04センバツ甲子園大会 5日目

第1試合 明徳義塾(高知) 10−0 桐生一(群馬)

(明)鶴川(8回)−松下(1回)
(桐)渡辺(4回1/3)−久保田(2回1/3)−山木(1/3)−
 坂田(2回)
明徳 10
桐生一

明徳義塾が投打で桐生一を圧倒した試合となりました。
明徳打線はライナー性の強い打球をセンター方向に打ち返しているのが特徴的でした。
長打になるのは甘い所に来た時。あとはひたすら低いライナーと徹底されていました。
その打線の徹底が16安打10得点という結果に繋がったのでしょう。

投手陣では鶴川投手が8回3安打無四球8奪三振の好投。
今日は忙しくてフルに見ていたわけじゃないんで、この数字を見た時には驚きました。
自分が見た時はそんなに良い状態じゃなかったんですが…立ち上がり3回。
そこから急に良くなっていったということなのでしょうか。
より安定感が増した鶴川投手、そしてサイドハンド速球派の松下投手…
今年の明徳義塾はかなりのチームのようです。

簡単な得点経過。
今日は日刊の速報が見れないので自分のメモしか見れません。
そんなわけでイニングや細かい部分は違ってるかも。ご容赦をm(_ _)m
1回表、明徳義塾は1番森岡選手が左中間抜く2ベースヒットで出塁し、送りバントで3塁へ。
ここで3番梅田選手が甘いスライダーを弾き返すセンター前タイムリーを打ち、先制点を挙げます。

2回裏、桐生一はセカンドの送球エラーベンチインでノーアウト2塁、
送りバントで1アウト3塁のチャンスを作りますが、
1塁線へのライナーをファースト久保田選手がナイスキャッチ! 
後続も倒れて無得点に終わります。

3回表、明徳義塾は2番松原選手がヒットで出塁し、送りバント・四球でチャンスを広げ、
5番田辺選手がリーチを生かして外角の球をセンター前へ。
タイムリーヒットとなって1点、さらにセンターの悪送球の間に1点を加えます。

4回裏、桐生一は4番篠崎選手が2ベースヒットで出て、
6番松井選手が甘く入ったカーブを捉えて右中間抜くかと思いきや、
この打球にライト赤瀬選手が追いついてランニングキャッチ!
ファインプレーでチームを救います。

6回表、明徳義塾は2番手の久保田投手を攻めていきます。
4番久保田選手がヒットで出塁し、ボークで2塁へ親類。
ここで田辺選手のショートへのタイムリーヒットで追加点。

7回表、明徳義塾は1番森岡選手がライト前ヒットで出塁し、
2番松原選手が高めに浮いたストレートを捉えてセンターオーバータイムリー2ベースで1点。
さらに3番手山木投手を攻め、3番梅田選手が外角緩いスライダー狙い打ちのレフト前タイムリーで2点目、
4番久保田選手が真中低めスライダーを捉えるセンター前ヒットで繋ぎ、
5番田辺選手が高めに浮いたストレートを捉えるセンター抜く2点タイムリー3ベースで4点目、
6番鶴川投手のセンター前タイムリーで5点目。6連打で5点を奪います。

8回表、明徳義塾は4番手坂田投手から四球・セカンドゴロ2塁進塁・四球でチャンスを作り、
1・2塁間抜くタイムリーヒットで10点目を奪います。

鶴川投手は5回以降は完璧なピッチング。
100キロ台のカーブのコントロールが良くなり、緩急のあるピッチングをしていたようです。
9回はサイドハンドの松下投手が抑えて試合終了。明徳義塾が10−0で勝利しました。


立ち上がりの鶴川投手は良い時と悪い時がはっきりしていて、
一度悪くなるとカーブが甘くなり、ストレートはシュート回転と大量失点しかねない時がありました。
しかし2回には久保田選手のファインプレー、4回には赤瀬選手のファインプレーと
悪くなる度に明徳義塾の守備陣が鶴川投手を上手く盛り立てていたように思います。
攻撃の良さが目立つ今日の試合でしたが、
試合の流れを変えたのは明徳守備陣のファインプレーであったと私は思います。

勝った明徳義塾は投打のバランスの取れた良いチームですね。
投手は安定感抜群の鶴川投手、サイドスローの速球派2年松下投手の2枚看板がいて、
打線は松原・梅田・久保田・田辺選手らの昨夏甲子園組に、森岡・赤瀬選手らが加わって厚みが増しました。
長打を狙わずに鋭い打球をセンター方向に打っていたのは素晴らしいと思います。
繋いで得点を取るという姿勢がよく現れた打線ですね。
守備もよく鍛えられていて穴の少ないチーム。優勝候補の一角ですね。
不安要素を挙げるとすれば秋季大会の済美戦のような「油断」でしょうか。
初回に大量7点リードするも、あれよあれよと追い上げられて敗戦。
相手チームが追い上げてきた時にどう振りきるか。
優勝するため、そういった精神的強さを明徳義塾に求めたいです。

負けた桐生一は軸となるピッチャーがいなかったのが課題でしょう。
どの投手もそれなり、登板した全投手が失点をしてしまいました。
しっかりとしたエースを育て、そのピッチャーを中心に固めていって欲しいです。
攻撃面では序盤のチャンスをものにできなかったのが残念。
もちろん明徳のファインプレーに阻まれるなどアンラッキーな面はあったんですがね。
勝負強い打撃ができるよう頑張って欲しいです。
4番の篠崎選手という軸がいるわけですし、良いチームが作れるはず。
夏に帰ってくることを期待します。


目立った選手は明徳義塾の選手全般。そんなわけで簡単に。
1番レフト森岡選手は一昨年夏の優勝チームキャプテン・現中日の森岡選手の弟。
お兄さんに似た打撃フォームで思い切りの良さがウリ。
今日は右に左に鋭い当たりを打つなど活躍。一番印象に残った選手です。
2番ショート松原選手も思い切りの良いバッティングをします。
2番ですが長打力もあり、甘い球をセンターオーバーにしたスイングは力強かったです。
ショートの守備も安定しており、捕ってからのスローイングが速くセンスを感じました。
3番サード梅田選手はシュアな打撃を披露。思いきりではなくシャープな巧打者的印象です。
ただ高めストレートを振りぬいてレフトポール際への大ファールもありましたし、長打力も持っているようです。
気になるのは右サイドの投手でも右打席に立っていたこと。もうスイッチはやめたのでしょうか?
4番ファースト久保田選手は昨年よりも打撃が安定したような感じに見えます。
今日は上手くひきつけて打って3安打、明徳打線を引っ張りました。
次の試合でもう少しじっくり見てみようと思ってます。
5番キャッチャー田辺選手は一昨年夏の優勝チームのエースの弟。
リーチが長く外角のボールに対する強さはさすが。課題の内角球への対応をもう少し見てみたいです。
途中出場の2年生、9番ライト赤瀬選手は4回のファインプレーが印象的でした。
かなりの俊足のようですし、打力がついてくると面白そう。今後の成長を期待します。

先発した鶴川投手は相変わらずのフォームの綺麗さ。
腕を思いきりよく振りながらもボールがしっかりコントロールできている辺りはさすがです。
ストレートは135キロ前後。立ち上がりに143キロを計測していました。
140キロの球も投げられるようですが、力まないようコントロール重視で投げているようです。
変化球はスライダーに100キロ台のスローカーブが加わった模様。
これで緩急がつくようになり、投球に幅が出てきたように思います。
ただ立ち上がりはこのスローカーブが甘くいってしまったり、
ストレートがシュート回転するなど悪い部分も見られました。
悪い状態の時にどう修正していくか、それが鶴川投手の課題だと思います。
2番手の2年生松下投手はサイドスローから130キロ前後の伸びあるストレートを投げ込んでいました。
以前はオーバースローだったらしく、コントロールが悪かったそうです。
それがサイド転向でコントロール安定。プラスに働いているようです。
浮き上がってくるようなストレートが印象的。今後の登板が楽しみです。

桐生一では先発した2年生渡辺投手が印象に残りました。
右のサイドスロー投手でストレートは130キロ前後(134キロ計測)で低めにボールを集める投手です。
ストレートは球速以上に威力があり、内角のシュートが良い感じに見えました。
見ていた限りでは緩い変化球がなかったので、カーブなりスライダーなりシンカーなりで緩急を付けていけば、
投球の幅が増してチームのエースに成長できると思います。
まだ2年生ですし、頑張って欲しいです。



第2試合 八幡商(滋賀) 4−3 常葉菊川(静岡・神宮枠)

(菊)高橋(8回2/3)
(八)上田(9回)
菊川
八幡商 3×

この試合はラジオでチェックしてたんですが…
まさか派手なガッツボーズをした後に項垂れるとは思いもよりませんでした(苦笑)
意外なことの連続。スコアを見ただけでもそのどんでん返しっぷりが分かるでしょう。
9回表2アウトから3点を返して逆転した常葉菊川も凄ければ、
9回裏2アウトからセーフティーバントで同点に追いつき、サヨナラ勝利した八幡商も凄い。
まさかまさかの連続。野球の神様は相当ハラハラドキドキが好きなようで(^^;
試合を見ていた全ての人が予想することのできない劇的な試合が展開されました。

同じ時間帯にプロ野球・パリーグの開幕試合があったんですが…
思わずこちらの試合に聞き入ってしまいました。
高校野球にはプロ野球にないドラマがありますね。

簡単な得点経過です。
1回裏、八幡商はコントロールの定まらない高橋投手を攻めて、
2アウト満塁のチャンスを作るも、凡打に倒れて無得点。

常葉菊川の高橋投手は2回もコントロールが安定せず、
八幡商の打者に10球以上粘られるなど球数が多くなってしまいます。
しかし中盤からは持ち前のコントロールが戻り、コーナーにストレートを投げ込み、
低めのドロップで打たせて捕るテンポの良い投球で無得点に抑えていきます。

常葉菊川打線は立ち上がりこそ八幡商の上田投手に抑えこまれたものの、
3回以降は毎回のようにノーアウトからランナーを出し、送りバントで進めてチャンスを作ります。
しかし3回表は3バントスクイズ失敗、6回表にはスクイズをウエストされて空振りとミスが続き、
上田投手の粘りのピッチングに抑えこまれ、無得点が続きます。

8回裏、八幡商は1アウト2塁から2番北川選手が甘く入ったカーブを打つ三遊間抜くヒットで繋ぎ、
1アウト1・3塁と先制点のチャンスを作ります。
ここで3番伊藤選手はサードゴロ、3塁ランナー突っ込むもホームタッチアウト。2アウト1・2塁。
これで攻撃が終わると思いきや、4番種村選手が真中低めドロップを上手く打ち、
ファースト強襲ライト前へ抜けるタイムリーヒットを放ち、八幡商が均衡を破ります。

9回表、常葉菊川は2アウトランナーなしと追い込まれてしまうも、
5番鈴木選手が外角スライダーを捉える三遊間抜くヒットで出塁します。
ここで6番高橋投手がサード右を抜くヒットを放ち、今日初めての連打が飛び出します。
さらにストレートの四球で2アウト満塁のチャンスを作り、
8番島選手が真中に入ったストレートを叩くレフトフェンス直撃の3点タイムリー2ベースを放ち、
常葉菊川が土壇場で逆転します。

9回裏、八幡商は1アウトから7番水田選手が高めストレートを打つレフト前ヒットで出塁するも、
8番荒金選手はショート正面のゴロ併殺コース、
しかしセカンドの送球が逸れて1塁はセーフ、2アウト1塁となります。
ここまでかと思われた八幡商でしたが、代打の門出選手が四球で繋いで2アウト1・2塁。
ここで1番三上選手が低めストレートを上手く捉えるライト前タイムリーで1点を返します。
 (ライトは長打警戒で後ろに守っていた。それを見た1塁ランナーが3塁を奪う好走塁)
1点差負けている2アウト1・3塁…ここで八幡商の2番北川選手は初球をセーフティーバント!
意表を突くこの打球は3塁手前へのナイスバントとなり、サードどこにも投げられず。
タイムリー内安打となって八幡商が同点に追いつきます。
さらに3番伊藤選手が四球で歩いて、2アウト満塁。
ここで8回裏に先制タイムリーを打っている種村選手がバッターボックスへ。
その2球目、低めドロップを上手くバットで拾い、1・2塁間を抜くタイムリーヒット!
八幡商がサヨナラ勝ちを収めました。


野球に「もし…」は禁句ですが、今日の試合は幾度となくそれを感じてしまいました。
それだけ多くのターニングポイントがあったということでしょう。
1回裏の八幡商のチャンス、3・6回表の常葉菊川のスクイズ…そんなのは序の口。
9回表、あと1アウト取っていれば、四球を出していなければ…
9回裏、ショートゴロ併殺となっていれば、ライトが定位置にいたら、
セーフティーバントがファール・失敗になっていれば、四球を出していなければ…
9回の攻防の中に、多くの「もし…」が存在しました。
常葉菊川にとっては悔やんでも悔やみきれない、そんな残酷な試合となってしまいました。
逆に八幡商にとっては最高に劇的な勝利となりました。

やはり1番大きかったのは2番北川選手のセーフティーバントでしょう。
バントはサインだったそうです。1点差で2アウト1・3塁の場面ですよ?
もし失敗していたら、これ以上悔いの残ることはありません。
そんな大事な場面でセーフティーバントのサインを出せるのは凄い神経です。
ただ今日の試合のセーフティーを見た後で考えると、やるならここしかなかったとも思います。
1点差となって常葉菊川は精神的に辛い状況。打たれたショックも引きずっていたことでしょう。
早く試合終了にしたいという気持ちもあったことでしょう。
その精神的にゆとりのない状況を突く初球のバント…これほど効果あるものはありません。
あの場面でこの作戦が浮かんだ監督は凄いと言うべきでしょう。
そして緊張するこの場面で見事なセーフティーを決めた北川選手、立派です。

勝った八幡商は投打に渡って粘り強いチームです。
2年生エースの上田投手は毎回ピンチを迎えながらも、慌てず粘り強く投げていました。
ランナーを出してからが本当に粘り強い。新2年生とは思えない精神力です。
まだ打線も最後まで諦めず、奇跡の逆転勝利を呼び込んだ力は素晴らしいです。
セーフティーバントといい、その前の走塁といい、追い詰められても周りが見えていたように思います。
苦しい状況でも自分達の野球を見失わない精神力、お見事でした。
次は明徳義塾戦。
投打ともに明徳には敵いませんが、この精神力は必ず生きてくるはず。
強豪校を飲み込めるだけの粘り強さがこのチームにはあります。
堅い守備を武器に、明徳義塾と今日のような熱い戦いを演じて欲しいですね。

負けた常葉菊川は残念でした…それ以外に言葉のかけようがありません。
高橋投手は立ち上がり苦しみながらも中盤テンポの良い投球で立ち直り、
点数が入りそうで入らないという苦しい状況をよく耐えて投げていたように思います。
その投球はお見事。誰も彼の9回の投球を攻めることはできませんよ。
打線も9回2アウトからという苦しい状況で連打、そして逆転のタイムリー2ベース!
最後まで諦めない精神力、そしてそれを結果に結びつける打撃力は見事でした。
守備陣も全体的に安定していて、高橋投手を全員で盛り立ていたように思います。
今日は辛い結果になってしまいましたが、この試合を胸に練習に励み
どんな逆境をも跳ね除けるそんな強い心を身に付けて欲しいです。
この体験を忘れずに夏へ、その後の人生に生かしていって欲しいです。

目立った選手は両チームのエース。八幡商の上田投手、常葉菊川の高橋投手です。
2年生右腕の上田投手はゆったりとしたモーションからからバランスよく投げる好投手です。
ストレートは130〜135キロ。力強いボールを投げるピッチャーです。
ランナーを出してからの粘り強い投球が見事。何度もピンチを迎えながら崩れない精神力は凄いです。
もう少し体重が前にかかってくると安定感が増すかなと。球威も増し、コントロールも良くなりそうです。
常葉菊川の高橋投手は投球モーションが小さくブレないのが特徴。
130キロ前後ながらもコントロールの良さが目立ちました。
縦に落ちるドロップはは落差があり、かなり効果的。
ストレートを丹念に低めに集め、ボールの出し入れで勝負するタイプの投手ですね。
今日は結果的に低めの球を上手く打たれて失点していましたが、
その前の時点でストレートが外れ、変化球が抜けての四球があったり、
高めに浮いたストレートを打たれたりしていました。
気をつけるべきはそちらの方。力んでコントロールを乱すことがなくなれば夏も勝ち抜けることでしょう。



第3試合 金沢(石川) 8−6 佐賀商(佐賀)

(金)干場(2回1/3)−浜森(3回)−坂井(1回2/3)−須貝(2回)
(佐)松本(9回)
(本)飯田(佐賀商・ソロホームラン)
金沢
佐賀商

この試合は観戦できなかったので書けません。
ビデオには撮ってあるので、見たら書く…かもしんない(爆)


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