04センバツ甲子園大会 6日目

第1試合 東海大山形(山形) 3−2 報徳学園(兵庫)

(東)佐藤淳(9回)
(報)片山(9回)
(本)土谷尚鋭(東海大山形・6回表・ソロ)
   林勝人(東海大山形・7回表・ソロ)
東海大山形
報徳

東海大山形がホームラン攻勢で報徳学園の2年生投手・片山選手を打ち崩しました。
守っては佐藤淳投手と島貫選手のバッテリーが報徳学園を5安打に抑えて完勝。
1点差ながら、東海大山形の良さが目立つ試合でした。

簡単な得点経過です。
4回表、東海大山形は2アウトから4番土谷選手がショート内安打で出塁し、
四球・6番林選手の三遊間抜くヒットで2アウト満塁のチャンスを作ります。
しかしここは報徳学園の2年生左腕・片山投手がカーブで追い込み、
高めストレート釣り球で空振り三振に取ってピンチを凌ぎます。

6回表、東海大山形の4番土谷選手が外角よりのボールを捉えてセンターの頭を越すホームラン!
見事なホームランで東海大山形が先制します。

7回表、東海大山形の6番林選手が高めの甘いカーブを引き付けてレフトスタンドに入るホームラン!
打った瞬間に分かるホームランで東海大山形が追加点を挙げます。

8回表、東海大山形は1番石井選手がレフトフェンス直撃の2ベースヒットで出塁し、セカンドゴロで3塁へ。
3番島貫選手が三振に倒れるも、4番土谷選手が変化球を引き付けて打つ1・2塁間抜くタイムリー!
東海大山形が3点目を挙げます。

8回裏、報徳学園は1アウトから四球でランナーが出て、2番石井選手がやや高いストレートを打ち、
打球は2塁塁審の所へ、塁審これをかわしますが、セカンドがその動きに戸惑ったのか捕球できず。
センター前ヒットとなるラッキーな当たりで1アウト1・2塁とします。
ここで3番宮崎選手がやや高くなった変化球を打って1・2塁間抜くタイムリーヒットが出て1点、
さらに1アウト1・3塁の場面で4番片山投手がショートゴロ併殺崩れで1点差とします。
しかしショートゴロに倒れて3アウトチェンジ。

9回表は報徳学園の片山投手が気迫の投球を見せるも、プッシュバント内安打で三者凡退で終わらず。
結局、後続が倒れて無得点でしたが、報徳学園の追い上げムードに歯止めをかけます。
そして9回裏、佐藤投手が三者凡退に抑えて試合終了。3−2で東海大山形が勝利しました。


東海大山形はセンバツ初勝利。さらに山形県勢はセンバツで22年ぶりの初戦突破。
おまけに山形県勢のセンバツ初ホームランと記録ずくめとなりました。

試合前半は報徳学園の2年生左腕・片山投手と東海大山形の佐藤投手の投げ合い。
非常にテンポのいい引き締まった試合が繰り広げられました。
試合が動いたのが6回表、土谷選手が片山投手と外角ストレートをセンターバックスクリーンへホームラン!
決して甘い球ではなかったと思います。少し中に入ってしまいましたが、外角低めのボールでした。
それをホームランにしたのですから、土谷選手は立派です。
逆に片山投手の球威が少しなかったのかもしれません
このホームランで自信をつけた東海大山形は6番林選手が失投を捉えてレフトスタンドへホームラン、
8回にはレフトフェンス直撃2ベース、土谷選手の右方向へのタイムリーと打線が活発になっていきました。
東海大山形の長打力が報徳学園を打ち崩した形です。

勝った東海大山形はバッテリーを中心にまとまりのあるチームです。
佐藤投手は立ち上がりと終盤にコントロールを乱したものの、
それ以外は制球よく、カーブで緩急をつけながら安定感あるピッチングをしていました。
またキャッチャーの島貫選手もナイスリードで引っ張り、盗塁を刺すなど活躍していました。
今日は好投手の片山投手を長打攻勢で崩しましたし、この先も楽しみな投手です。
今年は東北高校をはじめ、秋田商とレベルの高いチームが揃っているので、
東海大山形にも頑張ってもらいたいですね。

負けた報徳学園はバッティングの粗さが気になりました。
高めのボール球に手を出すことが多く、最後まで佐藤投手を掴まえることができませんでした。
8回裏なんかはカーブに狙い球を絞ってはいたんですがね。いかんせん、仕掛けが遅かったです。
2年生左腕の片山投手は10三振を奪うなど素晴らしい素質を見せていましたから、
バッテリーを中心に勝てるチームを作っていって欲しいです。
同県のライバル・社に負けないよう練習してもらいたいですね。


目立った選手は報徳学園の片山投手、東海大山形の佐藤淳投手、島貫選手、土谷選手です。
報徳学園の2年生左腕・片山投手は191センチの長身から角度あるストレートを投げ込んでいました。
ストレートは130キロ前後(132キロ)、大きなカーブとチェンジアップ(スライダー回転)が武器。
コントロールも全体的に安定していて、自滅するような投手ではなさそうです。牽制も上手いのが強み。
どちらかというと変化球の良さが印象的。
カーブの落差はもちろんのこと、ややスライダー気味に落ちるチェンジアップがいいように見えました。
同じ兵庫・社の2年生左腕大前投手よりも球種は多い印象です。
ただ気になるのはボールの球威。試合後半に長打を連発されたのが心配です。
上半身の捻りで投げる投球フォームなので下半身をあまり使えてないのかも。
長身の割りに威圧感がなかったような気がします。
もう少し下半身を上手に使っていけば、かなりの投手になりそう。
同じ2年生のライバルに負けないよう頑張って欲しいです。

東海大山形の佐藤投手は球速こそ120キロ前後と物足りない感じがしますが、
キレのあるストレートでコーナーを丁寧に突ける制球力を持っています。
さらに100キロ台のカーブは一度浮き上がってくるような感じで、上手く抜けています。
他にもスライダー・フォークなどを投げ、緩急・上下の揺さぶりと変幻自在のピッチングをしていました。
なかなか面白いピッチャー。次の試合が楽しみです。
3番キャッチャーの島貫選手は2塁への送球が素晴らしかった。
低く勢いのある球を2塁送球タッチアウト! 今大会で1番の送球を見させてもらいました。
コントロールのいい佐藤投手をしっかりリードしていましたし、
低めのボールをしっかりと前に落とすなどキャッチングも良い感じ。
次の試合はバッティングを中心に見てみたいです。
4番レフト土谷選手は先制ホームランを含む3安打2打点と大活躍!
上手く引き付けて打っていたのが印象的。次の試合もチェックして見たいです。



第2試合 愛工大名電(愛知) 9−2 岡山城東(岡山)

(城)出原(8回)
(名)丸山(9回)
(本)佐々木孝徳(名電・5回裏・2ラン)
岡城東
名電 ×

…しまったなぁ…前回注目選手に佐々木選手の名前を挙げておくべきだった…
いや、メモには書いてあったんですよ。
「腰の据わった打撃フォーム。スイングスピード速い。
 3打席目の外角ストレートを鋭くファール打つ辺り非凡。センターフライも打球が伸びて大きな当たり。
 三振、センター前タイムリー(カーブ)、センターフライ」と。
書いときゃ良かった…うー、失敗。
今日は前試合の内容そのままに結果を残してくれました。
バントと強打が噛み合った打線…愛工大名電、恐るべし。

簡単な得点経過です。
1回裏、1番クローズドスタンスの青山選手が外角ストレートを狙い打ってライト線への2ベースで出塁し、
送りバントでランナーを3塁へと進め、
3番梶田選手の外角高めストレートを打つレフトライナー性のヒットで繋ぎ(3塁ランナーはスタート切れず)
4番松井選手がやや詰まりながらも逆方向を意識したバッティングでレフト前タイムリーで先制。
この後、5番池田選手が送りバント空振りで2塁ランナー飛び出し3塁盗塁失敗があったものの、
内角低めストレートを上手く拾うセンター前ヒットで繋ぎ、
6番佐々木選手が外角低めカーブを上手く捉える三遊間抜くタイムリーヒットで2点目。
愛工大名電が2点を先制します。

2回表、岡山城東は6番花房選手がカーブを打つセンター前ヒットで出塁して、
セーフティー気味の送りバントを試みるもサードがナイスダッシュでセカンドフォースアウト。
1アウト1塁となるも、8番出原投手が高めカーブを打つヒットで繋ぎ、
7番藤原選手のピッチャー強襲の打球が丸山投手の右足首に当たるも、サードがバックアップしてアウト。
ここで1番八代選手がピッチャーの頭を越すショートゴロを打って1塁送球するも足が速くてセーフ。
岡山城東が1点を返します。

4回裏、愛工大名電は6番佐々木選手がヒットで出塁し、
送りバントでランナーを2塁へと進め、意表を突く3塁への盗塁!
タイミングは完璧セーフ、この時の捕手の3塁送球が悪送球となってしまい、ボールはレフトへ。
ランナーがホームインして追加点を挙げます。

5回裏、愛工大名電は2番柴田選手がサード送球エラーで出塁するも、
送りバントを打ち上げてしまいサードフライアウト。
けれどワイルドピッチが飛び出してランナー2塁へ、さらにセカンドの正面ゴロトンネルとミスが続き、
愛工大名電が労せず1点を追加します。
さらに6番佐々木選手が膝下の変化球を打って、レフトスタンドに入る2ランホームラン!
愛工大名電が相手のミスから3点を追加します。

6回表、岡山城東は1アウトから死球でランナーを出し、
8番出原投手の3塁線の当たりをサードが逆シングル好捕も2塁への送球が逸れてオールセーフ。
さらに四球で1アウト満塁とチャンスを広げます。
ここで1番八代選手がセンター前タイムリーを放ち、1点を返し、さらに1アウト満塁。
しかしサードゴロホームフォースアウト、ショートゴロと一本が出ず、1点止まりに終わってしまいます。

7回表、岡山城東は2本のヒットと四球で2アウト満塁のチャンスを作るも、一本出ずに無得点。

7回裏、愛工大名電は3番梶田選手が2ベースヒットで出塁し、送りバントで3塁へ。
ここで出原投手がコントロールを乱し、2者連続の四球で1アウト満塁。
そしてボールが4つ続いてしまい、押し出し四球。名電が労せずして1点を加えます。
さらに8番長尾選手が滞空時間の長い左中間への2点タイムリーが飛び出します。
(捕球できるか分からなかったのか1塁ランナーは2塁止まり。その後、併殺でチェンジ)

愛工大名電の丸山投手はコントロールに苦しんだものの、8・9回とテンポよく三者凡退。
愛工大名電が9−2で圧勝しました。


岡山城東の出原投手はコントロールが良く、1回戦はテンポの良いピッチングをしていたんですが…
今日は1回裏の攻撃に飲まれてしまったのか、コントロールを乱す場面が多く見られました。
今日も愛工大名電は初球はバントの構えで出原投手を揺さぶり、
バッティングはセンター方向を中心に弾き返すというバッティングでした。
4番松井選手の逆方向へのレフト前タイムリー、6番佐々木選手の三遊間抜くタイムリーと
立て続けに難しいボールをヒットされたことで警戒し過ぎてしまったんでしょうね。
今日は苦しいピッチングになってしまいました。

今日の愛工大名電はバントよりもヒッティングが多かったと思います。
もちろん初球のバントの構え揺さぶり、送りバントは多かったんですが、
セーフティーバントはそれほど見かけなかったように思います(全部見てたわけじゃないので自信なし)
初回の攻撃といい、佐々木選手のホームランといい、どちらかといえば名電の力強さが目立った試合でした。

勝った愛工大名電はバント・機動力・長打力が上手く絡まった素晴らしい攻撃でした。
前回は荒れ球の中田投手を揺さぶって崩し、
今回はコントロールのいい出原投手を上手いバッティング・長打で崩していきました。
どんな投手にも対応できるそんな強さが今の愛工大名電にはあります。
相手投手にとっては何をやってくるのか分からない、そんな恐ろしさがありますね。
課題はバントミス。今日は前回よりも多かったと思うので、徹底してもらいたいです。
あとは丸山投手の調子次第。四球が多いだけにテンポの良い投球を心がけて欲しいです。

負けた岡山城東は流れに乗ることが出来ませんでした。
出原投手がストライク先行で投げることができず、リズムを掴み損ねた印象です。
そのせいか守備陣も乱れて、3エラー・2暴投と散々になってしまいました。
終盤は打線が淡白になってしまいましたし、恐れていた結果になってしまったという感じ。
リズムに乗れなかった時にどう立て直していくか。そこを課題に取り組んでいって欲しいです。

目立った選手は愛工大名電の佐々木選手、丸山投手です。
6番センター2年生の佐々木選手は2ランホームランを含む3打数3安打3打点1四球と大暴れ。
打席の様子等は上述の通り。雰囲気のあるバッターです。
低めの難しい球を打つなどバッティング技術もあり、外野に打球を運ぶパワーもあり。
低めのボールに対する強さは分かったので、高めの球はどうか、次の試合チェックしてみたいです。

今日の丸山投手はワインドアップからの投球がイマイチだった印象。
なんとなく前回よりもタメが小さかった気がします。
逆にセットポジションはバランスが良くなって、粘り強く投げられていた印象です。
今日一番痛かったのはカーブのコントロールが悪かったこと。
緩いカーブが武器の投手ですから、この球のコントロールをもう少ししっかりしないと。
次回のピッチングに期待しています。



第3試合 秋田商(秋田) 3−0 甲府工(山梨)

(秋)佐藤剛士
(甲)三森(8回)−水野(1回)
(本)吉田良(秋田商・6回表・ソロ)
秋田商
甲府工

秋田商が連続完封勝利を収めました。
安定感のあるエースの佐藤投手、そして固い守備陣…素晴らしいディフェンス力です。
今年の東北勢は好投手が多く、レベルの高いチームが多いですね。
このまま勝ち進んで東北勢の躍進を期待したいです。

簡単な得点経過です。
1回表、秋田商は2番佐々木智樹選手が低めを上手くセンター方向へ弾き返す2ベースヒットで出塁し、
死球で1アウト1・2塁としたところで、
4番吉田選手がセンター前に弾き返すタイムリーヒットで1点を先制し、
5番渡部選手のファーストゴロの間にもう1点を奪います。

3回表、秋田商は2番佐々木智樹選手がヒットで出塁してバントで2塁へ進むも、
平凡なショートゴロで3塁へスタートを切ってしまい、ショートが3塁送球タッチアウト。
さらに牽制タッチアウトとなり、走塁ミスで追加点を取れません。

6回表、秋田商の4番吉田選手が甘く入った変化球を捉えるレフトへのホームラン!
欲しかった追加点が秋田商に入ります。

秋田商の佐藤投手は序盤に四球などでピンチを作ったものの、セカンドのナイスプレーなどで凌ぎ、
3回以降は打たせて取るピッチングを披露。
終始安定したピッチングを見せ、110球2安打5奪三振2四球で完封。
秋田商が守り勝ちました。


今日の試合も前回と同様。
1回にセンター方向へのバッティングで先制点を挙げ、そのリードを佐藤投手が守るという形。
今日は走塁ミスなどで追加点を取れませんでしたが、
4番吉田選手のホームランがミスを帳消しにしてくれました。

今日の佐藤投手は球数を見ても分かるように打たせて取るピッチングでした。
試合前半はストレート中心でカーブを見せ球。
見ていてスピード感はありませんでしたが、8分ぐらいで投げていたことで手元で伸びてたのでしょう。
内野ゴロの多さが随分と目に付きました。
試合中盤からスライダーも交えていき、ストレートで追い込んで変化球で打ち取るというパターン。
試合後の佐藤投手のコメント、「立ち上がりのボール先行で打たせて取るピッチングに変えた」とのこと。
こうやって自分自身の状態を把握してピッチングスタイルを変えられる辺りは非凡です。
それだけ周りが見えているということでしょう。
普通の投手ならスピードを出そうと力押しで四球、自滅しかねないんですが…
まさに大人のピッチング。風格漂うピッチャーです。

勝った秋田商ですが、ディフェンス面の素晴らしさが光っています。
佐藤投手は安定感抜群。このチームが崩れていく姿はあまり想像できません。
バッティングもセンター方向を中心に堅実なバッティング、見事です。
気になったのは走塁ミス。
追加点が取れそうで取れない嫌な展開になりかけてただけに、凡ミスだけは避けて欲しいです。
積極的なのはいいんですが、今日は凡ミスっぽかったので修正してもらいたい所。
次は愛工大名電との対戦。
名電はバントと長打を絡めた攻撃をしてくるので、秋田商のディフェンスがどうかわすか楽しみです。

負けた甲府工業は2年生の三森投手の成長が収穫ですね。
立ち上がりこそコントロールが乱れていましたが、中盤辺りからスライダーのコントロールが良くなり、
秋田商に付け入る隙を与えませんでした。
夏にはエースの水野投手も復活できるでしょうし、二枚看板として頑張って欲しいです。
夏の甲子園に帰ってくることを期待しています。



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