04夏の甲子園大会 3日目

第1試合 熊本工業(熊本) 3−1 下妻二(茨城)

(下)小松島(8回)
(熊)岩見(9回)
下妻二
熊本工 ×

熊本工業:岩見投手、下妻二:小松島投手の投げ合いは、
ワンチャンスをものにした熊本工業が勝利しました
下妻二高は再三チャンスを作りながらもあと一本が出ませんでした。
安打数を見ると下妻二が9本で1得点、熊本工業は2安打3得点という数字からも、
どんな試合であったかが想像できます。
甲子園での戦い方を知っていた分だけ、熊本工業が優位に試合を進められたんだと思います。

簡単な得点経過。
4回表 下妻二高の攻撃
先頭の4番石選手がショートゴロエラーで出塁し、
強攻凡退後の1アウト2塁から6番塚原選手が内角スライダーを打つライト線へのヒットで1・3塁とします。
しかし三振・ピッチャーゴロと後続が続くことができずに無得点。

4回裏 熊本工業の攻撃
先頭の1番宮崎選手がインターフェアで出塁し、送りバントで2塁へ。
ここで3番宮崎選手が甘く入ったスライダーを打つレフト前タイムリーヒットを放ち先制。
この後、4番橋本選手が送りバントするもサードが悪送球するなどして1アウト2・3塁。
5番木村選手が外角低めスライダーを打ち上げるレフトへの犠牲フライで追加点。
この時、2塁ランナーが飛び出してタッチアウト。ただホームインは認められる。

5回表 下妻二高の攻撃
先頭の9番野村選手が内角厳しいストレートを打つ1・2塁間抜くヒットで出塁し、送りバントで2塁へ。
ここで2番萩原選手が外角ストレートをおっつけるライト前ヒットで繋いで1アウト1・3塁。
3番大塚選手の打球はセカンドゴロ併殺コースもバウンドが変わって前にこぼして打者走者の1アウトのみ、
この間に3塁ランナーがホームイン、下妻二高が1点を返します。

6回裏 熊本工業の攻撃
先頭の1番宮崎選手が四球で出塁、送りバントを試みるも打ち上げてしまって失敗、1アウト1塁。
しかし3番宮崎選手がエンドラン外角高めストレートボール球を上手くミートして、3塁線を抜くタイムリー2ベース。
熊本工業が貴重な追加点を上げます。

8回表 下妻二高の攻撃
先頭の3番大塚選手が外よりストレートを叩く三遊間抜くヒットで出塁し、
4番石選手も低めストレートを打つセンター前ヒットで続き、ノーアウト1・2塁のチャンス。
ここで送りバントを試みるも打球はピッチャー前に、3塁封殺となって1アウト1・2塁。
代打の渡辺選手が登場するも空振り三振、7番小松崎投手もセンターフライに倒れて無得点。

熊本工業は先頭打者を3回出して、そのうち2回を得点に繋げる勝負強い攻め。それ以外は三者凡退。
一方の下妻二高は7・9回以外は毎回のようにランナーを出して攻め立てたものの、1度しか得点に結び付けられず。
それも適時打ではなく併殺崩れの内野ゴロ。チャンスに一本が出ないまま試合終了。
ワンチャンスをものにして、粘り強く守った熊本工業が勝利しました。


チャンスを生かせた熊本工業と生かせなかった下妻二高、対照的な試合となりました。
どこにその差が出たかを考えると、作戦の積極性だったと思います。
熊本工業は少ないチャンスながらも、バント・エンドランを多用するなど積極的に動いていました。
しかし下妻二高は強攻策が多く、それが悉く失敗していました。
常総学院の木内元監督のような奇襲攻撃が見られなかったのが残念です。
あまり動かなかったことで、どこか選手任せになってしまい、1点が遠くなってしまったような気がします。
「甲子園での経験差」が出た試合でした。

負けた下妻二高は常に攻めていながら、試合に勝つことができませんでした。
エースの小松崎投手を中心に守りが堅く、攻撃ではセンター返しを基本にしぶといチームだったんですが、
大事な所で送球ミスが飛び出したり、ランナー出ると堅くなって打てなかったりと本来の力を発揮できていませんでした。
甲子園初出場ということで堅くなってしまったのかもしれませんね。少し残念な内容でした。
今日の試合で甲子園における戦い方を学んだでしょうから、
後輩達の力で下妻二高を茨城の強豪チームへと育っていって欲しいです。

勝った熊本工業は上手くワンチャンスを生かしました。
バントやエンドランといった作戦が効果的でしたね。
常に押されながらも積極的な気持ちで攻撃できたのが大きかったと思います。
岩見投手はコントロールが甘くて毎回のようにピンチを作ってしまったものの、
ランナーを出してからが粘り強く、最後まで崩れることがありませんでした。
今後勝ちあがっていくためにはもう少し打っていかないと。
センター方向を中心に打ち返す打撃を徹底していって欲しいです。
またエラーも見られたので、内野守備の確認を。センバツはエラーで負けましたし。
次の試合でも引き締まった投手戦を見せてくれるのを楽しみにしています。




目立った選手は熊本工業の岩見投手と下妻二高の小松崎投手です。
左サイドの岩見投手はセンバツ同様、変則的フォームからキレのいいストレートを投げ込んでいました。
ストレートは130キロ前後、130〜135キロぐらい。キレのいいスライダーをコントロール良く投げ込むピッチャーです。
ただ今日は逆球が多く、持ち前のコントロールが安定していませんでした。
スライダーのコントロールもイマイチで、ストレートに頼らざるをえないピッチングをしていました。
それでも粘り強く投げ、自分の力で修正できる辺りはさすが。
試合の中で少しずつコントロールを修正していったのは見事でした。このクレバーさも魅力的ですね。

下妻二高のエース小松崎投手は140キロ台のストレートと切れ味鋭いスライダーを投げる本格派投手。
身長は170センチということですが、
マウンドではゆったりしたフォームで体を大きく使って投げていたこともあって、もっと大きく見えました。
腕の振りが鋭く、ストレートは140キロ前後、135〜143キロをマークしていました。
スライダーは120キロ前後で縦に鋭く落ちる変化球です。
コントロールも安定していて速いストレートと落ちるスライダーを低めにボールを集められるピッチャーです。
ただ中盤に疲れからかコントロールが乱れ、スライダーが甘くなりがちに。
試合前半はスライダー主体だったものが、ストレート主体のピッチングへと変わっていきました。
甘い球も多くなっていたように見えましたし、スタミナ面が今後の課題だと思います。
小柄ながらもいい投手を投げていたので、今後も野球を続けていって欲しいです。



第2試合 明徳義塾(高知) 15−2 盛岡大付属(岩手)

(盛)三浦(1回2/3)−工藤(6回1/3)
(明)鶴川(9回)
盛岡大付
明徳義塾 × 15

明徳義塾が投打で盛岡大付属を圧倒した試合でした。
明徳義塾は盛岡大付属の三浦・工藤投手の10四死球で貰ったチャンスを集中打で一気に攻め込み、
序盤3回で9−0の大量リード。その後も得点を積み重ねていき、17安打14得点の猛攻を見せました。
一方の盛岡大付属は9安打放ちながらも5併殺の大会タイ記録の拙攻をしてしまい、
2点しか得点を挙げることできませんでした。
守備では両チームともに良いプレーを見せいていたものの、
投手のコントロールと攻撃面で大きな差がついてしまいました。

盛岡大付属の5併殺ですが、良い当たりもあったんで拙攻とは言い切れないかもしれません。
もし相手が明徳義塾でなければ、併殺になっていなかったことでしょう。
鶴川投手の内野ゴロを打たせる技術、内野守備陣の素早い連携があってこそだと思います。
ここは不名誉な記録と考えるよりも相手の明徳義塾が上手かったと考えるべきですね。

簡単な試合経過です。
1回表 盛岡大付属の攻撃
1番小山田選手がヒットで出塁し、2番小林選手がバスターエンドランを決めてノーアウト1・3塁。
しかし後続がサードゴロ併殺、ショートゴロに終わってしまって無得点。

1回裏 明徳義塾の攻撃
盛岡大付の先発:三浦投手はコントロール定まらない大荒れの立ち上がり。
1番森岡選手に死球、2番松原選手を四球で出してしまってノーアウト1・2塁。
3番梅田選手が送りバントを決めて1アウト2・3塁。
ここで4番田辺選手が外角ストレートボール球を強引に引っ張る三遊間抜く2点タイムリーヒットで先制。
5番中田選手も三遊間抜くヒットで続くも、6番久保田選手がセカンドゴロ併殺に倒れて3アウトチェンジ。

2回裏 明徳義塾の攻撃
先頭の7番野村選手が左中間へのヒットを放つも、2塁は盛岡大付の中継が上手くいってタッチアウト。
これで盛岡大付属の三浦投手が波に乗るかと思いきや、
8番西山選手のショートゴロがイレギュラーする内安打、9番鶴川投手はセンターフライに打ち取るも、
1番森岡選手・2番松原選手と二者連続死球となって2アウト満塁。
ここで3番梅田選手が低めスライダーをコンパクトに捉えるレフト前2点タイムリーヒットを放ち追加点。
さらに4番田辺選手がセカンド強襲タイムリーヒット、
5番中田選手の死球で再び満塁として、6番久保田選手が1・2塁間をしぶとく抜くタイムリーヒットで加点。
ここで盛岡大付属は2番手の工藤投手にスイッチ。後続を打ち取ります。

3回表 盛岡大付属の攻撃
先頭の9番阿部選手がピッチャー強襲内安打で出塁するも、ショートゴロ併殺があって無得点。

3回裏 明徳義塾の攻撃
先頭の9番鶴川投手がストレートの四球で出塁し、
1アウトとなるも2番松原選手がボテボテが幸いしたサード内安打で出塁して1アウト1・3塁。
ここで3番梅田選手が内角133キロストレートに詰まりながらもセンター前へタイムリーヒットを放ち追加点。
4番田辺選手のエンドランサードゴロ3塁タッチアウトの後、
5番中田選手が内よりストレートを詰まりながらセンター前に運ぶタイムリーヒットで追加点。

4回表 盛岡大付属の攻撃
4番三浦選手がヒットで出塁するも、サードゴロ併殺で無得点。

4回裏 明徳義塾の攻撃
先頭の8番西山選手がヒットで出塁するも、
9番鶴川投手の送りバントはピッチャー前に転がってしまい、2塁送球1塁転送の併殺。

6回表 盛岡大付属の攻撃
先頭の9番阿部選手が四球で出塁し、2塁盗塁を試みるも梅田捕手がナイススローアウト。
けれど1番小山田選手も四球で出塁し、2番小林選手がショート強襲センター前ヒットでチャンスを広げ、
3番佐藤栄選手がシュート回転甘いストレートを捉えるセンター前タイムリーヒットで1点を返します。
しかし4番三浦選手はショートゴロ併殺に倒れて3アウトチェンジ。

6回裏 明徳義塾の攻撃
先頭の6番久保田選手が低めカーブを上手く斬るレフト前ヒットで出塁するも、送りバント打ち上げるミス。
1アウト1塁となった所でヒットエンドラン、8番西山選手が一二塁間抜くヒットを放ち、1アウト1・3塁。
ここでワイルドピッチが飛び出して1失点、なおも1アウト2塁。
そして9番鶴川投手が右中間突破のタイムリー3ベースを放ち、
1番森岡選手のファーストゴロの間に3塁ランナーホームイン。
3点を追加して盛岡大付属を再び突き放します。

8回表 盛岡大付属の攻撃
先頭の8番藤村選手がセーフティーバント内安打で出塁し、死球があってノーアウト1・2塁のチャンス。
けれど1番小山田選手はセカンドゴロ併殺、これで併殺5個の大会タイ記録。2アウト3塁。
ここで2番小林選手は外角140キロストレートを捉えてセカンドのグラブを弾く当たりで1点を返します。
(記録はセカンドのタイムリーエラー)

8回裏 明徳義塾の攻撃
先頭の久保田選手が四球で出塁し、ランナースタート&ワイルドピッチが重なってランナー3塁へ。
途中出場の榎本選手がセンターへ犠牲フライを打ち上げて追加点。
この後、2アウトランナーなしから9番鶴川投手がヒットを放ち、
森岡選手は死球で出塁し、ワイルドピッチがあって2アウト2・3塁。
ここで2番松原選手が2点タイムリーを放ってダメ押し。15−2と再びリードを広げます。

9回表 盛岡大付属の攻撃
5番佐藤孔選手がヒットで出塁するも、後続が倒れて無得点。
試合終了、15−2で明徳義塾が勝利しました。


負けた盛岡大付属ですが、守備面では光るプレーを随所に見せました。
守備の安定感はあっただけに、相手が明徳義塾でなければ…そう思ってしまう試合内容でした。
攻撃陣もセンターから右中心に良い当たりを放っていましたし、点差ほどの差はなかったはずなんですが。
やはりピッチャーのコントロールが悪すぎたのが悔やまれますね。
点差がついたことで強打一辺倒にならざるを得ませんでしたし。
2投手合わせて10四死球というのはいただけません。
バッテリーを中心に鍛え直し、来年以降は強いチームを作っていって欲しいです。

勝った明徳義塾はセンバツよりも強いチームになっていると思います。
サードの梅田選手をキャッチャーに、キャッチャーの梅田選手をレフトに、ファーストの久保田選手をサードに、
そしてファーストに2年生のドカベン体型・中田選手を入れることで打線がさらに強力になりました。
内野守備も安定していましたし、5併殺を奪うなどよく鍛えられていますね。
全国優勝した一昨年のチーム以上の力はあると思います。
今年は東北や横浜など他のチームが多いので、優勝できるかどうかは分かりませんが(^^;
課題としては攻撃のミス。
バントを2度失敗するなど明徳義塾らしくない雑なプレーが目に付きました。
今日は打力でカバーできたから良いものの、強豪チーム相手にはそれが通用しないので、
今一度徹底しなおして欲しいです。



この試合で目立った選手は… 明徳義塾の野手はほとんどなんですが(汗)
甲子園常連で真新しい選手は少ないので、簡潔に書いていきます。
3番キャッチャーの梅田選手はシャープな打撃で確実性を増してきています。勝負強さが魅力ですね。
キャッチャーの守備も割と安定していたと思います。
パスボールが一度ありましたが、それ以外のミスはなし。
スローイングでは捕ってから投げるまでが素早く、ナイススローイングで2塁盗塁を刺しました。
体が強ければ、キャッチャーを続けてもいいかもしれません。
4番レフト田辺選手は相変わらず外角に強いですね。
ただ少し強引過ぎるような気がするので、金属バットでなければバットが折れているかと…
リーチの長さは武器でしょうが、しっかりと打つボールを選んで欲しい所。
5番ファーストの2年生の新戦力・中田選手にびっくり。
124キロの巨漢体型、いわゆるドカベン体型です。これだけ太っている選手は最近では珍しいっす。
バッティングはただの長距離砲ではなく、打撃の柔らかさも兼ね備えています。
高めの球や内角の球に対してもバットが素直に出てくるのが強み。ただのデブではありません(失礼か(^^;)
最近では珍しいタイプなので注目したい選手です。

明徳義塾のエース鶴川投手は140キロ前後のストレートをコントロールよく投げ込むタイプ。
センバツと大きな変化はないと思います。
ストレートは135〜141キロ、外角低めにコントロール良く投げ込めます。
変化球は切れ味鋭い120キロ台の縦スライダー、100キロ台の緩いカーブで組み立てます。
他にも右打者内角にはシュート(ストレートがナチュラルシュート?)を投げていましたね。
内角を攻められるようになったのは鶴川投手の成長した点でしょう。
ただストレートがシュート回転してしまうという癖は直っていません。
試合中盤には右打者外角を狙った球がシュート回転して真中に来てしまうケースが何度もありました。
修正が効き難いだけに1イニング大量失点の危険性あり。
崩れかけた時にどう立て直していくか、鶴川投手の課題ですね。
ライバルの涌井投手に比べるとあまり成長しておらず。少し差をつけられた印象。
ライバルに刺激されながら頑張っていって欲しいです。

盛岡大付属では三浦投手と工藤投手が目に付きました。コントロールは最悪でしたが一応。
左腕の三浦投手は西武の三井投手のような投球フォーム。
三井投手と同じような曲がりが鋭いスライダーを投げていました。
今日はストレートのコントロールがさっぱりでスライダー連投、
そこを明徳打線に狙われて失点となってしまいました。
コントロール良い時を見てみたかった、そう思わせる投手でした。残念です。
2番手の右腕工藤投手は135〜138キロの力強いストレートが武器。
縦カーブとチェンジアップを投げていました。ただこちらもコントロール定まらず苦しいピッチング。
ストレートを明徳打線に狙われてしまいました。ボールに力があるだけに、もう少し見てみたかったですね。
2投手とも良いボールを持っていますから、今日の悔しさを胸に野球を続けていって欲しいです。



第3試合 遊学館(石川) 6−3 県岐阜商

(遊)曽根(4回1/3)−中西(4回2/3)
(県)金原(9回)
遊学館
県岐阜商

県岐阜翔のMAX145キロ右腕の金原投手と遊学館打線の対決が見ものだったんですが…
んー、金原投手のピッチングはなぁ… 思わず溜息をついてしまう投球内容でした。
セットポジションからは悪くなかったんですが、ワインドアップが…
なんていうのかな、一言で言うと「間がない」。
ワインドアップなのに投げ急いでいる、そんな印象を受けるピッチングでした。
力強いストレートを持っているのになぁ… 勿体無い…

簡単な得点経過です。
1回表 遊学館の攻撃
1番浜村選手が内角カーブを上手く当てるレフト前ヒットで出塁し、好走塁で一気に2塁へ!
2番江川選手は高め136キロストレートに押されながらも飛んだ所がいい三遊間抜くヒットで繋ぎ、
3番中山選手のショートゴロの間に1点を先制します。
さらに2アウト1塁から4番鈴木選手のショートゴロを送球エラー、1アウト1・2塁。
5番打者は空振り三振に倒れるも、6番旅選手が高め135キロストレートをコンパクトに捉えるレフト前タイムリーを放ち、
遊学館が2点を先行します。

2回裏 県岐阜商の攻撃
先頭の4番金原投手が外角高めツーシームを捉える右中間への2ベースヒットで出塁し、送りバントで3塁へ。
ここで6番武藤選手が外角ストレートをミートするセンター前タイムリーで1点を返します。
その後パスボール・四球等でチャンスを作ったものの、後続が倒れて2点目はなりません。

4回裏 県岐阜商の攻撃
2アウトランナー梨から7番向井選手が四球を選んで出塁し、2塁盗塁成功。
この後、2塁へ牽制するもベースカバーがいないという遊学館のミスが飛び出して2アウトランナー3塁へ。
8番山田選手も四球を選んで、2アウト1・3塁。
ここで9番瀬川選手が甘いカーブを打つセンター前タイムリーヒットを放ち、同点に追いつきます。

5回表 遊学館の攻撃
2回以降、ヒットや四死球で先頭打者を出しながらも送りバントを失敗するなどしてチャンスを潰してきた遊学館。
この回も先頭の2番江川選手がファースト内安打で出塁します。
3番中山選手はバスターファール、その後はヒッティングに出るも低めスライダーに空振り三振、
しかしこの球がワイルドピッチとなってランナーは2塁へ、1アウト2塁。
ここで4番鈴木選手が高めストレートにやや詰まりながらもライト前に落とすタイムリーヒットを放ち、勝ち越し。
さらに鈴木選手が2塁盗塁を決めた後に、
5番大北選手が外角スライダーを打つ三遊間抜くタイムリーヒットを放ち、2点差とします。

5回裏 県岐阜商の攻撃
先頭の2番山内選手が緩いカーブを叩くセンター前ヒットで出塁するも、3番打者がピッチャーゴロで2塁封殺アウト。
1アウト1塁から4番金原投手がショート強襲のヒットを放ち、
5番中村選手が外角ストレートを打つセンター前ヒットで続いて1アウト満塁とします。
ここで6番武藤選手の低めカーブを打ち上げた打球はライトフライと思いきや風に流されて落ちるポテンヒット。
3塁ランナーがホームインして1点を返します。
なおも1アウト満塁という所で、遊学館は投手交代、中西投手がマウンドに上がります。
ここは中西投手が球威あるストレートで押してサードゴロ併殺に打ち取って、県岐阜商の反撃を断ち切ります。

6回表 遊学館の攻撃
先頭打者が死球で出塁し、送った後に2番江川選手がフェンス直撃のタイムリー3ベースを放ち追加点を上げます。

8回表 遊学館の攻撃
6番旅選手のレフト前タイムリーヒットで追加点。
この後、途中出場の7番中西投手がヒットを放つも、
3塁ランナーストップにも関わらず2塁ランナーが3塁へ向かってしまってタッチアウト、3アウトチェンジ。

9回裏 県岐阜商の攻撃
2アウトから1番永田選手がヒットで出塁するも後続が倒れて無得点。
試合終了、6−3で遊学館が勝利しました。


この試合は県岐阜商の金原投手が悪すぎました。
ワインドアップはコントロールバラバラでどうしようもなかったです。
先頭打者を出さなかったのが、7回と9回のみ。他は全てノーアウトのランナーを出しています。
四死球が6、14安打されながらも6得点で抑えたのは凄いと思うんですが… まぁ、さすがに…
県岐阜商の金原投手は大荒れ、遊学館は拙攻続きとどうも肩透かしを食らった試合でした。


負けた県岐阜商ですが、金原投手の制球難が全てだったと思います。
先頭打者を毎回のように出してしまったので、守備のリズムを全く作ることができず。
苦しい試合展開にならざるを得ませんでした。
もう少し金原投手がテンポ良く投げていてくれたら…そう思わざるを得ません。
3年生主体のチームではありましたが、6番武藤選手が1年生で4打数2安打2打点と活躍しましたから、
今回の経験を次のチームへと生かしていってもらいたいです。

勝った遊学館はどうも煮え切らない試合だったような…
金原投手の速いストレートに振り負けないなど強力打線は健在でしたが、
バントミスや走塁ミスといった攻撃面のミス・効率の悪さが気になりました。
そこだけ気をつけて戦っていって欲しいです。
投手陣はタイプの違う投手が複数揃っているようですし、ある程度計算はできるでしょう。
あとは安定した攻撃力を維持できるかどうか。次の東北戦を楽しみにしています。



目立った選手…というか目に付いた選手。
県岐阜商の金原投手、遊学館の曽根投手・中西投手らです。
県岐阜商の金原投手は140キロ前後のストレートを投げる本格派右腕。135〜142キロをマーク。
球威あるストレートを武器に、110キロ台のカーブを交えたピッチングをする投手のようです。
ボール自体はいいんですが、前述の通りワインドアップのフォームが変。間がありません。
振りかぶったと思ったらもう投げている、そんな風に思っていただければ。
中日の朝倉投手が一時すり足投法でブレイクしましたが、そんな感じの早さだと思ってくれればいいです。
ただすり足でも何でもなく、普通に足を上げた投球フォーム。溜めを作る時間が少ない…というより存在してません。
大きな投球フォームと小さな投球フォームが混在しているぎこちないワインドアップモーションです。
そのせいかコントロールがバラバラ。ストライク入っても甘い球ばかり。さっぱりのピッチングでした。
まだセットポジションの方が間がありました。それほど変なワインドアップモーションでした。
もう少し体に捻りを加えて、足を上げた時の間を作ればいいと思うんですけど。
今のままではコントロールが安定することはまずないと思います…
体に恵まれていて、速い球を投げる素質があるだけに勿体無い。良い方に修正できることを祈ってます。

遊学館の2年生左腕・曽根投手はスローカーブが武器の軟投派投手。
投球フォームは遊学館の先輩・小嶋投手、日ハムの須永投手のような体を逸らす投球フォームなんですが、
とにかく腕の振りがゆったりでボールが来ません。
ストレートは120キロ前後、110キロ台のツーシーム、
100キロ前後の通常カーブ、そして90キロを切るようなスローカーブを投げます。
普通なら90キロのスローカーブは腕の振りで分かるんですが、
曽根投手はストレートからしてゆったり投げてるんではっきりとは分かりません。
もう速い球を捨てて遅い球に生きがいを覚えているとしか思えず(笑) 軟投派の中の軟投派です。
相手に慣れられると厳しそうですが、面白い投手ではあります。
対照的に2番手の2年生右腕・中西投手は長身から投げ下ろす本格派。
ストレートは130キロ前後ですが、力強い重たそうなボールを投げていました。
110キロ台のカーブとのコンビネーションな模様。将来が楽しみな投手です。

遊学館の野手では2年生4番レフトの鈴木選手がオーソドックスで隙の無い打撃フォームをしていて好印象でした。
ただ昨年センバツ時からのレギュラーである1番センターの浜村選手、3番セカンドの中山選手に当たりがなく残念。
特に中山選手は送りバント失敗があるなど精細を欠きました。
次の東北戦での活躍を期待しています。



第4試合 東北(宮城) 13−0 北大津(滋賀)

(北)上田(2回2/3)−古川(4回1/3)−上野(1回)
(東)ダルビッシュ有(9回)
北大津
東北 × 13

東北打線が11安打13得点の猛攻を見せて大勝しました。
北大津はダルビッシュ投手から8安打を放つも、あと一本が出ずに無得点。
守備では東北の強力打線の前に7つものエラーが飛び出して大崩れ。
実力を発揮できぬまま敗退となりました。

東北はセンバツと比べると、打線がかなり力強くなっています。
一言で言うと隙がなくなってきています。
どこを攻めればいいのか分からない、1〜9番まで気が抜けません。
5番に1年生の成田選手が加わり、ダルビッシュ投手が9番を打つ打線ですからね。怖いっス。
大沼・横田選手など長打力のある選手が揃っていますが、
大振りせずにセンター方向へコンパクトに弾き返すバッティングを徹底しており、
ボール球に手を出さない選球眼の良さを持っています。
これだけの強力打線になると、相手チームはダルビッシュ・真壁投手らを打ち崩せば済むというものではなし。
むしろ東北打線を沈黙させて接戦に持ち込むことを考えなければなりません。
超高校級投手に強力打線、恐ろしいチームになってきました。

ダルビッシュ投手に関してはちょっと分かりません。全力投球しているように見えませんので。
中盤から時折力を入れてストレートを投げ込んでいましたが、全体で考えるとかなり少なめ。
手を抜いているという言い方は変ですが、どうしてもそんな風に見えてしまうんですよね。
本気で1試合を投げきるのを一度見てみたいんですが… そんなわけで評価できません。
もっとも本人は本気で投げているのかもしれませんが…
あまりにもボールの威力にばらつきが多いんですよ。
同じ142キロストレートでも威力あるものと、気持ちが入っていない軽い142キロストレートと。
どうもそのボールのばらつきが気になって仕方ありません。
痛い目にあってきたはずなんですがねぇ… まだ一球に対する考え方が甘い所があるような気がします。
松坂投手が高校2年の横浜大会で、涌井投手が昨春センバツ・昨夏横浜大会決勝で辛酸を舐めたことで、
大きく成長してきたわけなんですが…
んー、実際はそうではないのかもしれませんが、私にはそう見えました。
もう少し一球を大切にして投げていって欲しいです。
「球穢れなく道険し」、この言葉をダルビッシュ投手に送りたいっス。

簡単な得点経過です。
1回表 北大津の攻撃
1番田中選手が外角チェンジアップを打つピッチャー強襲ヒットで出塁!
2番打者は送りバントを試みるもファールが続いてスリーバント失敗アウト。
3番プロ注目スラッガー中西選手は外角145キロストレートを捉えるもライトライナー。
4番上田投手は内角139キロストレートを弾き返すセンター前ヒットを放ち、2アウト1・2塁。
このチャンスで5番石本選手が変化球を捉えるもレフト後方の大きなフライでアウト。

1回裏 東北の攻撃
先頭の家弓選手が四球で出塁し、2番槙選手はバスターエンドランショートゴロで2塁アウト、
ただ1塁への送球が悪送球となって併殺にならずに1アウト2塁に。
ここで3番大沼選手の詰まったライトフライは上空の強風に押し戻されて、
セカンド後方ライト線に落ちるラッキーなタイムリーヒットとなって東北が先制します。
この後、4番横田選手は低めスライダーを捉えてセンターへ大きなフライを放つもフェンス手前まででアウト。

2回表 北大津の攻撃
先頭の6番古川選手が初球内角134キロストレートを捉える1・2塁間抜くヒットで出塁。
送りバントでランナーを進めるも、後続が倒れて無得点に。

2回裏 東北の攻撃
先頭の6番加藤政義選手がヒットを放つも、送りバントがピッチャー手前で2塁フォースアウト。
この後、エンドランをかけるもピッチャーフライでランナー飛び出して併殺。

3回表 北大津の攻撃
1・2番ともに外角低めシンカー系のボールに空振り三振するも、
3番中西選手が外角143キロストレートをコンパクトに弾き返すセンター前ヒットで出塁し、2塁への盗塁も成功。
しかし後続が倒れて無得点。

3回裏 東北の攻撃
9番ダルビッシュ投手に対してリーチの長さから外角を意識し過ぎてしまって四球。
1番家弓選手が良い所に飛ぶ1・2塁間抜くヒットで出塁してノーアウト1・2塁となるも、
送りバントがピッチャー前に転がって3塁送球フォースアウト。
1アウト1・2塁となるも、ここでキャッチャーの中西捕手が2塁ランナーを牽制しようとして大暴投、
さらにセンターも3塁に投げようとして大暴投、ボールがカメラマン席に入ってしまい、
2塁ランナーは労せずしてホームイン、1塁ランナーも3塁に達してしまいます。
3番大沼選手は三振に打ち取るものの、4番横田選手にセンター前タイムリーを浴びてこの回2失点目。
1塁ランナーの横田選手がディレードスチールで2塁へ達した後、5番成田選手がセンター前タイムリー、
6番加藤政義選手の四球を挟んで、7番伊藤選手は左中間フェンス直撃2点タイムリー3ベースで追加点。
森選手に四球を出した時に、パスボールがあって3塁ランナーホームイン。
ここで北大津は古川投手をマウンドに送ります。
なんとか後続を打ちとって3アウトチェンジ。

4回裏 東北の攻撃
美浜ちよが問題となったため中継中段。ニュースタイム。
ちよちゃん、なんで飛ぶん? 的な大阪タイム(謎) そんなわけでここから部分的に略。
むかーし、むかーしに3番大沼選手のタイムリーで1点取ったそうじゃ。

5回表 北大津の攻撃
1番田中・2番中原・3番中西選手と三者三振。中西選手は内角141キロストレートに振り遅れ。
ここら辺からダルビッシュ投手のエンジンが上がりきった模様。

7回裏 東北の攻撃
相手エラーなどでチャンスを作り、4番横田選手のタイムリーで1点追加。
さらに送りバントの打球を北大津守備陣が処理できずにランナーが溜まっていき、
7番伊藤選手がレフト前2点タイムリー、8番森選手がセンター前2点タイムリーでダメ押し点を挙げます。

8回表 北大津の攻撃
タービン建屋がやられて中断中。ラジヲたんにハァハァする。
1番田中選手がヒットで出塁し、3番中西選手が3塁線突破の2ベースヒットを放ち、1アウト2・3塁のチャンス。
しかしこのチャンスで後続が凡退してしまい、無得点で終わってしまいます。

9回表 北大津の攻撃
三者凡退に終わって試合終了。
13−0で東北が勝利しました。

注:美浜原発の蒸発水漏れ事故の報道があったため、一部ぼかして書いてあります。


負けた北大津ですが、ダルビッシュ投手をよく攻めたと思います。
立ち上がりエンジンがかかっていなかったとはいえ、
センター中心のバッティングで140キロ台のストレートにも振り負けず、シャープに弾き返すことができていました。
中盤からダルビッシュ投手が調子を上げてくると、ヒットが出なくなっていきましたが、
8回には田中・中西選手のヒットで最大のチャンスを作るなど見せ場を作ってくれたと思います。
悔やまれるのは7失策という守備の乱れ。お粗末なプレーが試合を台無しにしてしまいました。
その点だけが残念です。

勝った東北高校は立ち上がりこそ堅さがあったものの、3回以降は本来の野球ができていたと思います。
年々強力になっていく打線の破壊力は素晴らしく、
積極的に盗塁や小技を絡めるなど、多彩な攻撃をできるのが魅力的ですね。
全ての面でトップクラスのチームでっすから、ダルビッシュ投手次第で十分優勝を狙えるはず。
2回戦以降も頑張っていって欲しいですね。



目立った選手ですが、ダルビッシュ投手に関しては前述の通り。
投球データを簡単に書いておくと、ストレートは140キロ前後、134〜145キロをマーク。
球の威力はまちまち。全体的に3番中西選手に対しては力を入れていた印象。
変化球は120キロ台のスライダー、120キロ台のシンカー(チェンジアップ?)の組み立て。
点差が付いて余裕できたときに110キロ台の緩いカーブを投げていました。
コントロールはぼちぼちだった印象。
とにかく良いボールと悪いボールがはっきりしてしまうという斑な調子でした。

北大津の打者では3番キャッチャーの中西選手が目立ちました。
ダルビッシュ投手の力を込めたストレートにも振り負けず、4打数2安打(凡打の1つはライトライナー)の好成績。
打ち取られたのは第三打席の三振だけでしょう。それ以外は中西選手の勝ち。
ただダルビッシュ投手は中西選手に対してだけストレートで押すことが多かったので、
変化球をもっと交えていれば結果は分かりませんでした。
打撃フォームは脇の閉まった打撃フォームで、インサイドアウトでバットを出せるセンスの高いバッター。
打者としての評価はかなり高いと思います。
守備の方では捕球ミスや送球エラーなどが相次ぎ、評価が難しい所。
体格も大きくはないので、将来的には打撃を生かす方向で考えた方がいいかもしれません。
将来に渡って要チェックのバッターです。




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