1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 | (社)大前(7回)−坪井(1回) (名)丸山(9回) |
||||
社 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 1 | 0 | 0 | 1 | 2 | ||||
名電 | 0 | 0 | 2 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | × | 3 |
今日の2試合を全て解説できればプロです。 それぐらい内容のある試合だったと思います。ある意味、解説者泣かせ(^^; 特にこの試合はテレビ見てただけじゃ分かりませんね。 球場の内野席で見ないと全容は掴めないんじゃないでしょうか。 例えば社のバントシフトの取り方、ランナーの動き、そして最後のスクイズバント… それらを全て掴むには球場にいないと分かりませんからね。 凄く内容の詰まった好ゲームでした。 この試合の簡単な得点経過です。
上の解説を見れば分かると思うんですが、口では説明できない試合内容です(爆) TV見てて分からないものを文章に現すことができますか(^^; この試合を一言で表すならば「バントの奥の深さ」これに尽きます。 「愛工大名電のバント野球がつまらない」とか思ってる人は言っちゃ悪いが素人。 この試合の面白さを感じられた人は幸せだと思うっス。バント1つ取っても奥が深いですね。 名電のバント野球の恐ろしさは散々語ってるので省略。 攻撃的な面以外を補足するとすれば、ピッチャーがフィニッシュの形を取りきれず投げ急いでコントロールを乱す、 守備シフトが自然に前傾となって内野手の間を抜きやすくなる、土のグラウンドでバウンドが変化しやすくなる等々。 高校野球は一発勝負ですから、常にガケが崩れるかどうかというギリギリの心境でプレイしているわけです。 色々なことを考え、色々なことを迷う…その隙を引出すのがこのバント作戦だと言えます。 バッターが打てるだけに作戦の幅がより広がる…何をしてくるか分からない不気味な野球です。 (誤解してないと思いますが、打者はバント狙ってコツンコツンやってくるわけじゃないですよ? バスター打法ではない。 バントで牽制・セーフティーを狙いながらも、バッティング自体は大きい。追い込まれても全力で振れるスイングの力強さ。 打者が小さくまとまってしまってるわけではありません。思いきりの良さも兼ね備えてるから「恐ろしい」のです) さて今日の試合に戻って見ると… ポイントは色々とありますな。 1回表の牽制タッチアウトはランナーがリードをしはじめる一瞬の隙を狙ったものです。 ランナーがベースに戻り、リードしようとするその瞬間。野手とバッテリーの呼吸が完全に合ったナイスプレー。 ランナー2塁なのでファーストのようにベースには付いていない、その油断から生まれる一瞬の隙を狙ったプレーでした。 3回表の3番梶田選手の四球はもう一度映像で確認してみないと分かりません。 私もその時はメモを取っていて、2塁に行ったのに気づきませんでした。 おそらく1アウト3塁から四球となり、打者がランナー1塁へ歩いていき、 社守備陣の集中力が一瞬欠けたのを見て歩いていた1塁から2塁へスルスル〜と走っていったんだと思います。 野球の指導本になる「四球と死球の違い」ですね。 死球は当たった時点でボールデッド(試合中断)、ランナーは動けません。 四球の場合はボールインプレー(試合継続)、ランナーは自由に動けます。 1アウト2塁で盗塁を試みて、死球なら戻され、四球なら盗塁成功という感じ。 四球で打者が2塁へ行く例として、フォアボールとなった球がワイルドピッチになった場合が挙げられます。 後ろに逸らしていれば、打者走者は全力で1塁を駆け抜け、2塁へ到達することが可能ということ。 プロ野球だと結構打者がのんびり走ってて「なめてんのか!」と思うことがよくあります(笑) たぶんそれを利用したプレーだったんじゃないかと。 もっともただピッチャーがセットに入ってからのディレードスチールだった可能性もありますが。 どちらにせよ、一瞬の隙を付いた見事な走塁でした。 自分が分からないのは5回裏の松井選手の打席の指示、あれはセーフティースクイズの指示だったんでしょうか? 7回裏の1アウト満塁でもセーフティースクイズやってますから、たぶんそうなんでしょうが… つーか、満塁でのセーフティースクイズがよく分かりません。 ホームはフォースアウトななんだから、余程上手く転がさないと成功しないじゃないですか。 下手すればホームゲッツーになる可能性もあるわけで… 3塁ランナースタートのスクイズバントなら分かりますが…それでも満塁は怖いよなぁ… そこをセーフティースクイズにする理由が分かりません。何か意味あるんでしょうか? この作戦を誰か上手く解説してください。私には少し分かりませんでした… 6回表の社のスクイズも謎。セーフティースクイズでスタートが切れなかったのか、サインミスか… 今日の試合の勝敗を分けた場面だったと思います。ここでスクイズが決まっていたら、社が勝ってたような気がします。 セーフティースクイズだったとして考えると、3塁ランナーの判断が拙かった気がします。 あのタイミングなら行けたと思うんですが… セーフティースクイズはバントの精度の他に3塁ランナーの判断力が要求されます。 どこに転がしたら走るのかということを頭に入れておかなければ。打球を見た一瞬で判断するわけですからね。 今回は普通のスクイズよりもセーフティースクイズの方が多いんですが、これを正確に決めようとするとかなり大変です。 スクイズはバッテリーと打者・走者の駆け引きが面白く、セーフティースクイズは打者のバント技術とスリリングな走塁が魅力。 高度な判断力を要求されるセーフティースクイズ、この場面はその要求を満たせなかったようです。 6回裏の2アウトランナー3塁からのセーフティーバントも今大会の特徴ですね。 2アウトランナー3塁でのバントが結構見かけます。 普通のスクイズとは異なり、打者走者が1塁セーフにならなければ得点できないわけですし、高いバント技術が要求されます。 問題は使い所、相手の守備位置で決まってきます。 「あー、スクイズはなくなったな。それじゃ後ろに下がって守ろう」と思ったその一瞬の隙を突いたプレー。 内野手は常にセーフティーバントの可能性を頭に入れておかなければならないということですね。 頭にないと送球できなかったり、送球しても悪送球になってしまったりと。 こうやって見ていくと、野球の技術が高まったことで心理戦に突入しているということが分かります。 今の高校野球の大きな変化。僅かな隙を見つけてそこを攻撃していく野球、それが今の高校野球です。 今大会でビッグイニングや終盤にもつれることが多いのはそのせいだと思ってます。 さてこの試合を決定付けた場面といえば9回表1アウト3塁のスクイズウエスト、これでしょう。 愛工大名電の丸山投手は左ピッチャーです。ですから、顔は1塁方向、3塁ランナーの動きに気づきません。 そして投げる瞬間、キャッチャーは座っていました。つまりスクイズを外し指示を出していなかったということになります。 しかも投げたボールはカーブ、ウエストするならストレートのはず。つまりピッチャーが無理矢理ウエストしたことになります。 それじゃ愛工大名電バッテリーがウエストしたのは偶然だったのか? 否、丸山投手の投げた高めカーブは下手するとワイルドピッチになるかというボール。しかも回転が速かった。 カーブのすっぽ抜けなら、あんなに回転は多くないはず。やはりウエストしたと見るのが自然です。 おそらく丸山投手はサードの「声」に反応したのでしょう。 丸山投手の投球フォームは足を上げて一度止まるゆったりした投球フォーム。 この場面はランナーに走られる心配がなかったので、ワインドアップに近い足の上げ方でした。 ランナーの走り出しが僅かに早かったことで、丸山投手はサードの声に反応してウエストできたのでしょう。 1塁ランナーがいたら、そんなに足をゆったり上げられないのでウエストできなかったことでしょう。 また普通の投球フォームだったら、外す時間がなくてウエストできなかったことでしょう。 丸山投手のゆったりした投球フォームがこのスクイズのウエストを呼び込んだんです。 そしてそのボールをキャッチャーがよく捕りました。下手するとワイルドピッチになるようなボール。 丸山投手が「咄嗟に外しても捕ってくれる」と長尾捕手を信頼しているからこそできる芸当です。 この一瞬の場面に多くのドラマがありました。 何気ないプレーではありますが、この試合の全てを凝縮するような熱い戦いがこの場面に隠されています。 勝った愛工大名電は鮮やかな勝利でした。 試合後半はチャンスがありながら得点できず…苦しい展開だったことでしょう。 けれどそこをエースの丸山投手がよく踏ん張り、守備陣もよく守りました。 今日は守備の力が発揮された感じですね。 さて明日はいよいよ決勝戦。 攻撃的なバント野球で神宮大会に続く優勝ができるか、注目が集まります。 ここまで数多くの好投手を飲み込んできた名電の「攻撃的バント野球」、さあ最後はどうなりますか。 バントばかり目立ってる名電ですが、高い走塁技術があるからこそできること。 今日の3番梶田選手の走塁といい、抜け目のなさが目立ちますね。 強打の愛工大名電から、高い判断力を持った愛工大名電へ。野球の変化を感じさせてくれます。 負けた社は愛工大名電に匹敵するバント力を持ったチームでした。 3回のチャンスを作ったのはセーフティーバントでしたからね。バントの精度は社の方が上だった印象です。 ただ社の場合は判断力がついていかなかった…セーフティースクイズの走塁ミスが痛かったです。 あとは最後の場面、丸山投手の投球フォームが頭に入っていたかどうか気になる所。 3回の時のスクイズバントファールの所で、「スクイズ厳しそうだな」と私は感じました。それは投球フォームを見たからです。 作戦的には問題ないと思うんですが、3塁ランナーがそれを分かっていたかどうか… もう少しスタートのタイミングを遅らせなかったのか…一瞬の観察力・判断力が名電に及びませんでした。 先発の大前投手は8四死球とこれまでのコントロールの良さが嘘のよう。 どんな好投手でも心理的なプレッシャーがかかって投げ急いでしまうんですね。 監督から「バントだからと慌てずに最後までしっかり投げろ」と指示が出ていたようですが、それを実践できませんでした。 実力は申し分がないので、あとは精神力、状態が悪くなった時に自分で修正する能力を身につけて欲しいです。 それは高度なことで一流投手でなければできないことですが…私は大前投手がその段階にあると見ています。 坪井投手と一緒に一回り大きくなって、甲子園に帰ってきて欲しいです。 それには同県の報徳学園・育英・東洋大姫路といった私立校を倒していかないと。 公立の星として兵庫県大会を制覇できるよう頑張ってください! |
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 | (済)福井(9回) (明)鶴川(2回)−松下(7回) |
||||
済美 | 2 | 1 | 3 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 7 | ||||
明徳 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 6 | 0 | 0 | 0 | 6 |
この試合を語る上で避けては通れない試合があります。 それは昨秋の四国大会準決勝です。 http://www.mainichi.co.jp/sports/04senbatsu/area/art/040210L067_3923101C40LJ.html 明徳が序盤大量リード、それを済美が追いついて逆転。明徳義塾にとって悪夢の試合でした。 奇しくもそれと逆の展開だった今日の試合。しかし中身はこの日と全く同じになってしまいました。 明徳義塾らしくない送りバントのミス、それが響いて7回以降得点できず。逆にミスで1点を失ってしまう… 展開は逆ながらも、四国大会準決勝の悪夢が再現されました。 勝った済美もまた、この試合を意識していたことでしょう。 四国大会での金星を「まぐれ」と言われた…ならば甲子園の舞台で勝利し、力を示そう、そう考えたのでしょう。 前日の東北戦といい、昨秋の躍進が実力であったことを示す戦いをしています。 初出場ですが、済美の実力を世に示しています。 昨年は広陵・常総といった甲子園強豪校の強さが目に付きました。 けれど今年は違う。強豪校ではない新興勢力の台頭が目に付きます。 済美・社といったチームの躍進は甲子園を目指す全国の高校に勇気を与えてくれていますね。 簡単な得点経過です。
「やればできると 魔法の合言葉〜」 昨日は打線がその主役、今日は福井投手がその主役だったようです。 今日の福井投手は序盤からストレート・スライダーともに高めに上ずってかなり危険な状態、 それでも序盤は高めのストレートに威力があったこともあり、明徳打線を5回開始時までノーヒットピッチング、 悪いながらも抑えていきます。 けれど後半は6回に明徳打線につかまったことで、あっぷあっぷの状態。 いつ打たれてもおかしくないような状態でした。 しかし明徳打線のバントミスにも助けられ、気力だけで投げてそのまま完投。 持ち前の粘り強いピッチングを披露し、勝利に貢献しました。 6回にあれだけ集中打を浴びると、精神的に切れてしまうもんなんですがね。 7回から悪いなりによく立て直しました。ナイスピッチングでした、福井投手。 試合の勝敗を分けたのは明徳義塾の7回・9回の送りバントのミス、そして8回の送球エラー。 7・9回ともにノーアウトでランナーを出しているのにもかかわらず、バントでランナーを進められない。 それによって崩れそうだった福井投手を助けてしまいました。 追い上げながらも最後はバントミス・エラーで負け… 明徳義塾にとっては昨秋の四国大会準決勝同様、悔いの残る試合となってしまいましたね… 1つ補足しておかなければならないのは、3回表1アウト2・3塁ショートゴロの対応です。 今大会では同じような場面がありました。どの試合だったか少し忘れてしまいましたが… その時は3塁ランナーが三本間に挟まれて、2塁ランナーがベースに到達2塁ランナータッチアウトとなったはず。 この前回のパターンが悪い例、今日の済美の走塁が良い例です。 ランナーには先有権があるので、2塁ランナーよりも3塁ランナーにベースの権利があります。 だから3塁ランナーがベースに帰塁したら、2塁ランナーは3塁へ戻らなければいけないわけで、 2塁ランナーは3塁ランナーがベースに戻る直前にベースを離れなければいけません。 済美はその基本に忠実なプレーをした所、明徳の守備陣が一瞬だけ慌てたんですよね。 その後に少し2・3塁間で挟むわけなんですが、送球がランナーに当たって失点。 そのショックを引きずったのかタイムリーヒットが飛び出し、済美が大量リードをしてしまうわけです。 この明徳義塾のプレーはかなり大きかった気がします。 もう一度、基本の確認を心がけて欲しいです。 勝った済美は強力打線の集中打、そして福井投手の粘りのピッチングと投打のバランスが取れています。 送りバントや走塁、守備でもしっかりとしたプレーができてますし、基本に忠実な良いプレーをするチームです。 さあ、いよいよ明日は決勝戦。初出場ながらついにここまで来ました。 もし優勝すれば、上甲監督が率いた宇和島東以来のセンバツ初出場初優勝となります。 ただ宇和島東はその前の夏に出場していたので、甲子園未出場の初出場初優勝、 しかも創部3年目という快挙になるわけです。 そのためには疲れが見えているエース福井投手の踏ん張りが鍵。 フィールディングに難があるのが心配…名電の攻撃的バントに崩れないよう頑張って欲しいです。 あとは打線の奮起。3番高橋・4番鵜久森選手といった長打力のある主軸を中心に得点を上げていって欲しいです。 明日は打ち合いかな? 決勝の戦いぶり、楽しみにしてます。 そして勝った時には済美の校歌の熱唱をお願いします(^^; 負けた明徳義塾は残念な結果に終わってしまったと思います。 6回の集中打は見事だったんですが、結局はバントミス・エラーで失点… 肝心な所でミスをしてしまうそんな精神的弱さは変わっていませんでした… けれど個々の力は十二分に見せてもらったので、今日の悔しさを胸に、真に強いチームを作って欲しいです。 精神力の強いチームを作りなおし、夏の大会全国制覇を目標に戦ってもらいたいです。 それだけの力は十分あるはず。気落ちせずに頑張ってください! |