しい… 頑張ってるのは分かりますが…
ただの打撃戦ならいいんですが、エラーが結構絡んでましたからねぇ…
ちょっと壊れた試合になってしまいました。見ている方としては辛いっす。
そして何より、文章としてまとめるのが辛いんで嫌になります(爆)

そんなわけでまとめません。時間ないので。
気が向いたらまとめておくということで(^^;


試合の方はまず東海大甲府の守備陣が乱れ始め、そこに西日本短大付の打線が爆発して4点先行。
しかし今度は西日本短大付にエラーが出始めて東海大甲府打線が爆発。逆転して一気に突き放しました。
中盤以降は2番手投手が頑張り、特に東海大甲府の岩倉投手が5イニングを0点に抑えたことにで試合を作り直し、
チームを勝利に導きました。


負けた西日本短大附属はクリーンアップを中心に活発な打撃が見られました。
ただ序盤こそしっかり守れていましたが、3回からミスが出始めて守備のリズムが崩れての大量失点。
残念というか勿体無い試合でした。
もう一度ディフェンス面を鍛え直し、再び甲子園に来てもらいたいです。

勝った東海大甲府は長打力を持った強力打線は素晴らしかったんですが、序盤のミスの多さが目に付きました。
ピッチャーを中心とした守りをしっかりさせないと2回戦以降は厳しくなってしまいます。
幸い2番手で好投した岩倉投手が守備のリズムを作り直しましたから、
次の戦いからはしっかりとした野球をやってくれることでしょう。
次の試合は期待しています。



第4試合 佐土原(宮崎) 3−1 塚原青雲(長野)

(佐)金丸(6回1/3)−黒木優(2回2/3)
(塚)岩下(8回)−安本(1回)
佐土原
塚原青雲

1点を争う好ゲームは金丸−黒木優の投手リレーで佐土原が逃げ切りました。
試合の方は立ち上がり塚原青雲の岩下投手がコントロールに苦しんで2失点。
その後は粘りのピッチングを見せて再三のピンチを凌ぐも、
塚原青雲打線は金丸投手に抑えられて7回まで0行進。
8回に代わった黒木優投手からノーアウト満塁のチャンスを作るも1点止まり。
塚原青雲が畳み掛けることができずに佐土原が逃げ切った形となりました。

両チームともになかなかチャンスを生かすことができていませんでしたが、
それは両チームのピッチャーが要所で頑張っていたからでしょう。
今日登板した4人の投手はそれぞれ力を持っていましたと思います。
4人とも粘り強く投げる1点を争う好ゲームでした。

簡単な得点経過です。
1回表 佐土原の攻撃
1番藤元選手がカーブを捕らえるセンターフェンス直撃の2ベースヒットで出塁し、
死球・送りバントで1アウト2・3塁のチャンス。
ここで4番児玉選手がカーブをバットの先で打つライト前タイムリーヒットを放ち、先制点を挙げます。
さらに1アウト1・3塁から5番黒木大選手がセーフティースクイズを決めて2点目を奪います。

3回裏 塚原青雲の攻撃
9番武井選手の2ベースヒットなどで1アウト3塁のチャンスを作るも、
投球時に三塁手がスクイズ警戒で前にダッシュを見せ、3塁ランナーもそれにつられてリードオフを大きくした所で、
ショートが3塁ベースカバーに入ってキャッチャーが3塁へと送球してタッチアウト。
トリックプレーでピンチを凌ぎます。

7回裏 塚原青雲の攻撃
先頭の5番岩下投手が四球で出塁するも、バスターエンドラン空振りとなってしまい、盗塁失敗アウト。
6番竹内選手がショート内安打で出塁し、次打者に2球投げたところで佐土原は投手交代。
ここまで7番村上選手以外は完璧に抑えてきた金丸投手をマウンドから降ろし、黒木優投手をマウンドに送ります。
しかし黒木投手は立ち上がり制球に苦しんで、7番村上選手に四球、1アウト1・2塁。
8番宮城選手にもカウント悪くするも立て直して、外角ストレートで空振り三振。
次打者を外角低めストレート見逃し三振に取ってピンチを凌ぎます。

8回表 佐土原の攻撃
先頭の7番佐藤選手がセンター前ヒットで出塁し、バントファール後のバントエンドランで2塁へ。
ここでワイルドピッチが飛び出して、ランナーは3塁に。
8番金丸選手がスクイズを敢行するもサードへの小フライ。
しかしこれを併殺を欲張ったサードがベースに一瞬戻りかけて、前に出るのが遅れてしまい、
サード手前に落ちてスクイズ成功、貴重な1点を佐土原が追加します。

8回裏 塚原青雲の攻撃
ヒット2本と四球でノーアウト満塁のチャンスを作るも、塚原青雲のクリーンアップが倒れて無得点。

9回裏 塚原青雲の攻撃
先頭打者がヒットで出塁するも、後続が倒れて無得点。
試合終了、3−1で佐土原が逃げ切りました。


この試合の勝敗を大きく左右すると思われた佐土原の7回裏の継投ですが、
結果的には継投成功となりました。
塚原青雲としては2番手の黒木優投手の方がタイミング取れていたんですがね。
チャンスで力んでしまったのか、外角の140キロ近いボール気味ストレートにバットが回ってしまいました。
まぁ、それだけ黒木優投手のストレートが走っていたということにもなるわけですが。ね
死球を受けての故障明けながらも、力強い投球を見せてもらいました。


負けた塚原青雲ですが、7・8回のチャンスであと一本が出なかったのが悔やまれます。
県予選の成績通り、打線は力強く、黒木投手の速いストレートにも降り負けていなかったんですが、
要所で厳しく投げ込んでくる金丸・黒木投手の前に抑えられてしまいました。
先発の岩下投手は7四死球を出すなど荒れたピッチングでしたが、
バックがしっかり守ったおかげで最少失点の3点で済みました。
ノーエラーだった守備の良さは評価してあげたいですね。
塚原青雲の全校生徒が僅か50人。
今回の甲子園出場で再び塚原青雲で野球をやりたいと願う生徒が集まってくればいいですね。

勝った佐土原は初出場ながらもピッチャー中心とした守りの野球が光りました。
攻撃では送りバントと機動力を生かす卒のない攻めを見せていましたし、抜け目ないなという印象です。
宮崎というと日南学園のような豪快なイメージがありましたが、佐土原の野球は少し今までと違いましたね。
特に光ったのは3回のトリックプレー。
サードが前に飛び出してショートが3塁ベースカバーに入るというプロ顔負けのサインプレーが光りました。
なかなかこういうプレーはできないんですがね。
ピッチャーのコントロールの良さ、キャッチャー・内野手の機転が利いたことで初めて上手くいくプレーです。
滅多に見られない素晴らしいプレーを見せていただきました。
次の試合、どういうプレーを見せてくれるのか、楽しみですね。



この試合で目に付いたのは塚原青雲の岩下投手と安本投手、佐土原の金丸投手と黒木投手です。
塚原青雲の岩下投手は荒削りな素材型投手。
186センチの長身から投げ下ろすストレートが武器のピッチャーです。
腕を折って投げる投球フォームですが、猫背気味で腕の張りが弱くリリースが一定せず。
そのためどうしてもコントロールが悪くなってしまい、ボールを置きに行かざるを得ませんでした。
立ち上がりのストレートのスピードは135〜140キロ。
中盤以降はセットポジションで130キロ前後のストレートというピッチング。
カーブを交えた緩急で勝負するピッチャーのようです。
あの投球フォームから140キロ投げられるわけですから、身体的能力はあるはず。
もう少し体重を後ろにかけ、左腕のグラブを使ってか腕を張るなどして上体の力を使って投げていけば、
コントロールも良くなるでしょうし、ストレートのスピードも上がってくるはずです。
荒削りながらも将来性のある面白いピッチャー。今後の成長に期待したいです。

2番手の安本投手は1イニングだけの登板でしたが、
右スリークォーターから133〜134キロのキレあるストレートを投げ込んでいたのが目に付きました。
振りかぶってからのバランスが良く、岩下投手とは反対にフォームの安定感がありました。
コントロールの良さはそこらからきていたのでしょう。もう少し見てみたかった投手です。
塚原青雲には多くのピッチャーがベンチ入りしていたようですから、他にも良い投手がいたかも…ちょっと残念。

佐土原の先発左腕:金丸投手は低めに130キロ中盤のストレートとスライダーを集める投球が身上。
体を大きく使う投球フォームで、一本足で立った時のバランスがいい投手ですね。
ストレートは130キロ中盤ぐらい、130〜134キロ。11−キロ台のスライダーがなかなか良かったです。
立ち上がりこそ甘い球が多かったんですが、3回以降は内外角のストレートと低めのスライダーとコントロール抜群。
厳しいコースをガンガン突くなど安定感抜群の投球内容でした。
これといった大きな特徴がない投手ですが、このコントロールの良さが際立っていますね。
次の試合のピッチングも期待しています。

2番手の黒木優也投手は140キロのストレートを投げる本格派右腕。
ストレートは140キロ前後、135〜140キロ。変化球は120キロ台の縦スライダーを投げていました。
それらのボールを低めに集めるピッチングが身上のようで、コントロールは安定しているピッチャーのように思えました。
今日は久々の実践登板ということもあったのか、
立ち上がりは低目を意識するあまりにボール球になってしまって制球を乱すケースがありましたが、
それ以降は低めにストレートを思い切り投げ込むピッチングで塚原青雲打線を抑え込みました。
なかなか良いボールを持っているようなので、次の試合のピッチングにも注目です。




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